出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/04/10 12:59:40」(JST)
この項目では、インフルエンザの概念について説明しています。
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インフルエンザ | |
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分類及び外部参照情報 | |
電子顕微鏡により約10万倍に拡大された陰性インフルエンザウイルス
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ICD-10 | J10., J11. |
ICD-9 | 487 |
DiseasesDB | 6791 |
MedlinePlus | 000080 |
eMedicine | med/1170 ped/3006 |
MeSH | D007251 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 | |
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インフルエンザ(ラテン語: influenza)とはインフルエンザウイルスによる急性感染症の一種で流行性感冒(りゅうこうせいかんぼう)、略称・流感(りゅうかん)ともいう。発病すると、高熱、筋肉痛などを伴う風邪の様な症状があらわれる(詳細は症状の節を参照)。急性脳症や二次感染により死亡することもある。
目次
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インフルエンザとヒトとの関わりは古く、古代エジプトにはすでにインフルエンザと見られる病気の記録が残っている。最も重大な転機は1918年から1919年にかけて発生したスペインかぜ(スペインインフルエンザ)の世界的な大流行(パンデミック)である。これは規模、死亡率の点で強力で、感染者数6億人、死亡者数4000万–5000万人(さらに多いという説もある)にのぼり、第一次世界大戦終結の遠因ともいわれる。スペインかぜ以降も、インフルエンザは毎年継続して感染流行を起こしている。さらに数年から数十年ごとに新型のヒトインフルエンザの出現とその新型ウイルスのパンデミックが起こっており、毒性の強い場合は多数の死者が出る。
2009年には、豚由来の新型インフルエンザのパンデミックが発生し、大きな問題となった。この2009年型と毎年流行する季節性が共に死亡率がとても低いことなどから「インフルエンザは風邪の一種、恐れる病気にあらず」と捉える人が多くなったが、これは誤解である。インフルエンザの症状はいわゆる風邪と呼ばれる症状の中でも別格と言えるほど重く、区別して扱う事も多い。また風邪だから軽度の病気だというのは近年の認識であり、歴史的には「スペインかぜ」「アジアかぜ」などの、風邪(かぜ)と呼ばれたインフルエンザのパンデミックは、大勢の人間を死に至らしめた。現在においても、パンデミック化した新型のインフルエンザは、人類にとって危険なウイルスであるとされる。
日本などの温帯では、季節性インフルエンザは冬季に毎年のように流行する。通常、11月下旬から12月上旬頃に最初の発生、12月下旬に小ピーク。学校が冬休みの間は小康状態で、翌年の1-3月頃にその数が増加しピークを迎えて4-5月には流行は収まるパターンである。
「インフルエンザ」の語は16世紀のイタリアで名付けられた。当時は感染症が伝染性の病原体によって起きるという概念が確立しておらず、何らかの原因で汚れた空気(瘴気、ミアズマ)によって発生するという考え方が主流であった。冬季になると毎年のように流行が発生し春を迎える頃になると終息することから当時の占星術師らは天体の運行や寒気などの影響によって発生するものと考え、この流行性感冒の病名を、「影響」を意味するイタリア語influenzaと名付けた。この語が18世紀にイギリスで流行した際に日常的語彙に持ち込まれ、世界的に使用されるようになった。なお、日本語となっている「インフルエンザ」はイタリア語での読みと違い、イタリア語での読みは「インフルエンツァ」である。
日本では平安時代に近畿地方でインフルエンザらしき病気が流行したと記述が残っており、江戸時代には幾度か全国的に流行し、「お七かぜ」「谷風」[1]「琉球風」「お駒風」など当時の世相を反映した名称で呼ばれた。古くから風邪、風疫とされるとおり、悪い風が吹いて人々を病気にするという認識があった。幕末にはインフルエンザの名称が蘭学者より持ち込まれ、流行性感冒(流感とも略す[2])と訳された[3]。 2008年頃からインフルという略称が主にテレビ・新聞などのメディアによって使用され始めた。
