- 英
- tretinoin
- 商
- ベサノイド、オルセノン
- 関
- レチノイン酸、オールトランスレチノイン酸 all-trans-retinoic acid、トランスレチノイン酸、Retin-A、retinoic acid、trans-retinoic acid
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/01/14 10:20:24」(JST)
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トレチノイン
|
IUPAC命名法による物質名 |
retinoic acid |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
- C(topical), D(oral)(USA), X(oral)(Aus)
|
法的規制 |
- AU: Prescription Only (S4)
- UK: POM
|
投与方法 |
局所、経口 |
薬物動態的データ |
血漿タンパク結合 |
> 95% |
半減期 |
0.5-2 hours |
識別 |
CAS番号 |
302-79-4 |
ATCコード |
D10AD01 L01XX14 |
PubChem |
CID 444795 |
DrugBank |
APRD00362 |
ChemSpider |
392618 |
KEGG |
D00094 |
化学的データ |
化学式 |
C20H28O2 |
分子量 |
300.4412 g/mol |
SMILES
- CC=1CCCC(C)(C)C=1/C=CC(\C)=C\C=C\C(\C)=C\C(=O)O
|
物理的データ |
融点 |
180 °C (356 °F) |
トレチノイン (tretinoin) はビタミンA誘導体の一種。レチノイン酸(英: retinoic acid)のうち、二重結合がすべてトランス型をとった、オール・トランス異性体である(all-trans retinoic acid)。
スイスのロシュ社が1960年代にビタミンAからスクリーニング・合成を行い、内用薬を開発している。 その過程の臨床試験において、ラット実験で催奇性が確認されている。
ビタミンA#医薬品での注意事項も参照のこと。
内用薬
以下はトレチノインの説明ではなく、レチノイド(ビタミンAの誘導体の総称)の説明である。トレチノインは、以下の文章におけるatRA(オールトランスレチノイン酸)のことである。
乾癬・角化症治療薬として「エトレチナート(商品名:チガソン)」と、かつて治療薬が不在であった急性前骨髄性白血病(APL)の第一治療薬として開発された「atRA(商品名ベサノイド(Vesanoid)」が代表例である。
国内ではチガソンが1985年に、ベサノイドがオーファンドラッグ指定の上1995年に承認され、どちらも日本ロシュ(現:中外製薬)が輸入販売を行っている。
第二選択薬として「タミバロテン(商品名:アムノレイク)」がオーファンドラッグ指定の上東光製薬によって開発され、2005年に日本新薬から発売されている。
これらの製剤は催奇性をはじめとする警告があるため劇薬指定である。特に「チガソン」はレチノイド(ビタミンA)の脂溶性が強く、体内に長期間蓄積されることから、服用後から最低2年間は男女とも妊娠につながる性行為と、献血をしてはならない事となっている(→避妊)。処方に当たっては皮膚科医師からの説明の上、同意書[1]を交わす。閉経前の女性に対しては、妊娠検査を行い、妊娠していないことを確認される事もある。そして薬剤師の問診・確認を済ませて初めて処方されることとなっている。
チガソンは催奇性というハイリスクな副作用から、1990年代に北米で発売が中止され、先進国では日本でしか使われていない。
一方、atRAのベサノイド・アムノレイクは抗腫瘍薬としてたいへん高濃度のレチノイン酸で組成され、重篤な副作用として呼吸不全などのレチノイン酸症候群があるため、緊急時に十分処置できる医療施設及び化学療法に精通した医師の下で使用する事となっている。チガソンと比べて期間は短いものの、服用前後一定期間の妊娠・性交が禁じられている(日本における献血では現在、悪性腫瘍の既往歴がある者は出来ない事とされている)。
外用薬
