- 英
- benign neoplasm
- 関
- がん、腫、腫瘍、良性腫瘍
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/07/26 01:05:29」(JST)
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良性腫瘍(りょうせいしゅよう)とは病理学的に悪性所見を持たない腫瘍のことである。
目次
- 1 病理学的特徴
- 2 臨床的な取り扱い
- 3 良性腫瘍の一覧
- 4 関連項目
 
病理学的特徴
すなわち、良性腫瘍細胞は自律的な増殖をするものの、自らどこまでも自律的に増殖できる環境を作っていく能力をもたず、発生した場所で増殖するのみであり、栄養血管の不足などそれ以上の増殖を許さない環境が生じた時点で増殖を停止する。分化度の高い悪性腫瘍より、更に分化度の高い腫瘍と言うこともできる。なお、発がん機構は多段階であり、良性腫瘍と悪性腫瘍の境界線は必ずしも明らかではない。
形態的には、概ね以下のような特徴を示す(全ての良性腫瘍に当てはまる訳ではなく、またこの特徴に当てはまる腫瘍が全て良性という訳でもない)。
- 周囲の組織を圧排しながら増殖し、肉眼的にも顕微鏡的にも、周囲との境界が明瞭な膨脹性増殖を示す。転移や浸潤傾向を示さない。
- 発生母地の組織とあまり変わらない(=類器官的 organoid な)組織構造を示す。即ち構造異型が小さい。(とは言え、全くの正常構造ではない。例えば腺腫の腺管は極性を持たない走行を示し、また三次元的なネットワークを構成している。)
- 個々の細胞の形態も母地の正常細胞とあまり大きな隔たりがない。即ち細胞異型が小さい。
- 細胞周期が長い。また、異常核分裂を起こさない。
臨床的な取り扱い
(生物学的な)良性腫瘍の診断は必ずしも臨床的な予後が良好であることを意味しない。例えば脳幹部に発生した低異型度髄膜腫は良性腫瘍であるが、治療困難であり、かつ脳幹を圧迫して予後不良であるため臨床悪性である。
また、悪性腫瘍はしばしば良性腫瘍の中から発生する(=良性腫瘍が悪性化する)ため、臨床的にはその意味でも、腫瘍の良悪の明らかな境界線が引きづらいことが多い。例えば大腸ポリープを例にとると、数ミリのポリープは腺腫でありそのまま推移すれば概ね良性であるが、数センチを超えるとかなりの確率で腺癌細胞が現れ大腸癌化することが知られている。したがって、良性腫瘍は前がん状態と見ることもできるが、がんの細胞分化に関しては未解明の部分が多く、この考えに対する異論もある。
良性腫瘍の一覧
メルクマニュアル[1]に記述されている主な良性腫瘍を抜粋して次に示す。
- 脳の良性腫瘍
- 骨の良性腫瘍
- 骨軟骨性外骨症
- 軟骨腫
- 軟骨芽細胞腫
- 類骨骨腫
- 巨細胞腫
 
- 食道の良性腫瘍
- 小腸の良性腫瘍
- 平滑筋腫
- 脂肪腫
- 神経線維腫
- 線維腫
- 血管腫
- ポリープ
 
- 肝臓の良性腫瘍
- 胆管の良性腫瘍
- 耳の良性腫瘍
- 鼻腔内の良性腫瘍
- 線維腫
- 血管腫
- 神経線維腫
- 神経鞘腫
- 骨化性線維腫
 
- 喉頭の良性腫瘍
- 口腔・唾液腺の良性腫瘍
- 良性多形性腺腫
- 単形性腺腫
- オンコサイトーマ
- 乳頭状リンパ腫嚢腺腫
- エナメル上皮腫
 
- 皮膚、皮下組織の良性腫瘍
- 母斑
- 懸垂線維腫
- 血管腫
- 血管性母斑
- リンパ管腫
- 化膿性肉芽腫
- 脂漏性角化症
- 皮膚線維腫
- ケラトアカントーマ
- ケロイド
- 脂肪腫
- 褐色脂肪腫
- 神経線維腫
- シュワン細胞(神経鞘)腫
- 粉瘤(アテローム)
 
