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フィードバック(feedback)は帰還のこと。ある系の出力(結果)を入力(原因)側に戻す操作のこと。古くは調速機(ガバナ)の仕組み[1]が、意識的な利用は1927年のw:Harold Stephen Blackによる負帰還増幅回路の発明に始まり、サイバネティックスによって広められた。システムの振る舞いを説明する為の基本原理として、エレクトロニクスの分野で増幅器の特性の改善、発振・演算回路及び自動制御回路などに広く利用されているのみならず、制御システムのような機械分野や生物分野、経済分野などにも広く適用例がある。自己相似を作り出す過程であり、それゆえに予測不可能な結果をもたらす場合もある。
まず、入出力を持ち、入力に対してある操作を行ったものを出力とするシステム(系)を考える。このとき、その出力が入力や操作に影響を与えるしくみがあるとき、これをフィードバックという。ここで、ある瞬間の入力と出力の関係を増幅率と呼び、特に帰還を行っていない場合の系の増幅率を「裸の増幅率」と呼ぶ。また、帰還として戻ってきた値が、最初の入力に対して何倍になっているかをループ利得という。
出力の増加が入力や操作を促進する場合を正のフィードバック、逆に、出力の増加が入力や操作を阻害することを負のフィードバックという。工学分野では、しばしば正帰還および負帰還と呼ぶ。なお、ループ利得は正のフィードバックでは正の値に、負のフィードバックでは負の値になる。
正のフィードバックが働いている場合、フィードバック系の増幅率は裸の増幅率より大きな値となる。ここで特に系のループ利得が1を越える場合には、何らかの破綻が起こるまで出力は増大しつづける。これを避けるには、出力の増大に従ってループ利得が1以下となるような仕組みを導入する必要がある。また、ループ利得が1以上の時の特徴的な振る舞いとして、入力が途切れても出力を続けることが出来る、ということが挙げられる。この領域では初期値の違いが時間の経過にしたがって無限に引き伸ばされるため、僅かな初期値の違いがシステムの挙動を大きく変える(カオスな振る舞いとなる)場合がある。これは複雑性や多様性を生み出す原動力となりうる。
負のフィードバックが働く場合は、フィードバック系の増幅率は裸の増幅率より小さな値となる。この増幅率の余裕分の範囲で、出力の増加は出力を減少させるように働き、出力の低下は出力を増大させるように働くので、出力の変動を抑えることが出来る。負のフィードバックの方が応用範囲が広く、単にフィードバックと言えば負のフィードバックのことを指す場合も少なくない。
ただし、負のフィードバックを行なっていても、フィードバックが時間遅れを従っている、言い換えるとループ利得が周波数特性を持っている場合には、出力の「増加させ過ぎ」「減少させ過ぎ」を繰り返してしまう場合がある(これは、一定の時間遅れのときだけ正のフィードバックになってしまう、と表現する事も出来る)。この状況に陥る時間遅れにおいてループ利得が1を越える場合は、出力は一定の値に収束することなく変動を続ける。この状態を特に発振という。 現実の世界ではフィードバックに必ず時間遅れが発生するので、発振を避ける工夫が必要になる場合がある。フィードバック系の安定性を判断する方法として、位相余裕やボーデ線図がしばしば用いられる。
エレキギターではギター弦の振動を電子回路で増幅して音を出すが、この増幅された音が弦をさらに振動させ発振することがあり、フィードバックと呼ばれる。ギターの弦の振動は通常は次第に減衰してゆくが、適度のフィードバック(正帰還)を与えることで、任意の時間持続する例えばオルガンのような連続音を演奏することができるようになる。主にハードロックやヘヴィメタルなどでは、これを利用したフィードバック奏法がある。この「フィードバック」は、ギターアンプから出た出力音のエネルギーの一部を楽器の弦を振動振動させるために使うことである。
FM音源ではヤマハにより、フィードバックを利用してより幅広い合成音を生成する方法が開発された。
生命現象においてフィードバック(負のフィードバック)は恒常性の維持、学習等 において非常に重要な役割を果たしている。一例としてフィードバック阻害と呼ばれる現象がある。これは、蛋白質の作用が他の物質の影響を受けて変化する現象であるアロステリック効果のうち、代謝系のある反応を触媒する酵素の活性が、その代謝系の生産物によって抑制される場合のことである。
人間が不随意運動などを意識的にコントロールする手法としてバイオフィードバックがある。
結果情報の伝達。結果に加え、行動の反省や結果を導くための計画立案などの情報も含まれる。
問題の原因側に返す。
収益逓減が負のフィードバック、ネットワーク外部性や収益逓増などが、正のフィードバックである。
一般的に、褒める、称賛するなど効果的に作用する働きかけを正のフィードバック、けなす、否定するなど反対の働きかけとなるのが負のフィードバックと表現するケースが多いが、これは本来「フィードバック」の機能として持っている円環性や回路の意がくまれていない。 よって、上記については、正のストロークと負のストロークと表現される方が実態に即している。
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