ドキシサイクリン
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ドキシサイクリン
|
IUPAC命名法による物質名 |
(2-(amino-hydroxy-methylidene)-4-dimethylamino
-5,10,11,12a-tetrahydroxy-6-methyl-
4a,5,5a,6-tetrahydro-4H-tetracene-1,3,12-trione
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
- UK: 処方箋のみ (POM)
- US: ℞-only
- 処方箋医薬品
|
投与方法 |
経口 |
薬物動態データ |
生物学的利用能 |
100% |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
18-22 時間 |
排泄 |
腎臓、便 |
識別 |
CAS番号 |
564-25-0 |
ATCコード |
J01AA02 A01AB22 |
PubChem |
CID: 11256 |
DrugBank |
APRD00597 |
ChemSpider |
10482106 |
KEGG |
D07876 |
化学的データ |
化学式 |
C22H24N2O8 |
分子量 |
444.435 g/mol |
ドキシサイクリン塩酸塩(doxycycline hydrochloride, DOXY)は、テトラサイクリン系に属する抗生物質である。製品名はビブラマイシン(ファイザー製造販売)。 グラム陽性菌・グラム陰性菌やリケッチア・マイコプラズマ・クラミドフィラに対して優れた抗菌力を示す。
目次
- 1 薬理
- 2 適応菌種
- 3 適応症
- 4 代謝
- 5 副作用・禁忌
- 6 その他
- 7 関連事項
- 8 外部リンク
薬理
細菌などの病原微生物の細胞質内において、リボソームの30Sに結合し、病原微生物の蛋白合成を阻害する。ヒトなど真核生物のリボソームは40Sと60Sであるため、作用しない。ドキシサイクリンは、静菌性の抗生物質に分類される。マラリア原虫に対してもある程度の効果があり、予防内服、あるいは他の抗マラリア剤と併用して治療に用いられることもある。
適応菌種
ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、淋菌、炭疽菌、大腸菌、赤痢菌
肺炎桿菌、ペスト菌、コレラ菌、ブルセラ属、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)
クラミジア属
適応症
-
- 表在性皮膚感染症(丹毒など)、深在性皮膚感染症(蜂窩織炎など)、リンパ管炎・リンパ節炎
慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、骨髄炎
-
- (咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染)
-
-
-
- 眼瞼膿瘍、涙嚢炎、麦粒腫、角膜炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯冠周囲炎、唾液腺炎、
-
代謝
腎不全があっても投与量を変更する必要のない唯一のテトラサイクリン系薬剤である。
経口投与による吸収は非常に速やかで、最高血中濃度到達時間は約3時間前後、血中濃度半減時間は12時間前後と長く、1日1回投与が可能である。食事により吸収は若干遅れるが、阻害されることはない。つまり、食事による最高血中濃度の低下はないということである。
副作用・禁忌
禁忌:小児には歯牙黄染、骨・エナメル質形成不全を来たす為、原則禁忌。 肝障害のある人に対しては慎重投与が必要である。また、経口摂取時に食道に付着停滞することがあり、その場合まれに食道潰瘍を来すことがあるため、十分な量の水とともに服用することを心がけること。高齢者では、特に食道停留がおこりやすいので就寝前の服用は避ける方が望ましい。
ペニシリン・セフェム系薬剤などのような殺菌的抗生物質とは異なり、ドキシサイクリンは他のテトラサイクリン系薬剤と同様に静菌的抗生物質である。患者の抵抗力・免疫力が十分でない場合には、殺菌的抗生物質との併用や切り替えが望ましい。
その他
最近、ドキシサイクリンには抗生物質としての抗菌作用以外の作用も発見されている。一つは、変形性関節症(Osteoarthritis, OA)に対して軟骨厚の減少抑制効果が認められている。また、ドキシサイクリンは経口血糖降下薬であるスルフォニウム尿素薬(SU薬)の効果を増強するため、SU剤との併用は注意が必要であることが能書に明記されているが、これはドキシサイクリンがSU剤の効果を増強するとされるためである。これについて最近では、ドキシサイクリンがインスリンの半減期を延長させたりアドレナリンの作用を阻害することにより間接的にインスリンの効果を増強させるためと考えられており、SU薬への直接的な相互作用ではなく間接的な増強作用とされている。また、膵外作用として末梢組織でのインスリン感受性を増強し糖代謝を改善させることも推測されている。
関連事項
外部リンク
- doxycycline.com (英語) 公開終了(現状、ドメインキーパーのサイト)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 感染症 ドキシサイクリン(ビブラマイシン)は小児に投与可能?
- 13. 気管支塞栓術とビブラマイシンの胸腔内注入法の併用が有効であった気管支胸膜瘻の 1 例(第 63 回 日本気管支学会関東支部会)
- 笠原 靖紀,藤田 明,木下 智雄,今橋 正令,樫山 鉄矢,戸島 洋一,渡辺 明,鈴木 光,山本 弘
- 気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 15(3), 305, 1993-05-25
- NAID 110002817924
- テトラサイクリン系の薬剤(ビブラマイシン静注)の投与後著明な電解質異常を示した腎尿細管壊死と思われる症例
Related Links
- ビブラマイシンとは。効果、副作用、使用上の注意。細菌が生育するのに必要な蛋白質(たんぱくしつ)ができるのを阻害し、病原微生物の増殖を抑えるようにはたらく抗生物質です。 通常の量を使用する場合は静菌作用(菌の増殖を ...
