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オオクチバス属 |
オオクチバス Micropterus salmoides
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分類 |
界 |
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動物界 Animalia |
門 |
: |
脊索動物門 Chordata |
亜門 |
: |
脊椎動物亜門 Vertebrata |
綱 |
: |
条鰭綱 Actinopterygii |
目 |
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スズキ目 Perciformes |
亜目 |
: |
スズキ亜目 Percoidei |
科 |
: |
サンフィッシュ科 Centrarchidae |
属 |
: |
オオクチバス属 Micropterus |
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学名 |
Micropterus
Lacépède, 1802 |
英名 |
Black bass |
種[1]
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- Micropterus cataractae
Williams & Burgess, 1999 - ショールバス
- Micropterus coosae
Hubbs & Bailey, 1940 - レッドアイバス
- Micropterus dolomieu
Lacépède, 1802 - コクチバス
- Micropterus floridanus
(Lesueur, 1822) - フロリダバス
- Micropterus notius
Bailey & Hubbs, 1949 - スワニーバス
- Micropterus punctulatus
(Rafinesque, 1819) - スポッテッドバス
- Micropterus salmoides
(Lacépède, 1802) - オオクチバス
- Micropterus treculii
(Vaillant & Bocourt, 1874) - グアダルーペバス
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ブラックバス(Black bass)とは、スズキ目・サンフィッシュ科の淡水魚のうち、オオクチバス属Micropterusに属する8種(11亜種)の魚の総称である。
目次
- 1 名称
- 2 特徴
- 3 人間との関わり
- 4 日本での分布と歴史
- 4.1 略年表
- 4.2 分布拡大の要因
- 4.3 日本産ブラックバスの遺伝的知見
- 5 バスフィッシング
- 6 ブラックバス問題
- 6.1 ブラックバス問題に関連する議論
- 6.2 輸入等の禁止
- 6.3 駆除
- 6.4 漁業権と外来種問題
- 7 日本国外
- 8 利用
- 8.1 遊漁対象魚
- 8.2 食用魚
- 8.3 飼料/肥料
- 9 ブラックバスの天敵
- 10 脚注
- 11 参考文献
- 12 関連項目
- 13 外部リンク
名称
ブラックバス(Black bass)とはMicropterusの一種または全種を指して用いられる俗称であり、「ブラックバス」という名前の特定の魚類の種やグループは存在しない。
本来ブラックバスという呼称は、コクチバス(スモールマウスバス)の稚魚期の体色が黒いことから原産地北米において慣習的に呼ばれるようになった名称である。しかし日本においては、移入からの歴史が長く、分布範囲、個体数、認知度において群を抜くオオクチバス(ラージマウスバス)を特に指して用いられる場合が多い。
しばしばバスとも略される。オオクチバスは商業漁獲対象魚として普及させるため「クロマス」という和名で呼ばれたこともある[2]が、サケ科のマス類と混同されやすいため、その呼称は21世紀現在では使用されていない。
川鱸(カワスズキ)の異名もあったが、鱸自体が淡水への順応性が高く、鮎が生息するような淡水にものぼることもあるので、地域によってカワスズキは、スズキのことを指す言葉として使われる。生態ピラミッドでは、スズキの方が上位なるため、スズキが生態する川には、他の河川に比べるとブラックバスは少ない。
