- 英
- cyclodextrin
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/10/22 01:34:48」(JST)
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シクロデキストリン (cyclodextrin) は数分子のD-グルコースが α(1→4) グルコシド結合によって結合し環状構造をとった環状オリゴ糖の一種である[1]。CD と略されることもある。
グルコースが5個以上結合したものが知られている。一般的なものはグルコースが6個から8個結合したものであり、それぞれ6個結合しているものが α-シクロデキストリン(シクロヘキサアミロース)、7個結合しているものが β-シクロデキストリン(シクロヘプタアミロース)、8個結合しているものが γ-シクロデキストリン(シクロオクタアミロース)と呼ばれている。
1891年にヴィリエ (A. Villiers) によって発見され、1903年にこの物質がシャルディンガー (F. Schardinger) によって環状オリゴ糖であることが判明したのでシャルディンガーデキストリンともいう。
デンプンに Bacillus 属、Brevibacterium 属、Corynebacterium 属といった細菌から抽出したシクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ (EC 2.4.1.19) を作用させることによって得られる。
シクロデキストリンは塩基に対しては安定であり、酸に対してもデンプンや他のオリゴ糖に比べるとかなり安定である。また α-アミラーゼによる分解もデンプンに比べるとかなり遅い。β-アミラーゼによっては分解されない。また熱に対してもかなり安定で、200 °C 程度まで加熱しても安定である。
シクロデキストリンの水への溶解度は 25 °C でα体が 14.5 g/100 mL、β体が 1.8 g/100 mL、γ体が 23.2 g/100 mLであり、β体はその溶解性が低い。
シクロデキストリンの環状構造の内部は他の比較的小さな分子を包接できる程度の大きさの空孔となっている。空孔の内径はα体で 0.45–0.6 nm、β体で 0.6–0.8 nm、γ体で 0.8–0.95 nm 程度とされている。またシクロデキストリンのヒドロキシ基はこの空孔の外側にあるため、空孔内部は疎水性となっており、疎水性の分子を包接しやすい。これを利用して疎水性の物質をシクロデキストリンに包接させることで水に溶解させたり、水や酸素と反応しやすい物質を保護したりする用途に利用されている。
また、シクロデキストリンは光学活性体であるため、一対の鏡像異性体に対して包接しやすさが異なる。すなわちラセミ体から鏡像異性体を分離するのに利用できる。そこでシクロデキストリンの誘導体を固定相とするガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーのカラムが市販されている。ほか、ロタキサンのリング部分として、ポリエチレングリコールなどと組み合わせて用いられる。
超分子への応用
シクロデキストリンの分子認識を利用した超分子の合成が広く研究されている。環状構造であるため、ロタキサンの部品として用いられる。日本では原田明、高田十志和、八島栄次、伊藤耕三らをはじめ多くの超分子化学者がシクロデキストリンを用いた超分子の研究を行っている。
脚注
- ^ IUPAC Gold Book - cyclodextrins
関連項目
- デキストリン
- シクロアワオドリン
- シクロデキストリン学会
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Japanese Journal
- シクロデキストリンを用いたスピロピラン誘導体の2光子イオン化
- 原 道寛,HARA Michihiro,大井 友之,OOI Tomoyuki
- 41, 375-380, 2011-08-04T04:48:45Z
- Transient absorption measurement using 266-nm laser flash photolysis technique was performed with regard to 1',3',3'-Trimethylspiro[1(2H)-benzopyran]-2,2'-indoline:(SP)in the absence and presence of c …
- NAID 120003240446
- 生理活性物質-シクロデキストリン包接化合物の構造化学⑴-l-menthol-β-cyclodextrin錯体のX線結晶構造解析
- 甲斐 泰,Kai Yasushi,山本 将輝,Yamamoto Masaki
- 41, 354-359, 2011-08-04T02:25:43Z
- The crystal structure of an inclusion complex of β-cyclodextrin with l-menthol has been determined by X-ray diffraction method. The crystals were very unstable in air, so they were sealed in thin-wall …
- NAID 120003240442
Related Links
- 株式会社シクロケムは、無限の可能性を秘めた新素材“環状オリゴ糖”(シクロデキストリン)を中心とした、次世代のための技術開発に取り組んでいます。 ... 基礎編 ・ シクロデキストリン(環状オリゴ糖)ってなに? ...