「インフルエンザウイルス#歴史」を参照
インフルエンザの病原体はRNAウイルスのインフルエンザウイルスである。ウイルスが分離されたのは1933年。ヒトインフルエンザウイルスの多くはマウスやウサギに対して病原性を持たなかったが、フェレットを用いた感染実験によって初めてコッホの原則に基づいた病原性の証明がなされた(ウイルスが知られていなかった頃は病原体として細菌しか知られていなかったため、患者から分離されたインフルエンザ菌が原因だと思われていた)。
「インフルエンザウイルス」も参照
インフルエンザウイルスにはA・B・Cの3型があり、このうちA型とB型がヒトのインフルエンザの原因になる。C型は小児期に感染して呼吸器感染症の原因になりC型インフルエンザと呼ばれるが、毎年世界的な大流行を起こす一般的な生活の中で呼ばれるものとは症状や原因ウイルスの性状の点でも差異が大きい。
A型とB型のウイルス粒子表面にあるヘマグルチニン(赤血球凝集素、HA:haemagglutinin)とノイラミニダーゼ(NA:neuraminidase)という糖蛋白は変異が大きく、インフルエンザの種類が多い要因となっている。
A型インフルエンザウイルスにはHAとNAの変異が特に多く、これまでHAに16種類、NAに9種類の大きな変異が見つかっており、その組み合わせの数の亜型が存在しうる。亜型の違いはH1N1 - H16N9といった略称で表現されている。ヒトのインフルエンザの原因になることが明らかになっているのは2009年現在で、「Aソ連型」として知られているH1N1、「A香港型」として知られているH3N2、H1N2、H2N2、の4種類である。この他にH9N1、高病原性トリインフルエンザとして有名になったH5N1などのいくつかの種類がヒトに感染した例が報告されているが、ヒトからヒトへの伝染性が低かったため大流行には至っていない。しかし、いずれ新型インフルエンザが定期的に大流行を起こすことは予言されつづけている。ヒトに感染しない亜型のウイルスは鳥類や他の哺乳動物を宿主にしていると考えられている。特に水鳥ではHAとNAの組み合わせがすべて見つかっており、自然宿主として重要な地位を占めていると考えられている。同じH1N1であってもさらに細かな変異によって抗原性や宿主が異なり、年によって流行するウイルスの型は異なる。
B型は遺伝子がかなり安定しており、免疫が長期間続く。C型は遺伝子がほとんど変化しないので免疫が一生続く。A型は時々遺伝子が大きく変わるので、時折パンデミックを起こす。
2008年現在、専門家にとっては新型インフルエンザの大発生が予想され、国が貯蔵している新型インフルエンザのワクチンが足りないと批判が出ており、厚生労働省も対策に乗り出している[要出典]。さらに2009年6月11日、WHO(世界保健機関)は新型インフルエンザの世界的な感染拡大を受け、警戒レベルを最も高い「フェーズ6」に引き上げた。これによりパンデミック(世界的大流行)が宣言された。
予防法としては、外出時はマスクやゴーグルなどを装着し、帰ってきたらそれらは外で処分してから家の中に入るようにする、屋外から屋内に入る時には手洗いを必ず行う、といったことが推奨されているが、RNAウイルスそのものには手洗いは特に意義はない。[4]。
感染してウイルスが体内に入ってから、2日 - 3日後に発症することが多いが、潜伏期は10日間に及ぶことがある[7]。子供は大人よりずっと感染を起こしやすい。ウイルスを排出するのは、症状が出る少し前から、感染後2週間後までの期間である[7][8]。インフルエンザの伝播は、数学的なモデルを用いて近似することが可能で、ウイルスが人口集団の中に広がる様子を予測する上で役に立つ[9]。
インフルエンザは、主に次の3つのルートで伝播する。患者の粘液が、他人の目や鼻や口から直接に入る経路、患者の咳、くしゃみ、つば吐き出しなどにより発生した飛沫を吸い込む経路、ウイルスが付着した物や、握手のような直接的な接触により、手を通じ口からウイルスが侵入する経路である[10][11]。この3つのルートのうち、どれが主要であるかについては明らかではないが、いずれのルートもウイルスの拡散を引き起こすと考えられる[12][13]。空気感染において、人が吸い込む飛沫の直径は0.5から5マイクロメートルであるが、たった1個の飛沫でも感染を引き起こし得る[10]。1回のくしゃみにより40000個の飛沫が発生するが[14]、多くの飛沫は大きいので、空気中から速やかに取り除かれる[10]。飛沫中のウイルスが感染力を保つ期間は、湿度と紫外線強度により変化する。冬では、湿度が低く日光が弱いので、この期間は長くなる[10]。