属名Micropterusは和名においておもに「オオクチバス属」と訳されるが、「コクチバス属」とする場合もある[3]。またMicropterusは「小さな尾」の意であるが、これは初めて捕獲された本属魚類の個体の尾鰭が負傷欠損によって小さかったために、誤ってその特徴が名付けられてしまったものであるといわれる[4]。
特徴
形態
Micropterusすなわちブラックバスは、2014年現在8種を擁する遊泳捕食性大型淡水魚のグループである。成魚の体長は最も小型の種でおよそ40cm、最大型種フロリダバスは80cm以上に達する。
体型は側偏した紡錘形、背鰭が第1、第2に分かれて発達し第1背鰭よりも第2背鰭は大きい。他の魚類や水生小型動物を捕食するのに適した大きな口と顎を持つ。唇の内側には鋸歯状の細かく鋭い歯が並ぶ。浮き袋は独立した臓器ではなく、腹腔の脊椎側内壁に一体化して備わっている。
眼はやや頭頂部寄りに位置し、前方〜上方にかけての視覚に優れる。これに側線で知覚される水の振動情報を併せる用いることで、ブラックバスは捕食対象を定位する。下方〜後方の視野は持っていない。
生態
全種とも自然分布域は北米大陸。内3種が日本国内で移入定着している。北米では五大湖周辺からミシシッピ川流域、メキシコ国境付近までの中部および東部、フロリダ半島などに広く分布し、汽水域でも生息可能[要出典]である。
河川や湖沼に生息し、他の魚類や水生節足動物、水面に落下した昆虫等を捕食する。
捕食に視覚を多用するため、活動時間は日中である。ただし、朝と夕方に特に活発となる。夜間は水底で静止したままとなる。
温帯魚であるため、冬期の耐寒性は比較的高い。その場合深場で冬眠状態となるが、比較的水温の高い日には冬でも捕食活動をすることがある。
春〜夏にかけて、砂礫質の水底にすり鉢状の巣を作り産卵する。卵と稚魚はオスが保護し外敵から防衛する。
人間との関わり
- 釣魚
- 原産地では食用淡水魚として流通しており、赤星鉄馬によりオオクチバス、コクチバスが日本に移入された大きな目的の一つも食用である。しかし、最も高く認知されているブラックバスの利用はゲームフィッシングの対象魚であり、日本[5]およびアメリカ[6][7]ではプロトーナメント大会が開催されるほど人気が高い。ブラックバス釣りの愛好家は、「バサー (basser)」や「バス・フィッシャー (bass fisher)」、「バス・アングラー (bass angler)」などと呼ばれる[5]。
- 特定外来生物
- 8種のブラックバスのうち、日本ではオオクチバス・コクチバス・フロリダバスの3種が外来種として記録されている。この3種は特定外来生物に指定されている。
- なお、オオクチバスが世界の侵略的外来種ワースト100に、オオクチバス・コクチバスが日本の侵略的外来種ワースト100に選定されている。
日本での分布と歴史
略年表
- 1925年、実業家赤星鉄馬がアメリカのカリフォルニア州 (Santa Roza) からオオクチバスを持ち帰り、箱根の芦ノ湖に放流したのが最初とされる(約90匹)。これは食用、釣り対象魚として養殖の容易な魚であることから、政府の許可の下に行われた試みだった。ただし、カリフォルニア州に自然分布しないことから、別な場所で採集された個体がカリフォルニア州を経由して移入されたものと考えられる。
- 1930年代、長崎県白雲池(1931年)、山梨県山中湖(1932年)、東京にある私邸の池(1933年)、群馬県田代湖(1935年)、兵庫県峯山貯水池(1936年)などへ試験的に放流
- 1936年、この時期までオオクチバスの分布は5県。
- 1945年から、進駐軍(在日米軍)による部分拡散(相模湖・津久井湖など)。
- 1965年、芦ノ湖の漁業権を管理する神奈川県、ブラックバス(オオクチバス、コクチバスその他のオオクチバス属の魚をいう)およびその卵も含め、移植を禁止(神奈川県内水面漁業調整規則第30条の2)。
- 1970年代、魚食性が強いため、生態系(在来生物層)への影響およびこれによる漁業被害が問題視されるようになり、漁業調整規則で無許可放流が禁止されるようになったが、その後も人為的な放流により生息域を拡大。
- 1971年、千葉県東金市の雄蛇ヶ池に移植。
- 1972年、釣り具輸入業者のツネミ・新東亜グループによって米国ペンシルベニア州、ミネソタ州からバス(ラージマウスバス)稚魚が神奈川県芦ノ湖に移植。一部は関西方面に運ばれ、兵庫県東条湖、愛媛県石手川ダムなどに移植。
