出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/05/26 11:16:16」(JST)
ICD-10 | R51 |
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ICD-9 | 784.0 |
DiseasesDB | 19825 |
MedlinePlus | 003024 |
eMedicine | neuro/517 neuro/70 |
MeSH | D006261 |
頭痛(ずつう)とは、頭部に感じる痛みのうち、表面痛でないもの。様々なタイプの痛みを含んだ幅の広い症状概念である。ありふれた症状である一方、これを主症状とする致命的疾患もあり、他方で原因が特定できないことも多いという、症候学上非常に重要な症状。原因はさまざまといわれるが、基本的には、すべての頭痛の原因は一つとされる。血液中のある物質による炎症反応ともいわれる。
頭痛はありふれた症状で、外来初診患者の約10%が頭痛を主訴とする。
日本人の3 - 4人に1人(約3000万人)が「頭痛持ち」である。そのうち2200万人が緊張性頭痛、840万人が片頭痛、1万人が群発頭痛といわれる。クモ膜下出血・脳腫瘍による頭痛は、毎年約1万人 - 3万人に発生する。
日常生活に支障ある頭痛を、世界中で最低40%の人が経験する。
男性よりも女性のほうが頭痛の症状を訴えることが多く、筋緊張性頭痛の6割、片頭痛の8割が女性である。[要出典]
女性が訴えることが多い頭痛の1つに生理時に伴うものがあるが、これは生理中にエストロゲンが血中から減少し、それがセロトニンに何等かの影響を与えて片頭痛を引き起こしやすくなるからではないかとも考えられている。
心因性などを原因とする例は、下記参照。
頭痛は、緊急に集中治療を施さなければ死に至る疾患の表徴であることがある。その疾患とはクモ膜下出血、髄膜炎、大きな脳出血の3つである。脳腫瘍も放置すれば確実に死に至るが、緊急度では前3者には遠く及ばない。また、重度の緑内障発作であった場合には、生命には影響しないが失明の危険が大きく、緊急度は高い。
それらの疾患を示唆する徴候は以下の通りである:
プライマリ・ケアにおいて頭痛を診療する医療従事者は、以上の徴候を見逃さないことが防衛医療の上でも重要である。特に急速に増悪する頭痛、病歴のつじつまが合わない、以前と違う、神経局在所見、睡眠から覚醒させるほどの頭痛がある場合は頭部CTが施行される場合が多い。危険な二次性頭痛を疑う兆候としてはSNOOPというものが提唱されている。
SNOOP | 内容 |
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Systematic symptoms | 全身性症状(発熱、倦怠、るいそう、筋痛)、全身性疾患(悪性疾患やAIDS) |
Neurological | 神経欠落症状 |
Onset abrupt | 突然の発症、雷鳴頭痛、急速に悪化 |
Older | 40歳以上の新規発症 |
Pattern change | 以前と異なる頭痛(頻度、持続、性状、重症度) |
頭痛は大きく、基礎疾患のない一次性頭痛と、別の原因疾患による二次性頭痛に分けられる。一次性頭痛の場合、一次性頭痛の1つが単独で起こっている場合もあれば、2つ以上が合併して起こっている場合もある。
一次性頭痛は慢性・反復性のため、多くの場合、患者が「いつもの頭痛」と心得ており、医療機関を受診しないことが多い。受診時はたいてい、「ふだん経験したことのない頭痛」として受診する。
緊張型頭痛が発症する原因としては、精神的・身体的ストレスや筋肉の緊張などが複雑に絡み合っていると考えられている。この種の頭痛に関係すると考えられる項目は次の通りである。
いずれも女性に多く、数日持続する。緩徐に進行し、典型的には、頭をとりまくはちまき状に痛む。ストレスやうつによって起こり、主に頚部・側頭部の異常な筋収縮に起因する。
治療は、NSAIDs[2]・筋弛緩薬やチエノジアゼピン系、抑うつ症状に三環系抗うつ薬などが使われる。低い枕で寝ることも有効。