以下はトレチノインの説明ではなく、レチノイド(ビタミンAの誘導体の総称)の説明である。
日本に於いては類似化合物の「アダパレン(商品名:ディフェリン)」が2008年に承認されたのを除いて、レチノイド外用薬として厚生労働省への承認申請が行われていないため、未承認医薬品(未承認薬)である。
トレチノインはレチノールの 約100倍の薬理作用を持つとされる。もともとニキビ薬として米国で処方されていたものであったが、強力な皮膚のターンオーバー促進作用があり、シワやシミを改善するクリームに配合されることもある。商品名はレチンA やスティーバA。軟膏・ジェル・クリームの形態で処方される。市販品の濃度は 0.01%~0.1% 程度であり、症状や体質に合わせて適切な濃度のものが処方される。濃度が高いほど、クリームが黄味がかった色になる。
個人差はあるが、塗布後、数日以内に皮膚表面の角質の著しい剥離が始まる。これを繰り返すことで、皮膚が徐々に生まれ変わり、ニキビやシミ、シワが改善するとされる。但し、いきなり高濃度のものを塗布すると、体質によっては皮膚への刺激が強すぎ、かえってソバカス等のシミを増やすこともあるので注意が必要である。また、トレチノイン使用中は肌のバリア機能が低下するため、日中は高SPFのサンスクリーンの使用が必須である。
東京大学医学部附属病院など、一部の大学病院や皮膚科・形成外科などで、院内調剤された軟膏の処方を受けることは可能である。比較的簡単に製剤することが可能なため、薬価自体はそれほど高くなく、タイやニュージーランド経由での個人輸入業者も多く存在する。
脚注
- ^ チガソン同意書、乾癬患者のための情報交換サイト
関連項目
カロテノイド |
|
カロテン (C40) |
α-カロテン · β-カロテン · γ-カロテン · δ-カロテン · ε-カロテン · ζ-カロテン · リコペン · ネウロスポレン · フィトエン · フィトフルエン
|
|
キサントフィル (C40) |
アンテラキサンチン · アスタキサンチン · カンタキサンチン · シトラナキサンチン · β-クリプトキサンチン · ジアジノキサンチン · ジアトキサンチン · ジノキサンチン · フラボキサンチン · フコキサンチン · ルテイン · ネオキサンチン · ロドキサンチン · ルビキサンチン · ビオラキサンチン · ゼアキサンチン
|
|
アポカロテノイド (C<40) |
アブシシン酸 · アポカロテナール · ビキシン · クロセチン · イオノン · ペリジニン
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ビタミンA レチノイド (C20) |
レチナール · レチノイン酸 · レチノール
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 経験 顔面の陥凹瘢痕に対するトレチノインを併用した炭酸ガスレーザー治療
- P1-402 トレチノイン経口困難患者に対する投与方法の検討(がん薬物療法(その他),ポスター,一般演題,岐路に立つ医療〜千年紀の目覚め〜よみがえれ!ニッポン!薬の改革は我らが手で!)
- 竹内 裕恵,神戸 香織,山根 和枝,牧問 美和子,吉村 卓子,大坪 卓弥,田中 孝幸
- 日本医療薬学会年会講演要旨集 22, 333, 2012-10-10
- NAID 110009618475
- 2PT148 ヒトレチノイン酸結合蛋白質をスカッフォールドとする蛋白質のスクリーニング(日本生物物理学会第50回年会(2012年度))
- Nakada Hinako,Itoh Nobuya,Makino Yoshihide
- 生物物理 52(SUPPLEMENT_1), S130, 2012-08-15
- NAID 110009585181
Related Links
- トレチノイン(オールトランスレチノイン酸)とはビタミンA(レチノール)の誘導体で、生理活性はビタミンAの約50-100倍であり、ビタミンA類の体内での生理活性の本体そのものであります。このトレチノイン(レチノイン酸)は ...
- トレチノインは東京の当美容皮膚科で。クリームの用法・効果の説明など美容皮膚科医が丁寧にトレチノイン治療にあたります。 ... トレチノインの注意点 保存方法 トレチノインは熱と光に弱いため冷蔵庫で保管して下さい。 ...
