出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/19 20:45:30」(JST)
この項目では、挽肉食品について説明しています。日本のお笑いトリオについては「ソーセージ (お笑い)」をご覧ください。 |
ソーセージ(フランス語: saucisse, 英語: sausage)とは、鳥獣類の挽肉などを塩や香辛料で調味した食品。湯煮や燻煙などの燻製処理を行い保存食とされることが多いが、ドイツなどでは生挽肉を詰めたまま(メットヴルスト)のものをパンに塗りつけて食されたりする種類もある[1]。
ソーセージの歴史はハムよりも古く、ホメロスの『オデュッセイア』には既に、山羊の胃袋に血と脂身を詰めた兵士の携行食として登場している[2]。
保存食としての伝統的なソーセージは、刻んだ肉と塩を食べられる袋に詰めて作られる。塩を入れる理由は有害な微生物の増殖を抑制することと、筋繊維タンパクを溶解させ肉同士を結合させるためである。多くは羊や豚の腸などのケーシングに詰められるが、最近は低脂肪組成の人工ケーシングも多く使われる。アメリカのブレイクファスト・ソーセージのように成型のみで腸詰されないものも存在する。挽肉をケーシングに詰める作業にはソーセージフィラーあるいは専用の絞り器もしくは絞り袋を用いる。このうちソーセージフィラーは本体がシリンダー状になったもので、ケーシングをファンネル部(口金)にセットした後で圧力をかけると挽肉が押し出され、ケーシングに詰められるような仕組みになっている。
ソーセージは中に詰める肉の粗さ、肉と脂肪との比率、血液、シーズニングなど地域によって様々な種類が存在し、さらに保存方法も空気乾燥、燻製、発酵など多岐に分かれる。ブーダン・ブランのようにソーセージの種類によってはパン、小麦粉、米、オートミール、コーンミール、春雨などデンプン質の素材を挽肉を混ぜることもあり、調理時にこれらが肉から出るや水分や脂肪を吸収してソーセージを縮みにくくする。また、製造後数日で調理して食べることを想定したソーセージを生ソーセージといい、製造過程で加熱しそのまま食べられるものを調理済みソーセージと呼ぶ[3]。
日本では魚肉をソーセージと似た形状に加工・包装した食品が販売されている。これを魚肉ソーセージというが、単にソーセージと呼ぶ場合もある。
日本でソーセージといえば、ドイツのソーセージが特に有名である。ドイツ語ではソーセージのことをヴルスト(Wurst)と呼び、さらに地方ごとに多種多様な形態があり、その地名を冠して呼ぶことが多い。 日本で「フランクフルト」と呼ばれる太くて大きいソーセージも、本来はフランクフルト名産のヴルストなので、フランクフルター・ヴルスト(フランクフルト風ソーセージ)と呼ばれている。他に、細くて長いチューリンガー・ヴルスト、短いニュルンベルガー・ヴルストやミュンヘナー・ヴルストなど、様々な種類がある。 また、ソーセージに似た郷土料理としては、赤身肉やジャガイモをメス豚の胃に詰めてゆでたプファルツ風のプフェルツァー・ザウマゲン(ドイツ語版) がある。
血を腸に詰めたソーセージ(ブラッドソーセージ)として、フランスのブーダン、台湾の豬血糕、朝鮮半島のスンデ、イギリスのブラックプディングなどがある。ブーダンはリンゴを添えた料理が一般的である。レバーソーセージは材料の肉の一部をレバーに置き換えたソーセージである。また、臓物を腸に詰めたフランスのアンドゥイエット(英語版)というソーセージもあり、大きさによって従来のソーセージのように一本丸ごと使うか、ハムのようにスライスする。いずれも独特の臭味があるが慣れると好む人も多い。
マグリブ諸国には豚肉の代わりにハラールの羊肉を使い赤唐辛子をきかせたメルゲーズ(英語版)という腸詰があり、北アフリカからの移民の多いフランスでも一般的である。
日本におけるソーセージのルーツは第一次世界大戦時に捕虜として習志野俘虜収容所に連れてこられたドイツ兵のカール・ヤーンら5名のソーセージ職人が千葉市に新設された農商務省畜産試験場の求めに応じてソーセージ作りの秘伝を公開した事に由来している。この技術は農商務省の講習会を通じて、日本全国に伝わっていった。なお、捕虜となったドイツ人の何人かは日本にとどまり、ヘルマン・ウォルシュケ、アウグスト・ローマイヤー、カール・ブッチングハウスなどは日本にソーセージの文化を広める事に貢献した。一方、北海道では1919年に来日したカール・ワイデル・レイモンの功績が大きい。
日本ではJASによりソーセージの規格が定められている。規格では、原材料や調理法やケーシング(腸もしくはフィルムの皮)によっていくつかの名称が付けられており、「特級」は豚および牛のひき肉だけでつくられたもので、「上級」は豚および牛のひき肉に結着材料を加えたもの、「標準」は畜肉など(副原料として魚肉含む)のひき肉に結着剤を加えたものとなっている。なお一般にはケーシングによる区別で、羊の腸に詰めた(直径20mm未満の)物を「ウィンナーソーセージ」、豚の腸に詰めた(直径20mm以上36mm未満の)物を「フランクフルトソーセージ」、牛の腸に詰めた(直径36mm以上の)物を「ボロニアソーセージ」としている。また製品の水分量が55%以下の物を「セミドライソーセージ」35%以下の物を「ドライソーセージ」としている。 ケーシングや水分量によらず、魚肉及び鯨肉の原材料に占める重量の割合が15%以上になると、これら「ソーセージ」の規格を外れ、魚肉及び鯨肉が15%以上50%未満なら「混合ソーセージ」、50%以上なら「魚肉ソーセージ」の規格に分類される。
日本の商品として、赤色102号、コチニール色素などで表面を赤く着色したウインナー・ソーセージがある。これはソーセージに良質の素材を用いることができなかった昭和中期に考案されたもので、プレスハムなどと同様に発色の悪さを隠すための苦肉の策であったと伝えられている。しかしながら現在ではたこさんウィンナーに代表されるお弁当の定番として多くの日本人の支持を得ているほか、アニメなどを通じて日本固有の食材として海外にもその存在が認知されている。
魚肉ソーセージも参照の事。
後期ラテン語のサルスス(salsus、「塩漬にした」)に由来するサルシキウス(salsicius)の単数女性形サルシキア(salsicia)から転じた古北部フランス語ソーシッシュ(saussiche)が語源[4]。
両者とも、完成品であるソーセージからは実際に使われている肉の種類や添加物、製造現場の衛生状態などは判別困難であり、ひき肉(血や内臓などを混ぜることもある)や動物の腸など材料の姿も思い浮かばないことから。
ソーセージやハムによる食中毒が1000年以上前から起きていたが、ソーセージに原因があることが判明したのは1870年のことであった。このときソーセージを意味するラテン語「ボトゥルス」を元に「ボツリヌス(ボトゥリヌス)中毒」と名付けられる。さらに1895年に原因菌のボツリヌス菌が発見された。なお、ボツリヌス菌が作り出す毒素は強烈であるが熱に弱く、食べる前にソーセージを加熱することで簡単に分解する。また、今日の日本では、万が一のことを考慮し加熱殺菌済みのソーセージが多く流通している。
Harold McGee; 香西みどり訳 『マギー キッチンサイエンス』 共立出版、2008年。ISBN 9784320061606。
ウィキメディア・コモンズには、ソーセージに関連するメディアがあります。 |
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