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Flash SSD (フラッシュエスエスディー、英語:Flash Solid State Drive)とは、半導体メモリであるフラッシュメモリを使用したソリッドステートドライブ(SSD)であり、補助記憶装置の一種である。単にSSDと略せば、一般的にこのデバイスを指す。
SSDの一種であるRAMディスクでは、揮発性メモリを使用するため、バックアップ電源を持たないと電源の切断によって記憶内容が消えてしまう事が多いが、Flash SSDは不揮発性メモリであるフラッシュメモリを使用するため、電源切断後も内容を長期にわたり保持できる。また既存のHDDに比べ消費電力が低く、発熱が少なく耐衝撃性に優れ、小型で、動作音も発生しない。
その特徴からモバイル用途に向いており、デスクトップパソコンに先んじてノートパソコンでの採用例が多い。一方、高スループットと低消費電力という利点のため、データセンターではHDDに替わって、サーバ機に採用されつつある。また、一部のカーナビやビデオカメラ、PNDでもFlash SSDが使われ始めている[出典 1]。
SSDはハードディスクドライブ(HDD)の代替デバイスとして使われるため、多くがHDD同様のインターフェイスを持つ。IDEやシリアルATAのほか、ZIF、LIF[1]、USB、PCI Expressに対応したものもある。
モダンなSSDのコントローラーには組み込みプロセッサとファームウェアが内蔵されている。コントローラーはSSDの性能を左右する重要な要素となっている。コントローラーが行う処理には次のようなものがある。
SSDの性能は、デバイス内でのNANDフラッシュチップの並列数により変化する。単体のフラッシュチップは低速であるため、アクセスの負荷がチップに効率的かつ均等に分散される状況においては、並列数が帯域幅に比例し、またチップの高いレイテンシも隠蔽されることになる[3]。
2009年にマイクロンやインテルは、SSD内部のアーキテクチャにストライピング(RAID 0と同様)とメモリ・インターリーブの手法を導入し、3GbpsシリアルATAの帯域幅に迫るSSDを発表した[4]。
2年後にはサンドフォース社が並列度を倍加させるとともに、コントローラーとフラッシュの間でデータの圧縮を行うことにより、6GbpsシリアルATAの帯域幅に迫る消費者向けのSSDを発表した[5]。
2009年現在、SSD内部の記憶用半導体素子には大記憶容量が比較的容易に得られるNAND型フラッシュメモリが使用されている。
Flash SSDは以下の部品によって構成される。
フラッシュメモリチップと接続端子の間で読み書きを制御する、Flash SSDの性能と寿命を左右する重要な集積回路。特にウェアレベリング(書き込み分散処理)と不良ブロック処理はFlash SSD用コントローラ特有の機能[要出典]である。読み書き速度や書き換え回数の上限は、ファームウェアを含むコントローラチップの仕様で決まるため、チップベンダーやチップの型番が明記される事が多い。圧縮書き込み機能や暗号化機能を持つものもある。
通常は複数個のメモリチップが使用され、データを記憶する。コントローラチップとフラッシュメモリチップのダイの仕様が同じであれば、他の要因でボトルネックに達するまでは、同時にアクセス出来るダイの実装数が多い大容量製品でより書き込み速度が高くなる。
キャッシュメモリには128Mバイト程度のDRAMを使用することが多く、読み書きの高速化に寄与する。部分的な書き込み時には対象となるブロック全体を一時的に保持するのに使用される。また、1つのブロックに対する複数の細かな書き込み要求ではフラッシュメモリに書き込まずにキャッシュメモリに蓄えておき、ある程度まとめてから1度に書き込むことで、書き込み可能回数の実質的な向上を行なうのにも使用される。
廉価帯の製品ではキャッシュメモリが省略されているものがある。
回路基板によって配線と部品の保持がなされ、外部とは接続端子によって電源を受けて情報信号をやり取りする。外装が全体を保護・支持するが内蔵型のものでは外装を持たないものもある。Flash SSDを含めてSSDの大きさに関する標準規格はないが、1.8インチや2.5インチといった小型HDDの形状に対応したマウント部を持つ外装が存在する[出典 1]。
2009年現在、SSD内部の記憶用半導体素子には大記憶容量が比較的容易に得られるNAND型フラッシュメモリが使用されており、この記憶素子は次の2種類に大別される。
