偽膜性腸炎

出典: meddic

pseudomembranous enterocolitis, pseudomembranous enteritis
enterocolitis pseudomembranacea
偽膜性大腸炎 pseudomembranous colitis PMC


まとめ

  • 抗菌薬の投与後に下痢や腸炎をきたす疾患であり、偽膜性腸炎の90%はClostridium difficileによるとされる。危険因子として長期入院、高齢、基礎疾患、抗菌薬、電子直腸体温計、経腸栄養、外科手術、腸管の蠕動運動が関与しており、原因となるClostridium difficileは内因性と外因性の両方が関与している。原因となる抗菌薬には第3世代のセフェム系(セフトリアキソン、セフタジジム、セフォタキシム)が多く、クリンダマイシン、アンピシリンも原因となる。発症は抗生物質の摂取から数日後である。症状は無症状から劇症型腸炎まで幅広い。また、発熱、腹痛、白血球増加が認められる(感染症で白血病領域まで白血球が増加する疾患は偽膜性腸炎と百日咳)。このほか、悪心、倦怠感、低蛋白血症、大腸出血、大腸穿孔、腸軸捻転症もありうる。診断には「(1)過去60日以内に抗菌薬を使用歴がある」あるいは「(2)入院後72時間以上経過した後の下痢」を満たした上で、糞便からの毒素の検出・内視鏡による偽膜の確認を行う。治療は抗菌薬の中止、絶食、輸液をおこなう。薬物療法としてはバンコマイシンの経口投与が第一選択であり、第二選択はメトロニダゾールである。止痢薬は中毒性巨大結腸症を誘発させうるので禁忌とされる。(IRE.691 YN.A-70)

偽膜とはなんぞや

  • 黄白色をなし、フィブリン・壊死組織等からなる(YN.A-70)

症状

YN.A-70
  • 水様性下痢(時に血性)、腹部鈍痛、下腹部膨満感
  • 重症例:発熱・ショックなどの全身症状、低蛋白血症、低カリウム血症、中毒性巨大結腸症


UpToDate Contents

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和文文献

  • 腰椎固定術後, 診断に非常に難渋した偽膜性腸炎の1例 : 本症例の術後経過および治療について
  • 森山 一郎,中村 光一
  • 中部日本整形外科災害外科学会雑誌. 中部日本整形外科災害外科学会抄録 54(3), 565-566, 2011-05-01
  • NAID 10029072458
  • 偽膜性腸炎 (特集 感染症の古くて新しい展開) -- (婦人科領域と感染症)
  • 安田 勝彦,山崎 由紀子
  • 産科と婦人科 78(4), 434-438, 2011-04
  • NAID 40018757789
  • 腰椎固定術後, 診断に非常に難渋した偽膜性腸炎の1例
  • 森山 一郎,中村 光一
  • 東日本整形災害外科学会雑誌 = Journal of the Eastern Japan Association of Orthopaedics and Traumatology 23(1), 130-132, 2011-03-31
  • NAID 10028163756

関連画像

resize4593 型 偽膜 性 腸炎 欧米 で は偽膜性大腸炎 ; 発熱(微熱 薬剤生腸炎偽膜 クリーム色 の 半 球状 の 偽膜 性 腸炎


★リンクテーブル★
国試過去問108D048」「108I015」「097B027」「102D011」「109I013」「108G035」「102G016」「100G106
リンク元蛋白漏出性胃腸症」「MRSA腸炎」「便」「低蛋白血症」「Rhoタンパク質
関連記事腸炎」「」「偽膜性」「膜性」「偽膜

108D048」

  [★]