インフルエンザウイルスは、いわゆる細胞内寄生体なので細胞外では短時間しか存在できない。紙幣[15]、ドアの取っ手、電灯のスイッチ、家庭のその他の物品上で短時間存在できる[16]。物の表面においてウイルスが生存可能な期間は、条件によってかなり異なる。プラスチックや金属のように、多孔質でない硬い物の表面でかつ、RNaseが完全に除去された環境つまり人が絶対に触らない無菌室内にある多孔質でない硬い物の表面では、実験的にはウイルスは1 - 2日間生存させたのが最長記録である。RNaseが完全に除去された環境つまり人が絶対に触らない乾燥した紙では、約15分間生存する。
しかし、手などの皮膚の表面には多量のRNaseが存在するため、RNAウイルスは速やかに断片化されるため皮膚での生存時間は5分間未満である。この点は細菌やスピロヘータとしばしば混同されている[17]。
鳥インフルエンザのウイルスは、最適な細胞ごと凍結することにより、長く冷凍保存できるという論文もある[18]。インフルエンザウイルスは、RNaseがなくても56℃、60分以上の加熱により不活化する。RNaseの存在下では常温5分未満で断片化する。またpH2未満の酸によっても数分で不活化する[18]。
一般的な予防方法としては、日常生活上の注意とワクチンを使用した予防接種がある[19][20]。
ワクチン(インフルエンザワクチン(英語版))は身体の免疫機構を利用しウイルスを分解・精製したHA蛋白などの成分を体内に入れることで抗体を作らせ、本物のウイルスが入ってきても感染させないようにする。ワクチンの接種により仮にインフルエンザにかかったとしても軽症で済むとされるが、個人差や流行株とワクチン株との抗原性の違いにより、必ずしも十分な効果が得られない場合もある。投与手段は皮下注射や筋肉注射であるが、米国では鼻噴霧式のものも認可されている[29][30]。
効果は免疫力に比例するため青年者にはもっとも効果が高いが、若齢者・高齢者は免疫力が低いので効果も低くなる。過労、ストレス、睡眠不足や不摂生な生活をすれば身体の免疫力そのものが低下するのでワクチンを接種したから大丈夫と過信してはいけない。効果は3カ月程度。
ワクチンの製造には6か月程度かかるため、次の冬に流行するウイルス株を正確に予測することは難しい。ウイルス株が変異していればその効果はいくぶん低下するが、アフィニティーマチュレーション(抗原結合能成熟)によりある程度の免疫効果が期待できる。これは弱毒性ワクチンよりも不活化ワクチンの方が効果がある[31]。抗原型の一致・不一致にかかわらずもともと免疫のない若齢者では弱毒性ワクチンの方が有効とされている[32]。感染歴のある成人では、交差免疫により生ワクチンウイルスが増殖する前に排除され免疫がつかないこともある。このような場合は、不活化ワクチンの方が高い効果が得られる。
ワクチンの接種料金は3000–6000円程度が多い。料金は医療機関によって異なり、健康保険の法定給付の対象外である。健康保険組合や国民健康保険組合などでは保険者独自の給付として、被保険者や世帯主に対し接種費用の助成を行う場合もある。65歳以上の高齢者、60–64歳で心臓、腎臓若しくは呼吸器の機能に障害があり、身の周りの生活を極度に制限される人、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害があり日常生活がほとんど不可能な人については予防接種法上の定期接種に指定され、多くの自治体に於いて公費助成が行われている。
日本では年末になるとインフルエンザワクチンの品不足が毎年のように起きていた。一部の医療機関による買い占めが原因で返品制度に問題があると言われてきたが、販売元がワクチンをワクチンメーカーから買取り制にしたり一部流通分を不足した場合に融通するため確保しておくなどの努力の結果、かつてのようなワクチンの品不足は解消されてきている。
現行の皮下接種ワクチンは感染予防より重症化の防止に重点が置かれた予防法であり、健康な成人でも感染防御レベルの免疫を獲得できる割合は70%弱(同時期に2度接種した場合は90%程度まで上昇)である。感染防御レベルの免疫を得られなかった者の中で発症しても重症化しないレベルの免疫を獲得している割合は80%程度とされる。100万接種あたり1件程度は重篤な副作用の危険性があることなども認識しなければならない。免疫が未発達な乳幼児では発症を予防できる程度の免疫を獲得できる割合は20-30%とされ、接種にかかる費用対効果の問題や数百万接種に1回程度は重篤な後遺症を残す場合があることを認識した上で接種をうける必要がある。米家族医学会では「2歳以上で健康な小児」への接種を推奨している[32]。乳幼児の予防のためには、本人がワクチンの接種を受けるよりも、家族がまず接種を受け、家族内でうつさない、流行させない体制を作る方が有効であろう。
