出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/02/17 22:46:41」(JST)
メタン | |
---|---|
別称
沼気(しょうき)、天然ガス、エコガス(バイオガス)
|
|
識別情報 | |
CAS登録番号 | 74-82-8 |
PubChem | 297 |
ChemSpider | 291 |
日化辞番号 | J2.380I |
SMILES
|
|
InChI
|
|
特性 | |
分子式 | CH4 |
モル質量 | 16.042 g/mol |
外観 | 常温で無色透明の気体 |
密度 | 0.717 kg/m3 気体 415 kg/m3 液体 |
融点 |
-182.5 °C, 91 K, -297 °F |
沸点 |
-161.6 °C, 112 K, -259 °F |
水への溶解度 | 3.5 mg/100 mL (17 °C) |
log POW | 1.09 |
構造 | |
分子の形 | 正四面体 |
双極子モーメント | 0 D |
熱化学 | |
標準生成熱 ΔfH |
−74.81 kJ mol−1[1] |
標準燃焼熱 ΔcH |
−890.36 kJ mol−1 |
標準モルエントロピー S |
186.264 J mol−1K−1 |
標準定圧モル比熱, Cp |
35.309 J mol−1K−1 |
危険性 | |
EU分類 | F+ |
Rフレーズ | R12 |
Sフレーズ | S(2) S9 S16 S33 |
引火点 | −188 °C |
関連する物質 | |
関連物質 | メタノール、クロロメタン、蟻酸、ホルムアルデヒド、シラン |
出典 | |
国際化学物質安全性カード NIST webbook |
|
特記なき場合、データは常温(25 °C)・常圧(100 kPa)におけるものである。 |
メタン (methane) は最も単純な構造の炭化水素で、1個の炭素原子に4個の水素原子が結合した分子である。化学式は CH4。和名は沼気(しょうき)。分子は炭素が中心に位置する正四面体構造をとる。CAS登録番号は [74-82-8]。カルバン (carbane) という組織名が提唱されたことがあるが、IUPAC命名法では非推奨である。
目次
|
常温、常圧で無色、無臭の気体。人に対する毒性はない。融点は −183 ℃、沸点は −162 ℃。空気に対する比重は 0.555。
光などの刺激によって励起されハロゲン元素と反応し、水素原子がハロゲン原子に置換される。この反応は激しい発熱反応である。例えば塩素との混合気体を常温中で直射日光に曝すだけで発火する。
メタンは天然ガスから得られるほか、一酸化炭素と水素を反応させることで工業的に大量に生産されている為(記事 C1化学に詳しい)、実験室においてもガスボンベで供給されることが普通であるが、実験室で発生させる方法がいくつか知られている。
大きな用途の1つは燃料用のガスとしてであり都市ガスなどに使用されている。もう一つはC1化学プロセスに使用する原料としてである。また、メタンは高温の水蒸気との反応で一酸化炭素と水素の混合気(合成ガス)を生じ、この混合気そのもの、あるいは単離した一酸化炭素や水素を各種化学プロセスの原料として使用する。
メタンが置換基となる場合、メチル基(1価)、メチレン基(2価)、メチン基(3価)と呼ばれる。
炭素数1の化合物には化学工業において原料として重要な化合物が多く存在する。これらの多くがメタンから直接誘導される。これらの工業的な合成法については C1化学に詳しい。
以下に代表的なものを挙げる。
天王星や海王星はその大気に2%程度のメタンを含む。これらの星が青く見えるのはメタンの吸収による効果によると考えられている。土星の衛星であるタイタンはその大気に2%程度のメタンを含むだけでなく、地表に液体メタンの雨が降り、海や川もあることが分かっている。また火星の大気もメタンを痕跡量含む。このメタンの発生源となる微生物がいる可能性があるものの、まだ確認もされていない。
メタンは、油田やガス田から採掘されエネルギー源として有用な天然ガスの主成分である。20世紀末以降の代替エネルギー、排他的経済水域や大陸棚といった海底や地上の永久凍土層内にメタンハイドレートという形で多量に存在することがわかり、新エネルギーとして注目されている。
詳細は「メタンハイドレート」を参照
メタンハイドレートは、高い温室効果がある為、過去の地球環境において幾度かの地球温暖化に関わった経緯が確認されはじめ、その要因の一つにメタンハイドレートの溶解が関係する『自然的地球温暖化』を引き起こして来た事実が、地球物理学・古生物学の見地から解ってきはじめた。
当時の地球では自然界での息吹の一つとして、地殻の大規模な活動期と安定期に伴い、火山噴火などの活発化に伴う大気中の浮遊物質が増加したことなどから温暖化と寒冷化を繰り返していたと考えられ、これらの地球活動の影響から大気温度が上昇、更に海水温度なども上昇することで、深海海底で氷状に貯えられていたメタンハイドレートが溶解し、大気中へ大量な『メタン』が放出される。このことで更に温暖化が自然サイクルに伴った、「ゆっくり」とした時間の中を進むと考えられている。
自然界では冷却期に入ると大気中の『メタン』をメタンハイドレートとして取り込み、長期間の貯蔵へと転換するサイクルを繰り返している、とする研究結果がある[2]。記事によると170万年前の急激な地球温暖化と連動して、海底から大量のメタンが放出されていた化石層が発見された。温室効果ガスとして注目されているメタンと温暖化との関係を示唆する重要な発見となる。
メタンはメタン産生菌の活動などにより放出されるため自然界に広く存在し、特に沼地などに多く存在する。和名の沼気はこれが語源。大気中には平均 0.00022% 含有されている。このメタン産生菌を用いて生ごみを発酵させてメタンを得て、資源として利用することも実用化されつつある。実際にバイオガスの供給事業も始まっており[3]、国内のバイオガス化市場規模は最大約2,300億円と推計されている。
メタンは強力な温室効果ガスでもあり、同量の二酸化炭素の21~72倍の温室効果をもたらすとされている。
産業革命以来、人工的な温暖化ガスの排出量が急激に増加しており、温暖化が加速度的に進行していると国際的な社会問題となっている。このまま気温が上昇すれば、海底や永久凍土に閉じ込められているメタンハイドレートが放出されると懸念する意見がある。
また、牛など、草食動物のげっぷには大量のメタンが含まれており、その糞からもメタンが発生するため、牛が増えると大量のメタンガスが発生し、温室効果を助長するとして、大量の牛肉を使用、そして廃棄しているハンバーガー販売企業がバッシングされたこともあった。人口の10倍以上の家畜を抱える酪農国のニュージーランドでは、羊や牛のげっぷを抑制するという温暖化対策を進めようとしたが、農民の反対を受けている[4]。
[ヘルプ] |
ウィキメディア・コモンズには、メタンに関連するメディアがあります。 |
C0: 水素 |
直鎖アルカン | C2: エタン |
|
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
プラザキサカプセル75mg
国試過去問 | 「102I080」 |
リンク元 | 「CH4」 |
拡張検索 | 「メタンスルホン酸コリスチン」「バロメタン」「メタンドロステノロン」 |
A
※国試ナビ4※ [102I079]←[国試_102]→[103A001]
.