関連項目
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|  呼吸器疾患(ICD-10 J00〜99) |  
|  |  
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|  疾患 |  
|  |  
| 
| 閉塞性肺疾患 | 
| 慢性閉塞性肺疾患 | 気管支喘息 | 慢性気管支炎 | 肺気腫 | びまん性汎細気管支炎 |  |  
|  |  
| 拘束性肺疾患 | 
| 特発性 | IPF | NSIP | COP | AIP | DIP | RB-ILD | LIP |  
|  |  
| 続発性 | 塵肺 | 放射線肺炎 | 薬剤性肺炎 |  
|  |  
| 無気肺 | 気胸 | 血胸 |  |  
|  |  
| 形態異常 | 気管支拡張症 | 肺分画症 | 肺嚢胞症 |  
|  |  
| 腫瘍 | 
| 良性腫瘍 | 肺過誤腫 | 硬化性血管腫 |  
|  |  
| 悪性腫瘍 | 低悪性度肺腫瘍 | 原発性肺癌 | 転移性肺癌 | 中皮腫 |  |  
|  |  
| アレルギー | 
| 気管支喘息 | アスピリン喘息 |  
|  |  
| 好酸球性肺炎 | Löffler症候群 | 急性好酸球性肺炎 | 慢性酸球性肺炎 | 好酸球増加症候群 |  
|  |  
| 過敏性肺臓炎 | サルコイドーシス | グッドパスチャー症候群 |  |  
|  |  
| 肺循環障害 | 肺血栓塞栓症 | 肺性心 | 新生児呼吸窮迫症候群 | 急性呼吸窮迫症候群 |  
|  |  
| 肺代謝異常 | 肺胞蛋白症 | 肺胞微石症 |  
|  |  
| 機能的障害 | 過換気症候群 | 睡眠時無呼吸症候群 |  
|  |  
| 感染性疾患 | 
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| 気道感染 |  
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| 上気道 | 
| 風邪 | ライノウイルス - アデノウイルス - パラインフルエンザウイルス - RSウイルス - コロナウイルス - エコーウイルス - エンテロウイルス |  
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| 喉頭炎 | 急性喉頭蓋炎 - クループ |  
|  |  
| 咽頭炎 |  |  
|  |  
| 下気道 | 急性細気管支炎 |  
|  |  
| 肺炎 | 
| 原因 | 
| 定型肺炎 | 
| グラム陽性 | 肺炎球菌 - 黄色ブドウ球菌 |  
|  |  
| グラム陰性 | 肺炎桿菌 - インフルエンザ菌 - モラクセラ - 大腸菌 - 緑膿菌 |  |  
|  |  
| 非定型肺炎 | 
| ウイルス性 | RSウイルス - インフルエンザ肺炎 - 重症急性呼吸器症候群 |  
|  |  
| 肺真菌症 | ニューモシスチス肺炎 - クリプトコッカス症 - アスペルギルス症 |  
|  |  
| レジオネラ菌 - マイコプラズマ - クラミジア肺炎 - オウム病 |  |  
|  |  
| 抗酸菌症 | 結核 - 非結核性抗酸菌症 |  |  
|  |  
| 機序 | 市中肺炎 - 院内肺炎 - 誤嚥性肺炎 |  
|  |  
| 病態 | 
| 肺胞性肺炎 | 大葉性肺炎 - 気管支肺炎 |  
|  |  
| 化膿性肺炎 |  |  |  
|  |  
| 胸壁 | 膿胸 |  |  |  |  |  
|  |  
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|  症候・徴候 |  
|  |  
| 
| 異常呼吸 | 過呼吸 | 頻呼吸 | 徐呼吸 | 低呼吸 | 多呼吸 | 少呼吸 | 起坐呼吸 | 奇異性呼吸 | クスマウル呼吸 | チェーンストークス呼吸 | ビオー呼吸 |  
|  |  
| 咳嗽 | 痰 | 呼吸困難 | 胸痛 | 胸水 | ばち指 | チアノーゼ |  |  |  
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|  所見・検査 |  
|  |  
| 聴診 | 胸部X線写真 | 胸部X線CT | 気管支鏡 | 胸腔鏡 | 血液検査 |  |  
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| 呼吸器系の正常構造・生理 |  
|  |  
| 気道系 | 
| 解剖学的構造 | 
| 上気道 | 
| 鼻 | 鼻孔 | 鼻腔 | 鼻甲介 | 副鼻腔 |  
|  |  
| 口 | 口腔前庭 | 口腔 | 口蓋 |  
|  |  
| 咽頭 - 喉頭 |  |  
|  |  
| 下気道 | 
| 気管 |  
|  |  
| 気管支 | 主気管支 - 葉気管支 - 区域気管支 - 亜区域気管支 |  
|  |  
| 細気管支 | 小気管支 - 細気管支 - 終末細気管支 |  
|  |  
| 呼吸細気管支 |  |  
|  |  
| ガス交換器 | 肺 - 肺胞管 - 肺胞嚢 - 肺胞 |  
|  |  
| 顕微解剖学 | I型肺胞上皮細胞 | II型肺胞上皮細胞 | 杯細胞 | クララ細胞 | 気管軟骨輪 |  |  
|  |  
| 生理学・生化学 | 
| 生理学 | 肺気量 | 肺活量 | %肺活量 | 残気量 | 死腔 | 1回換気量 | 1秒率 | 肺サーファクタント | SP-A |  
|  |  
| 生化学 | PaCO2 | PaO2 | AaDO2 | FiO2 | SpO2 | 呼吸係数および酸素化係数 |  |  |  
|  |  
| 血管系 | 
| 肺循環系 | (右心室 -) 肺動脈 - 毛細血管 - 肺静脈 (- 左心房) |  
|  |  
| 気管支循環系 | (胸部大動脈 -) 気管支動脈 - 毛細血管 - 気管支静脈 (- 奇静脈/副反奇静脈) |  |  
|  |  
| 運動器系 | 
| 骨格 | 肋骨 | 胸骨 |  
|  |  
| 呼吸筋 | 横隔膜 | 内肋間筋 | 外肋間筋 | 胸鎖乳突筋 | 前斜角筋 | 中斜角筋 | 後斜角筋 | 腹直筋 | 内腹斜筋 | 外腹斜筋 | 腹横筋 |  |  
|  |  
| 神経系 | 
| 中枢神経系 | 呼吸中枢 | 呼吸調節中枢 | 前頭葉 |  
|  |  
| 末梢神経系 | 横隔神経 | 肋間神経 |  |  |  |  | 
 