インフルエンザワクチンの接種不適当者(添付文書には「予防接種を受けることが適当でないもの」とされるが、通常の薬剤における「禁忌」に相当する)は1.明らかな発熱を呈する者、2.重篤な急性疾患にかかっている者、3.本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあるのが明らかな者、4.上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者である(以上、インフルエンザHAワクチン「生研」の添付文書より引用)。
循環器、肝臓、腎疾患などの基礎疾患を有するものや痙攣を起こしたことのある者、気管支喘息患者、免疫不全患者などは接種に注意が必要な「要注意者」とされる。かつてはこれらのような患者には予防接種を「してはならない」という考え方が多かったが、現在ではこれらの患者こそインフルエンザ罹患時に重症化するリスクの大きい患者であり、予防接種のメリットがリスクよりも大きいと考える医師が多くなっている[33]。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであるため、免疫不全患者に接種してもワクチンに対して感染を起こす心配はない。しかし、効果が落ちる可能性はある。
インフルエンザワクチンは鶏卵アレルギーの患者にも接種の際に注意が必要であるとされ、一部の施設では接種自体行っていない。施設によっては皮内テストなどを行った上で接種する、2回に分割して接種する、エピネフリンおよび副腎皮質ステロイド製剤を準備した上で慎重な観察の下に接種するなどの工夫をして接種を行っている。
かつては日本でも学校で集団接種が行われていたが、鶏卵アレルギーの問題のため現在は任意となっている。インフルエンザ自体に対する集団接種の効果はある程度はある[34]ものの、費用対効果あるいはリスク対効果の点では不明である。
点鼻ワクチンであり、針を介さないため針を好まない人に有用である。また、生ワクチンであるが故、抗体の定着も良好。適応は5歳以上、50歳未満。禁忌は不活化ワクチンとは対照的に慢性的な循環器・腎臓・呼吸器疾患や代謝疾患、血液疾患、易感染性の者、妊娠している女性、ギラン・バレー症候群を既往に持つ者。副作用で頻繁に起こりうるのは鼻炎や感冒症状。日本では未承認である。よって輸入ワクチン取扱い医療機関にて申込み、全額自己負担での接種となる。
1976年に米国でH1N1が発生し、4300万人に予防接種を行った。約400人がギラン・バレー症候群 (GBS) となり、25人が死亡した。インフルエンザによる死亡は0のため大問題になった。 1957年にも同様な現象が見られた[35]。CDCによると通常でも毎週80-160例の新規患者が発生している。因果関係は明らかだが、予防接種を中止するほどの問題とはされていない(新型では11月末現在10例)。米国ではVAERS (Vaccine Adverse Events Reporting System) によるワクチン副反応監視が行われている。
治療用の薬であるオセルタミビル(商品名「タミフルカプセル75」)・ザナミビル(商品名「リレンザ」)は、予防用としても使用認可されている。予防薬としての処方は日本では健康保険の適用外であり、原則的な利用条件が定められている。
インフルエンザ感染症を発症している患者の同居家族や共同生活者(施設などの同居者)が下記のような場合には、タミフルのカプセル製剤を1日1回、予防使用することが認められている(7–10日間、継続して服用する)。健康成人と13歳未満の小児は予防使用の対象にならない。
「リレンザ」の予防投与では、その対象が「原則としてインフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族または共同生活者である次の者[36]:
オセルタミビルの健常者への予防投与による幾つかの有害事象が、神戸市立医療センター中央市民病院呼吸器内科により報告されている[37](1回75mgを1日1回、7 - 10日間内服、274人の職員を対象に投与を行いアンケート調査を実施し243人から回答)。
報告によれば、「最も多かった症状は「疲労」で、ほかには腹痛、下痢、食欲不振、頭痛、不眠症、発熱などであった。しかし、症状の消失は服用中止後と服用中の報告があり、服用との因果関係は明かではない」としている。
2001年頃より迅速に診断が可能な検査キットが臨床の現場で使われ始め、現在は普及している。臨床検査技師など専門家がいなくても簡便にできる。鼻の奥の咽頭に近い部分を採取すると検出率が高いとされ、検体は基本的にその部分から採取される。時間的には15–20分で結果が分かる。A型とB型の鑑別も可能である[38]。オセルタミビルは発症後48時間以内が非常に有効とされるため、迅速診断は非常に重要な検査方法となっている。
