- 英
- molecular target drug
- 関
- 分子標的治療薬、分子標的薬剤
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分子標的治療(ぶんしひょうてきちりょう、英: targeted therapy)とは、ある特定の分子を標的として、その機能を制御することにより治療する療法。
正常な体と病気の体の違いあるいは癌細胞と正常細胞の違いをゲノムレベル・分子レベルで解明し、がんの増殖や転移に必要な分子を特異的に抑えたり関節リウマチなどの炎症性疾患で炎症に関わる分子を特異的に抑えたりすることで治療する。従来の多くの薬剤もその作用機序を探ると何らかの標的分子を持つが、分子標的治療は創薬や治療法設計の段階から分子レベルの標的を定めている点で異なる。また、この分子標的治療に使用する医薬品を分子標的治療薬と呼ぶ。
以下この項目では、分子標的薬の多くががん治療薬であることから、 狭義の分子標的治療であるがん治療への分子標的治療薬を中心に記述する。
目次
- 1 歴史
- 2 特徴
- 3 種類
- 4 低分子医薬品
- 4.1 チロシンキナーゼ阻害剤
- 4.2 Rafキナーゼ阻害薬
- 4.3 プロテアソーム阻害剤
- 5 抗体医薬品
- 5.1 モノクローナル抗体
- 5.1.1 マウス抗体(語尾が〜omabと表記)
- 5.1.2 キメラ抗体(語尾が〜ximabと表記)
- 5.1.3 ヒト化抗体(語尾が〜zumabと表記)
- 5.1.4 ヒト抗体(語尾が〜mumabと表記)
- 6 第三世代抗体薬
- 7 広義の分子標的薬
- 7.1 mTOR阻害剤
- 7.2 関節リウマチ等の治療薬
- 7.2.1 TNF阻害薬
- 7.2.2 インターロイキン(IL)阻害薬
- 7.2.3 T細胞阻害薬
- 8 関連
- 9 参照文献・引用
歴史[編集]
がん(その他、自己免疫疾患、臓器移植など)治療で、特有あるいは過剰に発現している、特定の標的(分子)を狙い撃ちにしてその機能を抑える薬剤により治療する方法が、いわゆる「分子標的治療」である。
この呼称はモノクローナル抗体の開発が始まった1980年代初頭より使用され始めた。1980年代にCEAなどの腫瘍関連抗原に対する抗体療法がマウスモノクローナル抗体で試みられたが成功しなかった。そこで、マウス抗体の定常領域をヒト由来のものに置き換えたキメラ抗体が開発され、1997年にリツキシマブとして、抗体医薬品が初めて承認された。しかし、その後ヒト抗キメラ抗体の出現や重篤なアレルギー反応が報告されたため、あらたにヒト化抗体が開発された。その後1990年代後半には完全ヒト化抗体が作成された。
「分子標的治療」が一般的に使われ出したのは、メシル酸イマチニブやゲフィチニブなどの低分子化合物が臨床使用され始めた1990年代末からとされる。特に2001年に承認されイマチニブは、慢性骨髄性白血病(CML)にたいして大きな効果を発揮し、分子標的薬の評価を飛躍的に高めた。また創薬期間は、イマニチブでは標的分子発見後40年を経て薬剤が承認されたが、BRAF 阻害薬では標的分子発見が約10年で承認され、クリゾチニブでは承認までの時間が4年など、コンピューターとゲノム医科学の進歩により標的分子発見後の創薬期間が短縮化される傾向にある。
なお、分子標的薬はその効果を高めるため、抗体と細胞毒性物質のみならず放射性同位元素などを結合させた融合抗体(抱合薬)などを出現させ、その形を広げつつある。病態形成の本質たる原因分子標的が明らかになることによって、今後目覚ましい治療効果が得られる[1]とされる。
特徴[編集]
従来の抗癌剤(殺細胞性抗癌剤)が細胞傷害を狙うのに対し、分子標的治療薬は多くが細胞増殖に関わる分子を阻害する。そのため臨床応用される以前は分子標的治療は腫瘍を縮小させず、増大を抑えるのみであると考えられていた。癌細胞特異的に効果を示す(ことが期待できる)ため至適投与量は最大耐用量ではなく、最小有効量でありまた最大耐容量と最小有効量の差が大きい可能性があり、そのため毒性のプロファイルが異なることが期待される。
しかし、実際に分子標的治療が広く行われるようになると分子標的治療薬は腫瘍縮小効果を示し、それもゲフィチニブの標的分子である変異EGFRのように当初想定していなかった未知の分子が標的となり臨床効果を示す可能性がでてきた。毒性に関しても間質性肺炎のように想定していなかった致死的毒性が出る可能性があり、一概に毒性が少ないとは言えないことが判明した。
種類[編集]
分子標的治療薬には以下の2つがある
- 低分子医薬(低分子医薬品…主に低分子化合物/Small molecule)
- 抗体医薬(抗体医薬品…主にモノクローナル抗体/Monoclonal antibody)
低分子医薬品[編集]
低分子医薬品には以下の種類がある。主な特徴として以下がある。
