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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/01/30 04:33:17」(JST)
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ドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System, DDS)とは、体内の薬物分布を量的・空間的・時間的に制御し、コントロールする薬物伝達システムのことである。薬物輸送(送達)システムとも呼ばれる。
目次
- 1 メリット
- 2 種類
- 3 参考文献
- 4 関連項目
- 5 外部リンク
メリット
この技術を使うことにより期待されることは大きく以下の5つに還元できる。
- 1. 薬物作用の分離
- 特定の作用だけを取り出す、または抑え込む。
- 2. 効果の増強/発現
- 効果がより的確なものとなり、再現性も向上する。投資量の削減や適用拡大(新しい効能の発現など)が期待できる。
- 3. 副作用の軽減
- 安全域の拡大を図ることにより、QOLを改善し、患者の負担を軽減する。また、副作用から製薬化が頓挫した化合物を薬として復活させることもできる。
- 4. 使用性の改善
- 患者および医療従事者の負担を軽くし、薬物の服用指示違反(ノンコンプライアンス:noncompliance)問題の解消につながる。
- 5. 経済性
- 製品のライフサイクルの延長、差別化が図れる。また、医療費や関連費用の削減ができる。研究・開発の効率化が期待できる。
種類
- 薬物を含む粒子(リポソーム[1]やミセル[2])の径によるデリバリーシステム[3]
- 直径150nm以下の小さな粒子を皮下投与すると、毛細血管壁を通過できないが毛細リンパ管には侵入できる。リンパ管は癌転移や細菌感染の主な経路であるので、抗癌剤や抗生物質を投与する際に適している。
- 直径100nm以下の粒子を静脈内に投与すると、腫瘍組織内の新生血管は壁が粗いので、血管壁を通過する。従って粒子が高濃度に腫瘍内に集積する。
- 直径5μm程度の粒子を静脈内投与すると、毛細血管を通過できないので肺に粒子が集積する。
- 抗体等を用いたデリバリーシステム
- トランスフェリンレセプターや他の腫瘍特異抗原に結合する物質(トランスフェリンや各種抗体)を粒子表面に固定すると、粒子は目標組織に高濃度に集積する。
- そのままでは短時間で吸収・分解されてしまう薬物を長時間にわたって一定の速度で放出し、体内への供給を持続させるよう工夫された製剤。
- そのままでは吸収されにくい薬物をより多く吸収させるためのデリバリーシステムが開発されている[4]。
参考文献
関連項目
- ある薬物に、別の分子を化学的に付加して作られた物質。そのままでは薬効を示さず、付加された分子が体内の酵素によって外れると元の薬物に戻る。直接投与すると吸収されなかったり、副作用が現れる薬物をプロドラッグ化することにより使用性の改善を図っている。
- 局所に投与して効果が現れたのち、すばやく代謝され副作用の少ない物質に変わる薬物[5]。
- 板井茂、迫和博ら
外部リンク
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- ^ “トランスフェリンを用いたがん細胞へのターゲテイング(Active Targeting)”. 2014年10月9日閲覧。
- ^ “ミセル化ナノ粒子(高分子ミセル)”. 2014年10月9日閲覧。
- ^ “患部を狙い撃つためのDDSによるターゲティング”. 2014年10月9日閲覧。
- ^ “ILTS~独自の経皮製剤技術~”. 2014年10月9日閲覧。
- ^ “薬学用語解説 アンテドラッグ”. 2014年10月19日閲覧。
UpToDate Contents
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- 5. 抗てんかん剤の薬理学 pharmacology of antiepileptic drugs
Japanese Journal
- β-1,3-グルカンを用いた薬物送達システムへの応用
- Maegawa Yoshiya,Mochizuki Shinichi,Miyamoto Noriko,Sanada Yusuke,Sakurai Kazuo
- Trends in Glycoscience and Glycotechnology 27(153), 13-29, 2015
- … 以上より、SPGは特に抗原提示細胞を標的にした薬物送達システムのキャリアとして有用であると考えられる。 …
- NAID 130004841395
- 田之畑 大二郎,真田 雄介,望月 慎一,宮本 寛子,櫻井 和朗
- 高分子論文集 advpub(0), 2015
- … 筆者らは,β-1,3-グルカンの1種であるシゾフィラン(SPG)が核酸と複合体を形成すること,その複合体が核酸医薬の薬物送達システム(Drug delivery system:DDS)の材料として利用できることを見いだした.DDSとしての有効性の検証はもちろんのことながら,その開発の基礎となり,かつ,薬事申請で必要となる複合体の構造や水溶液中での性質など基礎物性を明らかにすることは極めて重要な課題である.本報では,SPGや核酸/SPG …
- NAID 130004793196
- 田之畑 大二郎,真田 雄介,望月 慎一 [他],宮本 寛子,櫻井 和朗
- 高分子論文集 72(2), 37-47, 2015
- … 筆者らは,β-1,3-グルカンの1種であるシゾフィラン(SPG)が核酸と複合体を形成すること,その複合体が核酸医薬の薬物送達システム(Drug delivery system:DDS)の材料として利用できることを見いだした.DDSとしての有効性の検証はもちろんのことながら,その開発の基礎となり,かつ,薬事申請で必要となる複合体の構造や水溶液中での性質など基礎物性を明らかにすることは極めて重要な課題である.本報では,SPGや核酸/SPG …
- NAID 130004793176
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- 【0040】 本発明の薬物送達システムの製造に適用が可能な陽イオン性(アミン基)生体適合性天然高分子は、キトサン及びキトオリゴ糖(chitooligosaccharide)物質が使用できる。【0041】 本発明による高分子にコンジュゲーション ...
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★リンクテーブル★
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- 英
- drug delivery system、DDS
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-DDS
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- drug, medication, medicament
- 同
- 薬
- 関
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