- 英
- cevimeline
- 化
- 塩酸セビメリン水和物 cevimeline hydrochloride hydrate
- 商
- エボザック Evoxac、サリグレン
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2018/04/28 01:49:55」(JST)
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セビメリン
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IUPAC命名法による物質名 |
IUPAC名
2-methyspiro (1,3- oxathiolane- 5,3) quinuclidine
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
|
投与方法 |
経口 |
薬物動態データ |
血漿タンパク結合 |
17 - 20% |
代謝 |
CYP2D6及びCYP3A4
約20%が未変化体 |
半減期 |
4 時間(男性)
5 時間(女性) |
排泄 |
腎臓、尿中に排泄 |
識別 |
CAS番号
|
107233-08-9 |
ATCコード |
N07AX03 (WHO) |
PubChem |
CID: 83898 |
DrugBank |
DB00185 |
ChemSpider |
75707 |
UNII |
K9V0CDQ56E |
KEGG |
D07667 |
ChEMBL |
CHEMBL1201267 |
化学的データ |
化学式 |
C10H17NOS |
分子量 |
489.565 g/mol |
SMILES
-
O1[C@H](SC[C@@]12CN3CCC2CC3)C
|
InChI
-
InChI=1S/C10H17NOS/c1-8-12-10(7-13-8)6-11-4-2-9(10)3-5-11/h8-9H,2-7H2,1H3/t8-,10-/m1/s1
-
Key:WUTYZMFRCNBCHQ-PSASIEDQSA-N
|
セビメリン(英:cevimeline)はアセチルコリン類似化合物の一つ。唾液腺に分布するムスカリン性アセチルコリン受容体に作用して、唾液分泌を促進する。
主に口渇が症状として現れる疾患に、対症療法として用いられる。
目次
- 1 概要
- 2 作用機序
- 3 適応
- 4 禁忌
- 4.1 絶対禁忌
- 4.2 慎重投与
- 4.3 高齢者への投与
- 4.4 小児への投与
- 4.5 妊婦、産婦、授乳婦等への投与
- 5 副作用
- 6 処方例
- 7 注釈
- 8 外部リンク
概要
雪印乳業と日本化薬が共同で開発し、2001年に販売が開始された。開発初期は「AF102B」と名づけられ、アルツハイマー病の治療薬としての効果が期待され、開発が進められた。その後、唾液分泌の持続的な促進作用が見つけられ、名称も「SNI-2011」と変えて研究が進められている。
シェーグレン症候群や口腔乾燥症に対症療法を目的に用いられる。
大まかな作用機序は、唾液腺にあるアセチルコリン受容体の一種であるムスカリン受容体(M3受容体)を選択的に刺激することで、持続的に唾液分泌を促進させる。副作用として、吐き気や腹痛などの消化器系症状が主にある。飲み合わせとしては抗コリン作用を持つ薬剤との併用で効果が薄れてしまう。
作用機序
キヌクリジン環を基本構造とする、新規な誘導体であるセビメリンは、動物においては主に脳のM1受容体と唾液腺のM3受容体に作用する。このとき、ムスカリン受容体には直接作用するため、分類は副交感神経刺激薬(コリン作動薬)となる。細胞情報伝達系のイノシトールリン脂質代謝回転を濃度依存的に促進し、唾液分泌を含むムスカリン受容体の作用を増強することで薬剤としての効果を発現する。
薬物動態
セビメリンは、日本においてはカプセル剤として経口投与でのみ使用できる。経口投与されると速やかに吸収されて、1.5時間ほどで最高血中濃度(以降、Cmax)に達する。シェーグレン症候群の患者の場合、Cmax及びAUC0~∞(血中で完全に消失する時間)が健康な成人に比べて少々延長される。なお男性と女性では、半減期は女性の方が長くなる。
その後は肝臓でシトクロムP450の分子種CYP2D6及びCYP3A4によって、主にトランススルホキシド体とシススルホキシド体に代謝される。代謝されなかった未変化体も含めた代謝物は腎臓で濾されて尿中に排泄される。
適応
セビメリンには、以下の適応がある。
- シェーグレン症候群及び口腔乾燥症患者の口腔乾燥症状の改善
禁忌
セビメリンの禁忌には以下のようなものがある。
