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Japanese Journal
- HIVプロテアーゼ阻害薬ダルナビルエタノール付加物(プリジスタ^【○!R】錠300mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績
- 岩田 理子,吉田 慎哉,原田 寧
- 日本薬理学雑誌 132(6), 363-369, 2008-12-01
- ダルナビル(DRV)は,野生型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)および既存の抗HIV薬に耐性を示す臨床分離株に対して強力な抗ウイルス活性を示す,新規のプロテアーゼ阻害薬(PI)である.DRVは,HIV-1プロテアーゼの活性中心で複数のアミノ酸に相互作用することにより著しく強い結合親和性を示し,さらにDRVのbis-tetrahydrofuranylurethane(bis-THF)側鎖が主要活性部 …
- NAID 10024384429
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- 「ダルナビル エタノール付加物」に関連する薬3件です。種別、剤形、製薬会社、薬効分類などから簡単に絞り込む事ができます。お薬の詳細ページでは、薬価、写真、効能・効果、副作用、使用法、医療者によるお薬の評価などを ...
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
プリジスタ錠300mg
組成
成分・含量
- ダルナビル エタノール付加物325.23mg(ダルナビルとして300mg)
添加物
- 結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、マクロゴール4000、酸化チタン、タルク、食用黄色5号アルミニウムレーキ
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- トリアゾラム、ミダゾラム、ピモジド、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴメトリン、メチルエルゴメトリン、バルデナフィル、ブロナンセリン、シルデナフィル(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)、アゼルニジピン、アスナプレビル、リバーロキサバンを投与中の患者[「相互作用」の項参照]
- 腎機能あるいは肝機能障害患者で、コルヒチンを投与中の患者[「相互作用」の項参照]
- 低出生体重児、新生児、乳児、3歳未満の幼児[「小児等への投与」、「その他の注意」の項参照]
効能または効果
- 本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。
プリジスタ錠300mg/600mg
- 本剤は抗HIV薬の治療経験があり、少なくとも1つのダルナビル耐性関連変異を持つHIV感染患者に使用すること。
プリジスタナイーブ錠800mg
- 本剤は抗HIV薬の治療経験がないHIV感染患者あるいはダルナビル耐性関連変異を持たない抗HIV薬既治療患者に使用すること[「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照]。
- 無症候性HIV感染症の治療開始時期はCD4陽性リンパ球数及び血漿中HIV RNA量が指標とされている。本剤の使用にあたっては、患者のCD4陽性リンパ球数及び血漿中HIV RNA量を確認するとともに、最新のガイドラインを確認すること。
- 小児HIV感染症に対しては、本剤投与による有効性及び安全性が確立していない。
プリジスタ錠300mg/600mg
- 通常、成人にはダルナビルとして1回600mgとリトナビル1回100mgをそれぞれ1日2回食事中又は食直後に併用投与する。投与に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること。
プリジスタナイーブ錠800mg
- 通常、成人にはダルナビルとして1回800mgとリトナビル1回100mgをそれぞれ1日1回食事中又は食直後に併用投与する。投与に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること。
- 本剤は下記を参照し使用すること。
抗HIV薬による治療経験がないHIV感染患者
抗HIV薬による治療経験のある患者
ダルナビル耐性関連変異を持たない患者
抗HIV薬による治療経験のある患者
少なくとも1つのダルナビル耐性関連変異を持つ患者
- プリジスタ錠300mg2錠又はプリジスタ錠600mg1錠を1日2回投与
- なお、抗HIV薬による治療経験のある患者には薬剤耐性遺伝子型検査の実施が推奨されるが、遺伝子型検査が行えない場合には、プリジスタ錠300mg2錠又はプリジスタ錠600mg1錠を1日2回投与が推奨される。
- 本剤による治療は、抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。
- 本剤の使用に際しては、「用法・用量」の記載に従い、必ず薬物動態学的増強因子(ブースター)としてリトナビルを併用すること。
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、感染初期から多種多様な変異株を生じ、薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので、本剤は他の抗HIV薬と併用すること。
- 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において、因果関係が特定できない重篤な副作用が発現し、治療の継続が困難であると判断された場合には、本剤若しくは併用している他の抗HIV薬の一部を減量又は休薬するのではなく、原則として本剤及び併用している他の抗HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
- ジダノシンと併用する場合には、ジダノシンは食間に投与することとされているので、本剤及びリトナビル投与の1時間前又は2時間後にジダノシンを投与すること。
慎重投与
- 肝障害のある患者[本剤は主に肝臓で代謝され、肝障害患者では高い血中濃度が持続するおそれがあるため、定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、悪化が認められた場合には休薬又は投与中止を考慮すること。]
- 慢性活動性のB型及び/又はC型肝炎患者など投与前に肝機能異常が認められる患者では、肝機能をさらに悪化させる可能性がある。[外国第IIb/III相試験において、B型及び/又はC型肝炎重複感染患者では、有害事象及び臨床検査値異常のうち、肝酵素の上昇の発現頻度が非重複感染患者より高かった。]
- 軽度及び中等度肝障害患者に本剤/リトナビルを投与するときには本剤の用量を調整する必要はないが、重度肝障害患者には慎重に投与すること。[「薬物動態」の項参照]
