出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/08/19 15:31:06」(JST)
減極剤(げんきょくざい)は、電池あるいは電解槽(英語版)内において、分極が起こるのを防止する物質である[1][2]。おもに酸化剤が用いられる理由は、分極が陰極(負極)から陽極(正極)へ流れてきた電子と水素イオンが結びつくことで起きるからで、これを酸化する働きをもつ[1][2][3]。二酸化マンガン、過酸化水素水、二クロム酸カリウム、あるいは酸素など[1]。
消極剤(しょうきょくざい)、復極剤(ふっきょくざい)[3]、活物質(かつぶっしつ)ともいう[2]。冒頭のような一般的な活性物質を正極活物質(せいきょくかつぶっしつ)と呼び、逆に陰極まわりで作用する、還元剤を用いた負極活物質(ふきょくかつぶっしつ)も存在する[2]。
電池あるいは電解槽内において「分極」が起きるのが不都合なのは、反対方向の起電力を生じるからである[4]。減極剤は、発生した水素を酸化(あるいは還元)して解消し、正方向の起電力を保つ[1][2][3]。
一次電池、二次電池における減極剤の一覧である[5]。
電池 | 構成 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
正極活物質 (減極剤) |
電解質 | 負極活物質 | ||||
一 次 |
マンガン乾電池 | 二酸化マンガン電解 | 塩化亜鉛、塩化アンモニウム | 亜鉛 | ||
アルカリマンガン電池 | 二酸化マンガン電解 | 水酸化カリウム | 亜鉛 | |||
酸化銀電池 | 酸化銀(I) | 水酸化カリウムあるいは水酸化ナトリウム | 亜鉛 | |||
水銀電池 | 酸化水銀(II) | 水酸化カリウムあるいは水酸化ナトリウム | 亜鉛 | |||
酸化水銀(II)+二酸化マンガン | 水酸化カリウム | |||||
空気電池 | 酸素 | 塩化アンモニウム、塩化亜鉛 | 亜鉛 | |||
水酸化カリウム | ||||||
リチ ウム |
二酸化マンガン系 | 二酸化マンガン(β) | 炭酸プロピレン等の有機溶媒+過塩素酸リチウム(英語版) | リチウム | ||
フルオロカーボン系 | フルオロカーボン((CF)n) | 同上+四フッ化ホウ酸リチウム(英語版) | ||||
酸化銅(II)系 | 酸化銅(II) | 同上+ジオキソラン | ||||
塩化チオニル系 | 塩化チオニル | 塩化チオニル+塩化リチウム+三塩化アルミニウム | ||||
固体電解質 | ヨウ素 | ヨウ化リチウム | ||||
塩化チオニルリチウム電池 | 炭素 | 塩化チオニール、塩化リチウム、三塩化アルミニウム | ||||
超薄型 | CF2 | 二酸化マンガン | ||||
二 次 |
鉛蓄 電池 |
開放形 | 二酸化鉛 | 硫酸 | 鉛 | |
密閉形 | ||||||
ア ル |
ニッケル カドミ |
密閉形 | オキシ水酸化ニッケル | 水酸化カリウム | カドミウム | |
開放形 | ||||||
酸化銀・亜鉛蓄電池 | 酸化銀(I) | 水酸化カリウム(酸化亜鉛飽和) | 亜鉛 | |||
ニッケル・亜鉛蓄電池(英語版) | 水酸化ニッケル | 水酸化カリウム(酸化亜鉛飽和) | 亜鉛 | |||
酸化銀・カドミウム電池 | 酸化銀(I) | 水酸化カリウム | カドミウム |
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