絶対禁忌
セビメリンの使用によって、下記の症状が悪化する恐れが考えられる。
- てんかん
- 虹彩炎
- 消化管及び膀胱頸部の閉塞
- 重篤な虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症など)
- パーキンソニズム、またはパーキンソン病
- 気管支喘息及び慢性閉塞性肺疾患
慎重投与
- 消化器(消化性潰瘍、膵炎、過敏性腸症候群、胆のう障害・胆石、肝障害、唾液腺腫脹・唾液腺の疼痛)
- 呼吸器(間質性肺炎)
- 泌尿器(尿路結石・腎結石、腎障害、前立腺肥大)
- その他(甲状腺機能亢進症、全身性進行性硬化症)
高齢者への投与
高齢者の場合、一般に腎臓・肝臓の機能が低下していることが多い。セビメリンに限らず、血中濃度が高いまま持続してしまう恐れがあるため、医師による管理が必要とされる。
小児への投与
小児への投与は、これまで使用経験がないため安全性が確立されていない。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
ラットを使用した動物実験において、出生児の体重減少・乳汁への移行が認められた。そのため、以下のような対応が医師または患者に求められる。
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が、危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
- 授乳中の婦人には投与中は授乳を避けさせること。
胎児に対する明確なリスクがあると考えられるが、これはあくまでもリスクであり、絶対禁忌「ではない」。なのでリスクとメリットを見比べての選択となる。
副作用
セビメリンの副作用は、ムスカリン受容体の作用亢進におけるものと、ほぼ同じものが現れる。特に消化器系での副作用が多い。
副作用として、特に頻繁に遭遇するものは以下の通りである。
重大な副作用
頻度不明や、上記の副作用群よりも頻度が少ないが、まれに日常生活に支障をきたす副作用が現れることがある。
- 精神神経系(めまい、振戦、不眠、うつ病、傾眠)
- 感覚器(霧視)
- 消化器(食欲不振、消化不良、鼓腸放屁、便秘、唾液腺痛、唾液腺腫大)
- 循環器(脈拍不整、高血圧、頻脈、心悸亢進、心電図異常)
- 呼吸器(呼吸困難、肺浸潤)
- 血液(赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット値低下、白血球減少)
- 皮膚(発疹、そう痒)
- 泌尿器(頻尿)
- 肝臓(LAP上昇、LDH上昇、総ビリルビン上昇、肝機能異常)
- 腎臓(尿蛋白陽性、BUN上昇)
- その他(頭痛、味覚異常、総コレステロール上昇、悪寒、筋肉痛など)
相互作用
セビメリンを他の薬剤と併用投与する場合、薬理学的な相互作用の可能性に注意を払わなければならない。とりわけコリン作動薬やコリンエステラーゼ阻害剤との併用は、相互の効果が増強されるため、大変危険である。
- コリン作動薬・コリンエステラーゼ阻害剤・アセチルコリン放出促進作用を有する薬は、相互に作用を増強し合い、副作用の発現率が高くなる恐れがある。
- 抗コリン作動薬や抗コリン作用を有する薬は、セビメリンと拮抗的に作用するためセビメリンの効果が減弱される。
処方例
以下の疾患による口腔乾燥症状の改善に用いられる。もし歯周病などの口腔内での症状が進行している場合は、そちらを優先することもありうる。
- 口腔乾燥症 - 30mgを1日3回、食後に経口投与。
- シェーグレン症候群 - 30mgを1日3回、食後に経口投与。
剤形
カプセル - 30mg[1][2]
注釈
- ^ エボザックカプセル30mg® - 第一三共株式会社
- ^ サリグレンカプセル30mg® - 日本化薬株式会社
外部リンク
- 痛みと鎮痛の基礎知識 - Pain Relief (滋賀医科大学)
- 医薬品医療機器情報提供ページ - 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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Japanese Journal
- 二次出版 シェーグレン症候群患者に対するセビメリンの効果予測の検討
- シェーグレン症候群における抗M3ムスカリン作働性アセチルコリン受容体抗体のエピトープと機能解析
- 坪井 洋人,松尾 直美,飯塚 麻菜,中村 友美,松本 功,住田 孝之
- 日本臨床免疫学会会誌 = Japanese journal of clinical immunology 33(4), 222-228, 2010-08-31
