- 英
- disulfide、disulphide
- 関
- 二硫化物
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/11/28 01:06:30」(JST)
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ジスルフィド (disulfide, disulphide) とは、2個の硫黄原子が繋がったジスルフィド基 (-S-S-) を官能基として有する有機硫黄化合物の総称。一般式は R-S-S-R' と表される。
ジスルフィドの英語表記は disulfide で、この用語は二硫化物イオン (S22−) を構造に含む塩や錯体の総称でもある。日本語ではその総称をもっぱら 二硫化物 と呼ぶ。ジスルフィドイオンは二硫化物イオンの別称。錯体の命名法では二硫化物イオンの配位子名は「ジスルフィド」(disulfido) である。二硫化物塩や錯体の詳細は記事: 二硫化物 を参照。
目次
- 1 性質
- 2 有機ジスルフィドの合成と反応
- 3 例
- 4 関連項目
性質[編集]
ジスルフィドの硫黄の酸化数は -I で電子配置は塩素分子の状況に似ており、もう1個の S(-I) と共有結合することによって2価のジスルフィド基を形成している。このことは酸素も同様で、過酸化水素や、それを親化合物とするペルオキシド(過酸化物)が存在する。
有機ジスルフィドの親化合物である二硫化二水素(ジスルファン)H2S2やそのモノアルキル化体(RSSH) は熱的に不安定で容易に分解する。一方、ジアルキルジスルフィドは比較的安定であり、容易にO-O結合が熱分解するジアルキルペルオキシドとはかなり性質が異なる。また、硫黄同士の結合がさらに進んだトリスルフィド、多硫化物(ポリスルフィド)を作れることも酸素の場合とは異なる。
低分子量のジアルキルジスルフィドはキャベツやネギ属の香気成分として知られており、強いにおいを持っている。
有機ジスルフィドの合成と反応[編集]
対称な有機ジスルフィドは通常、対応するチオール2分子を酸化的に結合させて得る。酸化剤としては過酸化水素水やヨウ素が利用される。過酸化水素を酸化剤にした場合、ジスルフィドから過剰な酸化が起こりうるので反応条件の設定は重要である。
また二硫化ナトリウムと2当量のアルキル化剤を反応させても、対称ジスルフィドを調製することができる。二硫化物イオンは硫化ナトリウムの水溶液に硫黄を1当量加えて加熱することでも生成できる。
非対称ジスルフィドは硫黄上に脱離基を持つR-S-Xの化合物とチオールの塩を低温で反応させることによって得られる。XとしてはハロゲンやSO3Na(Bunteの塩)、CNなどが利用される。非対称ジスルフィドは過剰のチオール塩の存在下で不均化しやすいので反応条件は重要である。
ジスルフィドは還元するとチオールに戻る。水素化ホウ素ナトリウムなどが還元剤として使用される。
求核剤の攻撃で S-S 結合が切断される。求核剤としてチオールの塩を使用するとこれはジスルフィド交換反応になる。
- R-S-S-R + Nu− → R-S− + Nu-S-R
例[編集]
有機ジスルフィド[編集]
- アミノ酸のシスチン
- α-リポ酸
- ジメチルジスルフィド (CH3S-SCH3)
- 二硫化アリル (H2C=CH-CH2S-SCH2-CH=CH2)
- ジフェニルジスルフィド (Ph2S2)
有機ジスルフィド |
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シスチン
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α-リポ酸
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Ph2S2
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関連項目[編集]
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ウィキメディア・コモンズには、ジスルフィドに関連するカテゴリがあります。 |
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Japanese Journal
- 哺乳動物細胞におけるタンパク質ジスルフィド結合形成システム
- リチウム二次電池材料を志向した有機ジスルフィドポリマーの合成 (特集 リチウムイオン電池の最新動向)
- リン酸チアミンジスルフィド(ビタミンB_1誘導体)によるアナフィラキシーショックの1例
- 高橋 ユエ,蒲原 毅,藤村 奈緒,中村 和子,廣門 未知子,松倉 節子,池澤 善郎
- Journal of environmental dermatology and cutaneous allergology = / the Japanese Society for Dermatoallergology and Contact Dermatitis 6(4), 368-372, 2012-07-31
- NAID 10030983617
Related Links
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- ジスルフィド結合(disulfide bond)は、2組 のチオールのカップリングで得られる共有 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ナイロジン注