これらは記憶素子内の蓄積電荷量、つまり、電位の検出区分に違いがある。
SLC型は1つの記録素子に1ビットのデータを保持する。
蓄積電荷量の検出を "Hi/Low" の2値で判断するため、記録素子の劣化やノイズといった多少の蓄積電荷量のバラツキは問題とならない。
SLC型はその書き込み速度と書き換え可能な上限回数が大きいことにより、サーバ向け[出典 2][出典 3]や産業用の組み込み装置など、信頼性や保守頻度の低減を優先し、コスト高がある程度許容される用途で普及している。
MLC型は1つの記録素子に2ビット以上のデータを保持する。多値 NAND という。
蓄積電荷量の検出を"Hi/Low"だけでなく、2つの間にいくつかの中間値を設定して、4値や8値、16値といった多値で判断する。記録素子の劣化やノイズによって少しでも蓄積電荷量に変動が生じると、保持していたデータは誤りとなる。その場合、フラッシュメモリ回路やコントローラ内の誤り検出訂正回路によって自動的に正しいデータに修正される(エラー訂正)。一般的にMLC型の記録素子は、エラー訂正機能との併用が必須となり、SLC型と比べ多くの冗長エリアが必要となる。またこれらのエラー状況を監視する事により、「メモリーブロック不良」が検出され、代替メモリーブロックに切り替えられる。
MLC型はSLC型と比べて書き換え可能な回数とデータ保持期間で劣るが、1セルあたりの記憶容量が倍増(4値の場合)する。同じセル数(体積)であれば大容量化が、同じ容量ならば低価格化(少セル化・小型化)が可能となり、大容量製品を安価に提供することが可能となる。長期間の使用や高信頼性を求めず、主に価格や小型化を重視する製品に用いられる。そのため、出荷数や採用数ではSLC型を上回っており、デジタルビデオカメラや個人用PCなどの民生用途では今後もMLC型が普及していくものと見込まれている。
SLCとMLCを混用した製品も存在する。
2013年5月時点では、ノートパソコンで多用される2.5インチハードディスクドライブ(HDD)のサイズおよびねじ穴位置に合わせたものがほとんどである。そのため、デスクトップパソコンの3.5インチベイに取り付けられるアダプタが付属するものも多い。厚さは7ミリと9.5ミリのものがある。 なお、ノートパソコンに取り付ける(HDDと置き換える)場合、パソコン本体によっては(薄型のモバイル機など)7ミリ厚のものしか対応できない場合があり、注意が必要である。
製品によっては、mSATA(Mini SATA)に接続できるものもあり、多くはIntel Smart Response Technology(ISRT)で使用するHDDキャッシュ用であるが、通常のHDD(1.8インチHDD)と同じ単体のSSDとして使えるものもある。
データの読み出しが中心で、書き込みをほとんど行わないものでは、フラッシュメモリの欠点である書き換え可能回数の少なさが緩和される。例えば、オペレーティングシステムやアプリケーションソフトといったプログラムファイルは一度インストールされると、アップデート機能で新たなファイルが上書きされるまで、読み出しのみとなる。同様に、編集などによる再保存を行わないデータも、読み出しが中心となる。
小さなファイルの高速読み出しやインデックスなどの作成で、たくさんのファイルにアクセスするときにアクセス速度が重要になる場合もあるが、フラッシュメモリとHDDの比較では、フラッシュメモリにはシーク時間が存在しないことの速さ(HDDのシークの遅さ)が読み出し速度の遅さを相殺する。
典型的なものでは、音楽データファイルを格納するデジタルオーディオプレーヤーのフラッシュストレージがある。データを一度保存すると、あとは読み出しが中心となり、再生には高速な読み出し速度を必要としない。またストレージ容量の大容量化が進むにつれて、繰り返し古いデータを削除して新しいデータを入れるといった操作の頻度も低下し、欠点(書き込み耐性の低さ)が現れにくくなる。
上記とは反対の性質をもつものが適さない。読み書きの対称性では、例えば繰り返し更新を行うデータベースのデータファイルや、書き込みが繰り返し行われるキャッシュファイル、用途によっては大量に作成されるテンポラリ(一時)ファイルなどがある。キャッシュファイルやテンポラリファイルについては、これらを使用しないオンメモリのシステムやソフトを用いることで対処できる。