- 分子量300から500と小さく、血液脳関門も通ることができ、さらに細胞膜の中や核にまで入り込むことができる。標的となるタンパク質に結合して働きが止まることで薬の効果が発揮される。
チロシンキナーゼ阻害剤[編集]
- イマチニブ(グリベック)
- Bcr-AblチロシンキナーゼおよびKITチロシンキナーゼ阻害剤であり、慢性骨髄性白血病、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)、消化管間質腫瘍(GIST)の治療に使用される。
- ゲフィチニブ(イレッサ)
- 上皮成長因子受容体(EGFR) チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)であり、非小細胞肺癌の治療に使用される。
- エルロチニブ(タルセバ)
- ゲフィチニブと同様EGFR-TKIであり、非小細胞肺癌の治療に使用される。
- ダサチニブ(スプリセル)
- Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤でありイマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病、再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)の治療に使用される。
- バンデタニブ(ZD6474、ザクティマ)
- 血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)と上皮成長因子受容体(EGFR)の両者を阻害する。非小細胞肺癌に対し、臨床試験が進行中である。
- スニチニブ(SU11248、スーテント)
- 血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)キナーゼ、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)キナーゼ、KITキナーゼを阻害する。GISTや腎細胞癌の治療に使用される。
- ラパチニブ(GW572016、タイケルブ)
- 上皮成長因子受容体(EGFR)とHer2/neuの双方を阻害する二重チロシンキナーゼ阻害剤であり、HER2過剰発現乳癌に対し使用される。
- ニロチニブ(タシグナ)
- Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤でありイマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病(CML)の治療に使用される。
- クリゾチニブ(XALKORI)
- 退形成性リンパ腫キナーゼ(ALK)の阻害剤である。リンパ腫や肺がんの非小細胞癌に聞く可能性が示唆されている。特にALKの転座を持ったものに著効し、第二のグリベックとも呼ばれる。
Rafキナーゼ阻害薬[編集]
- ソラフェニブ(BAY 43-9006、ネクサバール)
- Rafキナーゼ、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)キナーゼ、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)キナーゼ、KITキナーゼを阻害する。複数のキナーゼを阻害するためマルチキナーゼ阻害薬とも呼ばれる。腎細胞癌や肝細胞癌に対し保険適応があり、乳癌に対しても臨床試験中。
プロテアソーム阻害剤[編集]
- ボルテゾミブ(ベルケイド)
- 選択的かつ可逆的なプロテアソーム阻害剤であり、多発性骨髄腫の治療に使用される。
抗体医薬品[編集]
- 血清療法(1901年にベーリング らがウサギから取り出した破傷風菌の抗体の発見から、感染症の治療に抗毒素を含む血清を用いることを提唱した=血清療法)に起源をもち、その後抗体医薬とよばれる血清中から抗体のみ分離した免疫グロブリン製剤(第一世代抗体医薬品)が開発された。この製剤は免疫学的なメカニズムでがんを治療するところは血清療法と同じで、抗体の結合数が少ないと効果が薄かった。
- その後に、ハイブリドーマ技術の開発によりモノクローナル抗体を血清を使わずに簡単に製造が可能となり(第二世代抗体医薬品)ようやく、抗体にアイソトープをつけてがんの治療効果高める事に成功したが、副作用が重く、しかも製薬のコスト面にも大きな問題がある。[2]。
- 分子量50万~70万のタンパク質であり細胞膜表面の受容体の細胞外に出ている突起などに作用する(細胞内には入れない)。ADCC活性(抗原抗体反応+NK細胞で標的化)、CDC活性(抗原抗体反応+補体の活性化でがん細胞のアポとシースを促す)。ほとんどが、生体防御に寄与するタンパク質の免疫グロブリン(immunoglobulin)によるADCCの活性化[3]。