- ビブラマイシンとは?ドキシサイクリンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。 すべての副作用を掲載しているわけではありません。
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ビブラマイシン錠50mg
組成
1錠中
有効成分
- 日局 ドキシサイクリン塩酸塩水和物 50mg(力価)
添加物
- 乳糖水和物、カルメロースカルシウム、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール、酸化チタン、流動パラフィン、タルク、カルナウバロウ、サラシミツロウ
禁忌
- 本剤の成分又はテトラサイクリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
適応菌種
- ドキシサイクリンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、淋菌、炭疽菌、大腸菌、赤痢菌、肺炎桿菌、ペスト菌、コレラ菌、ブルセラ属、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)、クラミジア属
適応症
- 表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、骨髄炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、尿道炎、淋菌感染症、感染性腸炎、コレラ、子宮内感染、子宮付属器炎、眼瞼膿瘍、涙嚢炎、麦粒腫、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、中耳炎、副鼻腔炎、歯冠周囲炎、化膿性唾液腺炎、猩紅熱、炭疽、ブルセラ症、ペスト、Q熱、オウム病
- 胎児に一過性の骨発育不全、歯牙の着色・エナメル質形成不全を起こすことがある。また、動物実験(ラット)で胎児毒性が認められているので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
- 小児等(特に歯牙形成期にある8歳未満の小児等)に投与した場合、歯牙の着色・エナメル質形成不全、また、一過性の骨発育不全を起こすことがあるので、他の薬剤が使用できないか、無効の場合にのみ適用を考慮すること。
- 通常成人は初日ドキシサイクリン塩酸塩水和物として1日量200mg(力価)を1回又は2回に分けて経口投与し、2日目よりドキシサイクリン塩酸塩水和物として1日量100mg(力価)を1回に経口投与する。なお、感染症の種類及び症状により適宜増減する。
- 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最少限の期間の投与にとどめること。
- 本剤を炭疽、コレラ、ペスト、ブルセラ症、Q熱に使用する際には、投与開始時期、投与量、投与期間、併用薬等について国内外の学会のガイドライン等、最新の情報を参考にし、投与すること。
- 炭疽については、体重45kg以上の小児においては、成人と同量を投与できる。体重45kg未満の小児においては体重換算に基づき適切な量を投与すること1)(「小児等への投与」の項参照)。
- 炭疽の発症及び進展抑制には、米国疾病管理センター(CDC)が、60日間の投与を推奨している2)。
慎重投与
- 肝障害のある患者[肝障害を悪化させるおそれがある。]
- 食道通過障害のある患者[食道に停留し、崩壊すると、まれに食道潰瘍を起こすことがあるので、多めの水で服用させ、特に就寝直前の服用等には注意すること。]
- 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者[ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがあるので観察を十分に行うこと。]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー様症状(呼吸困難、血管神経性浮腫等)
- ショック、アナフィラキシー様症状(呼吸困難、血管神経性浮腫等)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、剥脱性皮膚炎
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、剥脱性皮膚炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
偽膜性大腸炎
- 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがあるので、腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
肝炎、肝機能障害、黄疸
- 肝炎、肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- ドキシサイクリン塩酸塩水和物は、in vitroでグラム陽性菌、グラム陰性菌、クラミジア属及びQ熱リケッチアに対し優れた抗菌力を示し2,13〜17)、その作用は細菌の蛋白合成阻害による。
ドキシサイクリン塩酸塩水和物の抗菌スペクトルは、他のテトラサイクリン系抗生物質とほぼ同様であるが、抗菌力は黄色ブドウ球菌を含むグラム陽性菌に対して、より強力に作用する18)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ドキシサイクリン塩酸塩水和物(Doxycycline Hydrochloride Hydrate)
略号
化学名
- (4S,4aR,5S,5aR,6R,12aS)-4-Dimethylamino-3,5,10,12,12a-pentahydroxy-6-methyl-1,11-dioxo-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-octahydrotetracene-2-carboxamide monohydrochloride hemiethanolate hemihydrate
分子式
- C22H24N2O8・HCl・1/2C2H6O・1/2H2O
分子量
力価
- ドキシサイクリン塩酸塩水和物の力価は、ドキシサイクリン(C22H24N2O8)としての量を質量(力価)で示す。
性状
- ドキシサイクリン塩酸塩水和物は、黄色〜暗黄色の結晶又は結晶性の粉末である。水又はメタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくい。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- doxycycline DOXY
- 化
- 塩酸ドキシサイクリン doxycycline hydrochloride
- 商
- ビブラマイシン、ヒドラマイシン、Vibramycin, Doxy
- 関
特徴
- 投与量のほとんどが胆汁中を経て糞便中に排泄されるため、腎障害時(腎不全)でも体内動態が変わらず通常量を投与可能である。
[★]
商品
[★]
- 英
- bulla, pulmonary bulla
- 同
- 気腫性嚢胞 emphysematous bulla
- 関
- ブレブ
- ブラ bulla 気腫性嚢胞 肺胞が破壊されてできた肺実質内の気腔
- 肺胞壁の破壊、融合、拡張により生じた気腫 ただし胸膜の弾性板の内側に留まっている
[★]
- 英
- llama
- 関
- 新世界ラクダ類