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
※オルセノン軟膏0.25%
組成
成分・含量(1g中)
添加物
- ジブチルヒドロキシトルエン、軽質流動パラフィン、セタノール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、濃グリセリン、D-ソルビトール液、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、乳酸、水酸化ナトリウム
禁忌
(次の患者には使用しないこと)
効能または効果
- 褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍、糖尿病性潰瘍、下腿潰瘍)
- 熱傷潰瘍に本剤を使用する場合、本剤の対象は熱傷後の二次損傷により生じた熱傷潰瘍であるので、新鮮熱傷に対しては他の適切な療法を考慮すること。
- 症状及び病巣の大きさに応じて適量を使用する。
潰瘍面を清拭後、1日1〜2回ガーゼなどにのばして貼布するか、又は患部に直接塗布する。
薬効薬理
- トレチノイン トコフェリルは、創傷自然治癒の増殖過程や組織修復過程において創傷部に出現するマクロファージ、線維芽細胞及び血管内皮細胞に創傷部位で直接作用し、血管新生を伴った肉芽形成を促す。
創傷治癒促進作用
綿球肉芽形成促進作用
- ラットの綿球肉芽形成試験において、良好な肉芽形成促進作用を示す。10)
皮膚欠損傷治癒促進作用
- ラットの皮膚欠損傷治療試験において、ベンダザック又はリゾチーム塩酸塩の軟膏と同等、又は、より強い創傷面積縮小効果を示す。11)
切傷治癒促進作用
- ラットの皮膚切傷治療試験において、創耐張力増強作用を示す。11)
熱傷治癒促進作用
- ラットの熱傷治療試験において、ベンダザック又はリゾチーム塩酸塩の軟膏に比較し良好な治癒促進作用を示し、完全治癒日数を短縮する。11)
血管新生促進作用
- ラットの綿球肉芽形成試験において、肉芽形成と共に著明な血管新生作用を示す。10)
作用機序
細胞遊走促進作用
- モルモット腹腔マクロファージ及びヒト皮膚線維芽細胞に対して遊走活性増強作用を示す。
ヒト血管内皮細胞に対しては、単独では活性を示さないものの、フィブロネクチン存在下では有意に細胞遊走を促進する。12)
細胞増殖促進作用
肉芽中の結合組織成分への影響
- in situにおいて、コラーゲンやグリコサミノグリカンなどの結合組織成分を増加させる。10)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- トレチノイン トコフェリル(Tretinoin Tocoferil)[JAN]
化学名
- (±)-3,4-dihydro-2,5,7,8-tetramethyl-2-(4,8,12-trimethyl-tridecyl)-2H-1-benzopyran-6-yl(2E,4E,6E,8E)-3,7-dimethyl-9-(2,6,6-trimethyl-1-cyclohexen-1-yl)-2,4,6,8-nonatetraenoate
分子式
分子量
性状
- 本品は黄色澄明の松ヤニ状物質で、においはないか、又はわずかに特異なにおいがあり、味はない。
本品は、酢酸エチル、クロロホルム、ジエチルエーテル又はヘキサンに極めて溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、メタノールに極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
本品は光により、影響を受けやすい。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- all-trans-retinoic acid、ATRA, all-trans retinoic acid
- 同
- 全トランス型レチノイン酸
- 関
- トレチノイン tretinoin、レチノイン酸、トランスレチノイン酸、all-transレチノイン酸
- 関
- 分化誘導療法。急性前骨髄球性白血病
[show details]
[★]
- 英
- trans-retinoic acid
- 関
- トレチノイン、レチノイン酸、オールトランスレチノイン酸、トランス型レチノイン酸、trans-レチノイン酸
[★]
- 英
- 13-cis-retinoic acid, accutane
- 同
- アックタン、ネオビタミンA酸、(13Z)-レチン酸、13-cis-ビタミンA酸、13-cis-レチノイン酸、13-cis-レチン酸
- 関
- [[]]
[show details]
アックタン : 21 件
イソトレチノイン : 約 16,000 件
ネオビタミンA酸 : 6 件
(13Z)-レチン酸 : 9 件
13-cis-ビタミンA酸 : 9 件
13-cis-レチノイン酸 : 約 3,990 件
13-cis-レチン酸 : 13 件
[★]
- 英
- tretinoin tocoferil
- 同
- トコレチナート tocoretinate
- 商
- オルセノン
- 関
- トレチノイン
[★]
ケノデオキシコール酸