モノクローナル抗体[編集]
免疫グロブリン製剤で、抗原抗体反応を利用して特定の分子の機能を阻害する。また、ADCC(抗体依存性細胞介在性障害作用)やCDC(補体依存性細胞障害作用)が治療効果に関与しているものもある。
マウス抗体(語尾が〜omabと表記)[編集]
1980年代に臨床試験が行われたが、Fc部分がマウス由来であるため効果が不十分であり、また免疫原性があるためショック症状を引き起こすなどの副作用があるため使用されなくなった。
キメラ抗体(語尾が〜ximabと表記)[編集]
可変領域はマウス由来であるが、その他の定常領域をヒト由来の免疫グロブリンに置換したもの。
- リツキシマブ(リツキサン)
- 抗CD20抗体であり、B細胞性非ホジキンリンパ腫、B細胞性慢性リンパ性白血病やB細胞前リンパ球性白血病、関節リウマチなどの自己免疫疾患の治療に使用される。
- セツキシマブ(アービタックス)
- 抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体であり、大腸癌、頭頸部癌に使用される。
- インフリキシマブ(レミケード)
- 抗TNF-α抗体であり、エタネルセプト同様関節リウマチなどの自己免疫疾患の治療や、クローン病の治療に用いられる。
- バシリキシマブ(シムレクト小児用静注用)
- 抗IL-2レセプターα鎖(CD25)抗体であり、IL-2とIL-2レセプターの結合を阻害し、腎移植において急性拒絶反応抑制効果を示す。
ヒト化抗体(語尾が〜zumabと表記)[編集]
可変領域のうち相補性決定領域(complementarity-determining region:CDR)がマウス由来で、その他のフレームワーク領域(framework region:FR)をヒト由来としたもの。免疫原性はキメラ抗体よりもさらに低減する。
- トシリズマブ(アクテムラ)
- 抗ヒトIL-6レセプター抗体製剤で関節リウマチ、キャッスルマン病に用いられる。
- トラスツズマブ(ハーセプチン)
- 抗HER2抗体であり、乳癌の治療に使用される。
- ベバシズマブ(アバスチン)
- 抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)抗体であり、大腸癌、非小細胞肺癌、乳癌の治療に使用される。
- 新生血管を阻害するため加齢黄斑変性への応用が期待されている。
- オマリズマブ(ゾレア)
- ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体であり、既存の治療でコントロール困難な気管支喘息の治療に使用される。
- メポリズマブ(ボサトリア)
- 抗IL-5モノクローナル抗体で、特発性好酸球増加症候群の治療薬として開発中。
- ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ)
- 抗CD33抗体であり、CD33陽性急性骨髄性白血病の治療に使用される。
- モノクローナル抗体ゲムツズマブに抗腫瘍抗生物質カリケアマイシン誘導体のオゾガマイシンが結合している。
- パリビズマブ(シナジス)
- 抗RSウイルス抗体であり、新生児や乳児でのRSウイルス感染の予防に使用される。
- ラニビズマブ(ルセンティス)
- 抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)抗体であり、加齢黄斑変性の治療に使用される。
- セルトリズマブ(シムジア)
- PEG化 抗ヒトTNF-α抗体であり、クローン病の治療に用いられる。
- オクレリズマブ
- ヒト化抗CD20受容体抗体で、関節リウマチの治療薬として開発されたが中断となった。
- モガムリズマブ(ポテリジオ)
- 抗CCR4抗体であり、成人T細胞白血病治療薬としての開発中。
- エクリズマブ(ソリリス)
- ヒト化抗CD5抗体で発作性夜間血色素尿症の治療に使用される。
ヒト抗体(語尾が〜mumabと表記)[編集]
ヒト抗体遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを用いて、完全なヒト型抗体の産生が試みられている。
- パニツムマブ(ベクティビックス)
- ヒト型抗上皮成長因子受容体(EGFR)モノクローナル抗体で、大腸癌・直腸癌の治療に用いられる。
- オファツムマブ(アルゼラ)
- ヒト化抗CD20抗体で、B細胞性慢性リンパ性白血病の治療に用いられる。
- ゴリムマブ(シンポニ)
- 抗ヒトTNF-α抗体で、関節リウマチの治療に用いられる。
- イピリムマブ(ヤーボイ)
- CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4、CD152)ヒト化抗体で、悪性黒色腫の治療に用いられる。