「片頭痛」は「偏頭痛」とも書き、「へんずつう」または「へんとうつう」と呼ぶ。朝、目が覚めて起きた時から頭痛として感じる場合や、太陽の光などを頭や目に受けて頭痛が起こった場合は片頭痛の可能性が高い。激しい運動後や緊張が解けてほっとした時、休日などにも起こりやすい。片頭痛患者の1割前後で、前兆がみられる。片頭痛の発生メカニズムについてはまだ解明されていない部分もあるが、有力な説としては「セロトニン説」と「神経血管説」の2つがある。また、遺伝の要因もあるとも考えられている。
片頭痛は血管による拍動性の痛みで、若い女性に多く、しばしば家族性である。片頭痛の前は食欲が旺盛になる、甘いものが食べたくなる、眠気をさすなどと言われているが、実際に発作を予知することは不可能である。悪心嘔吐・羞明・めまい・圧痛・食欲不振・多幸感などを伴うこともある。前兆を伴うタイプもあり、視覚暗点・閃輝暗点(ギラギラ輝く歯車のようなものが見える)・一過性半盲(視界の一部が一時的に欠けて見えなくなる)・片麻痺・片側性感覚障害(痛みと半盲の出ている側の手の痺れ)・言語障害(舌のもつれ)などが前兆としてみられる。
睡眠で軽快することが多いが、起床で始まることも多い。但し、睡眠中に呼吸が無意識のうちに止まってしまうという「睡眠時無呼吸症候群」が原因となっていることもある。口呼吸する習慣のある人・肥満気味の人は要注意である。
軽症ではNSAIDs、中等症以上ではトリプタン系薬物が用いられる。エルゴタミン製剤も有効な場合がある。またカフェインも効果的[3]である。
発症のメカニズムについては未だ明らかにされていない点が多いが、頭部の血管の拡張が関わっているのではないかと考えられている。 飛行機の着陸時に耳を何某かのもので塞いでいたら、この痛みが出たというケースもある。
群発頭痛の最大の特徴は1年から3 - 4年に数回程度、1か月から3か月に渡る「群発期」に毎日のように決まった時間に発症する場合が多い(近年は薬の副作用なのか、時間だけがずれて群発発作が起きる人が多い)。 群発地震のようにある時期に固まって起きることから、群発頭痛と言われている。
日本では、偏頭痛や三叉神経痛と間違われる場合が多く、この病名を知らない医療関係者も多いと考えられる。 人により発作が来る時間は様々だが、睡眠中に発作が来ると激痛で目が覚める。 これにより睡眠に恐怖を感じるケースも多い。痛みは数ある頭痛の中でも群を抜き、「スプーンで目玉をエグられる程」と例えられる。 また、火山がマグマを噴出す感じが「痛みを現す」状態に似ている、と例えられる。 あのマグマのような群発発作は「急激」に襲って来て、こんなに痛くて何故死なないのか不思議なほどと言われる。 【患者にしか解らない所(自己申告)が残念であり、誤解される所でもある】とされる。
お産などよりも痛いとされ、心筋梗塞、尿路結石、と並び生きているうちに味わえる三大痛の一つとされ、別名「自殺頭痛」とまで呼ばれている。 目の後ろを通っている血管が拡張して炎症を引き起こすため、目の奥の痛みを自覚するようである。また、この血管を取り巻いて、涙腺のはたらきや瞳孔の大きさをコントロールしている自律神経が刺激されて、涙・鼻水が出る、瞳孔が小さくなるといった症状を伴うともいわれる。吐き気を伴う場合もある。
現在の治療法は、イミグラン(3mg)の注射と純酸素吸入が効果的である。英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは、経鼻トリプタン[2]と酸素[2]を勧告している。
治療薬は、トリプタン系の「イミグラン」などが使われるが、作用には個人差も大きいため、必ず医師の診察をうけること。酒石酸エルゴタミンを使用した「カフェルゴット(平成20年3月末日で販売中止)」「クリアミン(S錠・A錠)」などが使われることもある。また、酒石酸エルゴタミン系とトリプタン系の薬は併用禁止で、薬は、必ず24時間あけなければならないため服用には充分注意すること。 トリプタン系(イミグランなど)の薬は、閉経後の女性、心疾患の危険因子を有する患者には慎重に投与する必要があるとされる。