ただし、発症した直後ではウイルス量が少ないため陽性と判定されないことがある。発症後2日目が最も陽性率が高いとされ、発症後4-5日たつと陽性率は減少する。抗ウイルス薬による治療は発症後48時間以内でないと効果が期待できないため、検査で陰性と判定されても症状などから医師の判断で抗ウイルス薬を処方する場合もある(高齢者などのハイリスク患者や受験生など)。
インフルエンザウイルス自体に対する治療としては抗インフルエンザ薬しか無いが、その効果は根本的なものではなく発症後早期(約48時間以内)に使用しなければ効果が無い。
日本において、抗インフルエンザ薬として認められているものを下記に挙げる。
開発中のインフルエンザ治療薬には次のようなものがある。
以下のとおり一部の漢方薬には、日本においてインフルエンザ(あるいは流感)の適用を承認されているものがある。同名処方であっても薬事法に基づく製造販売承認上の効能・効果の承認内容が異なる場合がある(2008年10月現在)[42]。
国立感染症研究所が全国の内科・小児科のある病院・診療所で定点調査を行い、公表している。感染症サーベイランス事業の一環として行われる。保健所ごとに基準値を設け患者数が一定数を超えると、大流行が発生または継続しているとみなし「警報レベルに達している」と発表される。流行の発生前で今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性がある場合や流行発生後であるがまだ流行が終わっていない可能性がある場合は「注意報レベルに達している」と発表される。都道府県で個別に発表される警報とは異なるので注意が必要である。
主に動物に感染するインフルエンザ感染症であるが、インフルエンザウイルスの変異によって動物→ヒト、ヒト→ヒトへ感染することも懸念されている。「ヒト→ヒト」への伝染が確認されると新型インフルエンザと呼ばれる。
詳細は「トリインフルエンザ」を参照
原因となるインフルエンザウイルスは人畜共通感染症 (zoonosis) であり、豚と鳥類に感染することが知られている。ヒトインフルエンザは、元は鳥インフルエンザウイルスが遺伝子変異して人間に感染するようになったと考えられている。
これらの動物と人間が密接な生活をしている中国南部の山村などでウイルス遺伝子の混合が起こり次々と変種が登場するものと推測されている。
鳥インフルエンザウイルスには20種ほどのタイプがあり、中でもH1、H2、H3、H5、H7、H9型が知られる。H1・H3型は人間に感染し、Aソ連型・A香港型として知られる。H5、H7、H9型は毒性が強いことで知られる。鳥から人への感染力は弱いと見られ、人への感染例は少ない。しかし感染者の死亡率は60–70%とSARSの10%を上回る。
2003年末から2004年初めにかけ韓国・香港・ベトナムと東アジアで大きな被害を出した鳥インフルエンザはH5N1型である。日本でも2004年1月に山口県で感染ニワトリが見つかったのを皮切りに、各地で鳥類への感染が報告されている。
日本で1925年に同様の被害を出したものはH7型といわれている。
詳細は「馬インフルエンザ」を参照
ウマに感染する呼吸器疾患。発見されると競馬の開催が不可能になることが多い。
詳細は「猫インフルエンザ」を参照
詳細は「豚インフルエンザ」を参照
2009年4月、人が豚インフルエンザウイルスA型(H1N1型)に感染する例が確認された[46]。
2002年から国際的に問題となった重症急性呼吸器症候群 (SARS) と流行時期・初期症状が類似しているため、2003年冬以降はSARSとの鑑別診断が大きな問題となる。初期に確実な診断をするためにも、接種を受けることでインフルエンザを除外しやすくすることが強く求められている。
SARSの原因はSARSコロナウイルスという全く別のウイルスである。
インフルエンザウイルスによる感染を細菌の感染と混同し、「インフルエンザ菌」という誤った呼称で用いられることがある。
一方で、北里柴三郎らが1892年に重症のインフルエンザ患者から分離したヘモフィルス・インフルエンザエ (Haemophilus influenzae) という細菌を「インフルエンザ菌」と呼ぶ(グラム陰性桿菌であり「インフルエンザ桿菌」とも呼ばれている)。院内感染でない市中肺炎の原因菌は、肺炎球菌に次いでインフルエンザ菌であることが多い。
当時はウイルスというものの存在は広く認知されておらず、ヘモフィルス・インフルエンザエという細菌がインフルエンザ感染症を引き起こしている病原体の候補であると考えられたが、コッホの原則に基づく証明ができなかった。1933年にインフルエンザウイルスこそが真の病原体であると証明されたことで、この細菌が病原体であるという仮説が否定された。ヘモフィルス・インフルエンザエはインフルエンザウイルスに感染し免疫力が低下した人に二次感染して症状を悪化させていたことが原因であったと考えられる。
