Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/10/18 12:37:50」(JST)
[Wiki ja表示]
医業(いぎょう)とは、業として、医療行為(医行為)を行うことをいう。
日本では、医業について医師法第17条に「医師でなければ、医業をなしてはならない。」と規定されており、医師(医師免許を持つ者)以外が行なうことを禁止している。これに対して、歯科医師法第17条に「歯科医師でなければ、歯科医業をなしてはならない。 」と規定されている歯科医業があるが、医業と歯科医業が重複することもある。(重複している部分は、医師、歯科医師ともに医療行為を行ってもよい。)
ここでいう「医療行為」の意味については、内容が多岐に渡るのみならず医学の進歩に伴い内容が変化するものでもあるため、定義自体に混乱・争いがある。また、医療行為の侵襲性についての解釈にも見解の対立がある。
「医療行為」および「医行為」も参照
介護と医業
1990年代後半から、ホームヘルプサービスの従業者(介護福祉士やホームヘルパーなど)が慢性疾患の患者に対して業務上の介護をするとき、どこまでが医業の範囲として禁止され、どこからが介護の範囲として認められるのかという議論がある。この議論は、
- 在宅の筋萎縮性側索硬化症 (ALS) 患者に対して、家族が頻繁に痰の吸引を行い続けることは大きな負担であり、
- しかし、その家族の負担を和らげるには訪問看護のサービス量が不足しており、
- 一方で、気管内吸引が医療行為に該当するか否かが明確でない、
という理由から提起された。
これに対して、ALS患者の吸引は2003年[1]に、ALS以外の在宅療養患者や身体障害者の吸引は2005年[2]に、それぞれ厚生労働省医政局長から各都道府県知事へ通知されている。これらの通知では、痰の吸引は医療行為であるとの見解を示しつつ、医師でも家族でもない第三者(「家族以外の者」)が、医師などの指導などの条件下で吸引を行うことは「当面やむを得ない措置」としている。しかし一方で、これら吸引はホームヘルプサービスの業務として行われるものではないとも指摘されている。
また、特別支援学校の教員による重度障害児への痰の吸引と経管栄養については2004年[3]に、特別養護老人ホームの介護職員による痰の吸引と経管栄養については2010年[4]に、それぞれ一定の条件下で認める局長通知が発出された[5]。
このような状況が生じる原因の1つとしては、医師法によって医師以外が医業を行うことが禁止されているにもかかわらず、医業の範囲がまったく示されていないことが挙げられる。これに対して、2011年に介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律によって社会福祉士及び介護福祉士法が改正され、一定の研修を修了した介護職員や教員などが喀痰吸引や経管栄養を実施することについて、2012年4月から施行される予定となっている。
なお、逆に、体温測定、血圧測定、パルスオキシメーターによる動脈血酸素飽和度の測定、軽微な切り傷や擦り傷の処置、服薬介助などが医療行為に該当しないことについては、2005年の医政局長通知[6] で提示されている。
脚注
- ^ 「ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の在宅療養の支援について」(平成15年7月17日医政発第0717001号)
- ^ 「在宅におけるALS以外の療養患者・障害者に対するたんの吸引の取扱いについて」(平成17年3月24日医政発第0324006号)
- ^ 「盲・聾・養護学校におけるたんの吸引等の取扱いについて(協力依頼)」(平成16年10月20日医政発第1020008号)
- ^ 「特別養護老人ホームにおけるたんの吸引等の取扱いについて」(平成22年4月1日医政発0401第17号)
- ^ 厚生労働省資料「介護現場等におけるたんの吸引等を巡る現状」(2010年7月5日)
- ^ 「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」(平成17年7月26日医政発第0726005号)
関連項目
- 医学 - 医療 - 医療行為 - 医行為
- 医業類似行為
|
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 医業収支率100%で0・2ポイント改善 : 全日病が28年度病院経営調査報告を公表
- ストレスチェック制度元年 病院・介護施設は他産業に遅れ?
- 特別座談会 一般公開医業経営実務講座(第4期)を終えて : 第4回経営組織管理講座で学んだ「組織・ビジョン・働き甲斐」を振り返る
Related Links
- 医業(いぎょう)とは、業として、医療行為(医行為)を行うことをいう。 日本では、医業 について医師法第17条に「医師でなければ、医業をなしてはならない。」と規定されて おり、医師(医師免許を持つ者)以外が行なうことを禁止している。これに対して、歯科 医師法 ...
