メルファラン
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メルファラン
|
IUPAC命名法による物質名 |
2-amino-3-[4-[bis(2-chloroethyl)amino]phenyl]-
propanoic acid |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
? |
法的規制 |
毒薬
指定医薬品
処方せん医薬品 |
投与方法 |
経口投与、静脈注射 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
25~89% |
代謝 |
加水分解 |
半減期 |
1.5±0.8時間 |
排泄 |
尿中:30%、糞中:20~50% |
識別 |
CAS登録番号 |
148-82-3 |
ATCコード |
L01AA03 |
PubChem |
CID 4053 |
DrugBank |
APRD00118 |
KEGG |
D00369 |
化学的データ |
化学式 |
C13H18Cl2N2O2 |
分子量 |
305.2 |
メルファラン(melphalan : L-PAM)は、アルキル化剤に分類される抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)。製造販売元は、グラクソ・スミスクライン株式会社で、商品名はアルケラン® (Alkeran®)
メルファランは、メクロレタミン(日本未発売)のフェニルアラニン誘導体であり、当初は黒色腫の治療薬として開発された。しかし、黒色腫に対しては十分な効果を示すことが出来なかった一方、骨髄腫において有用性が示され、骨髄腫治療薬として承認された。
目次
- 1 効能・効果
- 1.1 アルケラン®錠
- 1.2 アルケラン®静注用50mg
- 2 重大な副作用
- 3 関連事項
- 4 外部リンク
- 5 参考資料
効能・効果[編集]
アルケラン®錠[編集]
アルケラン®静注用50mg[編集]
重大な副作用[編集]
感染症及び出血等、ショック、アナフィラキシー様症状、胃腸障害(悪心・嘔吐、下痢、口内炎・粘膜炎)、重篤な肝機能障害(AST・ALTの上昇、ビリルビン値上昇、Al-P上昇、LDHの上昇等)、黄疸、心筋症、不整脈、間質性肺炎、肺線維症、溶血性貧血
関連事項[編集]
外部リンク[編集]
参考資料[編集]
- 『アルケラン錠』添付文書・2005年7月改訂
- 『アルケラン静注用50mg』添付文書・2005年7月改訂
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Japanese Journal
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
アルケラン静注用50mg
組成
成分(1バイアル中の含量等)
添加物(1バイアル中の含量等)
専用溶解液 添加物(1バイアル中の含量等)
- プロピレングリコール:6mL
エタノール:0.52mL
クエン酸ナトリウム水和物
禁忌
- 重症感染症を合併している患者[感染症が増悪し致命的となることがある。]
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
- 下記疾患における造血幹細胞移植時の前処置
- 白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、小児固形腫瘍
- 造血幹細胞移植時の前処置として下記のとおり静脈内投与する。
ただし、移植は本剤の投与終了から24時間以上あけて行うこととする。
成人(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫)
- メルファランとして1日1回60mg/m2を3日間投与(メルファラン3日間総量180mg/m2)する。
多発性骨髄腫に対してはメルファランとして1日1回100mg/m2を2日間投与(メルファラン2日間総量200mg/m2)も可とする。
小児(白血病、小児固形腫瘍)
- メルファランとして1日1回70mg/m2を3日間投与(メルファラン3日間総量210mg/m2)する。
- なお、メルファラン総量及び1日投与量は、患者の状態、併用する薬剤、全身放射線照射併用により適宜減量する。
注射液の調製法及び投与法
- メルファラン50mg(1バイアル)に専用溶解液10mLを加え激しく振盪して完全に溶解し、希釈する場合には100mL以上の日局生理食塩液を用いること。なお、本剤は室温(約25℃)で用時調製し、溶解後又は希釈後に混濁又は結晶が認められる場合には使用しないこと。
溶解後は、安定性が低下するので速やかに使用し、室温においては少なくとも調製から1.5時間以内に投与を終了すること。投与に際し、他の注射剤との配合又は混注は行わないこと。(「適用上の注意」及び「取扱い上の注意」の項参照)
- 肥満患者では投与量が過多にならないように、標準体重に基づいた体表面積から換算した投与量を考慮すること。
- 腎障害のある患者では本剤のクリアランスが低下するおそれがあり、本剤による副作用が増強するおそれがあるので、投与量が過多にならないよう考慮すること。なお、減量の目安は確立されていない(「薬物動態」の項参照)。
