ベポタスチン
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/05/21 05:16:40」(JST)
[Wiki ja表示]
ベポタスチン
|
IUPAC命名法による物質名 |
4-[4-[(4-chlorophenyl)-pyridin-2-ylmethoxy]piperidin-1-yl]butanoic acid |
臨床データ |
法的規制 |
|
投与方法 |
経口 |
識別 |
CAS番号 |
125602-71-3 |
ATCコード |
None |
PubChem |
CID 2350 |
KEGG |
D09705 |
化学的データ |
化学式 |
C21H25ClN2O3 |
分子量 |
388.88 g/mol |
SMILES
- C1CN(CCC1OC(C2=CC=C(C=C2)Cl)C3=CC=CC=N3)CCCC(=O)O
|
ベポタスチン(bepotastine)とは、選択的ヒスタミンH1受容体拮抗・アレルギー性疾患治療剤のひとつである。2000年に田辺三菱製薬からベシル酸塩が、タリオンの商品名で上市された。ベシル酸とは、ベンゼンスルホン酸 (C6H5SO3H) を指す。
現在、一錠中にベシル酸ベポタスチンを5mg含有するタリオン錠5と、同成分を10mg含有するタリオン錠10の2種類が発売されており、当該薬剤は指定医薬品・処方せん医薬品である。
ベポタスチンは、アレルギー性鼻炎・蕁麻疹・皮膚疾患に伴うそう痒(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に対し、その効能・効果が認められている。宇部興産の合成研究により発見され、その後同社と田辺三菱製薬により共同開発を経て、2000年にアレルギー性鼻炎への効能・効果が承認され、2002年に蕁麻疹・皮膚疾患に伴うそう痒への効果・効能が追加承認され、現在に至っている。
ベポタスチンは、現在日本において発売されている第二世代抗ヒスタミン薬のうち、開発からの期間が最も浅い薬剤である。そのため、第二世代抗ヒスタミン薬のなかでも、臨床効果の大きさに対して、比較的眠気の発現頻度が少ない薬剤とされる。もっとも、塩酸フェキソフェナジン・ロラタジン・エバスチン・エピナスチンなどと比較すると、眠気を訴える患者が多いことが確認される。
また、ベシル酸ベポタスチンはアレルギー性鼻炎患者を対象とした治験において、トリルダン(一般名テルフェナジン)(世界で発売中止)との二重盲検下の比較を実施した結果、全般改善度でベシル酸ベポタスチンが有意に優れていた[1]。
現在ベポタスチンは、日本のほか、大韓民国でも発売されている。また、点眼薬としての利用が検討されているところである。
目次
- 1 副作用
- 2 用法・用量
- 3 脚注
- 4 外部リンク
副作用
治験(1,446例)で報告された副作用は眠気5.7%、口渇1.1%、ALT(GPT)上昇2.1%、尿潜血1.1%等であり、使用成績調査(4,453例)で報告された副作用は眠気1.3%等であった[2]。又、小児特定使用成績調査(1,316例)で報告された副作用は眠気0.4%、口渇0.2%、蕁麻疹0.2%等であった。
用法・用量
成人にはベシル酸ベポタスチンとして1回10mgを1日2回経口投与、症状により適宜増減。
脚注
- ^ 厚生労働省. “中央薬事審議会・医薬品第一特別部会 2000年5月17日会議議事録”. 2009年11月23日閲覧。
- ^ “タリオン錠5mg/タリオン錠10mg 添付文書” (2015年4月). 2015年4月27日閲覧。
外部リンク
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- P1-02-4 ベシル酸ベポタスチンの掻痒を伴う皮膚疾患患者QOLへの効果(P1-02 アトピー性皮膚炎,皮膚アレルギー1,ポスターセッション,第23回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- そう痒性皮膚疾患におけるベシル酸ベポタスチンの臨床的効果に関するアンケート調査
- 西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology 72(3), 240-245, 2010-06-01
- NAID 10026929692
- そう痒性皮膚疾患におけるベシル酸ベポタスチンの臨床的効果に関するアンケート調査
Related Links
- 成分(一般名) : ベポタスチン ベシル酸塩 製品例 : タリオン錠5mg~10mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価 区分 : 他のアレルギー用薬/抗ヒスタミン薬/アレルギー性鼻炎治療剤
- 成分 ベシル酸ベポタスチン 適応症 アレルギー性鼻炎・蕁麻疹、皮膚疾患に伴うそう痒(湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症) 用法用量 通常、成人に1回10 mgを1 日2 回 注意 この製品に過敏症のある方は服用不可 腎障害又はその ...