データの読み書き速度では、大容量のファイルの保存や読み出しを短時間あるいは頻繁に行う用途、例えば、100MB単位の大容量の音声データ(WAVなど)や映像・画像などのデータ編集には向いていない。
このように、データの再生や数MB程度の小規模なファイルの出し入れが中心の使い方か、データベースやワークステーション的な使い方が中心かによって向き不向きがある。
HDDに対する強みは、主にモーターやアームといった機構部品による可動部を持たないことにある。
SSDの短所は、HDDに比べて記憶容量あたりの単価が高く、記憶素子の書き換え回数に上限があることである。HDDと同様の使用方法のままでは、比較的早期に書き換え可能回数の上限を越えてしまい、やがては内部の記憶素子の劣化が進行することで記憶情報の保持が出来なくなる。
2009年秋現在、SSDは同サイズ・同容量のHDDと比較して数倍の価格で販売されているが、これらの差は徐々に縮まりつつある。
書き換え回数の制限も、特定の記憶素子に書き換えが集中しないように分散化させるウェアレベリングや、短時間での頻繁な書き換えを避けるためのキャッシュメモリの併用、既に不良回避のために存在する冗長記憶領域とは別に、書き換え回数制限の回避を目的とした広い冗長記憶領域の確保によって改善できる。
また、一般的にSSDで用いられるフラッシュメモリチップの転送速度はHDDよりも劣っている。ただしSSD内部には複数個のフラッシュメモリチップを搭載することができ、それらを専用IC等を用いて並列動作させることで、HDDと同等、あるいはそれ以上の性能が確保されている。転送速度は急速に高まりつつあり[6]、さらに、HDDとフラッシュメモリの双方の長所を取り入れようと、これらを組み合わせたハイブリッドHDDも開発され、実用化されている。
Flash SSDはHDDに比べ以下の利点・欠点がある。
同様にHDDにも用途により向き不向きがある。大きなサイズのファイルの連続読み書きにすぐれる大型の3.5インチ HDDはデスクトップパソコンなど据え置きの大型機器にしか搭載できず、近年広く普及しているノートパソコンに使用できない。小型HDDになると連続読み書きの性能は低下し、1.8インチHDDになるとフラッシュメモリが上回るようになる。また、放熱や消費電力の大きいHDDはノートパソコンやモバイルパソコンには適さない。このように、読み書き性能や大容量を重視するか、使い勝手やモバイル性能など他の要素を重視するかは、用途によって変わってくる。
シーケンシャルリードの性能が広告用のベンチマーク結果としてよく出されるが、ランダムライトの性能にも注意を払う必要がある。HD Tune Proなどの、ベンチマークソフトのランダムアクセスのWriteの値でそれがわかる。種類によって極端な差が開いており、512バイト書き込みのIOPS(1秒あたりに処理できるリード/ライト命令数)でみて、1桁から、1万以上までと、数千倍の速度差が開いている。JMicronのJMF602を搭載した機種の性能が著しく悪い。
7200rpmのHDDは1秒間に120回転しており、ランダムアクセスは120 IOPSが限界となり、加えてヘッドの移動時間があるので、これよりも小さな数字になる。つまり、512バイトのランダムライトが100 IOPSを下回るSSDはハードディスクよりもランダムライトが遅い可能性がある。
フロッピーディスクは300 - 360rpmであり、1秒間に5、6回転している。ランダムライトのIOPSが一桁ということは、フロッピーディスク並みであることを意味している。
現在[いつ?]、一般的なOSからは「HDD」として扱われることが多い。OSがHDD用の処理をSSDに適用する結果、ハード特性の違いから寿命が短くなったり不都合を生じることがある[13]。逆に、SSD向けに望ましい機能がOSでサポートされていない場合がある[14]。
既にOpenSolarisなど一部のOSでは、SSDに対応したファイルシステムが提供されつつある[出典 4]。
Linuxカーネル2.6.28 からはウェアレベリングなどのサポートが改善され、素子の寿命をできるだけ延ばすなどの対策がとられている[出典 5]。
Windows 7からはHDDとは別種の記憶装置「SSD」として扱われ、デフラグメンテーション、SuperFetch、ReadyBoostなどの対象から除外とウェアレベリング(Trimコマンド)をサポートしている[出典 6]。
