- 英
- eribulin
- 商
- ハラヴェン Halaven
- 化
- エリブリンメシル酸塩 eribulin mesilate
- 関
- その他の腫瘍用薬
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/25 19:54:31」(JST)
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エリブリン
|
IUPAC命名法による物質名 |
2-(3-Amino-2-hydroxypropyl)hexacosahydro-3-methoxy- 26-methyl-20,27-bis(methylene)11,15-18,21-24,28-triepoxy- 7,9-ethano-12,15-methano-9H,15H-furo(3,2-i)furo(2',3'-5,6) pyrano(4,3-b)(1,4)dioxacyclopentacosin-5-(4H)-one |
臨床データ |
ライセンス |
US FDA:link |
胎児危険度分類 |
D(US) |
法的規制 |
℞-only (US) |
投与方法 |
静脈注射 |
識別 |
CAS登録番号 |
253128-41-5 |
ATCコード |
L01XX41 |
PubChem |
CID 17755248 |
ChemSpider |
21396142 |
化学的データ |
化学式 |
C40H59NO11 |
分子量 |
729.90 g/mol |
SMILES
- NC[C@@H](O)C[C@H]5O[C@H]4C[C@H]9O[C@@H](CC[C@@H]1O[C@H](CC1=C)CC[C@@]32O[C@@H]6[C@@H]8O[C@H](C2)[C@H](O3)[C@@H]8O[C@H]7CC[C@H](CC(=O)O[C@@H]4[C@H]5OC)O[C@H]67)C[C@@H](C)C9=C
|
エリブリン (Eribulin) は、エーザイによって開発された抗がん剤である。商品名はハラヴェン (Halaven) で、メシル酸塩として投与される。
2010年11月15日に米国食品医薬品局 (FDA)、2011年1月21日に欧州医薬品庁 (EMA) 医薬品委員会 (CHMP) から、「アントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤を含む少なくとも2種類のがん化学療法による前治療歴のある転移性乳がん」に対する抗がん剤として承認された[1][2][3]。日本においても2011年4月22日、「手術不能又は再発乳がん」の適応で承認された[4]。
末期転移性乳がんに加えて、非小細胞肺がんや、前立腺がん、肉腫など様々な固形がんに対するエリブリンの適応がエーザイによって研究されている[5]。
以前は、開発コードのE7389、ER-086526、アメリカ国立癌研究所の識別番号NSC-707389としても知られていた。
構造と作用機構[編集]
構造的には、エリブリンは海綿由来の天然有機化合物であるハリコンドリンBの大環状ケトン合成アナログ(構造類縁体)である[6]。ハリコンドリンBはハリコンドリア属 (Halichondria) の海綿(クロイソカイメン)から単離された、ユニークな作用機構を有する強力な細胞分裂阻害剤である[7][8]。エリブリンは微小管の動態を阻害するユニークな機構を示し[9][10]、微小管の+(プラス)端に存在する少数の高親和性部位に主に結合する[11]。
エリブリンは長期間かつ非可逆的な細胞分裂の阻害によってがん細胞にアポトーシスを引き起こすことで抗がん作用を示す[12]。
2009年に、岸義人らによりE7389(エリブリン)の新規合成経路が報告されている[13]。
脚注[編集]
- ^ “米国FDAが新規抗がん剤「HALAVEN™」(エリブリン メシル酸塩)注射剤を転移性乳がんの適応で承認 ---海洋生物(クロイソカイメン)由来の抗腫瘍性天然物ハリコンドリンBの全合成類縁化合物が前治療歴のある転移性乳がんに対して全生存期間を統計学的有意差をもって延長---” (プレスリリース), エーザイ, (2010年11月16日), http://www.eisai.co.jp/news/news201064.html 2010年11月16日閲覧。
- ^ “FDA approves new treatment option for late-stage breast cancer” (プレスリリース), USFDA, (2010年11月15日), http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm233863.htm 2010年11月15日閲覧。
- ^ “抗がん剤「HALAVEN™」 欧州の医薬品委員会より転移性乳がん治療薬として承認勧告を受領” (プレスリリース), エーザイ, (2011年1月24日), http://www.eisai.co.jp/news/news201106.html 2011年4月25日閲覧。
- ^ “抗悪性腫瘍剤「ハラヴェン®」日本において、手術不能又は再発乳がんの適応で製造販売承認を取得” (プレスリリース), エーザイ, (2011年4月22日), http://www.eisai.co.jp/news/news201133.html 2011年4月25日閲覧。
- ^ ClinicalTrials.gov. “Search of- eribulin - List Results”. 2010年11月16日閲覧。
