- 英
- entacapone
- 商
- コムタン
- 関
- レボドパ、カルビドパ、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ COMT
- 抗パーキンソン剤
- 末梢COMT阻害薬であり、レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・塩酸ベンセラジドと併用され、レボドパから3-O-メチルドパ(3-OMD)の代謝経路を阻害することでレボドパの生物学的利用率を増大させ、そのため血中レボドパの脳内移行を効率化する。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/05/27 10:05:19」(JST)
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エンタカポン
|
IUPAC命名法による物質名 |
(2E)-2-Cyano-3-(3,4-dihydroxy-5-nitrophenyl)-N,N-diethylprop-2-enamide |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
?
|
投与方法 |
経口 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
35% |
血漿タンパク結合 |
98% (血清アルブミンに結合) |
代謝 |
肝代謝 |
半減期 |
0.4-0.7 時間 |
排泄 |
便中90%、尿中10% |
識別 |
CAS番号 |
130929-57-6 |
ATCコード |
N04BX02 |
PubChem |
CID 5281081 |
DrugBank |
APRD00416 |
KEGG |
D00781 |
化学的データ |
化学式 |
C14H15N3O5 |
分子量 |
305.286 g/mol |
エンタカポン(英:entacapone)はカテコール-O-メチル基転移酵素 (Cathecol-O-methyl transferase, COMT) 阻害薬のひとつで、パーキンソン病治療薬として用いられる化合物の国際一般名。L-DOPAのようなドーパミン作動薬とともに投与すると、その血液脳関門の通過を促進することで生物活性を増加させる働きがある。
エンタカポンはニトロカテコールの一種である。
エンタカポンのもっとも頻度の高い有害事象は、ジスキネジアなどL-DOPAの効果増強に伴うものである。これはエンタカポンによる治療を開始した当初に最も起こりやすい。他の副作用としては、下痢・悪心・腹痛などの胃腸障害がある。エンタカポン服用によって尿が赤褐色になることがあるが、これは無害であり、心配ない。治験において口渇を訴える人がいたという報告がある。
エンタカポンはフィンランドのオリオンファーマ社が開発し、米国ではコムタンおよびスタレボの商標でノバルティス社が発売している。日本では2007年1月26日に認可され[1]、2007年4月よりノバルティス社がコムタン錠の商標で発売している。米国では200mgの錠剤だが、日本での錠剤は100mgである。
スタレボはレボドパ、カルビドパとエンタカポンの合剤である(日本では未発売)。
脚注
- ^ エンタカポン:新機序でレボドパの効果を増強日経メディカル オンライン 2007年2月8日。(2008年6月27日閲覧)
外部リンク
- [1] アメリカ食品医薬品局 (FDA) のサイト(英文)
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Japanese Journal
- パーキンソン病治療薬 (新薬展望2010) -- (治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉--新薬の広場)
- 病棟薬剤師に聞く 脳神経疾患ナースのためのくすりの知識(第67回)エンタカポン--パーキンソン病/症候群治療薬
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- 2007年1月26日、パーキンソン治療薬のエンタカポン(商品名:コムタン)が製造承認を 取得した。「COMT阻害薬」という日本にはこれまでになかった新しいタイプの パーキンソン病治療薬で、併用によりドパミン製剤の治療効果を増強する。薬価収載 後に発売され ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
コムタン錠100mg
組成
成分・含量
添加物
- セルロース、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、硬化油、ヒプロメロース、ポリソルベート80、グリセリン、白糖、ステアリン酸マグネシウム、三二酸化鉄、酸化チタン
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 悪性症候群、横紋筋融解症又はこれらの既往歴のある患者(「副作用」の項参照)
効能または効果
- **レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩との併用によるパーキンソン病における症状の日内変動(wearing-off現象)の改善
- 本剤は症状の日内変動(wearing-off現象)が認められるパーキンソン病患者に対して使用すること。
- **本剤はレボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩投与による治療(少なくともレボドパとして1日300mg)において、十分な効果の得られない患者に対して使用すること。
- **本剤は単独では使用せず、必ずレボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩と併用する。
