- 英
- ointment
- 関
- 軟膏
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- semisolid preparation (usually containing a medicine) applied externally as a remedy or for soothing an irritation (同)unction, unguent, balm, salve
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- 軟こう,こう薬
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/08/01 23:45:44」(JST)
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軟膏剤(なんこうざい、Ointments)・皮膚外用剤(ひふがいようざい)とは、皮膚疾患の治療の一つである皮膚外用療法に使用される医薬品の半固形の製剤である。
構成は、有効成分とワセリンなどの基剤に分かれ、基剤の中に分散して有効成分が存在する形になっている。有効成分と基剤をそのまま混合するか、溶媒に溶かすか加熱融解させて混合して製する。チューブやプラスチックやガラスの瓶に詰められて流通している。
「軟膏」の狭義の意味は、ワセリンなどの油脂性基剤を用いたものに限られるが、日本薬局方の規定では乳剤性基剤を用いたクリーム剤も含まれている。ここでは、狭義の軟膏に限らず皮膚に外用する薬剤一般につき解説する。
目次
- 1 基剤
- 1.1 疎水性基剤(油脂性基剤)
- 1.2 親水性基剤
- 1.3 特殊な剤型
- 1.4 特殊な製剤
- 2 保存剤
- 3 薬効成分
- 4 脚注
- 5 関連項目
基剤
皮膚に付着し、有効成分を長く皮膚にとどめる働きをする。塗りやすく、皮膚に対する刺激性が無く、有効成分の安定性に影響しないものが求められる。有効成分と基剤との親和性が有効成分の吸収速度に影響する。大きく疎水性と親水性基剤に分けられる。
疎水性基剤(油脂性基剤)
一般に軟膏(なんこう)と呼ばれているものである。狭義の意味での「軟膏」である。水をはじき皮膚の皮膜保護作用も期待できるが、洗い落としにくいという欠点にもなる。鉱物由来のワセリンやパラフィン、ポリエチレン樹脂を流動パラフィンでゲル化したプラスチベース、生物由来のミツロウなどが用いられる。
- 「ワセリン」という日本語は商標として登録されておらず、一般名として薬局方にも記載されている。しかし"Vaseline®"という英語は商標となるため注意要
親水性基剤
- 乳剤性基剤
- 油脂と水を乳化剤で乳化したもので、一般にクリームと呼ばれている。乳化剤としては陰イオン型の石けん類や非イオン型のポリエチレングリコールのエステル類などが用いられる。水中油型(o/w型)と油中水型(w/o型)に別れる。水中油型(o/w型,oil in water)を親水軟膏(バニシングクリーム)、油中水型(w/o型,water in oil)を吸水軟膏(コールドクリーム)ということもある。有効成分の溶ける層が外層となった方が放出が早い。o/w型は水分が蒸発するとw/o型に転相する。羊毛から取られるラノリンはコレステロールを含むので乳化剤を加えなくとも水と乳化する。乳剤性基剤は、油脂性基剤に比べると展延性がよく、容易に洗い落とすことができ使い勝手がよいが、粘膜や糜爛面などに用いると乳化剤の刺激によりかぶれたりすることがある。
- 水溶性基剤
- ポリエチレングリコール(マクロゴール)類などを基剤としたもの。一般には水溶性軟膏(すいようせいなんこう)と呼ばれる。有効成分との混合が容易で、皮膚からの分泌物をよく吸収するが、皮膚との接触性は劣り、用法が『ガーゼにのばして貼付する』となっているものが多い。
- 懸濁性基剤
- 吸水して膨潤し軟膏様の状態になるセルロースなどを基剤としたものでゲル、ゼリー、ジェルの名称で流通している。粘膜や糜爛面によく固着するため、創傷部位や眼軟膏に用いられる。
特殊な剤型
- 糊膏(リニメント)
- 泥状の外用剤で、微細に砕いた有効成分をグリセリンなどと共に水に混ぜて製する。水の量を増やし液状にすると懸濁性ローション剤になる。使いにくいので現在ではあまり用いられない。フェノール・亜鉛華リニメント(カチリ)が古くからよく知られている。
- 泥膏(パスタ)
- 軟膏類似の製剤であるが、軟膏より硬く、皮膚に直接塗布するのではなく、ガーゼなどに塗り広げて貼付して用いる。「イソジン・シュガー・パスタ」などがある。
- 従来は滲出液の多い創傷・熱傷には、やむをえず含水量の少なく、吸水性のあるパスタ製剤を使うことも多かったが、近年では吸水性ポリマーを含む創傷被覆材の開発により、細胞傷害性のある薬剤は使われない傾向にある。[1][2]
- 硬膏
- 泥膏よりもさらに固く固形に近いもの。スピール膏が代表例で皮膚に貼って用いる。
- ローション・スプレー
- 粉末剤を液体に混合したもの。ヒルドイド・ローションやニゾラール・ローション(抗真菌薬)、トプシム・ローション(ステロイド外用剤)などがある。
特殊な製剤
- 口腔用軟膏剤
- 口腔粘膜によく付着し唾液などで流されにくいことが求められる。疎水性の基剤にセルロース類やパラフィンなどを加えて粘着性を高めてある。
- 眼軟膏剤
- 鋭敏な眼粘膜に使用するため、無菌であること、粘膜刺激がないこと、目から吸収されないこと、滑りがよいことなどが求められる。基剤としては、軟稠性の眼科用ワセリン(プロペト®など),プラスチベース®がよく用いられる。有効成分を固形のまま微粉末にして分散させる場合には流動パラフィン、液状の場合には精製ラノリンが用いられる。
保存剤
軟膏剤、特に乳剤性軟膏剤は微生物汚染を受けやすいため、パラオキシ安息香酸エステルやデヒドロ酢酸などを防腐剤として加える。また油性基剤は酸化しやすいので、ジブチルヒドロキシトルエンやトコフェロール、アスコルビン酸などを抗酸化剤として加える。
薬効成分
薬効を示す成分である。ビタミン剤・ステロイド剤・NSAIDs・抗生物質・抗真菌剤・免疫抑制剤など、多種多様な種類がある。
詳細は「皮膚外用療法」を参照
脚注
- ^ http://www.wound-treatment.jp/wound020.htm
- ^ http://www.sakae-clinic.com/wound/p03.html
関連項目
- 皮膚外用療法
- 医薬品
- 製剤
- 剤形
- 日本薬局方
- 薬剤学
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Japanese Journal
- 市販局所外用剤(軟膏剤/クリーム剤/外用液剤)の押出し質量と容器に関する調査研究 : 開剤のFTU/一円玉径質量と適正使用
- 堀沢 栄次郎,藤井 正浩,久保 浩之
- 薬剤学 = The archives of practical pharmacy 72(6), 359-367, 2012-11-01
- NAID 10031123546
- P1-530 軟膏剤とクリーム剤との混合に伴うレオロジー的性質の変化(院内製剤・薬局製剤,ポスター,一般演題,岐路に立つ医療〜千年紀の目覚め〜よみがえれ!ニッポン!薬の改革は我らが手で!)