- 1974年、この時期までオオクチバスの分布は23都府県。琵琶湖でオオクチバス確認。愛媛県石手川ダムから面河ダムに移植。
- 1975年、兵庫県生野銀山湖に移植。茨城県でオオクチバス初確認(藤井川ダム湖)。霞ヶ浦、牛久沼でオオクチバス確認。
- 1976年、栃木県渡良瀬遊水池で、オオクチバス確認。奈良県池原ダム・和歌山県七色ダムでオオクチバスが釣れ始める。
- 1977年、千葉県印旛沼に移植
- 1979年、この時期までオオクチバスの分布は40府県(ブルーギルは9府県)。
- 1983年、北海道、青森、岩手を除く日本全国にオオクチバスが分布。分布は1988年までに計45都府県に達する。
- 1985年、賞金制のバスプロ・トーナメントが山梨県河口湖を中心に始まる。
- 1988年、4月17日、奈良県池原ダムにJLAA関西支部と下北山村役場がオオクチバス(ノーザンラージマウス)の亜種で、より巨大化するフロリダバスを放流。
- 1989年、山梨県河口湖漁協、オオクチバスを漁業権魚種に指定。
- 1991年、野尻湖(長野県)で、コクチバスを国内初確認。以後、分布を拡大。
- 1992年、水産庁、内水面漁業調整規則「移植の制限」部分改正、ブラックバスやブルーギルの生息域拡大防止を図る。[8]
- 木崎湖・青木湖(長野県)、桧原湖・小野川湖・秋元湖(福島県)などでもコクチバス確認。
- 1995年、日光中禅寺湖でコクチバス確認。漁協、駆除に乗り出す。
- 1996年、この時期までコクチバスの分布は5府県10か所。池原ダム(奈良県)でフロリダバス系統群による巨大バスブーム。
- 1998年、コクチバスの分布、14府県46か所に拡大。
- 1999年、新潟県が釣った外来魚(オオクチバス、コクチバス、ブルーギルなど)のリリース(再放流)禁止に踏み切る。違反者は1年以内の懲役もしくは50万円以下の罰金。コクチバスのみの再放流禁止はあったが(山梨県)、オオクチバス、ブルーギルにまで適用したのは全国初。
- 2000年、北海道などごく一部を除き、全国ほとんどの都府県の漁業調整規則で「外来魚の密放流禁止」が進む。
- 2001年、北海道森町で生息を確認[9]。
- 2002年6月、水産庁が「ブラックバス等外来魚問題に関する関係者の取り組みについて(「外来魚問題に関する懇談会」の中間報告)」をまとめる。[10]
- 2003年4月、滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例にて再放流が条例により禁止(対象区域は琵琶湖ほか滋賀県下全域)
- 2004年、池原ダムのみに確認されていたフロリダバスを琵琶湖で初確認(サンプル採取は2000年以降のため、2000年には琵琶湖に存在していたことになる)[11]
- 2005年6月、オオクチバス(フロリダバスを含む)、コクチバスが環境省によって特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律によって指定される。
現在、オオクチバスはすべての都道府県で生息が確認されている。日本で合法的に放流されている自然湖は、オオクチバスの漁業権が認められている神奈川県の芦ノ湖、山梨県の河口湖、山中湖、西湖の4湖のみ。これらに関しては、放流は許可されているものの、生体魚の持ち出し禁止、流出河川にバスが逃げ出さないよう網を設置する等の措置がとられている。また、オオクチバスが認められている管理釣り場があるが、これらに関しても流出箇所にバスが逃げ出さないよう網等を設置することが義務付けられている。新潟県、秋田県(暫定措置)、琵琶湖のように、在来種の保護などのために再放流を禁止した県、湖、川などもある。琵琶湖の各漁港には「ギルやブラックバスなどは、非常においしい魚です。持ち帰って食べましょう。」という看板がある。
分布拡大の要因
オオクチバスの亜種であるフロリダバスに関しては、奈良県の池原貯水池にしか移植されていなかったものが、近年琵琶湖等で発見されるなど、人為的な放流が行われていることが示唆される[12]。
コクチバスは、アユやゲンゴロウブナ等の種苗の産地では繁殖していないため、種苗への混入は想定できない。そのため、水系単位でみた場合、その分布は放流によるものと容易に判断できる[12]。
分布拡大の主要因として「他の琵琶湖の固有種(ハスやワタカなど)が全国に分布しているということ」を根拠に「琵琶湖産アユ種苗やヘラブナへの混入により生息域を拡大したのが大きい」とする主張がある。しかし、外来生物法における特定外来生物の選定時に開かれたオオクチバス小グループ会合において日本魚類学会自然保護委員会外来魚問題検討部会が提出した資料によれば、以下の理由によりその頻度はそれほど高くないと考えられている。
