- 日
- びんろうじ
- 英
- areca, betel nut
- ラ
- Areca
- 関
- ビンロウジュ属、Areca属、アレカ属
WordNet
- any of several tall tropical palms native to southeastern Asia having egg-shaped nuts
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2020/09/09 20:01:27」(JST)
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ビンロウ
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ビンロウの木と果実
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分類(APG III)
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界
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:
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植物界 Plantae
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階級なし
|
:
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被子植物 angiosperms
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階級なし
|
:
|
単子葉類 monocots
|
階級なし
|
:
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ツユクサ類 commelinids
|
目
|
:
|
ヤシ目 Arecales
|
科
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:
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ヤシ科 Arecaceae
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属
|
:
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ビンロウ属 Areca
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種
|
:
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ビンロウ A. catechu
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学名
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Areca catechu L.
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和名
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ビンロウ
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英名
|
Betel Palm
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ビンロウ(檳榔、学名:Areca catechu)は、太平洋・アジアおよび東アフリカの一部で見られるヤシ科の植物。
中国語では檳榔(ビンラン、注音: ㄅㄧㄣ ㄌㄤˊ、拼音: bīnláng)と書く[要出典]。種子は嗜好品として、噛みタバコに似た使われ方をされ、ビンロウジ(檳榔子、areca nut / betel nut)という場合は通常この種子を指す。ペナン島の名の由来となった植物である。
生態
単幹で高さ10~17メートル、まれに30メートルに達する。雌雄同株であり、1つの花序に雌雄の花をそれぞれつける。果実は長楕円形、長さ5cm前後でオレンジ色から深紅色に熟す。
用途
檳榔子を噛むことはアジアの広い地域で行われている。檳榔子を細く切ったもの、あるいはすり潰したものを、キンマ(コショウ科の植物)の葉にくるみ、少量の石灰と一緒に噛む。場合によってはタバコを混ぜることもある。しばらく噛んでいると、アルカロイドを含む種子の成分と石灰、唾液の混ざった鮮やかな赤や黄色い汁が口中に溜まる。この赤い唾液は飲み込むと胃を痛める原因になるので吐き出すのが一般的である。ビンロウの習慣がある地域では、道路上に赤い吐き出した跡がみられる。しばらくすると軽い興奮・酩酊感が得られるが、煙草と同じように慣れてしまうと感覚は鈍る。そして最後にガムのように噛み残った繊維質は吐き出す。
タイのバンコクから30 - 80km北方では、農民は水田耕土中の酸性度を吐き出した実の色の変化で測定する。口の中で赤色をしていたものが、土の酸性が強いと黒色に変化し、酸性が弱いと赤い色のままで変化しない性質を利用したものである。黒色だとまだ耕作するのは早いということであり、赤のままであったら播種してよいという判断をする。
また、檳榔子の粉は単独では歯磨剤や虫下しに使用される。漢方方剤では、女神散(にょしんさん)、九味檳榔湯(くみびんろうとう)などに配合される。日本では薬局方にも記載されている[1]。日本への生果実の輸入はミカンコミバエ種群(ミバエ)の発生地域からは不可。一方、韓国などミカンコミバエ種群が発生していない地域からなら可能[2]。また、ミカンコミバエが死滅していると考えられる製法(瓶詰、真空パック、十分に乾燥させたもの)を用いていれば、ミカンコミバエ種群の発生地域からも輸入可能である[3]。「檳榔は麻薬であるから日本に持ち込むことができない」という認識は誤りである[4]。
マレーシアやインドネシアに見られる檳榔酒は、檳榔の実を搾った汁液を発酵させた酒で、『古今図書集成』には「南蛮傳馬留人、取檳榔瀋為酒」(南蛮のマレー人は、酒を造るために檳榔を採った)と記されている。
仮名垣魯文の西洋道中膝栗毛五編上では、セイロン島で北八が現地人と相撲を取る際に、同行の通訳がビンロウの葉を軍配代わりにして行司を務める。
成分
檳榔子にはアレコリン(arecoline)というアルカロイドが含まれており、タバコのニコチンと同様の作用(興奮、刺激、食欲の抑制など)を引き起こすとされる。石灰はこのアルカロイドをよく抽出するために加える。
檳榔子には依存性があり、また国際がん研究機関(IARC)はヒトに対して発癌性(主に喉頭ガンの危険性)を示すことを認めている。
習慣