- 血友病患者及び著しい出血傾向を有する患者[HIVプロテアーゼ阻害剤で治療中の血友病患者において、皮膚血腫及び出血性関節症等の出血事象の増加が報告されている。]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- スルホンアミド系薬剤に過敏症の既往歴のある患者[ダルナビルはスルホンアミド基を有するため、交叉過敏症があらわれる可能性がある。]
重大な副作用
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.1%未満)、多形紅斑(0.1%未満)、急性汎発性発疹性膿疱症(頻度不明)
- 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症があらわれたとの報告があるので、異常が認められた場合は、本剤の投与を直ちに中止し適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸
頻度不明
- AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
急性膵炎
0.5%
- 急性膵炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
作用機序51)〜55)
- ダルナビルはHIV-1プロテアーゼの2量体化及び酵素活性を阻害する。本剤はHIV-1感染細胞においてウイルスのコードするGag-Polポリ蛋白質の切断を選択的に阻害し、その結果、感染性を有する成熟ウイルスの形成を抑制する。本剤はKD4.5x10-12mol/LでHIV-1プロテアーゼに強い親和性を有しており、HIVプロテアーゼ阻害剤耐性関連変異の影響も受けにくかった。他の代表的な13種のヒトプロテアーゼに対する阻害作用は認められなかった。
抗ウイルス作用56)〜60)
- 本剤はヒトT細胞株、ヒト末梢血単核球及びヒト単球/マクロファージに急性感染させたHIV-1実験室株及び臨床分離株、並びにHIV-2実験室株に対し抑制作用(EC50値:1.2〜8.5nmol/L)を示す。本剤はHIV-1グループM(A、B、C、D、E、F、G)及びグループOの臨床分離株群及び初代分離株群にin vitroで抗ウイルス活性(EC50値:<0.1〜4.3nmol/L)を示す。In vitroにおける本剤の抗ウイルス作用は、50%細胞毒性作用を示す濃度(87〜>100μmol/L)よりも十分に低い濃度で認められる。本剤のEC50値はヒト血清存在下では中央値で5.4倍高い。本剤はHIVプロテアーゼ阻害剤(アンプレナビル、ネルフィナビル及びリトナビル)と併用することにより相乗作用を示し、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(アバカビル、ジダノシン、エムトリシタビン、ラミブジン、サニルブジン、ザルシタビン及びジドブジン)、ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(テノホビル)、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(エトラビリン、エファビレンツ、デラビルジン、ネビラピン及びリルピビリン)、HIVプロテアーゼ阻害剤(アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、サキナビル及びtipranavir)及び融合阻害剤(enfuvirtide)と併用することにより相加作用を示した。本剤とこれらの薬剤との併用において拮抗作用は認められなかった。
薬剤耐性61)〜63)
- ダルナビル存在下で培養した野生型HIV-1から耐性ウイルスを得るために、3年以上の継代を繰り返したところ、耐性ウイルスの発現が認められた。耐性ウイルスに対して本剤は400nmol/Lを超える濃度で増殖抑制を示した(in vitro)。この耐性ウイルスは、本剤に対しての感受性が23〜50倍低下しており、プロテアーゼ遺伝子に2〜4個のアミノ酸置換を有していた。これらのウイルスのダルナビル耐性因子とプロテアーゼ内のアミノ酸変異の関連性は認められなかった。HIVプロテアーゼ阻害剤耐性変異を有する9株のHIV-1からダルナビルの耐性株(EC50値が53〜641倍変化)をin vitroで獲得した結果、ダルナビル耐性株のプロテアーゼ内に22個のアミノ酸変異が出現し、このうちL10F、V32I、L33F、S37N、M46I、I47V、I50V、L63P、A71V及びI84Vの変異は耐性分離株の50%超に認められた。ダルナビル耐性(EC50値の比;fold change[FC]>10)となるには、これらの変異のうち最低8個のHIVプロテアーゼ阻害剤耐性関連変異が必要であり、うち2個の変異はすでにプロテアーゼ遺伝子内に存在していた。アンプレナビル、アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビルあるいはtipranavirに耐性の臨床分離株1,113株、並びに外国臨床試験C202/C213試験及びC208/C215試験解析に組み入れられた被験者の本剤投与開始前の分離株886株において、本剤に対するFC>10(中央値)を示したのは、10個を超えるHIVプロテアーゼ阻害剤耐性関連変異を持ったサブグループのみであった。
交叉耐性62)、63)
- HIVプロテアーゼ阻害剤には交叉耐性が認められやすい。アンプレナビル、アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル又はtipranavirに対する感受性が低下した臨床分離株3,309株の90%に対して、ダルナビルの感受性低下は10倍未満であり、ほとんどのHIVプロテアーゼ阻害剤に対して耐性を示すウイルスにダルナビルの感受性は保持されていた。HIVプロテアーゼ阻害剤耐性株から選択したダルナビルに耐性を示す9株のうち7株について、tipranavirに関する耐性が検討され、7株のうち6株ではtipranavirに対する感受性低下が小さかった(FC<3)ことから、ダルナビルとtipranavirとの交叉耐性は限定的であることが示されている。作用機序の違いから、ヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、融合阻害剤とダルナビルとの間に交叉耐性は生じないと考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
性状
溶解性
- N,N-ジメチルホルムアミドに極めて溶けやすく、アセトニトリルに溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、2-プロパノール及び水に極めて溶けにくい。
融点
分配係数
- LogP=2.47(1-オクタノール/pH7.0緩衝液)
★リンクテーブル★
[★]
ダルナビルエタノール付加物
[★]
- 商
- プリジスタ、プレジコビックス配合、シムツーザ配合
- 化
- ダルナビルエタノール付加物 darunavir ethanolate
- 関
- 抗ウイルス剤
[★]
- 英
- addition、add、append
- 関
- 加える、相加、追加、添加、加えること、加算、付け加える
[★]
- 英
- ethanol
- 同
- エチルアルコール ethylalcohol
- 関
- アルコール
法医学
[★]
- 英
- adduct、annex
- 関
- 付加体、別館
[★]
- 英
- building
- 関
- 建物