- 日本に拡散しているオオクチバスは遺伝的に7タイプに分けられ、東北地方を中心に琵琶湖産オオクチバスと異なるタイプの遺伝子を持つバスがいること。
- 琵琶湖におけるオオクチバスの爆発的増加は1980年代になってからだが、1970年代にはすでにほぼ全国に広まっており、時系列的に考えればアユ種苗への混入を想定しなくても全国に拡散していたこと。
また、「一個人程度の放流が上手く行くかどうかという疑問の余地がある」とし、これを理由に「最たる原因は種苗は他魚の移入に混じっていた」とする主張や、「琵琶湖固有種だったハスが種苗により全国に広まった例などもあることから、すくなくともオオクチバスに限っては認めざるをえない要因である」との主張がある。しかし、混入に関しては上述の日本魚類学会の資料にあるとおり主要因とは考えづらいことや、バスの個人による放流に関しては種苗の産地で繁殖していないコクチバスが最初の発見から10年余りで少なくとも19都道県47水域で存在が確認されていること、過去に個人が放流して繁殖が確認されたことが記載されている雑誌・書籍[13]があることから、上の主張には根拠が無い、とする反論がある。
上記瀬能委員資料によれば、沖縄県を除く全都道府県でブラックバスの移植放流が漁業協定規則等で禁止された後でも、明らかに放流により分布が拡大したと推測される根拠があるとされており、特定外来生物に指定すべきという主張の根拠のひとつとなっている。
日本産ブラックバスの遺伝的知見
日本国内の19府県47地点から得られた(オオクチバス、コクチバス、フロリダバス)247個体のミトコンドリア mtDNA ハプロタイプを分析した。結果は、オオクチバスでは10のハプロタイプが知られているが、7タイプを確認した。山中湖には7タイプが生息しているが、ブラックバスに対し漁業権を設定しているため、資源量を維持する目的で全国各地から移植されている事が、ハプロタイプからも裏付けられた。琵琶湖ではフロリダバスとオオクチバスのハプロタイプが確認された。
アメリカ国内のハプロタイプ分布は十分に解明されておらず、日本に移入された個体の系統の由来地域の解明も不十分である。アメリカおよび日本国内のハプロタイプ分布が十分に解明されると、日本への移入が既知の1925,1972年以外に行われていたのかの解明が行えると期待される。
バスフィッシング
バスフィッシング(Bass fishing)は、川や池に棲息するバス(ブラックバス)を対象とした釣りのこと。
ブラックバスは、体長の割に引きが強い[要出典]ことや、季節によって一定のパターンをもって行動する[要出典]ことから、釣りの対象魚として人気がある[要出典]。日本で50cm以上の物は「ランカーサイズ」としてバサーを魅了する[要出典]。
疑似餌のルアーを使ってのルアーフィッシング(lure fishing)が一般的。他に金魚、ハヤ、ドジョウなどの小魚を使っての泳がせ釣りや、エビやミミズなどの生き餌を使ったウキ釣り (float fishing)、毛鉤の一種である フライを使ったフライフィッシング(fly fishing)が知られる。
生き餌を使っての釣りの方が匂いや餌の活きが良いので釣果が期待できるが、難点はミミズ等を餌にした場合にバス以外の魚種が釣れやすいことである。
現地で調達した生きた小魚の他にも、カエル、ドバミミズのように大きなミミズを1匹、またはシマミミズを数匹チョンがけしたもの。変わった例では、クツワムシやコオロギなどの昆虫やネズミなど。冬季はイワシやサバなどを使ってのデッドベイトに、専用のオイルなどを染込ませて釣る方法も人気[要出典]。
ルアーを使った釣りには一定のルールの下に行われるトーナメントと呼ばれる競技会があり、プロフェッショナルのバス釣りが存在する。競技会では基本的に、各参加者が一定時間内に釣り上げたブラックバスの中から、一定の匹数の合計重量を競い、勝敗を決めるのが主流[要出典]。プロ選手は「バスプロ(バスフィッシング・プロフェッショナル)」と呼ばれる。代表的なプロ選手としては今江克隆、並木敏成、田辺哲男、清水盛三、菊元俊文等。
国内にJB、WBS、TBC等のプロトーナメントの開催団体がある。また、アメリカのプロ団体BASSツアーやFLWツアー等では大森貴洋、深江真一、清水盛三などの日本人選手が活動している。