  • 70歳の女性。 3週前に右大腿部の蜂窩織炎で入院した。セファゾリンの投与により軽快したが、 2日前から 38℃の発熱と 1日 10回の下痢が出現した。意識は清明。体温 38.5 ℃。脈拍 120/分、整。血圧 110/60 mmHg。呼吸数 20/分。血液所見:赤血球 320万、 Hb 10.3 g/dl、Ht 31%、白血球 19,300(分葉核好中球 72%、好酸球 2%、単球 10%、リンパ球 16% )、血小板 19万。血液生化学所見:アルブミン 2.8 g/dl、尿素窒素 50 mg/dl、クレアチニン 3.8 mg/dl(5日前は 0.8 mg/dl)、 Na 138 mEq/l、K4.7 mEq/l、Cl 109 mEq/l。下部消化管内視鏡像 (別冊 No. 23)を別に示す。
  • 最も考えられるのはどれか。



[正答]


※国試ナビ4※ 108D047]←[国試_108]→[108D049

108I015」

  [★]

  • a Waterhouse-Friderichsen症候群 ―――― Neisseriameningitidis
  • b 偽膜性腸炎 ――――――――――――― Clostridiumdif fficile
  • c 細菌性赤痢 ――――――――――――― Salmonel llaspp.〈サルモネラ属菌〉
  • d 院内肺炎 ―――――――――――――― Pseudomonasaeruginosa
  • e 食中毒 ――――――――――――――― Vibrioparahaemolyticus


[正答]


※国試ナビ4※ 108I014]←[国試_108]→[108I016

097B027」

  [★]

  • 疾患と便の組合せで正しいのはどれか。
  • a. (1)(2)(3)
  • b. (1)(2)(5)
  • c. (1)(4)(5)
  • d. (2)(3)(4)
  • e. (3)(4)(5)
[正答]


※国試ナビ4※ 097B026]←[国試_097]→[097B028

102D011」

  [★]

  • 偽膜性腸炎について正しいのはどれか。
  • a. 病原性大腸菌の増殖が原因である。
  • b. 突然の新鮮血下血で発症する。
  • c. 注腸造影ではバリウムの貯留像として描出される。
  • d. 診断には内視鏡検査を行う。
  • e. 治療には広域スペクトル抗菌薬を投与する。
[正答]


※国試ナビ4※ 102D010]←[国試_102]→[102D012

109I013」

  [★]

  • 消化管疾患とその合併症の組合せで誤っているのはどれか。


[正答]


※国試ナビ4※ 109I012]←[国試_109]→[109I014

108G035」

  [★]

  • 偽膜性腸炎治療薬はどれか。2つ選べ。


[正答]


※国試ナビ4※ 108G034]←[国試_108]→[108G036

102G016」

  [★]

[正答]


※国試ナビ4※ 102G015]←[国試_102]→[102G017

100G106」

  [★]

  • 内視鏡治療の適応でないのはどれか。
[正答]


※国試ナビ4※ 100G105]←[国試_100]→[100G107

蛋白漏出性胃腸症」

  [★]

protein-losing gastroenteropathy PLGE, proteinlosing gastroenteropathy
タンパク質漏出性胃腸症滲出性腸症 exudative enteropathy、本態性低タンパク血症 essential hypoproteinemia、異化亢進性低タンパク血症 hypercatabolic hypoproteinemia
低タンパク血症
蛋白漏出性腸症 protein-losing enteropathy蛋白喪失性腸症タンパク質喪失性腸症タンパク質漏出性腸症
[show details]

概念

  • 病態の総称

消化管粘膜より管腔にタンパク質(主にアルブミン) が漏出する為に、低蛋白血症を伴った病態。主症状は浮腫である。吸収不良症候群とのoverlapが多い

病態生理に基づく病因の分類

YN.A-87 参考1
  • 1. 粘膜における蛋白質の透過性亢進
  • 2. 炎症:びらん・潰瘍により蛋白質が漏出する。さらに全層性の腸管病変(悪性腫瘍腫瘍、クローン病)によりリンパ管が閉塞し、リンパが漏出する機序もある→3.
  • 非特異性小腸潰瘍、クローン病、消化管腫瘍、腸炎(偽膜性腸炎など)
  • 3. 血流・リンパのうっ滞

