出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/07/07 03:26:55」(JST)
プロトコルまたはプロトコール(英語: protocol 英語発音: [ˈproutəˌkɔːl] プロウタコール、[ˈproutəˌkɔl] プロウタコル、フランス語: protocole フランス語発音: [prɔtɔkɔl] プロトコル)とは、複数の者が対象となる事項を確実に実行するための手順等について定めたもの。
日本語の意訳としては「規定」「議定書」「儀典」などがある。もともとは「人間同士のやりとりに関する用語」としてのみ用いられていたが、戦間期の学術的批判を経て、情報工学分野でマシンやソフトウェア同士のやりとりに関する概念を指すためにも用いられるようになった。
古代ギリシアでパピルスで作られた巻物の最初の1枚目を英: protokollon(古希: πρωτόκολλον)と呼び、巻物の内容などを記すためのページとして使われていた[1]。その後、草稿、議事録という意味を経て議定書[2]、外交儀礼といった意味へと発展した[1]。
プロトコルの「プロト」は「最初の」、「コル」は「糊」という意味で、表紙に糊付けした紙を表している[2]。
ウィーン学団の一人、オットー・ノイラートの1932年の論文、「プロトコル命題」において「プロトコル」を含む用語を用いている。
1968年に大型コンピュータを共有するために世界で最初に作られたインターネットであるARPANETが稼働し、これが「プロトコル」という用語および手順がインターネットで使われた最初となった[1]。
その後、最初期のパケット交換技術の方式のひとつであるX.25が登場し、研究者のみの利用であったARPANETから成長し一般ユーザも利用出来るものを目指し作成された結果、世界中のパケット交換技術者間でプロトコルという用語が定着し、共通語となった[1]。
政治、その中でも特に外交の用語として、複数の用法が存在する。プロトコルの成立当初よりも排他的な用語である。
外交儀礼としてのプロトコルとは、外交の場や国際的催しで、その実務や交流の場における公式な規則や手順などを、ひとつの典拠として利用できるようまとめたもの。歴史的外交事例に基づいた慣行や慣習を整理し成文化したものであり、法的な拘束力はもたない。
具体例としては、列席者の序列、国旗の取扱い、式例の進行手順、参列者の服装、物事の言い表し方などについて、その一般的な運用法をあらかじめ決めて明示するものだが、そもそも成文化されていない純粋な慣例も多く、その内容は時と必要に応じてさまざまに変化する。
また国際的に尊重されるべき大枠での合意ではあるものの、運用国の実情や慣習に応じてその内容が変化する場合もある。例えば国旗の取扱いでは、国際的には自国旗を他国旗よりも上位(左側)に掲揚または配置するのが一般的なプロトコルだが、日本では相手国に敬意を表する意味で逆に他国旗を日章旗の上位に持ってくる場合も多い。
なお外交関係者の中には、この外交儀礼の「プロトコル」を「プロトコール」と延ばして書いたり言ったりする者が多い。これはかつてのいわゆる「外交共通語」が英語ではなくフランス語だった時代の名残でもある。
国際法における条約の一種である議定書は、英語の protocol の訳語であることから、外交関係者の間ではこれをプロトコルと呼ぶこともある。
コンピュータ等の電子機器間で通信する際の取り決め。どのような状況でどのようなタイプのデータをどのような順番で送るかが記載されている。例えばインターネットでは、Request for Comments (RFC) という形でプロトコルが提案されている。
インターネットに限らず、機器同士が通信する場合には何らかの手順が必要であり、それらはプロトコルとしてまとめられている場合が多い。複数の手順を階層化する例として、OSI基本参照モデルなどがある。
実験プロトコルは分子生物学や生化学などの実験において、実験の手順、及び条件等について記述したものである。
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