反町隆史、小池徹平、速水もこみち、吉瀬美智子、岡野昭仁、今江敏晃、矢野燿大、関本賢太郎など、バスフィッシングが好きな芸能人・スポーツ選手も多い。
ブラックバス問題
ブラックバスは魚食性が強く、日本列島に移入されたことで在来種が減ったとする主張があり、またこの問題を実証的に論じた学術論文も存在している。
環境省は、生態系に関わる被害および農林水産業に関わる被害があるとして、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律に基づき、ブラックバスを特定外来生物に指定し、防除を行っている。[14]
ブラックバス問題に関連する議論
ブラックバス問題に関連する議論として、過去にWikipediaに投稿されたものを中心にまとめる。
- 「環境省が委託し纏めた『財団法人自然環境研究センター:ブラックバス・ブルーギルが在来生物群集及び生態系に与える影響と対策』という書籍内で、現在科学的なデータは無いとしている。」という意見がある。
- (上記意見に対する反論・指摘等)環境省は『ご指摘の報告書では、「生物群集と非生物的環境を合わせたものとして定義した生態系への影響については「知見はほとんどなかった」』とし、『本法において生態系への影響は生物群集への影響を意味しています。』としており、生物群集への影響はあるとしている[15]。パブリックコメントでは、ブラックバス擁護派の一部に、この記述を「生態系への影響はない」と解釈する誤解があった。
- 『財団法人自然環境研究センター:ブラックバス・ブルーギルが在来生物群集及び生態系に与える影響と対策』に上記記述が掲載された経緯については第3回 特定外来生物等分類群グループ会合(魚類)オオクチバス小グループ会合 議事録に垣間見ることができる。生物・非生物を含む環境としての「生態系」への影響を示す知見が「無かった」ことについては小グループに参加している委員の間では一致している。これは、『ブラックバス・ブルーギルが在来生物群集及び生態系に与える影響と対策』に「無かった」と記されているのに瀬野委員が「有った」という主張を続けたため、水口委員が『ブラックバス・ブルーギルが在来生物群集及び生態系に与える影響と対策』を否定するのか?と強く追求したために、議場で水口委員の論敵になっている瀬野委員と多紀座長が「生態系」への「影響」に関しては「無かった」と認めたものである。しかし、その後瀬野委員は「生態系」という言葉にかわって「生物群集」「実際の在来生物」という言葉を使い、「これに対しての議論は意味がないと思います。実際の在来生物に影響を与えているということで十分」と、それ以上の議論を一方的に拒絶、座長裁定で当件についての議論そのものも打ち切られた。ブラックバスによるその「生物群集への被害」があるのかないのかについてはどちらにしても論拠が挙げられておらず、その場では結論が出ていない。上に記述されている「生物群集への影響はあるとしている」は瀬野委員の私見である。
- ブラックバスが生態系へ影響を及ぼしていることに対し、バス釣り愛好家からは「魚食性は鯉、ブルーギルなど他の魚種のほうが強い場合もあり、バスだけが原因ではない」「人間による生活廃水や、水辺のコンクリート化による護岸工事および、それに伴う水棲植物の駆逐がより直接的な原因である」「在来種減少の原因は何処が一番影響があるのかをはっきりさせる事が重要で、個別の対応はその後である」「バスを殺さなくても、バスが食べている魚を養殖して 食べられている魚を増やせばバスを殺す必要がなくなる」「日本に定着してから既に80年を経過し在来種に近い存在である」などの反論がある。
- (反論・指摘等)オオクチバスは専門家会合の検討において、生態系に被害を及ぼすものとして評価されている。オオクチバス以外の要因が存在するか否かにより、その結論が変わるものではないと考えられる[15]。
- (反論・指摘等)少なくとも在来種の減少の原因の一つとしてブラックバスの問題があることを完全に否定しうるような学術論文は提出されていない。
- (反論・指摘等)在来種減少には、ブラックバス以外にも要因があるのは事実だが、ブラックバスによる在来魚を含む生物層への影響があることも明白な事実であり、ブラックバス対策は必要である。
輸入等の禁止
環境省はこのような事態を重くみて2005年6月より施行された「外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)」により、ブラックバスのうちオオクチバスおよびコクチバスの輸入、飼養、運搬、移殖を、原則として禁止することとした。
