- 英
- coenzyme
- 同
- コエンザイム、助酵素
- 関
- [[]]
WordNet
- a small molecule (not a protein but sometimes a vitamin) essential for the activity of some enzymes
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/08 11:58:31」(JST)
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補酵素(ほこうそ、英: coenzyme)は、酵素反応の化学基の授受に機能する低分子量の有機化合物である。コエンザイム、コエンチーム、助酵素などとも呼ばれる。
一般に補酵素は酵素のタンパク質部分と強い結合を行わず可逆的に解離して遊離型になる(反対に不可逆的な解離を行うものは補欠分子族と呼ばれる)。補酵素の多くはビタミンとして良く知られており、生物の生育に関する必須成分(栄養素)として良く知られている。
目次
- 1 補酵素と酵素の結合
- 2 補酵素の機能
- 3 補酵素の種類
- 3.1 キノン補酵素
- 3.2 ビタミン補酵素
- 3.3 その他の補酵素
- 4 関連項目
補酵素と酵素の結合
補酵素とアポ酵素(apoenzyme、補酵素を欠く酵素のタンパク質部分)はそれぞれ単独では化学反応触媒として機能せず、両者が混在する条件と基質分子が存在することにより、初めて酵素として機能する。補酵素とアポ酵素が結合した機能性酵素のことを「ホロ酵素(holoenzyme)」という。なお全ての酵素が補酵素を要求するわけではない。
- アポ酵素 + 補酵素 ホロ酵素
補酵素と酵素の結合は一般的にはゆるく、透析などの実験操作によって容易に外れる。結合の強さは一般的に解離定数(かいりていすう・かいりじょうすう)という数値によって示されるが、解離定数の数値によって補酵素であるか補欠分子族となるかの基準は存在しない。
補酵素の機能
補酵素は生体内で原子団の運搬を行うが、原子団の授受を行うことを意味する。授受を行う状態についてはそれぞれ、
- ~~受容体:原子団を受け取る状態
- ~~供与体:原子団を与える状態
という用語が用いられる(~~は伝達を行う物質名)。この両者の機能を有する物質名として『~~伝達体』と言う呼称が与えられる。例えば、もっとも有名な補酵素である補酵素Aに関しては、
- 受容体 → アシル受容体-転移酵素系(SH-CoAあるいはCoA)
- 供与体 → 転移酵素-アシル供与体系(アセチルCoA)
等と表記される。補酵素は遊離状態を呈することによって、1種類の物質をもって様々な代謝系に対応する。例えば補酵素Aではクエン酸回路およびβ酸化に関与している。
補酵素の種類
運搬する原子団による分類などは現在行われておらず、生育因子が補酵素であると後から実験的に証明されたものが多い。そのために補酵素の分類は主たる構造によっておこなわれる。しかしながら電子伝達に関する補酵素群に関しては、「電子伝達体」という呼称が与えられている。
なお、補酵素のリストについては以下の通りである。
キノン補酵素
- PQQ(ピロロキノリンキノン):酸化還元反応に関与 → 電子伝達体
- TPQ(トパキノン):酸化的脱アミノ反応
- TTQ(トリプトファン-トリプトフィルキノン):メチルアミン酸化還元
- LTQ(リシンチロシルキノン):ペプチド内リシンの酸化
- CTQ(システニル-トリプトファンキノン):アミンの酸化還元
ビタミン補酵素
- TPP(チアミン二リン酸):2-オキソ酸(ピルビン酸など)の脱炭酸、C-unit 転移、糖代謝系
- FAD、FMN(ビタミンB2):酸化還元反応 → 電子伝達体
- PALP、PLP(ビタミンB6):アミノ基転移、CO2 離脱
- NAD、NADP(ナイアシン):酸化還元反応 → 電子伝達体
- 補酵素A(パントテン酸):アシル基転移
- 補酵素R(ビオチン):炭酸固定
- 補酵素F(葉酸):C-unit 転移
- 補酵素B12(ビタミンB12):H、Cの分子内転移
その他の補酵素
- ATP(アデノシン三リン酸):リン酸基の転移、エネルギーの利用
- UDPG(ウリジン二リン酸グルコース):グリコーゲン合成
等等。なお、電子伝達体には補酵素に含まれないものも存在するが、両者の境はあいまいである。
関連項目
- 酵素
- 補因子
- 補欠分子族
- 電子伝達体
- 栄養素
- ビタミン
補因子 |
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補酵素 |
ビタミン: NAD+ (B3) - NADP+ (B3) - 補酵素A (B5) - THF / H4F (B9), DHF, MTHF - アスコルビン酸 (C) - メナキノン (K) - 補酵素F420