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
- 選択的ヒスタミンH1受容体拮抗・アレルギー性疾患治療剤
販売名
タリオン錠5mg
組成
成分・含量(1錠中)
添加物
- ステアリン酸マグネシウム、セルロース、タルク、ヒプロメロース、マクロゴール6000、D-マンニトール
禁忌
効能または効果
成人
- アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に伴うそう痒(湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症)
<小児
- アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
成人
- 通常、成人にはベポタスチンベシル酸塩として1回10mgを1日2回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<小児
- 通常、7歳以上の小児にはベポタスチンベシル酸塩として1回10mgを1日2回経口投与する。
慎重投与
- 腎機能障害のある患者〔本剤の血中濃度を上昇させることがある。また、高い血中濃度が持続するおそれがあるので、低用量(例えば1回量5mg)から投与するなど慎重に投与し、異常が認められた場合は減量、休薬するなど適切な処置を行う。〕
薬効薬理
ヒスタミンH1受容体拮抗作用19〜21)
- ベポタスチンベシル酸塩はH1受容体に対して選択的親和性を示し、5-HT2、α1、α2、muscarinic受容体等に対しては親和性を示さなかった。
- ベポタスチンベシル酸塩はヒスタミンによる皮膚血管透過性亢進(ラット、モルモット)を経口投与で抑制し、in vitroにおいてはヒスタミンによるモルモットの摘出平滑筋(気管支、回腸)の収縮を濃度依存的に抑制する。
I型アレルギー反応抑制作用20〜23)
- ベポタスチンベシル酸塩は経口投与により受身皮膚アナフィラキシー(PCA)反応(ラット、モルモット)、アナフィラキシー性ショック(モルモット)ならびに抗原により誘発される気道収縮(モルモット)を抑制する。
- ベポタスチンベシル酸塩は経口投与により実験的アレルギー性鼻炎モデル(モルモット)における鼻腔抵抗の上昇ならびに抗原により誘発される鼻粘膜の血管透過性亢進(ラット)を抑制する。
好酸球に対する作用24,25)
- ベポタスチンベシル酸塩の経口投与は血小板活性化因子(PAF)(ラット、モルモット)及び抗原による(モルモット、マウス)好酸球浸潤を抑制する。
- ベポタスチンベシル酸塩の経口投与は抗原により誘発される末梢血中好酸球の増多(マウス)を抑制する。
サイトカインの産生に対する作用26)
- ベポタスチンベシル酸塩はヒト末梢血単核球におけるインターロイキン-5の産生を抑制する(in vitro)。
その他の作用19,27,28)
- ベポタスチンベシル酸塩の中枢神経系、呼吸・循環器系、消化器系、自律神経系・平滑筋、腎機能、代謝系及び血液系の一般薬理試験において特記すべき所見は認められていない(マウス、ラット、モルモット、ウサギ及びイヌ)。
- ベポタスチンベシル酸塩の眠気誘発作用(マウス、ネコ)及び催不整脈作用(イヌ、モルモット)について検討したがこれらの作用は認められなかった。
臨床薬理29)
- 健康成人を対象としたヒスタミン誘発皮内反応試験において、ベポタスチンベシル酸塩5、10mgの経口投与で、膨疹及び紅斑を用量依存的に抑制し、投与後12時間においてもプラセボに比し有意に抑制した。
有効成分に関する理化学的知見
○分子式
○分子量
○性状
- ・ 白色〜微黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。
- ・ 酢酸(100)に極めて溶けやすく、水又はエタノール(99.5)にやや溶けにくい。
- ・ 1gを水100mLに溶かした液のpHは約3.8である。
- ・ 融点:159〜163℃
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義
[★]
- 英
- bepotastine、
- 化
- ベシル酸ベポタスチン bepotastine besilate
[★]
- 英
- besylate、besilate
- 関
- ベシル酸塩、ベシレート