駆除
主な方法としては成魚を捕獲する方法と卵の孵化を阻害する方法がある。
- 成魚の捕獲:釣る、投網、刺し網、定置網、銛や水中銃、電気ショック、減水させ捕獲
- 孵化の阻害:産卵床の埋没、産卵床の除去、不妊化オスの放流
駆除に係わる問題点として、
- 網、電気ショックによる捕獲は他魚種の混獲の問題がある。
- 潜水捕獲や産卵床の埋没は潜水作業者に係わる費用が高額になる。
- 自然の河川では事実上不可能。
具体的には、
- 小規模な溜池では水抜きによって捕獲した魚類からブラックバスとそれ以外の魚を分け、バスを除去した後、在来魚を戻すという方法がある[16]。
- 不妊化オスの放流は、滋賀県水産試験場で研究されており、体格が大きく強いオスを精子が体外に出ないようにする手術で不妊化させ、そのオスに積極的に卵の受精を妨害させようというものである。この方法は体長30cmを超える大型の個体を捕獲して不妊化させることで、相当数の受精を妨害できると見ている。これにより旺盛なバスの繁殖率を低下させ、また一括駆除などと違い環境への悪影響も無いと考えられている。
- 水位調節が比較的自由に行える農業用のため池やダムでは、産卵後から孵化までの期間に減水させ産卵床を露出することで稚魚の孵化を阻止することも可能である[17]。
- 本栖湖では、コクチバスに対し1997年から潜水士(ダイバー)による潜水調査を元に産卵床の埋没や刺し網、水中銃を利用した捕獲を2004年まで行い、2012年まで発見例がないために根絶した[18]とされている。オオクチバスに関しては2014年度も生息が確認されている。
漁業権と外来種問題
山梨県の河口湖、山中湖、西湖でのブラックバスの漁業権は1989年 - 1994年に認められ、2005年施行の外来生物法でブラックバスの放流が禁じられた後も「特例」として許可されてきた。2014年1月の免許更新期を前に、地元漁協や自治体が継続を求め、日本魚類学会やNPOや自然保護団体などが反対していた。山梨県が地元漁協の免許の特例更新を認める方針を固めた。
日本国外
- ブラックバスはアメリカ合衆国東海岸地域が在来地域であり、西部その他の地域へは移入種として導入されている。アメリカ国内においても、ブラックバスの導入後、在来種の減少や絶滅を招いた、との報告がある。[19]
- 優秀なスポーツフィッシングの対象魚であること、味が良いことから、世界各地に移入されている。ブラックバスが導入された湖沼の中には、捕食によって在来魚の個体群が減少したり絶滅したりするなどの影響が出ている例がある。そのため、IUCN(国際自然保護連合)によって世界の外来侵入種ワースト100に選定されている。[20][21]
- 環境省では「世界中で猛威をふるっている侵略種である」としている。[22]
- イギリスや韓国では生体の持込が禁止されている。[22]
利用
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遊漁対象魚
ブラックバスの害魚論が問題になっている一方、河口湖や山中湖などブラックバスを漁業指定対象魚とし、入漁料徴収の対象としている湖もある。これらの湖をはじめ、全国にはブラックバスフィッシングの愛好家を対象とするビジネスを展開する多数の事業者(貸しボート業、売店、飲食施設、宿泊施設等)があり、地域経済の中心にこの魚を置いているところも少なくない[要出典]。また、ブラックバスは釣魚としては優秀で、ブラックバス愛好家は日本釣振興会によれば300万人に上るといわれており、愛好家の多い釣りである。
釣具の種類・釣法も年々開発され、新作のルアーも新開発される。
ブラックバス擁護派を含め、同種にはなんらかの規制を行うことは必要不可欠との認識が、専門家および釣り関係者の中では支配的である。生態系の保護・維持と経済魚としてのブラックバスの活用を上手くすみ分けることがひとつの大きな課題となっている。
奈良県下北山村の池原貯水池はブラックバスを積極的に観光資源として活用し、また放流も行い、全国のバサーにとっては「ブラックバスの聖地」と注目されている。特にこのダム湖は日本では珍しいフロリダバス(正確にはオオクチバスとの交雑個体群)がおり、60 - 70センチのサイズが釣れることでも知られる。
食用魚
琵琶湖博物館の中にあるレストランで販売されている"バス天丼"