非ビタミン: ATP - CTP - SAM - PAPS - GSH - 補酵素B - 補酵素M - 補酵素Q - メタノフラン - BH4 - H4MPT
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有機補欠分子族 |
ビタミン: TPP / ThDP (B1) - FMN, FAD (B2) - PLP / P5P (B6) - ビオチン (B7) - メチルコバラミン, コバラミン (B12)
非ビタミン: ヘム - α-リポ酸 - モリブドプテリン - PQQ
|
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金属補欠分子族 |
Ca2+ - Cu2+ - Fe2+, Fe3+ - Mg2+ - Mn2+ - Mo - Ni2+ - Se - Zn2+
|
|
主要な生体物質:炭水化物(アルコール、糖タンパク質、配糖体) · 脂質(エイコサノイド · 脂肪酸/脂肪酸の代謝中間体 · リン脂質 · スフィンゴ脂質 · ステロイド) · 核酸(核酸塩基 · ヌクレオチド代謝中間体) · タンパク質(タンパク質を構成するアミノ酸/アミノ酸の代謝中間体) · テトラピロール · ヘムの代謝中間体 |
|
タンパク質:酵素 |
|
トピックス |
- 活性部位
- アロステリック効果
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- 補酵素
- 補因子
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- ミカエリス・メンテン式
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タイプ |
- EC1 酸化還元酵素
- EC2 転移酵素
- EC3 加水分解酵素
- EC4 リアーゼ
- EC5 異性化酵素
- EC6 リガーゼ
|
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 9.ジオールデヒドラターゼの活性維持システムによる補欠分子族型補酵素のリサイクリング(第431回研究協議会研究発表要旨,ビタミンB研究委員会)
- 2-II-5 ビタミンB_<12>補酵素関与エタノールアミンアンモニアリアーゼの基質結合アミノ酸残基の機能解析(一般演題要旨,第65回大会講演要旨)
- 2-II-3 ラット脳における補酵素型ビタミンB_<12>の日内変化(一般演題要旨,第65回大会講演要旨)
- 竹中 重雄,伊佐 桃子,梶村 俊介,森田 大樹,田舞 理央,田中 勝啓,小森 雅之,桂 博美,渡辺 文雄,中野 長久
- ビタミン 87(4), 241, 2013-04-25
- NAID 110009604776
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- iron-molybdenum cofactor、FeMo cofactor
- 関
- モリブドフェレドキシン、モリブデン鉄タンパク質、鉄モリブデン補助因子
[★]
- 英
- 3-hydroxy-3-methylglutaryl-coenzyme A
- 関
- 3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA
[★]
- 英
- PQQ cofactor
- 関
- ピロロキノリンキノン
[★]
- 英
- vitamin B12 coenzyme
- 関
- コバミド補酵素
[★]
- 英
- fatty acyl-CoA
- 関
- 脂肪酸アシルCoA
[★]
- 英
- enzyme, ferment
- 関
- 酵素反応
酵素の分類
- (a)酸化還元酵素(oxydoreductase) EC1:ある物質を酸化したり、還元したりします。脱水素酵素、ペルオキシダーゼなどを含みます。
- (b)転移酵素(transferase) EC2: アミノ基やリン酸基などをある物質から別の物質に転移する酵素です。アミノ基を転移する酵素はアミノトランスフェラーゼと呼ばれます。
- (c)加水分解酵素(hydrolase) EC3:ある物質(基質)に水(H2OのうちHとOH)を加えることにより、2つに分解します。多くの蛋白分解酵素が含まれます。
- (d)リアーゼ(lyase) EC4:ある物質を2つに分解します。
- (e)イソメラーゼ(isomerase) EC5:ある基質を異性体に変換します。
- (f)リガーゼ(ligase) EC6;ATPのエネルギーを使って2つの物質を結合します。