- ^ Towle MJ, Salvato KA, Budrow J, Wels BF, Kuznetsov G, Aalfs KK, Welsh S, Zheng W, Seletsk BM, Palme MH, Habgood GJ, Singer LA, Dipietro LV, Wang Y, Chen JJ, Quincy DA, Davis A, Yoshimatsu K, Kishi Y, Yu MJ, Littlefield BA (February 2001), “In vitro and in vivo anticancer activities of synthetic macrocyclic ketone analogues of halichondrin B”, Cancer Res. 61 (3): 1013–21, PMID 11221827
- ^ Hirata Y, Uemura D (1986), “Halichondrins - antitumor polyether macrolides from a marine sponge”, Pure Appl. Chem. 58 (5): 701–710, doi:10.1351/pac198658050701
- ^ Bai RL, Paull KD, Herald CL, Malspeis L, Pettit GR, Hamel E (August 1991), “Halichondrin B and homohalichondrin B, marine natural products binding in the vinca domain of tubulin. Discovery of tubulin-based mechanism of action by analysis of differential cytotoxicity data”, J. Biol. Chem. 266 (24): 15882–9, PMID 1874739
- ^ Jordan MA, Kamath K, Manna T, Okouneva T, Miller HP, Davis C, Littlefield BA, Wilson L (July 2005), “The primary antimitotic mechanism of action of the synthetic halichondrin E7389 is suppression of microtubule growth”, Mol. Cancer Ther. 4 (7): 1086–95, doi:10.1158/1535-7163.MCT-04-0345, PMID 16020666
- ^ Okouneva T, Azarenko O, Wilson L, Littlefield BA, Jordan MA (July 2008), “Inhibition of centromere dynamics by eribulin (E7389) during mitotic metaphase”, Mol. Cancer Ther. 7 (7): 2003–11, doi:10.1158/1535-7163.MCT-08-0095, PMC 2562299, PMID 18645010
- ^ Smith JA, Wilson L, Azarenko O, Zhu X, Lewis BM, Littlefield BA, Jordan MA (February 2010), “Eribulin binds at microtubule ends to a single site on tubulin to suppress dynamic instability”, Biochemistry 49 (6): 1331-7, doi:10.1021/bi901810u, PMC 2846717, PMID 20030375
- ^ Kuznetsov G, Towle MJ, Cheng H, Kawamura T, TenDyke K, Liu D, Kishi Y, Yu MJ, Littlefield BA (August 2004), “Induction of morphological and biochemical apoptosis following prolonged mitotic blockage by halichondrin B macrocyclic ketone analog E7389”, Cancer Res. 64 (16): 5760–6, doi:10.1158/0008-5472.CAN-04-1169, PMID 15313917
- ^ Kim DS, Dong CG, Kim JT, Guo H, Huang J, Tiseni PS, Kishi Y (November 2009), “New syntheses of E7389 C14-C35 and halichondrin C14-C38 building blocks: double-inversion approach”, J. Am. Chem. Soc. 131 (43): 15636–41, doi:10.1021/ja9058475, PMID 19807076
外部リンク[編集]
- E7389 - エーザイ用語集
- 科学専門誌『Nature』に新規抗がん剤「Halaven」の開発から承認にいたる経緯が紹介される
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 骨・軟部腫瘍 (第5土曜特集 がん標的分子と治療開発 : 現状と将来) -- (各臓器別の新薬開発の現状と将来)
- 高知県医師会医学雑誌 = Journal of Kochi Medical Association 21(1), 99-107, 2016
- NAID 40020822894
- 悪性軟部腫瘍に対するエリブリンメシル酸塩(ハラヴェン<sup>®</sup>静注1 mg)の臨床効果と抗腫瘍メカニズムについて
Related Links
- エリブリン(植物アルカロイド) 商品名(製造・販売会社) ハラヴェン(エーザイ) 潮間帯の岩に付着しているクロイソカイメン(海洋生物)から抽出したハリコンドリンB1という天然物質に着目して合成開発された、日本生まれの ...