悪臭の元は皮(生息環境や大きさによる、35cmを越えたあたりから臭くなると思ってよい)および浮き袋の付け根にある稜線状(三角形)の脂であるとされており(大きさによっては肛門まわりや腹の身も臭い)、皮を剥がし、包丁や鱗とりで脂を取り去り調理すれば白身で淡泊な味の美味な魚であり、また、コイやウナギなどの淡水魚と同様に、きれいな水に入れて泥抜きを行うことで身の臭みは軽減すると言われている[要出典](芦ノ湖などのオオクチバスは臭みが少なく美味であるとも言われている)。しかし、特定外来生物に指定されており生体での持ち出しが禁止されているため、実際には捕獲後すぐに〆る必要があり、「臭い魚」という扱いを受けることが多い。簡便な方法として切り身を一定時間、牛乳に浸して臭み抜きの下処理を施してから加熱調理(揚げ物など)を行い食する。
アメリカでは、水産資源としてフライやバター焼き・ムニエル等に調理され、一般に食されている魚であるが、日本では、生臭くて料理に向かない魚というイメージが強い[要出典]。しかし、料理愛好家などからは、調理方法として揚げ物(フライ)、焼き物(ムニエル、ポワレ、ソテー)、煮物(アクアパッツア)、味噌田楽(魚田)等の料理法が推奨されている[要出典]。また、駆除のために捕獲されたブラックバスを調理して給食の副食として提供している自治体や、蒲鉾・魚肉ソーセージの材料や鮒寿司の鮒の代用とすることで、釣られたブラックバスを食材として消費して、駆除に役立てようとしている業者も存在する。
ブラックバスの駆除に熱心な琵琶湖近辺では、特産の鮒寿司と同様ななれずしを作り、ビワスズキという名称で試験的に販売しているところもあり、琵琶湖周辺やブラックバスフィッシングの有名地である芦ノ湖周辺などでは、フライなどのブラックバス料理を売り物にしているレストランなども存在する。 日本料理人である村田吉弘は、ブラックバスの白身で淡白な味わいを評価し、積極的に日本料理の食材として取り入れようと試みたこともあるが、「まな板などが臭くなってしまうので二度とやりたくない」と言っている[要出典]。
生食での顎口虫症などの危険性があり[23]加熱調理が推奨されるが、滋賀県農政水産部水産課が発行している「遊漁の手帖」には、「美味で、フライ、ムニエル、刺身などにして食べる」と、刺身やカルパッチョなど、生食での食用にも適している[24]と記されている。
藍藻はゲオスミンや2-メチルイソボルネオールを作り、これが魚の皮膚や血合に濃縮される。このゲオスミンが、ブラックバスやナマズなど淡水に棲む淡水魚が持つ泥臭いにおいのもとでもある。ゲオスミンは酸性条件で分解するので、酢など酸性の調味料を調理に使えば泥臭さを抑えることができる。
またブラックバスは他の白身魚に比べて高タンパク、低脂肪、アミノ酸のタウリンが豊富であるとされ、メタボリックシンドロームにも有効であるといわれている。
飼料/肥料
駆除や混獲の結果得られたブラックバスは魚粉に加工され、肉骨粉の代わりに畜産(養鶏・養豚など)飼料や魚類の養殖飼料や有機肥料として利用される。外来魚駆除の取り組みとして、地産地消品として有効利用されている。
また、宮城県のマリンピア松島水族館では県内で駆除されたブラックバスを無償で譲り受け、飼育している大型淡水魚の餌として活用している[25]。一方、神戸市立須磨海浜水族園では駆除されたミシシッピーアカミミガメを殺処分せずに保管しているが、膨大な餌をまかなうため一般からのブラックバス(殺処分済み個体)の持ち込みを受け付け、その対価として入園料をサービスするシステムを導入している[26]。
最近では滋賀県あたりでペットフードとして加工される事もある、先述のとおりビタミンEや猫に必須なタウリンなど 栄養素を多く含んでいる。
ブラックバスの天敵
天敵
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漁師 Fisherman
釣り人 Angler |
ウナギ Eel |
スズキ Bass |
ナマズ Catfish |
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アビ Diver |
カモメ Gull |
アジサシ Tern |
ミサゴ Osprey |
この他にもブラックバスの幼魚は、ライギョ、ドンコ、カワアナゴ、ギギ、ハス、ウグイ、ニゴイなどの魚類やカワウ、カワアイサなどの鳥類から襲われる。
脚注
- ^ Froese, Rainer, and Daniel Pauly, eds. (2006). Species of Micropterus in FishBase. April 2006 version.
