出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/02/08 16:37:27」(JST)
批准(ひじゅん、ratification)とは、既に全権代表によって署名がなされた条約に拘束されることを国家が最終的に決定する手続きである。通常は議会の同意を得て元首等が裁可あるいは認証、公布などを行うことにより成立し、締約相手国と批准書を交換したり国際機関に批准書を寄託することによって国際的に正式確認される。
国家が条約に正式に拘束されることへの同意を表明する方法は、個別の条約において規定されており、多くは、「批准」や「受諾」、「承認」や「加入」による。中でも、批准は署名、議会における承認、及び批准書の寄託を経る厳格な手続を指すため、重要な条約は他の方法を規定せず、批准によらなければならないとしているものも多い(例:ジェノサイド条約、欧州人権条約、社会権規約、自由権規約、ウィーン条約法条約、包括的核実験禁止条約)。つまり条約等は批准書とよばれる国家の同意や確認を示す文書を作成し、この文書の交換または寄託によって条約等の効力が生じることとなる。
古くは外交権は君主の元に集約されており、この時代の批准は君主による条約内容の確認行為であった。大日本帝国憲法において、条約の批准は帝国議会ではなく、天皇の諮詢機関である枢密院による審議を経たのは、条約締結権が天皇(実際には天皇が派遣した全権代表)にあると考えられていた事による。批准が議会を経るようになったのは、アメリカ合衆国憲法において、行政府が派遣した全権代表が署名した条約内容を国民の代表である議会が国家・国民のために再検討するために議会による批准手続を導入したことに由来している。
多国間条約の場合、批准した国の数が一定数を超えた後に発効すると定めているものが多い。発効後も、署名のみを行い未批准の国は条約に拘束されない。
煩雑な批准手続きを要さない政府間協定をもって条約に変えたり、批准手続きのうちいくつかの手続きを省略した受諾による手続きを定める条約の形をとることもある。当然ながら、締約国の国内法が簡略化された手続きによる条約等を認めない場合は、そのような条約でも批准手続きに則って処理されるか、さもなくば国内法上の条約の地位が与えられない協定の扱いになる。
条約の批准は建前上国会両院の議決によるが、衆議院が批准案を可決した条約について参議院が否決し両院協議会で成案が得られなかった場合、および参議院に送付されてから30日間議決が行われなかった場合(自然成立)には衆議院の議決が国会の議決となり批准が承認される(衆議院の優越)。つまり、実質的には衆議院が可決すれば批准は成立する。その後、天皇が国事行為として公布を行うことにより国内法上の批准手続きが完了する。
国内法の改正が必要な条約の場合は、イギリス政府の大権の発動に基づき議会によって批准される。国内法改正の必要がない条約の場合は、ポンソンビー規則に従い、議会両院で少なくとも21日間提示されたのち批准される。
憲法の規定により条約は行政府の専任事項となっており、行政府は議会の関与なしに条約の批准を行う権利を保有し、またその義務を負う。ただし、憲法の規定(第51条)により施行法の制定には連邦議会の承認を必要とする。
条約は上院の2/3多数をもってする議決による「助言と同意」を経て大統領により批准される。下院は批准手続きに参加しない。議会と大統領が通常は独立した選挙で選出され、行政府が議会に責任を負わない大統領制であるため、条約の批准失敗が頻発する。
アメリカ合衆国憲法改正案は連邦議会両院それぞれ2/3多数により可決された後、3/4の州における批准を経て成立する。多国間条約の批准と異なり、改正憲法は批准しなかった州をも拘束する。
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