- 英
- tetanospasmin
- 同
- 破傷風毒素, tetanus toxin、テタヌストキシン
- 関
- 破傷風菌、破傷風
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/06/13 21:24:35」(JST)
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テタノスパスミン (Tetanospasmin) は分子量約15万のタンパク質で、破傷風菌によって産生され、破傷風の原因となる外毒素。
毒性は極めて強く、マウスの半数致死量 (LD50) は体重1 kgあたり0.000002 mg (2 ng) であり[1]、ボツリヌストキシンに次いで自然界の毒素で最強ランクに類されるもののひとつである。ホルマリン処理により容易に失活する。これを用いて破傷風トキソイド(ワクチン)が作られている。
目次
- 1 作用機序
- 2 脚注
- 3 関連項目
- 4 外部リンク
作用機序
毒性発現は、速い逆行性輸送(Fast retrograde transport (50-100 mm/日))という機序で生じる。神経では通常、信号の伝達方向は下行性を示すが、テタノスパスミンが神経末端から取り込まれた場合、神経繊維内部を神経末端から細胞体方面への伝達(上行性)を示す。これを逆行性という。
テタノスパスミンの中毒では、
- 抑制性シナプスにおける神経伝達物質分泌(アセチルコリン)遊離の抑制
- α系、γ系運動神経の興奮
- 脳脊髄に存在する中枢運動ニューロンの興奮亢進
などが生じ、これらに伴い、三叉神経麻痺による破傷風顔貌、強直性痙攣、弓反り反射、最後に呼吸筋の硬直麻痺による死亡、の経過をたどる。
脚注
- ^ 福岡大学 寺田研究室 の講義資料のページ「生物毒」
関連項目
震える舌
外部リンク
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[★]
- 英
- tetanus, lockjaw
- 同
- テタヌス
- 関
- 破傷風菌 Clostridium tetani
概念
- 嫌気性芽胞形成性グラム陽性桿菌である破傷風菌(Clostridium tetani)による感染症であり、破傷風菌が産生した外毒素テタノスパスミン(tetanospasmin)による中枢神経障害(随意筋痙攣)をきたすことが本疾患の病態である。
- 破傷風菌は土壌や塵など環境中に広く、またヒトや動物の消化管にも存在するが、破傷風菌に汚染された環境で外傷を契機に感染が成立する。
- 感染症ではあるが、神経毒による中毒性感染症であある。
病型
- 参考1
- 全身性破傷風:全身の筋の強直性攣縮 + 自律神経症状(早期は易刺激性、不穏、発汗、頻脈。後期には著しい発汗、不整脈、不安定な高血圧・低血圧、発熱)
- 限局性破傷風
- 頭部破傷風
- 新生児破傷風
病態
- SMB.260
- 破傷風毒素(テタノスパスミン)は亜鉛依存性プロテアーゼ活性を有しており、シナプス小胞付随蛋白であり開口分泌に関与するシナプトブレビンを特異的に切断し、シナプスへの神経伝達物質の放出を妨げる。
- 症状の発現は脊髄の抑制ニューロンが遮断される事による。
- 自律神経ニューロンも遮断されるので、自律神経症状も発現する。 → 著しい血圧、脈拍の変動
潜伏期
経過
治療
- SMB.260 YN. H-55 SPE.359
- 創部 :デブリドマン
- 抗毒素:ヒトTIGの投与 → 神経細胞に取り込まれた後では毒素を中和できなくなる。
- 抗菌 :ペニシリンGの大量投与。テトラサイクリン(SPE.359)
- 対症療法:呼吸管理、筋弛緩薬、抗痙攣薬(ジアゼパム)、刺激の軽減(日光の遮蔽)
予防
- 破傷風トキソイドによる能動免疫
- 小児期にジフテリア・破傷風・百日咳混合ワクチンを、それ以外の者は沈降破傷風トキソイド(破傷風トキソイド*)を3回注射しておけば約5年間程度の免疫が得られる。
免疫
予後
- 死亡率:40% (SPE.359)
- 救急救命センターレベルでならば死亡率は10%程度に下げることが可能である。
参考
- 1. [charged] Tetanus - uptodate [1]
国試
[★]
- 英
- tetanus bacillus
- ラ
- Costridium tetani
- 同
- (国試)破傷風菌
- 関
- クロストリジウム属
- 図:SMB.260
- 芽胞形成
- 嫌気性菌
- グラム陽性桿菌
- 形状:太鼓のバチ状(円形で端在性の芽胞)
- 棲息場所 土壌中に広く分布
- 運動性:寒天平板上で遊走し、辺縁は樹枝状
- 病原性:創傷感染(特に土壌で汚染された挫滅創)により感染。受傷後6時間で毒素(破傷風毒素)を産生し始める。
- 毒素:外毒素(神経毒:テタノスパスミン(破傷風毒素)、破傷風溶血毒:テタノリジン)
- 感染症:破傷風