- … えられ,近年注目されている.我々のグループの研究で,SS患者において,抗M3R抗体はM3Rの細胞外領域に複数のエピトープを有することが明らかとなった.またヒト唾液腺(HSG)上皮細胞株を用いて,塩酸セビメリン刺激後の細胞内Ca濃度上昇に対する抗M3R抗体の影響を解析した.抗M3R抗体の細胞内Ca濃度上昇に対する影響は,抗M3R抗体のエピトープにより異なる可能性が示唆された.以上の結果より,抗M3R抗体は複数の …
- NAID 10027753794
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
エボザックカプセル30mg
組成
有効成分
- セビメリン塩酸塩水和物 31.15mg(セビメリン塩酸塩として30mg)
添加物
- 乳糖水和物
カプセル:ゼラチン、ラウリル硫酸ナトリウム
禁忌
- 重篤な虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症等)のある患者[冠状動脈硬化に伴う狭窄所見を冠状動脈攣縮により増強し、虚血性心疾患の病態を悪化させるおそれがある。]
- 気管支喘息及び慢性閉塞性肺疾患の患者[気管支収縮作用及び気管支粘液分泌亢進のため、症状を悪化させるおそれがある。]
- 消化管及び膀胱頸部に閉塞のある患者[消化管又は膀胱筋を収縮又は緊張させ、症状を悪化させるおそれがある。]
- てんかんのある患者[てんかん発作を起こすおそれがある。]
- パーキンソニズム又はパーキンソン病の患者[パーキンソニズム又はパーキンソン病の症状を悪化させるおそれがある。]
- 虹彩炎のある患者[縮瞳が症状を悪化させるおそれがある。]
効能または効果
- シェーグレン症候群患者の口腔乾燥症状の改善
- 通常、成人にはセビメリン塩酸塩として1 回30mgを1日3回、食後に経口投与する。
慎重投与
- 高度の唾液腺腫脹及び唾液腺の疼痛を有する患者[症状を悪化させるおそれがある。]
- 間質性肺炎の患者[間質性肺炎を増悪する可能性がある。]
- 膵炎の患者[膵液の分泌が亢進し、症状を悪化させるおそれがある。]
- 過敏性腸疾患の患者[腸管運動が亢進し、症状を悪化させるおそれがある。]
- 消化性潰瘍の患者[消化液の分泌が亢進し、症状を悪化させるおそれがある。]
- 胆のう障害又は胆石のある患者[胆管を収縮させ、症状を悪化させるおそれがある。]
- 尿路結石又は腎結石のある患者[尿管及び尿道を収縮させ、症状を悪化させるおそれがある。]
- 前立腺肥大に伴う排尿障害のある患者[膀胱筋を収縮又は緊張させ、排尿障害を悪化させるおそれがある。]
- 甲状腺機能亢進症の患者[心血管系に作用し、不整脈又は心房細動を起こすおそれがある。]
- 全身性進行性硬化症の患者[心血管系、消化器系に作用し、症状を悪化させるおそれがある。]
- 肝障害又は腎障害を有する患者[高い血中濃度が持続し、副作用の発現率が高まるおそれがある。]
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
重大な副作用
間質性肺炎の増悪
0.1%未満
- 間質性肺炎を増悪させることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与など適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- 本剤は、健常動物(マウス、ラット及びイヌ)、自己免疫疾患モデル(MRL/lpr、IQI)マウス及び唾液分泌障害モデル(X線照射)ラットにおいて、用量依存的な唾液分泌促進効果を示した7, 8)。本剤は、ヒト型M3受容体発現細胞において、細胞内情報伝達系のイノシトールリン脂質代謝回転を濃度依存的に促進させた。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- セビメリン塩酸塩水和物(Cevimeline Hydrochloride Hydrate)
化学名
- (±)-cis -2-Methylspiro[1,3-oxathiolane-5,3'-quinuclidine]monohydrochloride hemihydrate
分子式
分子量
性状
- 白色の結晶性の粉末である。水に極めて溶けやすく、メタノール及びエタノール(99.5)に溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けやすく、ジエチルエーテルに極めて溶けにくい。
融点
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3