- 2015.11.24 ニュースレターのページに、奨励賞受賞者の声(東 顕二郎 氏)を掲載しました。 詳細 2015.11.24 第33回シクロデキストリンシンポジウム(2016)のホームページが開設 ...
- シクロデキストリンって何?? ブドウ糖 (グルコース) の重合体であるでん粉にシクロデキストリン合成酵素を作用させることにより作られるブドウ糖が環状に6~8個連なったオリゴ糖で、環状オリゴ糖とも呼ばれています。
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
グリメサゾン軟膏
組成
- 1g中
日本薬局方デキサメタゾン:1mg
グリテール:2mg
- 添加物としてβ-シクロデキストリン、クロタミトン、ゲル化炭化水素を含有
禁忌
(次の場合には使用しないこと)
- 皮膚結核、単純疱疹、水痘、帯状疱疹、種痘疹[症状を悪化させることがある。]
- 本剤又は本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
- 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎[鼓膜の自然修復を阻害するおそれがある。]
- 潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷[上皮形成の阻害が起こる可能性がある。]
効能または効果
- 湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、皮膚そう痒症、尋常性乾癬、虫さされ
- 通常、1日1〜数回直接患部に塗布又は塗擦するか、あるいは無菌ガーゼ等にのばして貼付する。なお、症状により適宜増減する。
薬効薬理
抗炎症作用1)
- 雄の白色モルモットにNicole Hunzikerの方法にならい1%DNCBアセトン溶液を連日塗布し、後約2週間放置して感作を待ち、皮膚炎惹起3日前から、抜毛した5カ所にグリメサゾン軟膏とその主成分である0.1%デキサメタゾン軟膏、0.2%グリテール軟膏、基剤プラスチベースを塗布した。対照に無処置のコントロール部を設けた。0.1%DNCBアセトン溶液を滴下して皮膚炎を惹起し、惹起後6、12、24、48時間毎の皮膚を生検して、各軟膏の抗炎症作用を経時的、組織学的に(1)リンパ球表皮内遊出(2)表皮細胞間浮腫(3)表皮肥厚(4)真皮内小円形細胞浸潤を観察、効果を比較した。48時間後の組織所見を下表に示した。
(炎症の程度は、著明なもの+++、中等度のもの++、軽度のもの+、正常あるいは僅少なものを±と判定した。)
有効成分に関する理化学的知見
グリテール
一般名
性状
- 脱脂大豆を乾留精製して得た褐色の液で、特異なにおいがある。
メタノール、エタノール(95)又はジエチルエーテルに混和し、水にほとんど溶けない。
大気中に放置すると、酸素を摂取して漸次紅色を帯びてくる。
デキサメタゾン
一般名
化学名
- 9−Fluoro−11β,17,21−trihydroxy−16α−methylpregna−1,4−diene−3,20−dione
分子式
分子量
**性状
- 白色〜微黄色の結晶又は結晶性の粉末である。
メタノール、エタノール(95)又はアセトンにやや溶けにくく、アセトニトリルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
融点
★リンクテーブル★
[★]
シクロデキストリン
[★]
- 英
- gamma-cyclodextrin
- 関
- γ-シクロデキストリン
[★]
- 英
- beta-cyclodextrin
- 関
- β-シクロデキストリン
[★]
- 英
- gamma-cyclodextrin
- 関
- γシクロデキストリン
[★]
- 英
- beta-cyclodextrin
- 関
- βシクロデキストリン
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- cyclo
- 関
- 環状、サイクロ
[★]
- 英
- bird、avian
- 関
- 鳥類