通常、成人にはエンタカポンとして1回100mgを経口投与する。
なお、症状によりエンタカポンとして1回200mgを投与することができる。
ただし、1日8回を超えないこと。
- **本剤はレボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩との併用により効果が認められる薬剤であり、単剤では効果が認められない。
- **本剤はレボドパの生物学的利用率を高めるため、レボドパによるドパミン作動性の副作用(ジスキネジー等)があらわれる場合がある。このため、本剤の投与開始時又は増量時には患者の状態を十分観察し、ドパミン作動性の副作用がみられた場合は、本剤あるいはレボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩を調節すること。
- 本剤を1回200mgへ増量した場合、ジスキネジー等が発現することがあるので、増量は慎重に検討すること。また、増量した際は観察を十分に行い、これらの症状が発現した場合には症状の程度に応じて本剤の1回投与量を減量する等適切な処置を行うこと。
- 本剤の増量は慎重に行い、1回200mg、1日1,600mgを超えないこと。
- 肝障害のある患者では、本剤の血中濃度が上昇したとの報告があるので、1回200mgへの増量は必要最小限にとどめること。やむを得ず1回200mgに増量する場合には、観察を十分に行いながら特に慎重に投与すること。(「慎重投与」、【薬物動態】の項参照)
- 体重40kg未満の低体重の患者では、1回200mgを投与した場合、ジスキネジーの発現が増加することがあるので、1回200mgへの増量は慎重に検討すること。
慎重投与
- 肝障害又はその既往歴のある患者〔肝障害のある患者で本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。〕(<用法及び用量に関連する使用上の注意>、【薬物動態】の項参照)
- 褐色細胞腫の患者〔高血圧クリーゼのリスクが増大するおそれがある。〕
重大な副作用
悪性症候群(1%未満)
- 本剤の急激な減量又は投与中止により、高熱、意識障害(昏睡)、高度の筋硬直、不随意運動、ショック状態、激越、頻脈、不安定血圧等があらわれ、CK(CPK)上昇を伴う横紋筋融解症又は急性腎不全に至るおそれがある。このような場合には本剤を再投与後、漸減し、体冷却、水分補給等適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症(頻度不明)
- 横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
突発的睡眠(1%未満)、傾眠(5%以上)
- 前兆のない突発的睡眠、傾眠があらわれることがあるので、このような場合にはレボドパ製剤の減量、休薬又は投与中止等の適切な処置を行うこと。
幻覚(5%以上)、幻視(1%〜5%未満)、幻聴(1%〜5%未満)、錯乱(頻度不明)
- 幻覚、幻視、幻聴、錯乱があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合にはレボドパ製剤の減量又は休薬等の適切な処置を行うこと。
肝機能障害(頻度不明)
- 胆汁うっ滞性肝炎等の肝機能障害があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には本剤の減量又は休薬等の適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- **エンタカポンは末梢COMT阻害剤であり、レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩と併用される。本剤は、レボドパから3-O-メチルドパ(3-OMD)の代謝経路を阻害することでレボドパの生物学的利用率を増大させ、そのため血中レボドパの脳内移行を効率化する。
パーキンソン病モデルにおけるレボドパ作用の増強効果
- 本剤はレセルピン処置マウスの運動活性に対するレボドパの作用を増強する。15)
- 本剤は片側ドパミン神経破壊ラットの対側回転行動に対するレボドパの作用を増強する。16,17)
- 本剤は1-Methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine(MPTP)処置マーモセットの運動活性及び運動機能障害に対するレボドパの作用を増強する。18)
作用機序
- COMT活性に対する本剤の阻害作用は強く、ドパミンβ水酸化酵素、チロシン水酸化酵素、ドパ脱炭酸化酵素、MAO-A及びMAO-Bに対する阻害作用は弱い(in vitro)。19)
- 十二指腸や肝臓等の末梢COMT活性に対する本剤の阻害作用は強く、線条体COMT活性に対する阻害作用は弱い(ex vivo、ラット)。20)
- 本剤は血清レボドパのAUCを増加させ、3-OMDのAUCを減少させる(in vivo、ラット)。21)
- 本剤は線条体ドパミン量を増加させる(ex vivo、ラット)。21)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- (2E)-2-Cyano-3-(3,4-dihydroxy-5-nitrophenyl)-N,N-diethylprop-2-enamide
分子式
分子量
性状
- 黄色〜帯緑黄色の粉末で、エタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。
分配係数(logP)
- 2.01〜2.36(1-オクタノール/0.1mol/L塩酸)
-0.22〜-0.26(1-オクタノール/pH7.4リン酸塩緩衝液)
★リンクテーブル★
[★]
商品名
会社名
成分
薬効分類
薬効
- パーキンソン病[レボドパ・カルビドパ投与において症状の日内変動(wearing-off現象)が認められる場合]を効能・効果とする新医療用配合剤
禁忌
注意するべき副作用