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ヘビーユーザーの間では、一般に「プチフリ」と言われているトラブル問題。2008年7月頃よりJMicron製コントローラーチップ「JMF602」を搭載したSSD製品においてWindowsの動作が一時的(プチ)に止まる(フリーズ)という問題がインターネットにおいて多数報告されるようになった[15]。当初はMLC-NANDのSSD全体の問題と考えられていたが他社コントローラICでは報告が上がっていないため、現在[いつ?]ではJMF602における不具合であり、製品レベルの問題と考えられている。ランダム書き込みのIOPS(1秒間に読み込み・書き込み処理できる回数)がフロッピーディスク並みに低く、このランダム書き込みの性能の悪さに原因がある。
発生時の共通項は
の2点である。原因は問題のコントローラICあるいはその制御ファームウェアであり、読み書きが混在して集中した場合、処理速度が極端に低下、あるいはICそのものが一時的に無反応に陥り、現象が発生すると推測されている。2008年10月現在、ユーザーレベルでの様々な回避方法は報告されているものの、製品レベルでの根本的な解決には至っていない。
更に、この問題は大量の読み書きが同時に発生した場合において特に表面化するという特性があり、その関係からかPC環境によっては発生しない(表面化しない)場合がある。
また、発売元が提供する各種ソフト(例えばバッファローのターボSSDやI-O DATAのマッハドライブなど)や、マイクロソフトが提供するEnhanced Write Filterなどを導入することにより、ある程度軽減することができる。
原因は、ランダム書き込みの性能にあり、HD Tune Pro などのベンチマークソフトのランダム書き込みのIOPS値を見ることでこの問題を抱えているかどうかがわかる。しかし、広く用いられている評価用の各種ベンチマークソフトでもこの問題が起こるかを把握することは難しい。これは純粋な性能評価を目的としているため、読み込みと書き込みを個別に測定するものが多いのが原因である。さらに、このような条件を測定できるベンチマークソフト自体の絶対数が少ないという実情がある。上記のような背景から、この問題が起こりうるかは十分把握されていないことが多い。
こうしたことから、SSD製造メーカーではプチフリーズが発生しないとされる SAMSUNG、SandForce、Marvell、INDILINX製SSDコントローラチップを採用して、この問題に対応している。また、JMicron製「JMF602」の後継製品である「JMF612」においては、プチフリーズ問題は改善されており発生しないとされる。
Intel SSD 320シリーズ(ファームウェアのバージョン"0362"を除くそれ以前のバージョン)では、不意の電源断の後にドライブの容量がOSから8MBだけ認識されるようになり、元の内容が読み書き不能になる現象が報告されている。俗に「8MB病」と呼ばれている。320シリーズではファームウェアのバージョン確認と必要ならばアップデートを要する。[16]
Crucial m4と同社 C300シリーズの初期ファームウェアでは、シリアルATAのLPM(Link Power Management)機能がアクティブの場合にSSDが応答を停止すると言うトラブルが報告されている。m4はファームウェア更新、C300はホスト側でLPM機能をオフにする事により解決する。この現象は俗に「 LPM問題」と呼ばれている。
同社C300シリーズの初期ファームウェア("0006")では、TRIMコマンドが有効な環境(Windows7など)において、フラッシュメモリーの消耗度合が通常使用の何10倍にもなるバグがある事が報告されている。
同社m4シリーズの初期ファームウェア("0009"以前)では、使用時間が5184時間以上になると応答を停止するバグがある事が報告されている。この現象は俗に「5184時間問題」と呼ばれている。
これらのシリーズではファームウェアのバージョン確認と必要ならばアップデートを要する。[17]
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現在[いつ?]、SSD長期使用者や多頻度利用者(容量一杯まで書き込みを行うなど)から、書き込み性能が購入時よりも低下したという報告が多数上がっている。原因はまだはっきりとは分かっていないが、有力な説として以下がある。
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