ジスキネジア
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/08/30 17:09:56」(JST)
[Wiki ja表示]
|
ウィキペディアは医学的助言を提供しません。免責事項もお読みください。 |
ジスキネジア |
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
G24.9 |
DiseasesDB |
17912 |
MeSH |
D020820 |
ジスキネジアまたはジスキネジー(英: dyskinesia、独: dyskinesie)は、神経学的症候のひとつであり、不随意運動の一種である。もともとは運動障害、運動異常という意味で、異なる疾患にあらわれる症候であり、その原因によって区別されている。ハロペリドールなどの抗精神病薬を長期服用している患者におきるものは遅発性ジスキネジアまたは口ジスキネジーと呼び、口唇をもぐもぐさせたり舌のねじれや前後左右への動きが見られる。パーキンソン病患者にみられるジスキネジアは痙性の強い、四肢や頭部の舞踏様の運動であることがより一般的であり、通常レボドパによる治療を開始して数年後に現れる。
また原発性線毛運動不全症(繊毛不動症、カルタゲナー症候群とも、primary ciliary dyskinesia, Kartagener syndrome)、胆道ジスキネジー (biliary dyskinesia) もジスキネジーという語が使われている。
パーキンソン病におけるジスキネジア
パーキンソン病治療におけるジスキネジアとは、長期間にわたるレボドパ (L-DOPA) 療法によって起き、時間とともに起こったり消えたりする不随意運動である。運動症状の変動 (motor fluctuationという) はレボドパ治療開始5-10年後の患者の半数以上に起こり、年数が長くなるほどジスキネジアを起こす患者の割合は高くなる[1]。ジスキネジアが最も起こりやすいのは、レボドパの血中濃度がピークに達する時間帯で、これを ピークドーズ・ジスキネジア(peak-dose dyskinesia 、定訳がない)という。より進行すると二相性ジスキネジア(diphasic dyskinesia、こちらも定訳はない)といって、血中濃度が上昇する時と低下する時の二回ジスキネジアが起こる。ブロモクリプチンなどのドーパミン受容体作動薬などの治療法に切り替えて症状を緩和しようという試みは、今のところ成功していない[2]。ジスキネジアを避けるために、若い患者ではレボドパ治療の開始を遅らせるようにする(日本神経学会のパーキンソン病治療ガイドラインでは、70歳未満で認知症を合併しないパーキンソン病患者は、ドーパミン作動薬による治療から始めることが望ましいとされている)。
高用量の抗パーキンソン薬治療によって重度のジスキネジアが起こっている患者に対しては、深部脳刺激療法 (deep brain stimulation, DBS) が有効なことがある。その理由としては、まずDBSを実施することによりレボドパの投与量を50-60%減量でき、それによってジスキネジアが起こる可能性を減らすこと、またDBS治療によって(視床下核や淡蒼球を刺激することで)ジスキネジアそのものを改善することができる[3]。
薬剤性にパーキンソン病を起こさせた霊長類を使った実験では、メチレンジオキシメタンフェタミン (MDMA) の投与がジスキネジアを減らしつつレボドパの効果を増強することが示されている[4]。
脚注
- ^ Obeso JA, et al. The evolution and origin of motor complications in Parkinson's disease. Neurology. 2000;55 (suppl 4):S13-S20.
- ^ van Hilten J, Ramaker C, Stowe R, Ives Nj., 2007. Bromocriptine/levodopa combined versus levodopa alone for early Parkinson's disease. Cochrane Database Syst Rev. 2007 Oct 17;(4):CD003634.
- ^ Hiroki Toda, M.D., Ph.D.; Clement Hamani, M.D., Ph.D.; Andres Lozano, M.D., Ph.D., F.R.C.S.(C) 2004. Deep Brain Stimulation in the Treatment of Dyskinesia and Dystonia. Neurosurg Focus 17(1):9-13, 2004.
- ^ Iravani, M., Jackson, M., Kuoppamäki, M., Smith, L. & Jenner, P. (2003). 3,4-Methylenedioxymethamphetamine (Ecstasy) Inhibits Dyskinesia Expression and Normalizes Motor Activity in 1-Methyl-4-Phenyl-1,2,3,6-Tetrahydropyridine-Treated Primates, Journal of Neuroscience, 23, 9107–9115
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 薬原性遅発性ジスキネジアを表現型とした全ゲノム解析
- 有波 忠雄,稲田 俊也
- 日本神経精神薬理学雑誌 = Japanese journal of psychopharmacology 31(4), 155-162, 2011-08-25
- NAID 10029565049
- Controversies(誌上ディベート) パーキンソン病患者さんはジスキネジアで困っているか?
- 吉崎 崇仁,寺尾 安生
- Frontiers in Parkinson disease 4(2), 69-73, 2011-04
- NAID 40018856915
Related Links
- じすきねじー【ジスキネジー Dyskinesia】 [どんな病気か] 中枢神経(ちゅうすうしんけい)の病気によっておこる不随意運動(ふずいいうんどう)を総称してジスキネジーといいます。 バリスムとアテトーゼの2種類があります。
- ジスキネジアとは ジスキネジー(異常運動症) 抗パーキンソン病薬の服用に伴って起きる不随意運動の総称で、自分の意志に関わりなく身体が動いてしまう症状をいう。 ケイレン性斜頸 顔面攣縮 頚部攣縮 後弓反射 眼球回転発作
- 胆道ジスキネジーの症状 胆道ジスキネジーについての説明です。前述の通り安易な自己判断はせずに、体調が悪いときは医師(専門医)に相談するようにしてください。 胆道ジスキネジー(たんどうじすきねじー)とは胆嚢と胆管に ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
商品名
会社名
成分
薬効分類
薬効
- パーキンソン病[レボドパ・カルビドパ投与において症状の日内変動(wearing-off現象)が認められる場合]を効能・効果とする新医療用配合剤
禁忌
注意するべき副作用
[★]
- 英
- dyskinesia, dyskinesis
- 関
- ジスキネジー
<youtube>http://www.youtube.com/watch?v=2TU2s3VxEI4</youtube>
<youtube>http://www.youtube.com/watch?v=d1jJyk_poqE</youtube>
[★]
- 英
- dyskinesia、dyskinesis
- 関
- 運動障害、ジスキネジア、ジスキネジー
[★]
- 英
- orofacial dyskinesia
- 関
- 口腔顔面ジスキネジア、口顔面ジスキネジア
[★]
- 英
- perioral dyskinesia
- 関
- 口部ジスキネジー
[★]
- 英
- oral dyskinesia
- 関
- 口部ジスキネジア
[★]
- 英
- drug-induced dyskinesia
[★]
- 英
- screw
- 関
- スクリュー