出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/04/01 17:01:25」(JST)
この項目では、化学の基について説明しています。その他の用法については「基 (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
基(き、group、radical)は、その指し示すものは原子の集合体であるが、具体的には複数の異なる概念に対応付けられているため、どの概念を指すものかは文脈に依存して判断される。
分子中に任意の境界を設定すると、原子が相互に共有結合で連結された部分構造を定義することができる。これは、基(または原子団、group)と呼ばれ、個々の原子団は「~基」(「メチル基」など、"- group")と命名される。
用語 | 指し示す概念 | ||||
---|---|---|---|---|---|
radical | 原子団 | → | 原子団/ラジカル | → | ラジカル |
- radical(名称) | 原子団 | → | 原子団/ラジカル | → | ラジカル |
group | 原子団 | ||||
- group(名称) | 原子団 | ||||
「基」 | 原子団/ラジカル | → | 原子団 | ||
「~基」(名称) | 原子団/ラジカル | → | 原子団 | ||
「ラジカル」 | ラジカル | ||||
「~ラジカル」(名称) | ラジカル |
さて、問題の「基」という語は、上に述べた原子団を指す場合と、遊離基(またはラジカル、radical)を意味する場合がある。後者の用語法は、日本語でかつて遊離基の個別名称を原子団同様に「~基」(「メチル基」など)としていたことに由来する[要検証 – ノート]が、現在ではほとんどの場合「ラジカル」「遊離基」と呼ぶ。原語における経緯についてはラジカル (化学)の項に詳しい。以上、語義の変遷は、おおかた右図のようにまとめられる。
以下この記事では、原子団たる基(group)について述べる。
原子団に言及するときは、観点によって、ただの分子の部分構造の表象以上の文脈的意味を持つ(役割を含意する)複数の下位概念を使い分ける。
このうち二つ以上で指され得る原子団もあり、いずれかにしか該当しない原子団もある。
置換基は化合物の系統あるいは命名を考える際の部分構造であり、母体化合物(ぼたいかごうぶつ;母核、ぼかく;親化合物、おやかごうぶつ)と対になって使用される概念である。化合物の系統を単純な構造の化合物から複雑な構造の化合物へと系統づけるため、共通する構造を母体と呼び、相異なる部分を置換基と呼ぶ。母体化合物が単独で存在するときにはひとつの原子(実際には水素)で占められている箇所を、置換基が置き換えたと考えるのである。特定の種類の母体化合物を各種の置換基で置換してできる一連の化合物群を、その母体化合物の誘導体という。
[根拠となる本文該当箇所要検証]
特性基は、化合物を形式的に特徴づけるものとしての原子団を意味する単純な概念である。単一の特性基または複数の特性基の組み合わせで官能基が構成される[要検証 – ノート]。特性基の概念は、IUPAC命名法や化学反応機構を説明する場面で使用される例が多い。IUPAC命名法では、化合物の“端”に位置する、つまり1価の原子団の形で定義され、また炭化水素基は含まない[要出典]。
官能基は物質の化学的属性(chemical profile)や化学反応性に着目した概念で、官能基というときにはそれぞれに固有の物性や化学反応性が想定されている[1]。言い換えれば、官能基は化合物に特定の化学的な性質を与える役割を果たす。よって置換基と違い、副鎖として炭素骨格と一体化してしまう炭化水素基は含まないことがあるが、定義には揺れがあり、実際には置換基とほとんど同義的に用いられることも多い。また、2価以上の原子団で化合物の“中”に位置する「結合」類も含む。なお、官能基の「官能」とは、もと生物の諸器官の機能を意味する。
ただし、これらの用語の定義は各方面でまちまちであり、上に示したものと異なる定義を採用している(と思われる)文書も散見される。
主な特性基を次に示す。
特性基一覧で述べた物を除き、主な官能基を次に示す。
特性基・官能基で述べたものを除き、主な置換基を次に示す。
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