- ^ 赤星鉄馬『ブラックバッス』(イーハトーヴ出版・1996)による。
- ^ バス (魚)の項参照。
- ^ 赤星鉄馬『ブラックバッス』(イーハトーヴ・1996)による。
- ^ a b JBNBC 公式ページ JBNBC 公式ページ
- ^ FLW - Bass Tournament Fishing News Fishing League Worldwide
- ^ B.A.S.S. Bassmaster Home
- ^ 都道府県内水面漁業調整規則例(平12・6・15 12水管1426水産庁長官通知)(抜粋) - 水産庁、2002年6月。「外来魚問題に関する懇談会」の中間報告 参考資料5 (2003年8月27日時点のアーカイブ)
- ^ 炭素窒素同位体判別法により推定した北海道への移入種オオクチバスの食性変位 北海道立水産孵化場研究報告 第59号
- ^ ブラックバス等外来魚問題に関する関係者の取り組みについて(「外来魚問題に関する懇談会」の中間報告) - 水産庁、2002年6月。(2003年7月28日時点のアーカイブ)
- ^ 近年の琵琶湖におけるフロリダバスの大規模な侵入 - 2004年 横川・中井・藤田
- ^ a b 日本におけるオオクチバスの拡散要因 日本魚類学会 - 環境省 第3回特定外来生物等分類群専門家グループ会合(魚類)オオクチバス小グループ会合提出資料 2005年1月7日 (PDF)
- ^ 吉田幸二著『バスフィッシング』アテネ書房(1984)など
- ^ 基本情報:特定外来生物等一覧 - 環境省 外来生物法
- ^ a b 特定外来生物の指定対象等に係るパブリックコメントの意見の理由と対応の考え方
- ^ 「原著論文」ダム湖の水位低下を利用した定置網による外来魚捕獲とその効果 応用生態工学 Vol.15 (2012) No.2 p.171-185
- ^ さくら湖(三春ダム)の水位低下がオオクチバスの繁殖に与える影響 応用生態工学 Vol.6 , No.1(2003)pp.15-24
- ^ 山梨県水産技術センター:本栖湖に密放流されたコクチバス Micropterus dolomieu の根絶 日本水産学会誌 Vol.78 (2012) No.4 p.711-718
- ^ NAS - Species FactSheet - アメリカ地質調査所(United States Geological Survey, 略称USGS)
- ^ 外来種,IUCN日本委員会 - IUCN日本委員会
- ^ issg Database: Ecology of Micropterus salmoides - global invasive species database
- ^ a b 特定対来生物の解説:オオクチバス(外来生物法) - 環境省
- ^ 日本顎口虫(がっこうちゅう)症 愛知県衛生研究所
- ^ 滋賀県農政水産部水産課「遊漁の手帖 (PDF)
- ^ “駆除したブラックバス 大型淡水魚のごはんに 松島水族館”. 河北新報. (2011年2月26日). オリジナルの2011年2月28日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/20110228195709/www.kahoku.co.jp/news/2011/02/20110227t15021.htm 2011年3月13日閲覧。
- ^ 神戸市広報 須磨海浜水族園「ブラックバスを釣ってきて、入園料がタダ!!」[1]
参考文献
- 日本魚類学会自然保護委員会『川と湖沼の侵略者ブラックバス―その生物学と生態系への影響』 恒星社厚生閣 ISBN 4769909675
- 川那部浩哉・水野信彦・細谷和海編『山渓カラー名鑑 改訂版 日本の淡水魚』ISBN 4-635-09021-3
- 森文俊・内山りゅう『淡水魚』山と渓谷社 ISBN 4635060594
- 高村健二 日本産ブラックバスにおけるミトコンドリア DNA ハプロタイプの分布 (PDF) 魚類学雑誌 52巻2号
- 滋賀県庁水産課 遊漁の手帖 外来魚を釣って食べよう [2] (PDF)
関連項目
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ウィキスピーシーズにブラックバスに関する情報があります。 |
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ウィキメディア・コモンズには、ブラックバスに関連するカテゴリがあります。 |
- ブルーギル
- ライギョ
- 魚の一覧
- 糸井重里のバス釣りNo.1
- スーパーブラックバス
- 顎口虫症
- 内水面漁場管理委員会
外部リンク
- 特定外来生物の解説:オオクチバス [外来生物法] - 環境省
- 〜ブラックバスから地域資源を守る〜 - 東北農政局/秋田県・男鹿市(2013年1月31日時点のアーカイブ)