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Japanese Journal
- 群馬大学医学部附属病院泌尿器科における1999年の外来新患統計
- 佐々木 靖,黒川 公平,岡本 亘平,大木 一成,関根 芳岳,富田 光,野村 昌史,井上 雅晴,大井 勝,川口 拓也,松井 博,蓮見 勝,伊藤 一人,羽鳥 基明,大竹 伸明,塩野 昭彦,鈴木 和浩,深堀 能立,山中 英壽
- The KITAKANTO Medical Journal 51(2), 113-117, 2001
- … 9名であり, 男性529名, 女性200名で男女比は2.65:1であった.紹介患者は61.5%(448名)で院外の紹介が48.0%(350名)を占めていた.<BR>悪性新生物は96例で, 前立腺癌38例, 腎癌18例, 膀胱腫瘍17例, 精巣腫瘍10例であった.良性新生物では前立腺肥大症が205例と大部分を占めていた.その他, 多い疾患として尿路結石59例, 血液透析51例, 膀胱炎46例と続いた.市中病院の報告に比し, 悪性腫瘍, 男性不妊, 透析関係は多く, 包茎, 外傷, …
- NAID 130000873517
 
 
- 群馬大学医学部附属病院泌尿器科における1996年の外来新患統計
- 小池 秀和,黒川 公平,佐々木 靖,増田 広,中里 晴樹,新屋 博之,柴田 康博,中野 勝也,久保田 裕,鈴木 和浩,清水 信明,深堀 能立,林 雅道,山中 英壽
- The KITAKANTO Medical Journal 48(3), 197-201, 1998
- … 男女ともピークは60〜69歳に認めた.紹介患者は68.2% (599名) で, 他医よりの紹介が43.1% (378名) を占めていた.<BR>悪性新生物は149例あり, 前立腺癌51例, 腎癌41例, 精巣腫瘍25例および膀胱腫瘍19例であった.良性新生物では前立腺肥大症が100例と大部分を占めていた.その他多い疾患として, 尿路結石が60例, 以下, 移植・透析関係54例, 膀胱炎35例であった.他報告に比し, 前立腺癌, 腎癌, 移植・透析関係, 精巣腫瘍が多く, …
- NAID 130000879966
 
 
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- 良性新生物腎臓結石は良性新生物に該当しますか?保険のしおりには「厚生省大臣官房統計情報部編、疾病、傷害および死因統計分類堤要、昭和54年版によるものとします。」とあり、基本分類表番号220~229,235~23...
- 女性特有の病気に対応する終身医療保険を知るためのサイトです。あなたが今入ってる医療保険で満足な保障が受けられますか? ... 悪性新生物(あくせいしんせいぶつ)と良性新生物(りょうせいしんせいぶつ) 悪性新生物と ...
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★リンクテーブル★
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- 関
- がん、腫瘍、腫瘤、良性新生物
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- 関
- cancer、neoplasm、tumor
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- 英
- benign vascular neoplasm
- 関
- 血管良性腫瘍
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- 関
- 果肉、生物学、生物学的、生物体、肉、生物学上、肉体、生命体、生物的
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- 英
- neoplasm
- 関
- 異常増殖、腫瘍、腫瘍症、腫瘍性、新形成
  [★]
- 英
- benign、benignant
- 関
- 穏和