インフルエンザ桿菌B型 (Hib) の乳幼児感染症は致死率や後遺症発生率が高いが、予防接種(Hibワクチン)で感染を防ぐことが出来る。世界100か国以上でHibワクチンは定期接種プログラムに組み入れられ、公費負担による接種が行われている。日本では、2007年1月に厚生労働省の承認を取得し、2008年12月から発売されている。
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特に今言われている新型インフルエンザ(俗称「豚インフルエンザ」)もH1N1だが、Aソ連型ではない。ソ連型H1N1はほとんどタミフル耐性だが、新型インフルエンザH1N1ではタミフル耐性株はまだ少ない。日本で流行中のインフルエンザの98%が新型インフルエンザなので、依然としてタミフルは有効であると考えられている(2009年8月現在)。
ウィキメディア・コモンズには、インフルエンザに関連するカテゴリがあります。 |
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インフルエンザHAワクチン「北里第一三共」1mL
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国試過去問 | 「099G059」「109A053」「102I068」「106E039」「095C019」「100G021」「110B025」「096H017」「105I012」「106B020」「114C027」「108E035」「106E004」「109G002」「109B007」「099D030」「099E067」「096H069」「112C009」「097H073」 |
リンク元 | 「学校保健安全法施行規則」「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則」「予防接種法」「インフルエンザウイルス」「ワクチン」 |
C
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E
※国試ナビ4※ [109A052]←[国試_109]→[109A054]
B
※国試ナビ4※ [102I067]←[国試_102]→[102I069]
C
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D
※国試ナビ4※ [095C018]←[国試_095]→[095C020]
A
※国試ナビ4※ [100G020]←[国試_100]→[100G022]
D
※国試ナビ4※ [110B024]←[国試_110]→[110B026]
B
※国試ナビ4※ [096H016]←[国試_096]→[096H018]
D
※国試ナビ4※ [105I011]←[国試_105]→[105I013]
B
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DE
※国試ナビ4※ [114C026]←[国試_114]→[114C028]
AD
※国試ナビ4※ [108E034]←[国試_108]→[108E036]
E
※国試ナビ4※ [106E003]←[国試_106]→[106E005]
B
※国試ナビ4※ [109G001]←[国試_109]→[109G003]
A
※国試ナビ4※ [109B006]←[国試_109]→[109B008]
C
※国試ナビ4※ [099D029]←[国試_099]→[099D031]
E
※国試ナビ4※ [099E066]←[国試_099]→[099E068]
A
※国試ナビ4※ [096H068]←[国試_096]→[096H070]
E
※国試ナビ4※ [112C008]←[国試_112]→[112C010]
E
※国試ナビ4※ [097H072]←[国試_097]→[097H074]
第一章 環境衛生検査等
(環境衛生検査)
第二章 健康診断
第一節 就学時の健康診断
(方法及び技術的基準)
第二節 児童生徒等の健康診断
(時期)
(検査の項目)
(感染症の種類)
(出席停止の期間の基準)
第四章 学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の職務執行の準則
(学校医の職務執行の準則)
(学校歯科医の職務執行の準則)
(学校薬剤師の職務執行の準則)
(五類感染症)
第三章 感染症に関する情報の収集及び公表
(医師の届出)
(指定届出機関の指定の基準)