- 医業類似行為(いぎょうるいじこうい)とは、「医師の医学的判断及び技術をもってする のでなければ、人体に危害を及ぼし又は危害を及ぼす恐れのある行為」である医行為を 、「業、すなわち反復継続する意志を持って行うこと」である医業の周辺行為のことをいう 。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- Medical Service Law
- 関
- 医師が関与する法律、:法令
概要
要点
第1条
- この法律は、医療を受ける者による医療に関する適切な選択を支援するために必要な事項、医療の安全を確保するために必要な事項、病院、診療所及び助産所の開設及び管理に関し必要な事項並びにこれらの施設の整備並びに医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携を推進するために必要な事項を定めること等により、医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする。
第1条の四
- 医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、第一条の二に規定する理念に基づき、医療を受ける者に対し、良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない。
(インフォームド・コンセント)
- 2 医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。
第4条
(地域医療支援病院) 地域の医療の支援、資質の向上を図り得る病院
- 国、都道府県、市町村、第四十二条の二第一項に規定する社会医療法人その他厚生労働大臣の定める者の開設する病院であつて、地域における医療の確保のために必要な支援に関する次に掲げる要件に該当するものは、その所在地の都道府県知事の承認を得て地域医療支援病院と称することができる。
- 一 他の病院又は診療所から紹介された患者に対し医療を提供し、かつ、当該病院の建物の全部若しくは一部、設備、器械又は器具を、当該病院に勤務しない医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の診療、研究又は研修のために利用させるための体制が整備されていること。
- 二 救急医療を提供する能力を有すること。
- 三 地域の医療従事者の資質の向上を図るための研修を行わせる能力を有すること。
- 四 厚生労働省令で定める数以上の患者を入院させるための施設を有すること。
- 五 第二十一条第一項第二号から第八号まで及び第十号から第十二号まで並びに第二十二条第一号及び第四号から第九号までに規定する施設を有すること。
- 六 その施設の構造設備が第二十一条第一項及び第二十二条の規定に基づく厚生労働省令で定める要件に適合するものであること。
- 2 都道府県知事は、前項の承認をするに当たつては、あらかじめ、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。
- 3 地域医療支援病院でないものは、これに地域医療支援病院又はこれに紛らわしい名称を付けてはならない。
第4条の二
(特定機能病院) 高度の医療を提供、開発、評価、および研修できる病院
- 病院であつて、次に掲げる要件に該当するものは、厚生労働大臣の承認を得て特定機能病院と称することができる。
- 一 高度の医療を提供する能力を有すること。
- 二 高度の医療技術の開発及び評価を行う能力を有すること。
- 三 高度の医療に関する研修を行わせる能力を有すること。
- 四 その診療科名中に、厚生労働省令の定めるところにより、厚生労働省令で定める診療科名を有すること。
- 五 厚生労働省令で定める数以上の患者を入院させるための施設を有すること。
- 六 その有する人員が第二十二条の二の規定に基づく厚生労働省令で定める要件に適合するものであること。
- 七 第二十一条第一項第二号から第八号まで及び第十号から第十二号まで並びに第二十二条の二第二号、第五号及び第六号に規定する施設を有すること。
- 八 その施設の構造設備が第二十一条第一項及び第二十二条の二の規定に基づく厚生労働省令で定める要件に適合するものであること。
- 2 厚生労働大臣は、前項の承認をするに当たつては、あらかじめ、社会保障審議会の意見を聴かなければならない。
- 3 特定機能病院でないものは、これに特定機能病院又はこれに紛らわしい名称を付けてはならない。
第三章 医療の安全の確保
第6条の九
- 国並びに都道府県、保健所を設置する市及び特別区は、医療の安全に関する情報の提供、研修の実施、意識の啓発その他の医療の安全の確保に関し必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第6条の十一
- 都道府県、保健所を設置する市及び特別区(以下この条及び次条において「都道府県等」という。)は、第六条の九に規定する措置を講ずるため、次に掲げる事務を実施する施設(以下「医療安全支援センター」という。)を設けるよう努めなければならない。
- 一 患者又はその家族からの当該都道府県等の区域内に所在する病院、診療所若しくは助産所における医療に関する苦情に対応し、又は相談に応ずるとともに、当該患者若しくはその家族又は当該病院、診療所若しくは助産所の管理者に対し、必要に応じ、助言を行うこと。
- 二 当該都道府県等の区域内に所在する病院、診療所若しくは助産所の開設者若しくは管理者若しくは従業者又は患者若しくはその家族若しくは住民に対し、医療の安全の確保に関し必要な情報の提供を行うこと。
- 三 当該都道府県等の区域内に所在する病院、診療所又は助産所の管理者又は従業者に対し、医療の安全に関する研修を実施すること。
- 四 前三号に掲げるもののほか、当該都道府県等の区域内における医療の安全の確保のために必要な支援を行うこと。
- 2 都道府県等は、前項の規定により医療安全支援センターを設けたときは、その名称及び所在地を公示しなければならない。
- 3 都道府県等は、一般社団法人、一般財団法人その他の厚生労働省令で定める者に対し、医療安全支援センターにおける業務を委託することができる。
- 4 医療安全支援センターの業務に従事する職員(前項の規定により委託を受けた者(その者が法人である場合にあつては、その役員)及びその職員を含む。)又はその職にあつた者は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
(医療監視)
第25条
- 都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、必要があると認めるときは、病院、診療所若しくは助産所の開設者若しくは管理者に対し、必要な報告を命じ、又は当該職員に、病院、診療所若しくは助産所に立ち入り、その有する人員若しくは清潔保持の状況、構造設備若しくは診療録、助産録、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
- 2 都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、病院、診療所若しくは助産所の業務が法令若しくは法令に基づく処分に違反している疑いがあり、又はその運営が著しく適正を欠く疑いがあると認めるときは、当該病院、診療所又は助産所の開設者又は管理者に対し、診療録、助産録、帳簿書類その他の物件の提出を命ずることができる。
- 3 厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、特定機能病院の開設者若しくは管理者に対し、必要な報告を命じ、又は当該職員に、特定機能病院に立ち入り、その有する人員若しくは清潔保持の状況、構造設備若しくは診療録、助産録、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
- 4 厚生労働大臣は、特定機能病院の業務が法令若しくは法令に基づく処分に違反している疑いがあり、又はその運営が著しく適正を欠く疑いがあると認めるときは、当該特定機能病院の開設者又は管理者に対し、診療録、助産録、帳簿書類その他の物件の提出を命ずることができる。
- 5 第六条の八第三項の規定は第一項及び第三項の立入検査について、同条第四項の規定は前各項の権限について、準用する。
法令
- http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO205.html
- http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23F03601000050.html