檳榔子は古来から高級嗜好品として愛用されてきた。檳榔子とキンマは夫婦の象徴とされ、現在でもインドやベトナム、ミャンマーなどでは、結婚式に際して客に贈る風習がある。
台湾で売っている檳榔。2個包んだものは「双子星」と呼ばれるタイプ。
床に檳榔子を噛んだ唾液を吐き捨てると、血液が付着したような赤い跡ができ、見るものを不快にさせる。そのためか低俗な人々の嗜好品として、近年では愛好者が減少している傾向にある。
台湾では、露出度の高い服装をした若い女性(檳榔西施)が檳榔子を販売している光景が見られる。風紀上の問題から2002年に規制法が制定され、台北市内から規制が始まり、桃園県もこれに追従した。以降、台中市、台南市、高雄市など大都市では姿を消した。依然として高速道路のインターチェンジ付近や、地方では道端に立つ檳榔西施が見られるが、過激な服装は影を潜めるようになった。
台湾では現在、道路に檳榔子を噛んだ唾液を吐き捨てると罰金刑が課せられるため、中心街では路上に吐き出す習慣は無くなったが、少し離れると吐き捨てた跡や、噛み尽くしたカスが見られる。購入時にエチケット袋(紙コップとティッシュペーパーの場合が多い)が共に渡される。
参考文献
- 家永泰光『穀物文化の起源』古今書院、1981年。ISBN 4772210601。
- 小泉武夫『奇食珍食』中央公論社、1987年。ISBN 4120015963。
- 植松黎『毒草を食べてみた』文藝春秋、2000年。ISBN 4166600990。
関連項目
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ウィキメディア・コモンズには、ビンロウに関連するカテゴリがあります。 |
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ウィキスピーシーズにビンロウに関する情報があります。 |
脚注
- ^ “第十六改正日本薬局方 1575ページ”. 厚生労働省. 2012年3月23日閲覧。
- ^ “海外から野菜や果物を持ち込む際の規制(韓国)”. 植物防疫所. 2012年3月25日閲覧。
- ^ “檳榔(ビンラン、ビンロウ、檳榔子)の輸入にまつわる法規”. 空落科技. 2012年3月23日閲覧。
- ^ “中国本土3300キロをタクシーで巡る(その1)湖南省にある珍しい嗜好品”. 喜多村豊. 2012年3月27日閲覧。
UpToDate Contents
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- 1. 頭頸部癌に対する疫学および危険因子epidemiology and risk factors for head and neck cancer [show details]
…including the larynx, oral cavity, nasal cavity, oropharynx, nasopharynx, and salivary duct. Betel nut chewing, which is widespread in certain regions of Asia, is an independent risk factor for the development …
- 2. 肝細胞癌の疫学および危険因子epidemiology and risk factors for hepatocellular carcinoma [show details]
…been observed in laboratory animals exposed to HBV and aflatoxins . Betel nut chewing: Case control trials have suggested that betel nut chewing, which is widespread in certain regions of Asia, may be an…
- 3. 食道癌の疫学と病理生物学epidemiology and pathobiology of esophageal cancer [show details]
…exert their mutagenic potential by reducing nitrates to nitroso compounds . Chewing of areca nuts or betel quid (areca nuts wrapped in betel leaves), which is widespread in regions of Asia, is implicated in…
- 4. 口腔病変oral lesions [show details]
…about current use and tobacco history. In addition, we enquire about chewing betel quid, or "paan" (a combination of areca nut, spices, and tobacco that is popular in many parts of Asia). Alcohol consumption …
- 5. 食道の良性病変benign lesions of the esophagus [show details]
…association with submucosal fibrosis of the oral cavity, particularly in smokers and those who chewed betel nuts . Because of the association with squamous cell cancer, we suggest careful evaluation of the esophagus…
Japanese Journal
- 谷口 美樹
- 富山大学教養教育院紀要 (1), 50-69, 2020-03-12
- … 藤原実資(957-1046)の日記『小右記』にみられる薬剤とは、呵梨勒・檳榔子・雄黄・巴豆・紅雪・紫金膏など唐物と称される輸入品であった。 …
- NAID 120006804000
- 漢方薬と身近な植物 日本の土壌と文化へのルーツ(8)檳榔子(びんろうし) 東南アジアの嗜好品
- 漢方基礎講座 生薬の薬効・薬理シリーズ(71)ビンロウジ(檳榔子)
Related Links
- ヤシ科 ビンロウヤシ の種子。 健胃 、 降圧 (こうあつ) 、 駆虫 、 抗菌 、 抗ウイルス などの作用がある。
- ビンロウジ(檳榔子)は、ヤシ科のビンロウの種子を乾燥したものです。
- 檳榔子 よみかた びんろうじ 生薬種別 理気薬 薬味薬性 苦、辛 / 温 異称別名 および 炮製品名 檳榔、花檳榔、檳榔片、大腹子、海南子、鶏心檳榔 など 基原炮製 (この生薬の原材料と加工法) ヤシ科ビンロウ属ビンロウの成熟種子 ...
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