一 | RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、水痘、手足口病、伝染性紅斑、突発性発しん、百日咳、ヘルパンギーナ及び流行性耳下腺炎 | 診療科名中に小児科を含む病院又は診療所 |
二 | インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。) | 診療科名中に内科又は小児科を含む病院又は診療所 |
三 | 急性出血性結膜炎及び流行性角結膜炎 | 診療科名中に眼科を含む病院又は診療所 |
四 | 性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ及び淋菌感染症 | 診療科名中に産婦人科若しくは産科若しくは婦人科、医療法施行令(昭和二十三年政令第三百二十六号)第三条の二第一項第一号ハ及びニ(2)の規定により性感染症と組み合わせた名称を診療科名とする診療科又は泌尿器科若しくは皮膚科を含む病院又は診療所 |
五 | クラミジア肺炎、(オウム病を除く。)、細菌性髄膜炎、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、マイコプラズマ肺炎、無菌性髄膜炎、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、薬剤耐性アシネトバクター感染症及び薬剤耐性緑膿菌感染症 | 患者を三百人以上収容する施設を有する病院であって、その診療科名中に内科及び外科を含むもの |
(感染症の発生の状況及び動向の把握)
第一章 総則
第二章 予防接種基本計画等
(予防接種基本計画)
(予防接種を行ってはならない者)
A型インフルエンザ | B型インフルエンザ | |
自然宿主 | 水鳥(カモなど) | ヒト |
感染 | トリ、ブタとの人獣共通感染 | ヒト |
変異 | 変異しやすい | 変異しにくい 自然宿主がヒトだけなので 不連続変異がない |
流行 | 世界的大流行を起こす | 地域的な流行が多い |
病原体 | 感染症 | ワクチン | 学校伝染病 | ワクチンの形状 | 潜伏期間 | 季節性 | 年齢 | 出席停止解除条件 | |
ジフテリア菌 | Corynebacterium diphtheriae | ジフテリア | ジフテリア,破傷風,百目咳混合ワクチン | トキソイド | |||||
百日咳菌 | Bordetella pertussis | 百日咳 | ○ | 不活化 | 6~14 | 咳の消失 | |||
結核菌 | Mycobacterium tuberculosis | 結核 | BCG | ○ | 不活化 | 伝染のおそれが無くなるまで | |||
ポリオウイルス | poliovirus | ポリオ | ポリオワクチン(経口) | 生 | |||||
麻疹ウイルス | measles virus | 麻疹 | 麻疹・風疹混合ワクチン | ○ | 生 | 10~12 | 0~2 | 解熱後3日 | |
風疹ウイルス | rubella virus | 風疹 | ○ | 生 | 18 | 春~初夏 | 4~9 | 発疹消失 | |
日本脳炎ウイルス | Japanese encephalitis virus | 日本脳炎 | 日本脳炎ワクチン | 不活化 | |||||
インフルエンザウイルス | influenza virus | インフルエンザ | インフルエンザワクチン | ○ | 不活化 | 1~5 | 冬期 | 解熱後2日 | |
インフルエンザ菌 | Haemophilus influenzae | 化膿性髄膜炎など | Hibワクチン | ||||||
肺炎球菌 | Streptococcus pneumoniae | ||||||||
水痘・帯状疱疹ウイルス | varicella zoster virus | 水痘 | ○ | 生 | 11~21 | 冬(12, 1) | 5~9 | 発疹の痂皮化 | |
ムンプスウイルス | mumps virus | 流行性耳下腺炎 | ○ | 生 | 18~21 | 耳下腺腫脹消失 | |||
B型肝炎ウイルス | hepatitis B virus | B型肝炎 | 成分 | 60~160 | |||||
A型肝炎ウイルス | hepatitis A virus | A型肝炎 | 不活化 | 15~40 | |||||
狂犬病ウイルス | rabies virus | 狂犬病 | 不活化 | ||||||
アデノウイルス | adenovirus | 咽頭結膜熱 | ○ | ||||||
黄熱病ウイルス | yellow fever virus | 黄熱病 | 生 |
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