組成
- ナイロジン注は、1管(10mL)中に下記の成分・分量を含有する。
成分名・分量(1管中)
- チアミンジスルフィド 50mg
ピリドキシン塩酸塩 100mg
ヒドロキソコバラミン酢酸塩 1mg
(ヒドロキソコバラミンとして)
- 添加物としてD-マンニトール240mg、pH調整剤及び等張化剤を含有する。
禁忌
- 本剤及びチアミンジスルフィドに対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
- 本剤に含まれるビタミン類の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦など)
- 下記疾患のうち、本剤に含まれるビタミン類の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
●神経痛
●筋肉痛・関節痛
●末梢神経炎・末梢神経麻痺
- 効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。
- 通常成人1日1回10mLを緩徐に静脈内注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー様症状
(いずれも頻度不明)
- ショック、アナフィラキシー様症状を起こすことがあるので、全身皮膚潮紅、そう痒感、血圧低下、胸内苦悶、呼吸困難、痙攣等があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
- チアミンジスルフィド(Thiamine Disulfide)
化学名:
- N ,N '-{Dithiobis[2-(2-hydroxyethyl)-1-methyl-2,1-ethenediyl]}bis{N -[(4-amino-2-methyl-5-pyrimidinyl)methyl]formamide}
化学構造式:
分子式:
分子量:
性状:
- 本品は白色〜淡黄白色の粉末で、においはないか、又はわずかに特異なにおいがあり、味はわずかに苦い。
エタノール(95)に溶けにくく、水又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
本品は希塩酸又は希硝酸に溶ける。
本品の飽和水溶液はほぼ中性である。
一般名:
- ピリドキシン塩酸塩(Pyridoxine Hydrochloride)
化学名:
- 4,5-Bis(hydroxymethyl)-2-methylpyridin-3-ol monohydrochloride
化学構造式:
分子式:
分子量:
性状:
水に溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくく、無水酢酸、酢酸(100)にほとんど溶けない。
本品は光によって徐々に変化する。
融点:
一般名:
- ヒドロキソコバラミン酢酸塩(Hydroxocobalamin Acetate)
化学名:
- Co α-[α-(5,6-Dimethyl-1H -benzimidazol-1-yl)]-Co β-hydroxocobamide monoacetate
化学構造式:
分子式:
分子量:
性状:
水に溶けやすく、エタノール(95)に溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
本品は吸湿性である。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- thiol
- 同
- thiol基
- 関
- ジスルフィド、スルフィド、チオエーテル
[★]
ジスルフィド、二硫化物
- 関
- disulphide
[★]
- 英
- disulfide
- 関
- ジスルフィド
[★]
ジスルフィド
- 関
- disulfide
[★]
- 英
- glutathione disulfide, GSSG
- 同
- 酸化型グルタチオン、オキシグルタチオン oxiglutatione
- 商
- ビーエスエスプラス
- 関
- グルタチオン
[show details]
- っていうか、オキシグルタチオンなんていう名称は正しくない気がする。ただのGSSGじゃん。どういう使い分けがされているの?
酸化型グルタチオン : 約 3,990 件
グルタチオンジスルフィド : 約 902 件
オキシグルタチオン : 約 1,210 件
- 酸化型グルタチオン。
- グルタチオン(GSH)の酸化型(GSSG)である。酸化型グルタチオン、あるいはグルタチオンジスルフィドと呼ばれる。眼内に投与されたオキシグルタチオンは組織に取り込まれグルタチオン還元酵素によりグルタチオンとなり、組織のH2O2の除去などをおこなう。眼内灌流液にオキシグルタチオンを添加することで、角膜保護作用、血液房水柵破壊抑制作用、水晶体透明性維持作用、網膜機能維持作用の効果が期待できる。
[★]
- 英
- thiamine disulfide phosphate
- 関
- チアミンジスルフィド
[★]
- 英
- thiamine disulfide nitrate
- 関
- チアミンジスルフィド
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[★]
- 英
- sulfide
- 同
- チオエーテル thioether
- 関
- チオール、ジスルフィド