第三世代抗体薬 [編集]
強い効果、少ない副作用、開発製造コストの大幅削減を主眼にして現在開発が進む抗体薬とされるが、大規模な抗体改変産物を設計して製剤化する困難がある。現在、抗体改変で有望視されるものの一つにscFv(single chain Fv)がある[4]。
広義の分子標的薬[編集]
mTOR阻害剤 [編集]
mTOR(哺乳類ラパマイシン標的蛋白質)阻害剤では、腎細胞がんの治療薬として、経口薬のエベロリムス(アフィニトール)や、ラパマイシン誘導体静注薬のテムシロリムス(トーリセル)などがある。
関節リウマチ等の治療薬[編集]
- 生物学的製剤…関節リウマチ治療薬としての分子標的薬は、通常は生物学的製剤と呼ばれる。細胞表面機能分子を標的とするものと、炎症性サイトカインやその受容体を標的とする薬剤とに大きく分けられる。
TNF阻害薬[編集]
- インフリキシマブ(レミケード) キメラ型抗TNF-α抗体
- 適応…強直性脊椎炎、ベーチェット病、クローン病、潰瘍性大腸炎、尋常性乾癬。
- エタネルセプト(エンブレル)TNF受容体-Fc 融合蛋白
- 可溶性TNF-α受容体であり、関節リウマチなどの自己免疫疾患の治療に使用される。薬剤に対する抗体を生成しないため、レミケード®と異なり、メソトレキセートの服用を必須としない。
- アダリムマブ(ヒュミラ) ヒト型抗TNF-α抗体
- ヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体で、関節リウマチと乾癬とクローン病の治療に用いられる。
- ゴリムマブ(シンポニー)ヒト型抗TNF-α抗体
インターロイキン(IL)阻害薬[編集]
- アナキンラ(キネレット)
- 抗IL-1レセプター 抗体で、関節リウマチの治療に使用される。感音性難聴の改善に資するとの研究[5]がある。
- トシリズマブ(アクテムラ) ヒト化抗IL-6受容体抗体
T細胞阻害薬[編集]
- アバタセプト(オレンシア)
- 抗CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4、CD152)抗体で、CD28を抑制しT細胞活性を抑制する。関節リウマチやSLEへの臨床試験中。
関連[編集]
- 抗がん剤
- ファイト!小児がんプロジェクト
- 関節リウマチ
参照文献・引用[編集]
- ^ 田中良哉/編 『免疫・アレルギー疾患の分子標的と治療薬事典』 p.14 羊土社 2013年 ISBN 978-4-7581-2041-8
- ^ 協和発酵キリン株式会社ホームページ「抗体物語」抗体物語>3抗体の応用・抗体医療>其の14「抗体医薬、発展の歴史」より[1]
- ^ 国立医薬品食品衛生研究所ホーム・ページ 生物薬品部「抗体医薬品に関する情報」[2] より
- ^ 次世代計算科学研究開発プログラム事務局ホームページ 次世代計算科学研究開発プログラム>次世代生命体統合シミュレーションソフトウェアの研究開発>第3回バイオスーパーコンピューティングシンポジウム>進行がんにたいする人工抗体のスーパーコンピューターを用いた分子設計 「進行がんにたいする人工抗体のスーパーコンピューターを用いた分子設計」児玉 龍彦 [3]より
- ^ Hasegawa M, Kawasaki A, Yang K, Fujimoto Y, Masumoto J, Breukink E, 他.: "A role of lipophilic peptidoglycan-related molecules in induction of Nodl-mediated immune responses" Journal of Biological Chemistry 282巻・16号. 11757-11764 (2007), 1
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- 分子標的薬とは、がん細胞の持つ特異的な性質を分子レベルでとらえ、それを標的 として効率よく作用するようにつくられた薬です。がん細胞を狙って作用するため、副作用 をより少なく抑えながら治療効果を高めると期待されています。
