橋本脳症
概念
- 橋本病を背景疾患として有し、自己免疫が関与し精神・神経症状を呈する疾患である。
- 福井大学の米田誠先生が抗NAE抗体を半数の患者が有することを明らかにしている。
疫学
- 女性が72%
- 若年者(20-30歳)と高齢者(50-70歳)の二峰性
症状
| 比率(%) | |
| 意識障害 | 66 |
| 幻覚・せん妄 | 53 |
| 認知症 | 38 |
| 不随意運動 | 31 |
| てんかん | 29 |
| 小脳性運動失調 | 28 |
Peschen-Rosinらの診断基準
- 反復する痙攣、精神症状を呈する例で、(1)脳波異常、(2)抗マイクロゾーム抗体陽性、(3)髄液蛋白の上昇、(4)ステロイドに反応良好、(5)頭部MRIで異常所見を見ないことのこれらのうち3つ以上を満たすものを橋本脳症と定義した。橋本脳症の疾患特異的な自己抗体である抗NAE抗体(血清N末端αエノラーゼ抗体)が陽性であることも診断的に有意な所見である。
検査
- 脳波:基礎波の徐脈化
- 脳SPECT:血流低下
- 脳MRI:辺縁系病変、深部白質病変
| 検査・画像項目 | 特徴 | |
| 抗甲状腺抗体 | 抗TPO抗体陽性、抗TG抗体陽性 | 52% |
| 抗TPO抗体陽性 | 21% | |
| 抗TG抗体陽性 | 18% | |
| 抗TSH受容体抗体 | 9% | |
| 甲状腺機能 | 正常 | 72% |
| 低下(軽度) | 25% | |
| 一過性亢進 | 3% | |
| 血清抗NAE抗体 | 特異度 90%、感度 50% | |
| 髄液蛋白上昇 | 45% | |
| 脳波 | 基礎律動の徐波化 | 80% |
| 脳MRI | 異常(ほとんどが側頭葉辺縁系病巣かびまん性白質病変) | 36% |
| 脳血流SPECT | 低下 | 76% |
鑑別疾患
- 認知症(認知機能低下):辺縁系脳炎、白質脳症、クロイツフェルト・ヤコブ病
| 臨床病型 | 鑑別疾患 |
| 急性脳症型(辺縁系脳炎含む) | 粘液水腫性脳症、ウイルス性脳炎、非ヘルペス性辺縁系脳炎、各種代謝性脳症 |
| 慢性精神病型 | 統合失調症、各種認知症、うつ病、双極性障害 |
| 小脳失調型 | 脊髄小脳変性症、急性小脳炎、薬剤性小脳失調症、急性散在性脳脊髄炎 |
| CJD様 | クロイツフェルト・ヤコブ病 |
治療
- ステロイド治療が基本であり、80%の患者で良好な反応が得られる。