- 本剤の投与前日から投与終了後24時間は、水分補給及び利尿剤の投与を行い十分な尿量を確保すること。なお、補液量は2,000mL/日以上、確保すべき尿量は100mL/h以上を目安とし、患者の年齢及び状態を勘案し調整すること。
慎重投与
- 腎機能障害のある患者(「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照)
- 肝機能障害のある患者[肝機能障害が増悪するおそれがある。]
- 心機能障害のある患者(特にアントラサイクリン系薬剤等、心毒性を有する薬剤による前治療歴のある患者)[致命的な心機能障害を発現するおそれがある。]
- 感染症を合併している患者[感染症が増悪し致命的となることがある。]
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重大な副作用
感染症及び出血等
- 本剤投与後は重度の骨髄抑制状態となり、その結果感染症(17.9%)及び出血(1.4%)等を引き起こし、致命的となることがある。本剤の投与後は患者の状態を十分に把握し、致命的な感染症の発現を抑制するため、感染症予防のための処置(抗感染症薬の投与等)を行い、必要に応じ無菌管理を行うこと。また、輸血及び血液造血因子の投与等適切な支持療法を行うこと。
ショック、アナフィラキシー様症状
- ショック、アナフィラキシー様症状(頻度不明)があらわれることがあり、そのような症状に伴ってまれに心停止(頻度不明)が起こることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
胃腸障害
- 悪心(21.9%)、嘔吐(17.0%)及び下痢(30.5%)、口内炎・粘膜炎等の粘膜障害(26.5%)が高頻度にあらわれ、直腸潰瘍(0.2%)等の症状が起こることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
重篤な肝機能障害、黄疸
- AST(GOT)・ALT(GPT)の上昇、ビリルビン値上昇、Al-P上昇、LDHの上昇等を伴う肝機能障害(23.0%)や黄疸(0.2%)、また、黄疸、急激な体重増加、有痛性の肝腫大等を伴う肝中心静脈閉塞(症)(1.9%)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
心筋症、不整脈
- 心筋症(0.2%)、不整脈(2.1%)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。投与中の場合は投与を中止すること。
間質性肺炎、肺線維症
- 間質性肺炎(1.9%)、肺線維症(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。投与中の場合は投与を中止すること。
溶血性貧血
- 溶血性貧血(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。投与中の場合は投与を中止すること。
薬効薬理
骨髄抑制作用16),17)
- メルファランには骨髄細胞のコロニー形成抑制作用及び骨髄抑制作用(in vivoマウス)が認められた。
抗腫瘍効果18)〜25)
- メルファランは用量依存性の抗腫瘍効果を示し、広い抗腫瘍スペクトルを有する。
- マウスのSarcoma180腹水腫瘍、Ehrlich腹水癌、L1210白血病、P388白血病、B16黒色腫、Lewis肺癌、Colon-26結腸癌、Colon-38結腸癌、CD8F1乳癌及びラットのWalker癌肉腫256、吉田肉腫、Jensen肉腫に対して腫瘍増殖抑制作用を示した。
- ヌードマウス可移植性ヒト腫瘍系であるMX-1乳癌、LX-1肺癌、CX-1結腸癌に対する抗腫瘍作用が認められた。
- ヌードマウス移植ヒト神経芽腫、骨肉腫、免疫抑制マウス移植横紋筋肉腫及びヌードラット移植神経膠腫に対する抗腫瘍作用が認められた。
作用機序26)
- メルファランは、細胞内に取りこまれた後にDNA鎖間又はDNA鎖内架橋形成あるいはDNA-蛋白架橋形成を通して抗腫瘍作用や骨髄抑制作用を示すものと考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- 4-Bis(2-chloroethyl)amino-L-phenylalanine
分子式
分子量
性状
- 白色〜淡黄白色の結晶性の粉末である。水、メタノール又はエタノール(95)に溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。希塩酸又は希水酸化ナトリウム試液に溶ける。光によって徐々に着色する。
旋光度[α]20D
- 約−32°(乾燥物に換算したもの0.5g、メタノール、100mL、100mm)
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- alkylating agent, alkylating agents
商品
[★]
- 英
- melphalan, L-phenylalanine monohydrochloride, L-PAM, L-phenylalanine mustard
- ラ
- melphalanum
- 商
- アルケラン Alkeran
- 関
- 抗悪性腫瘍薬