群発頭痛の海外での一般的な治療法は、イミグランの自己注射だったのだが、最近まで日本では頭痛に対しての自己注射療法が認められていなかったために即効性のある効果的な治療が困難であった、しかし2008年4月より保険適用にてイミグランを自己注射して群発頭痛を治療することが可能となっている。予防薬に関しては実際にはSSRI(パキシル等)・ステロイドなどが処方されているが、保険適応とはなっていない。 カルバマゼピンとガバペンチンが新薬として注目されているとされる。(2011年現在)外部リンク:大阪大学医学部附属病院疼痛医療センター参照の事。
群発頭痛は激痛のため、トリプタン系の薬(イミグランなど)の多量服用は慎重にしなければならない。とは言え「我慢の限界」を超えた痛みであることは経験者にしかわからないので、周囲から誤解を受けることもしばしばである。 また、「群発期」中にアルコールを摂取してしまうと、薬の効果が薄くなり即座に激痛に襲われることもある。
プレドニンやデカドロン等のステロイド療法もあるが、副作用のリバウンドで苦しむこともあり注意が必要である。 また、重症の場合は『慢性の群発頭痛』に至ることがある。 『慢性の群発頭痛』とは、痛みの最大値を10段階で表すと、常にレベル3 - 5の痛みが「とれない」状態が続くものを言う。群発発作期と群発発作期の間も常にレベル3 - 5の痛みがあり、発作時の痛みはレベル10(max)が1 - 2時間続きその中に群発的に10段階の痛みが襲ってくる耐え難いものであると言われる。
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アルコール飲料を飲み過ぎた場合に起こる頭痛で、二日酔いの代表的な症状としてもよく言われる。二日酔いの頭痛の原因については様々なものが複雑に絡み合っていることもあり一概に断言はできないが、主なものをあげると以下のものがある。
なお、どのアルコール飲料をどの程度飲めば頭痛が起こるということには個人差があるようだが、同一量を飲むと想定した場合、アルコール代謝能力が低い人ほど、アルコール度数が高い飲料ほど頭痛を起こしやすいとも言える。なお赤ワインは、チラミンを含有するぶんだけ頭痛を起こしやすい。
基本的に頭痛の治療は薬物などによる対症療法が行われることが多いが、脳の疾患がある場合はその原因を取り除く治療も行われる。また、頭痛を引き起こす原因が生活習慣に存在する場合は、それを改善し取り除くことも推奨される。以下、主に対症療法で使用される薬物等を紹介するが、薬の服用や生活習慣の改善を行っても症状が緩和しないなどの場合は素人判断せず、脳外科などの専門医で相談する方が望ましい。
なお、これら薬物を長期に渡って常用すると体が薬に慣れてしまって効きにくくなったり、「薬の効果が切れる → 薬を飲む」という悪循環に陥って「薬物乱用頭痛」と言われる症状が起こることがある。また、頭痛治療薬服用中にアルコール飲料を飲むことは、胃をあらす原因になったり、薬剤によっては体内で毒性の高い物質に変化するなどの弊害を起こすことがある。
片頭痛の予防薬として「バルプロ酸ナトリウム」「カルシウム拮抗薬(きっこうやく)」「β遮断薬(ベータしゃだんやく)」などの服用がなされる。
主に「痛みを引き起こす物質の合成を抑える」「痛みを感じる中枢をブロックする」の2タイプに分けられる。
英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは、アセトアミノフェン・アスピリン・NSAIDを単独または併用の服用が、月に15日以上ある状態が3ヶ月以上続く場合、薬物乱用性頭痛の可能性が疑われるとしている[4]。NICEは急性期の頭痛患者に対して薬物乱用頭痛のリスクを説明することを勧告している[2]。
頭痛の分野からは、やや外れるが、神経痛とはいえ頭痛との区別がつきにくい場合がある。 次に代表するものは鎮痛剤よりも坑てんかん薬等の使用が望ましい。
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