- 英
- superphosphate of lime
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/11/26 11:46:09」(JST)
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過リン酸石灰(かリンさんせっかい)とは、リン酸肥料の一種。過石と略称される。灰褐色に見える粉末状の物質である。
目次
- 1 歴史
- 2 成分
- 3 製法
- 4 生産量・消費量
- 5 性質、施肥方法
- 6 関連項目
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歴史
1840年、化学肥料の父とも言われるリービッヒが従来肥料として使われていた骨粉に硫酸を作用させると肥料としての能力が増すことに気づく。なお、骨の主成分はリン酸カルシウム Ca3(PO4)2である。1841年には植物の成長にリンが必須であることを証明している。
ほぼ同時期、イギリスのギルバート (J.H.Gilbert) とローズ (J.B.Lawes) も植物の栽培実験により、土壌中の無機物が植物の生育に欠かせないことを示した。ローズは肥料の工業化を試み、早くも1843年にはリン鉱石に硫酸に加える肥料工場をロンドン近郊に建設した。
日本国内では1886年に高峰譲吉がローズの設備を再現しようと試み、1888年から量産が始まっている。
成分
過リン酸石灰は純物質ではなく、第一リン酸カルシウム Ca(H2PO4)2·H2O と硫酸カルシウム(石膏) CaSO4 の混合物である。第一リン酸カルシウムの水に対する溶解度は1.8gである。
肥料として使われる場合は,全リン酸として16~20重量%、後ほど説明する水溶性リン酸を13%以上含んでいなければならない。硫酸カルシウムは60重量%程度含まれる。
製法
粉末状に粉砕したリン鉱石に硫酸を作用することで製造する。
Ca3(PO4)2 + 2H2SO4 + 2H2O → Ca(H2PO4)2 + 2CaSO4・2H2O
生産量・消費量
第二次世界大戦以前は、リン酸肥料とは、ほぼ過リン酸石灰を指していた。しかしながら、その後、尿素リン安、リン硝安などに生産が移行し、過リン酸石灰の生産量は減少している。以下に2001年現在の総リン酸肥料の生産量を示す。全世界の生産量は3354万トンであった(以下、国連食糧農業機関の統計資料 FAO Production Yearbook 2002による)。
- アメリカ合衆国 - 22.8% 764万トン
- 中華人民共和国 - 22.2%
- インド - 11.5%
- ロシア - 7.2%
- ブラジル - 4.3%
全世界の消費量は、生産量と全く同じ数値である。日本国の消費量は第10位であり、全世界の消費量の1.5%を占める51万トンだった。
- 中華人民共和国 -26.9%
- インド - 13.3%
- アメリカ合衆国 - 12.7%
- ブラジル - 7.5%
- オーストラリア - 3.6%
最も重要な肥料は、窒素肥料、リン酸肥料、カリ肥料の3種類である。消費量の推移を計測すると、窒素肥料はほぼ右肩上がりで消費が伸びており、2001年時点で8000万トンを超えている。しかし、リン酸肥料とカリ肥料は横ばいである。リン酸肥料の全世界の消費量は1970年時点で2000万トン、1990年に4000万トン弱を記録し、これが最高値になっている。
性質、施肥方法
元肥、追肥のいずれでも用いられる。
主成分が水溶性であるため速効性がある。
その反面、日本列島の土壌(特に酸性土壌、火山灰土壌)内に多い成分、特に火山灰起源の土壌に多く含まれるアロフェンと呼ばれる球状結晶の形態を持つ粘土鉱物とリン酸が強固に結合し易い。アロフェンと結合したリン酸は、植物の根毛の有機酸分泌によっても、イオン交換での解離が不能になるために、植物が吸収できない形態に変化しやすい。アロフェンとリン酸の結合を防ぐには、堆肥などの有機質肥料や土壌改良剤と一緒に施肥し、土壌微生物の菌体に速やかに吸収させたり、有機物との化合物を形成させ、土壌の粘土鉱物と接触しないようにするとよい。こうした形状のリン酸は、植物の根と共生し、菌根形成する菌類によって分解吸収され、植物の根に移送されると考えられている。アロフェン以外の板状結晶の粘土鉱物の場合、結合して保持されたリン酸は、植物の根毛から分泌される有機酸によるイオン交換反応で容易に解離して植物に吸収される。ただし、土壌中に供与されたリン酸の多くは速やかに土壌微生物の体内に取り込まれたり土壌有機物と反応して結合するため、植物と菌根を形成する菌類の機能は火山灰起源の土壌以外でも重要である。
また、副成分の石膏は、硫黄、石灰分としての肥効が期待できる。
関連項目
Japanese Journal
- 黒ボク土におけるリン酸の施肥位置と施肥量が直播タマネギ(Allium cepa L.)の生育に及ぼす影響
- 臼木 一英,室 崇人,辻 博之 [他],竹中 眞
- 園芸学研究 14(2), 157-161, 2015
- … リン酸肥料を局所施肥する効果的な方法を開発するために過リン酸石灰を用いて種子から施肥位置までの垂直方向への距離および局所施肥した施肥量が直播タマネギの出芽や生育に及ぼす影響について黒ボク土を充填したポット実験によって検討を行った.淡色黒ボク土における直播タマネギへの過リン酸石灰の局所施用は,慣行の全層施肥に比べて初期生育を促進する可能性が認められた.特に局 …
- NAID 130005086518
- 岩佐 博邦,斉藤 研二,犬伏 和之
- 日本土壌肥料學雜誌 85(5), 439-445, 2014-10-05
- … _5kg^<-1>,ク溶性リン酸含量は40.9g-P_2O_5kg^<-1>,水溶性リン酸含量は2.0g-P_2O_5kg^<-1>であった.全リン酸に占めるク溶性リン酸の割合は55.2%であった.ク溶性リン酸に占める水溶性リン酸の割合は4.9%で,過リン酸石灰の約1/12,熔性リン肥の約8倍であった.水,0.5molL^<-1>重炭酸ナトリウム溶液,0.1molL^<-1>水酸化ナトリウム溶液および1.0molL^<-1>塩酸溶液で消化液脱水ケーキ炭を逐次抽出したところ,それぞれの溶液 …
- NAID 110009909577
- 試験成績・研究成果 主要畑作物のリン酸吸収特性の比較
- 東田 修司,小山 初枝
- 北農 80(3), 261-269, 2013-07
- … 供試した畑作物の生育量はヨウリンに比べて過リン酸石灰で大きかった。 … 過リン酸石灰およびヨウリン区の生育量の比から,テンサイ,ジャガイモ,キガラシはリン酸吸収力の高いグループ,ダイズ,アズキは低いグループ,コムギは両者の中間に区分された。 …
- NAID 120005581912
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- 過リン酸石灰は確かに「石灰分」を含んでいますが、その形は消石灰や苦土石灰と違って、副成分の石灰分は「石膏」なのです。 石膏は特殊な物を除いて、PH7.0前後のほぼ中性ですので、すなわち少なくても多く入れても中性 ...
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★リンクテーブル★
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- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
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- lime
- 関
- ライム、酸化カルシウム