- 沖中 優太,藤原 恵,湯谷 玲子,寺岡 麗子,合田 俊一,室井 延之,北河 修治
- 日本医療薬学会年会講演要旨集 22, 355, 2012-10-10
- NAID 110009618603
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
メサデルムクリーム0.1%
組成
成分・含量
- 1g中
デキサメタゾンプロピオン酸エステル
1mg(0.1%)
添加物
- 白色ワセリン、プロピレングリコール、スクワラン、グリセリン脂肪酸エステル、パラフィン、軽質流動パラフィン、サラシミツロウ、カルボキシビニルポリマー、ジブチルヒドロキシトルエン、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クエン酸ナトリウム水和物、クエン酸水和物、精製水
禁忌
次の患者には使用しないこと
- 細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症[免疫を抑制し、感染症が悪化するおそれがある。]
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎[穿孔部位の治癒の遅延及び感染のおそれがある。]
- 潰瘍(ベーチェット病は除く。)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷[組織修復・肉芽形成を抑制し、治癒が遅延するおそれがある。]
効能または効果
- 湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、日光皮膚炎を含む)、痒疹群(蕁麻疹様苔癬、ストロフルス、固定蕁麻疹を含む)、虫さされ、薬疹・中毒疹、乾癬、掌蹠膿疱症、扁平紅色苔癬、紅皮症、慢性円板状エリテマトーデス、紅斑症(多形滲出性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑、遠心性丘疹性紅斑)、毛孔性紅色粃糠疹、特発性色素性紫斑(マヨッキー紫斑、シャンバーク病、紫斑性色素性苔癬様皮膚炎)、肥厚性瘢痕・ケロイド、肉芽腫症(サルコイドーシス、環状肉芽腫)、悪性リンパ腫(菌状息肉症を含む)、アミロイド苔癬、斑状アミロイドージス、天疱瘡群、家族性良性慢性天疱瘡、類天疱瘡、円形脱毛症
- 用法及び用量
通常、1日1〜数回、適量を患部に塗布する。
重大な副作用
緑内障、後のう白内障
頻度不明
- 眼瞼皮膚への使用に際しては眼圧亢進、緑内障を起こすことがあるので注意すること。5) 大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により、後のう白内障、緑内障等があらわれることがある。
薬効薬理
抗炎症作用24,25)
- デキサメタゾンプロピオン酸エステルは毛細血管透過性亢進(ラット)を抑制し、カラゲニン足蹠浮腫(ラット)、カラゲニン肉芽のう(ラット)、ろ紙肉芽腫(ラット)実験炎症モデルに対して消炎作用を示した。また、塩化ピクリル誘発遅延型アレルギー性皮膚炎(マウス)及びクロトン油誘発皮膚炎(ラット、マウス)に対しても耳朶皮膚反応抑制作用を示した。
血管収縮試験26)
- 健康成人男子を対象とした血管収縮試験の結果、ベタメタゾン吉草酸エステルに比して優れ、また、ベタメタゾンジプロピオン酸エステルに比して同等以上の血管収縮作用が認められた。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- デキサメタゾンプロピオン酸エステル
(Dexamethasone Propionate)
化学名
- 9-Fluoro-11β,17,21-trihydroxy-16α-methylpregna-1,4-diene-3,20-dione 17,21-dipropionate
分子式
分子量
融点
分配係数
- クロロホルム層にほぼ全て分配(クロロホルム/水系溶媒、pH2〜10)
性状
- 白色の結晶性の粉末で、においはない。クロロホルム又はジオキサンに溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノールにやや溶けにくく、エーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
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- ophthalmic ointment
- 関
- 眼軟膏
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- drug、agent
- 関
- 薬、作用薬、ドラッグ、媒介物、病原体、麻薬、薬剤、薬物、代理人、薬品
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- ointment, unction, unguent
- ラ
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- 軟膏剤、ペースト