- 英
- idiopathic hypersomnia、idiopathic hypersomnolence
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/09/01 18:40:08」(JST)
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特発性過眠症(とくはつせい[1]かみんしょう)とは、持続性あるいは反復性の日中の過度の眠気の発作を主症状とする睡眠障害の一種である。そもそも特発性とは、原因が判明していないことを指す言葉であり、特発性過眠症の原因は判明していない。
現在、特発性過眠症患者を支援する日本過眠症患者協会にて「特発性過眠症は学業や就労の継続を困難に陥らせる重篤疾患であり、当疾患は難病指定や医療費助成を受けるべきである」という主張のもと、全国から特発性過眠症患者が集い、厚生労働省への要請の為、署名会員も募っている。
他の過眠症状を持つ睡眠障害と同様、一般への知名度が低いうえ、専門医が非常に少ないため、罹患者に対する正しい診断・治療が受けられないことや、まわりの人間からの理解が得られにくいなど、罹患者には大きな負担がかかっている。比較的稀な疾患であり、罹患率はナルコレプシーの1/10程度と推定されている。なお、他の過眠症状を持つ睡眠障害(ナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群など)と比べても、知名度は低い。
ICSD-2では、特発性過眠症を、長時間睡眠を伴うものと伴わないものに細分化していたが、ICSD-3では2つの臨床検査所見には差が見られないため、単一の特発性過眠症として統合されることになった。[2] 『精神障害の診断と統計マニュアル』第4版(DSM-IV)における原発性過眠症は、『睡眠障害国際分類』(ICSD)の特発性過眠症に対応する[3]。
目次
- 1 症状
- 2 原因
- 3 診断
- 4 治療
- 5 その他
- 6 出典
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
症状
- 睡眠発作
- 日中の、耐え難い眠気に襲われるという発作。
- 急激な眠気ではなく、徐々に強まる眠気という特徴から、車の運転等においては眠気を感じてから休息を取ることが可能であるとされる。
- ナルコレプシーよりは日中の眠気は弱い(入眠潜時の平均値は6.2分±3.0分[4])とされる。
- 目覚めが悪い
- 朝の目覚めが悪く、頭が重い、頭が痛い、たちくらみ、めまいがするなどの症状が多く報告される。重度の場合、見当識障害の報告もある。
- 日中の睡眠発作後、すっきりとしない場合が多い。
原因
中枢神経系に原因があると推測されているが、明確な原因は判明していない。
長時間睡眠を伴う特発性過眠症については、ヒスタミン神経系の伝達が低下している可能性についての研究報告がある。
診断
以下は、ICSDによる診断基準。
- 長時間にわたる睡眠エピソード、過度の眠気、あるいは過度に深い睡眠の訴え。
- 夜間睡眠が長時間に及ぶこと、あるいは頻繁な日中の睡眠エピソードの存在。
- 発症は徐々で、多くの場合25歳未満で発症する。
- 訴えの持続が少なくとも6カ月以上。
但し、通常は「他の睡眠障害によって、過眠症状を説明できない」という診断基準を設ける場合が多い。他の過眠障害と区別するための診断基準としては、以下のようなものがある。
- ナルコレプシーの主症状である、情動脱力発作を伴わない。
- 睡眠時無呼吸やむずむず脚など、他の睡眠障害を示す、目に見える特徴を伴わない。
ICSD-2では、特発性過眠症を、長時間睡眠を伴うものと伴わないものに細分化されているため、診断基準に主睡眠の睡眠時間の長さ(長時間睡眠を伴わないものは6~10時間、長時間睡眠を伴うものは10時間以上)や日中の睡眠エピソードの長さが付け加えられている。
治療
- 自然治癒した報告はほとんどない。
- 通常の精神賦活剤では効果がみられないことが多い。
- モダフィニルやメタンフェタミンが有効である場合があるとの報告もあるが、効果について明確なところは判っていない。
その他
- 25歳以前の発症が一般的で、ICSD-2の診断基準にも含まれている。なお、小児での発症はほとんど報告されていない。
- 罹患率は不明だが、ナルコレプシー(約500~600人に1人)の10分の1程度と見られている。
- 性差は見られない。
- 片頭痛、起立性低血圧、手足の冷えなどの自律神経系の機能不全を伴うことが多い。
出典
- ^ 「とっぱつせい」ではない。
- ^ ナルコレプシー タイプ1,2(ICSD-3による診断基準の大改訂)
- ^ DSM-IV-TR §原発性過眠症-睡眠障害国際分類との関連
- ^ 過眠症ランド - 長時間睡眠を伴う特発性過眠症
関連項目
- 精神医学
- 神経学
- 中枢神経刺激薬
- 睡眠ポリグラフ検査
- 日本睡眠学会
外部リンク
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- ナルコレプシーと特発性過眠症 (特集 睡眠障害と最新の睡眠医学)
- DSM-5における過眠障害 (特集 睡眠障害の臨床)
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★リンクテーブル★
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特発性過眠症
- 関
- idiopathic hypersomnolence
[★]
特発性過眠症
- 関
- idiopathic hypersomnia
[★]
- 英
- narcolepsy、hypersomnia、narcoleptic
- 同
- 睡眠過剰症
- 関
- 睡眠発作、ナルコレプシー、睡眠過剰、過眠、傾眠過剰症
[★]
- 英
- idiopathy、idiopathic、cryptogenic、agnogenic, essential
- 同
- 本態性
- 関
- 原因不明
[★]
- 英
- sis, pathy
[★]
- 英
- hypersomnia
- 関
- 過眠症