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- 27歳の女性。発熱と顔面の紅斑との精密検査のため4日前から入院中である。3か月前から手指の関節痛を自覚していた。1か月前から顔面の紅斑と37℃台の発熱も出現したため受診した。来院時、意識は清明。体温37.5℃。脈拍 84/分、整。血圧 106/72mmHg。両側頬部に浮腫状の紅斑を認めた。心音と呼吸音とに異常を認めなかった。両側の手関節と肘関節とに圧痛を認めた。尿所見:蛋白(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球 405万、Hb 11.1g/dL、Ht 34%、白血球 2,500(好中球 70%、好酸球 1%、好塩基球 1%、単球 4%、リンパ球 24%)、血小板 15万、PT-INR 1.3(基準 0.9~1.1)、APTT 38.9秒(基準対照 32.2)。血液生化学所見:尿素窒素 12mg/dL、クレアチニン 0.5mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 108mEq/L。免疫血清学所見:CRP 0.3mg/dL、リウマトイド因子(RF)陰性、抗核抗体 1,280倍(基準 20以下)、抗DNA抗体 60IU/mL(基準7以下)、CH50 2U/mL(基準 30~40)、C3 32mg/dL(基準 52~112)、C4 3mg/dL(基準 16~51)。本日から頭痛、めまい及び嘔吐が出現し、7%重炭酸ナトリウムを静脈投与されたが改善しない。意識は清明。水平眼振を認める。頭部CT(別冊No. 15A)と頭部MRIのFLAIR像(別冊No. 15B、C)とを別に示す。脳脊髄液所見に異常を認めない。
- 次に行う治療はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111D035]←[国試_111]→[111D037]
[★]
- 67歳の女性。根治的右腎摘除術後の治療効果の確認のために来院した。1年前に長径11cm大の右腎細胞癌と多発肺転移に対して、根治的右腎摘除術を受けており、術直後から肺転移巣に対してインターフェロンαの自己投与を週3回施行している。インターフェロン導入11か月後の治療効果の確認のため受診した。現在、他の疾患は認めていない。体温 36.2℃。血圧 132/84mmHg。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球 1~5/1視野、白血球 1~5/1視野。血液所見:赤血球 420万、Hb 12.8g/dL、Ht 41%、白血球 3,900、血小板 17万。血液生化学所見:総蛋白 7.0g/dL、アルブミン 3.8g/dL、総ビリルビン 1.1mg/dL、AST 34U/L、ALT 36U/L、LD 176U/L(基準 176~353)、γ-GTP 38U/L(基準 8~50)、尿素窒素 20mg/dL、クレアチニン 1.0mg/dL、尿酸 7.1mg/dL、血糖 96mg/dL、Na 137mEq/L、K 3.9mEq/L、Cl 104mEq/L。CRP 0.1mg/dL。心電図に異常を認めない。11か月前と今回の胸部CT(別冊No. 9)を別に示す。
- 今後の治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112D022]←[国試_112]→[112D024]
[★]
- 59歳の男性。人間ドックで右腎の腫瘍を指摘され来院した。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。身長166cm、体重61kg。体温36.2℃。呼吸数12/分。脈拍64/分、整。血圧128/78mmHg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血1+。血液所見:赤血球 507万.Hb1 5.5g/dl、Ht 44%、白血球 7,000、血小板 21万。血液生化学所見:血糖 98mg/dl、総蛋白 7.5g/dl、アルブミン 4.3g/dl,尿素窒素 17mg/dl、クレアチニン 0.8mg/dL、尿酸 6.8mg/dl、総ビリルビン 0.8mg/dl、AST 19IU/l、ALT 16IU/l、LD 195IU/l(基準176-353)、ALP 249IU/l(基準115-359)、Na 140mEq/l、K 4.1mEq/l、Cl 105mEq/l、Ca 9.3mg/dl、CRP 0.1mg/dl。腹部超音波検査で右腎に長径5cmの占拠性病変を認める。胸腹部単純CTで腎以外に明らかな異常を認めない。骨シンチグラフィに明らかな異常を認めない。腹部造影CT(別冊No.8)を別に示す。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I043]←[国試_105]→[105I045]
[★]
- 78歳の男性。腎細胞癌術後の経過観察のため来院した。3年前に別の医療機関で左腎細胞癌に対して根治的左腎摘除術を受けている。以後、6か月ごとに胸腹部のCT検査を受けていた。6か月前の胸部CTで右肺に直径9mmの単発性の腫瘤を指摘されたが担当医との相談で3か月ごとの経過観察となった。3か月前の胸部CTでは変化を認めない。1か月前に転居し、今回定期検査のために紹介されて受診した。自覚症状を認めない。体温 35.9℃。血圧 128/84mmHg。尿検査に異常を認めない。血液所見と血液生化学所見とに異常を認めない。CRP 0.1mg/dL。診療情報提供書に添付された3か月前の胸部CT(別冊No. 18A)と今回の胸部CT(別冊No. 18B)とを別に示す。胸部以外に新たな病変の出現を認めない。