- 第49回米国臨床腫瘍学会年次総会において転移性乳がん患者様のQOLに関する「ハラヴェン®」(エリブリン)とカペシタビンとの比較検討結果を発表
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ハラヴェン静注1mg
組成
- 本剤は、下記の成分を含有する無色澄明な注射剤である。
有効成分:エリブリンメシル酸塩
添加物:無水エタノール
添加物:塩酸
添加物:水酸化ナトリウム
禁忌
- 高度な骨髄抑制のある患者
〔骨髄抑制を悪化させる可能性がある。〕
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
〔「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照〕
効能または効果
手術不能又は再発乳癌
- 本剤の術前・術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
- 本剤の投与を行う場合には、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤及びタキサン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法を施行後の増悪若しくは再発例を対象とすること。
悪性軟部腫瘍
- 本剤の化学療法未治療例における有効性及び安全性は確立していない。
- 臨床試験に組み入れられた患者の病理組織型等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で、適応患者の選択を行うこと。(「臨床成績」の項参照)
- 通常、成人には、エリブリンメシル酸塩として、1日1回1.4mg/m2(体表面積)を2〜5分間かけて、週1回、静脈内投与する。これを2週連続で行い、3週目は休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
- 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
- 本剤の投与にあたっては、以下の基準を参考に必要に応じて、投与を延期、減量又は休薬すること。
各サイクル1週目
投与開始基準
- 下記の基準を満たさない場合、投与を延期する。
・好中球数:1,000/mm3以上
・血小板数:75,000/mm3以上
・非血液毒性:Grade2注1)以下
減量基準
- 前サイクルにおいて以下の副作用等が発現した場合、減量した上で投与する注2)。
・7日間を超えて継続する好中球数減少(500/mm3未満)
・発熱又は感染を伴う好中球数減少(1,000/mm3未満)
・血小板数減少(25,000/mm3未満)
・輸血を要する血小板数減少(50,000/mm3未満)
・Grade3注1)以上の非血液毒性
・副作用等により、2週目に休薬した場合
各サイクル2週目
投与開始基準
- 下記の基準を満たさない場合、投与を延期する。
・好中球数:1,000/mm3以上
・血小板数:75,000/mm3以上
・非血液毒性:Grade2注1)以下
投与再開基準
- 投与延期後1週間以内に上記の投与開始基準を満たした場合、減量して投与する注2)。
休薬基準
- 投与延期後1週間以内に上記の投与開始基準を満たさない場合は、休薬する。
- 注1)Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)に基づく。
- 注2)減量を行う際、次の用量を参考にすること。
- 減量前の投与量:1.4mg/m2 → 減量後の投与量:1.1mg/m2
- 減量前の投与量:1.1mg/m2 → 減量後の投与量:0.7mg/m2
- 減量前の投与量:0.7mg/m2 → 減量後の投与量:投与中止を考慮
- 肝機能障害を有する患者に投与する場合は、減量を考慮すること。〔「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照〕
- 本剤投与時、希釈する場合は日本薬局方生理食塩液を使用すること。
慎重投与
- 骨髄抑制のある患者
〔「重要な基本的注意」の項参照〕
- 肝機能障害のある患者
〔肝機能障害患者では、本剤のAUCが増加し、好中球減少の発現頻度が高くなる傾向がある。「薬物動態」の項参照〕
- 腎機能障害のある患者
〔腎機能障害患者では、本剤のAUCが増加する傾向がある。「薬物動態」の項参照〕
- 高齢者