検査

  • 血液生化学
  • アルブミン:低下
  • A/G比:正常  →  アルブミン低値ながらA/G比が正常なのが特徴。
  • 免疫血清学
  • 免疫グロブリン:低下  →  免疫グロブリンも漏出してしまう
  • 糞便検査:α1アンチトリプシンクリアランス試験(α1-アンチトリプシン消化管クリアランス試験):血清蛋白中の約4%を占めるATの糞便中排泄量を求める試験。腸粘膜からの蛋白漏出の程度をみる。20mL/日以上の排泄があれば陽性と診断する。
YN A-87

鑑別

  • 蛋白漏出性胃腸症:蛋白↓、コレステロール↓
  • ネフローゼ症候群:蛋白↓、コレステロール↑

参考

  • 1. [charged] Protein-losing gastroenteropathy - uptodate [1]



MRSA腸炎」

  [★]

methicillin-resistant Staphylococcus aureus colitis, MRSA enterocolitis
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 MRSA

概念

  • MRSAが原因の腸炎であり、院内感染症である。
  • 多い患者背景:術前に第3世代セフェム系抗菌薬を使用した患者。第3世代セフェム系抗菌薬を使用した高齢者。 (SSUR.539)

治療

  • 薬剤の中止 (SSUR.539) ← 第3世代セフェム系抗菌薬のこと?
  • 補液による脱水の改善 (SSUR.539)
  • バンコマイシンの投与 (SSUR.539)

鑑別診断

  • 偽膜性腸炎

原因が分からない腸炎に対するバンコマイシンの安易な使用について

IRE.698を参考にしつつ
  • バンコマイシンは最後の切り札として温存すべきである。米国ではバンコマイシン使用は厳重に管理されている。日本の臨床ではどうであろうか。抗菌薬に投資開発のリソースをつぎ込んでいる企業はかつてより少なくなってきている。細菌の進化をなるべく遅くするために、抗菌薬をもっと丁寧に使わなければならない。
  • かつては「MRSA腸炎」と疑診しただけでバンコマイシンを使用しており、経験的治療としては正しいかも知れないが、抗菌薬の適正利用とはほど遠い。

国試

(治療・管理)095D056



便」

  [★]

stool
大便糞便
  • 胎便:新生児が生後12時間に排泄するもの

便→疾患

  • 緑色ミートソース様便:サルモネラ腸炎
  • クリーム色がかった緑色水様便:MRSA腸炎

疾患→便



低蛋白血症」

  [★]

hypoproteinemia
低タンパク血症低アルブミン血症
[show details]
  • 基質欠乏:飢餓、吸収不良症候群
  • 蛋白合成能低下:肝硬変、低アルブミン血症を来す各種病態(血中蛋白の大半がアルブミン。Alb /TP = 3.5-4.5 / 6.5-8)
  • 血液の希釈:妊娠
  • サードスペースへの移行:胸水、腹水
  • 体外への漏出:
  • 蛋白異化亢進:炎症性疾患、悪性疾患、甲状腺機能亢進症

国試



Rhoタンパク質」

  [★]

Rho protein
GTP結合タンパク質Rho
  • RhoファミリーGタンパク質(ローファミリージーたんぱくしつ)とは、低分子量Gタンパク質の一種で、主に細胞骨格の制御に関わる。(1)

臨床関連

  • 偽膜性腸炎
  • Clostridium difficileが産生するトキシンBにより、細胞内のRhoが障害され、細胞骨格のアクチン線維を凝集して上皮細胞壊死を来す。(YN.A-70)


参考

  • 1. wikipedia - en
[display]http://ja.wikipedia.org/wiki/Rho%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%9F%E3%83%AA%E3%83%BCG%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA


腸炎」

  [★]

enteritis
小腸結腸炎 enterocolitis腸カタル intestinal catarrh
gastroenteritis



炎」

  [★]

  • n.
  • comb form.
  • (炎症の接尾辞)itis
炎光炎症


偽膜性」

  [★]

pseudomembranoussubmembranous
膜下


膜性」

  [★]

membranousmembraneous
膜状


偽膜」

  [★]

pseudomembrane, false membrane





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