- 現時点の対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110I054]←[国試_110]→[110I056]
[★]
- 45歳の男性。人間ドックで右腎の腫瘤を指摘されて来院した。1か月前の人間ドックの超音波検査で右腎に直径3cmの腫瘤を指摘された。自覚症状はない。体温 36.3℃。血圧 138/82mmHg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球 1~4/1視野、白血球 1~4/1視野。血液所見:赤血球 440万、Hb 14.8g/dL、Ht 41%、白血球 4,600、血小板 18万。血液生化学所見:総蛋白 7.3g/dL、アルブミン 3.9g/dL、総ビリルビン 1.0mg/dL、AST 38IU/L、ALT 32IU/L、LD 216IU/L(基準 176~353)、γ-GTP 38IU/L(基準 8~50)、尿素窒素 14mg/dL、クレアチニン 0.9mg/dL、尿酸 6.3mg/dL、血糖 82mg/dL、Na 139mEq/L、K 4.6mEq/L、Cl 106mEq/L。CRP 0.2mg/dL。腹部造影CT(別冊No. 19)を別に示す。
- 治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109A040]←[国試_109]→[109A042]
[★]
- 68歳の男性。健康診断で肺野の異常陰影を指摘され精査のため来院した。身長 175cm、体重 71 kg。体温 36.7℃。脈拍 64/分、整。血圧 134/68 mmHg。呼吸数 12/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球 410万、 Hb 13.1 g/dl、Ht 37%、白血球 5,700、血小板 21万。血液生化学所見:総蛋白 7.1 g/dl、アルブミン 3.7 g/dl、AST 37 IU/l、ALT 31 IU/l、LD 126 IU/l(基準 176~353)、尿素窒素 19 mg/dl、クレアチニン 1.0 mg/dl、Na 136 mEq/l、K 4.5 mEq/l、Cl 109 mEq/l、Ca 9.2 mg/dl。CRP0.2 mg/dl。呼吸機能検査所見:% VC 83%、 FEV1% 74%。肺野条件の胸部 CT(別冊 No.28A)と腹部造影 CT再構成三次元画像 (別冊 No.28B)とを別に示す。
- 治療法として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [108D056]←[国試_108]→[108D058]
[★]
- 48歳の女性。 1か月前からの全身倦怠感を主訴に来院した。 42歳時に右乳癌の治療を受けている。乳癌はエストロゲン受容体陰性、 HER2陰性であった。
- 身長158cm、体重54kg。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧120/60mmHg。眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝の辺縁を触知する。
- 血液所見:赤血球324万、 Hb9.6g/dl、 Ht34%、白血球6,700、血小板36万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dl、アルブミン4.0g/dl、尿素窒素16mg/dl、クレアチニン0.7mg/dl、総ビリルビン0.6mg/dl、 AST68IU/l、 ALT80IU/l。 CA15-3 150U/ml(基準30以下)。腹部造影CT(別冊No. 13)を別に示す。治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106A035]←[国試_106]→[106A037]
[★]
- 65歳の男性。血尿を主訴に来院した。3か月前から時々血尿を自覚していたが、自然に消失していたため医療機関を受診していなかった。2日前から血尿が持続するため受診した。喫煙は20本/日を45年間。飲酒はビール350mL/日を20年間。身長 165cm、体重 90kg。血圧 160/100mmHg。尿沈渣に赤血球多数/1視野、白血球5~10/1視野。尿細胞診はクラスⅤ。膀胱内視鏡像(別冊No. 9)を別に示す。脊髄くも膜下麻酔下で経尿道的膀胱腫瘍切除を行った。病理所見では尿路上皮癌pTaと上皮内癌とを認める。術後1か月目に施行した尿細胞診でもクラスⅤであった。