〔「高齢者への投与」の項参照〕
重大な副作用
骨髄抑制注1)
- 白血球減少(99.2%)、好中球減少(98.5%)、リンパ球減少(63.6%)、貧血(23.5%)、ヘモグロビン減少(21.2%)、発熱性好中球減少(12.1%)、血小板減少(9.1%)、赤血球減少(3.8%)、汎血球減少(頻度不明注2))等の骨髄抑制があらわれることがあるので、頻回に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、減量や休薬等の適切な処置を行うこと。
感染症
- 敗血症(頻度不明注2))、肺炎(頻度不明注2))等の感染症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量や休薬等の適切な処置を行うこと。
末梢神経障害(末梢性ニューロパチー)注1)
- 末梢神経障害(28.0%)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、しびれ等の症状が認められた場合には、減量や休薬等の適切な処置を行うこと。
肝機能障害注1)
- 肝機能障害(8.3%)があらわれることがあるので、肝機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量や休薬等の適切な処置を行うこと。
間質性肺炎注1)
- 間質性肺炎(1.5%)があらわれることがあるので、胸部X線検査等を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐Johnson症候群)、多形紅斑
- 皮膚粘膜眼症候群(頻度不明注2))、多形紅斑(頻度不明注2))があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
作用機序
- エリブリンメシル酸塩は、チューブリンの重合を阻害して微小管の伸長を抑制することで正常な紡錘体形成を妨げる。その結果、G2/M期で細胞分裂を停止させてアポトーシスによる細胞死を誘導し、腫瘍増殖抑制作用を示す。15) 16) 17) 18)
抗腫瘍効果
in vitro試験
- エリブリンメシル酸塩は、ヒト乳癌由来細胞株(MDA‐MB‐231、MDA‐MB‐435、MDA‐MB‐468及びHCC1806)に対して、細胞増殖抑制作用を示した。15) 19)
- β‐チューブリン変異を有するパクリタキセル耐性ヒト卵巣癌由来細胞株(1A9PTX10及び1A9PTX22)に対して、エリブリンメシル酸塩の細胞増殖抑制作用は減弱しなかった。19)
in vivo試験
- エリブリンメシル酸塩は、ヒト乳癌由来細胞株(MDA-MB-435、MX-1及びUISO-BCA-1)、ヒト線維肉腫由来細胞株(HT-1080)、ヒト平滑筋肉腫由来細胞株(SK-LMS-1)及びヒトユーイング肉腫由来細胞株(A673)皮下移植マウスに対して、腫瘍増殖抑制作用を示し、実験終了時点まで腫瘍の完全退縮が維持されていたマウスも観察された。15) 20) 21)
有効成分に関する理化学的知見
一 般 名
- エリブリンメシル酸塩(Eribulin Mesilate)
化 学 名
- (2R, 3R, 3aS, 7R, 8aS, 9S, 10aR, 11S, 12R, 13aR, 13bS, 15S, 18S, 21S, 24S, 26R, 28R, 29aS)‐2‐[(2S)‐3‐Amino‐2‐hydroxypropyl]‐3‐methoxy‐26‐methyl‐20, 27‐dimethylidenehexacosahydro‐11, 15:18, 21:24, 28‐triepoxy‐7, 9‐ethano‐12, 15‐methano‐9H, 15H‐furo[3, 2‐i]furo[2´, 3´:5, 6]pyrano[4, 3‐b][1, 4]dioxacyclopentacosin‐5(4H)‐one monomethanesulfonate
分 子 式
分 子 量
構 造 式
物理化学的性状
- エリブリンメシル酸塩は白色の粉末である。
本品は水、メタノール、エタノール(99.5)、ベンジルアルコール及びジメチルスルホキシドに溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けにくい。
融 点
分配係数
- 2.25(1‐オクタノール/緩衝液、イオン強度0.3)
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3