- この患者の治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110A034]←[国試_110]→[110A036]
[★]
- 62歳の男性。咳嗽を主訴に来院した。6か月前に腹部造影CTで異常を認めたため右腎摘出術を受けた。術前の胸部CTでは異常を認めなかった。1か月前から時々せき込むことがあり心配になり受診した。心音と呼吸音とに異常を認めない。身長175cm、体重72kg。体温36.5℃。脈拍72/分、整。血圧136/82mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97%(room air)。血液所見:赤血球420万、Hb 13.4g/dl、Ht41%、白血球7,500、血小板18万。CRP 0.1mg/dl。胸部単純CTで両肺に複数の腫瘤陰影を認める。右腎摘出前の腹部造影CT(別冊No.28)を別に示す。
- 治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [107I077]←[国試_107]→[107I079]
[★]
- 58歳の男性。PSA高値を指摘され来院した。7年前から人間ドックで定期的にPSAを測定していたが基準値を超えたため受診した。排尿障害を認めない。直腸指診で前立腺はくるみ大、弾性硬で両葉に小結節を触知する。PSA 6.5ng/mL(基準 4.0以下)。骨盤部MRIのT2強調像で前立腺辺縁領域に低信号を認めるため前立腺生検を施行した。病理診断では前立腺左葉の6本中2本、右葉の6本中1本に中分化腺癌(Gleason score4+4)を認める。骨シンチグラフィでは異常な集積を認めない。
- 対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [110D057]←[国試_110]→[110D059]
[★]
- 57歳の女性。不正性器出血を主訴に来院した。54歳で閉経した。6か月前から性器出血が出現し、1か月前から持続するようになった。自宅近くの診療所で子宮内膜生検により子宮体癌(子宮内膜癌)と診断された。身長 155cm、体重 80kg。血液検査では軽度の貧血以外の異常を認めない。画像検査では子宮外への進展や転移を認めない。骨盤単純MRIのT2強調矢状断像(別冊No. 29)を別に示す。
- この患者に行う治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114D063]←[国試_114]→[114D065]
[★]
- 60歳の男性。血尿を主訴に来院した。3か月前から時々血尿を自覚していたが、自然に消失していたため医療機関を受診していなかった。2日前から血尿が持続するため受診した。喫煙は20本/日を40年間。飲酒は日本酒を1合/日。身長 165cm、体重 62kg。血圧 128/78mmHg。尿所見は沈渣で赤血球 多数/HPF、白血球 5~10/HPF。膀胱鏡像(別冊No. 8)を別に示す。
- 適切な治療はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113A026]←[国試_113]→[113A028]
[★]
- 51歳の女性。左腎細胞癌に対して根治的左腎摘除術を受けている。術後10か月で、両肺に径1cm未満の肺転移が複数出現した。肺転移に対して、まず行うべき治療として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [113C049]←[国試_113]→[113C051]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [113A003]←[国試_113]→[113A005]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107I029]←[国試_107]→[107I031]
[★]
- 英
- molecular target drug
- 関
- 分子標的薬、分子標的薬剤
[★]
分子標的薬、分子標的治療薬、分子標的薬剤
[★]
- 英
- molecular target drug
- 関
- 分子標的治療薬、分子標的薬
[★]
- 英
- drug, agent
- 同
- 薬物
- 関
- 作用薬、剤、ドラッグ、媒介物、病原体、麻薬、薬剤、薬物、代理人、薬品
[★]
- 関
- 分子的、モル
[★]
- 英
- target
- 関
- ターゲット、的、標的にする