- 英
- tympanoplasty
- 病変を除去した後に伝音系の再建を図る手術。
- 慢性中耳炎などの伝音性難聴が適応となる。
WordNet
- surgical correction or repair of defects or injuries in the eardrum or the bones of the middle ear
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/30 14:57:52」(JST)
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鼓室形成術(こしつけいせいじゅつ)とは、中耳に発生した問題を外科的に取り除き、さらに鼓室、すなわち、中耳の部分の空洞とその機能を修復する手術のことである。大きく分けて5つの術型が存在するものの、中には行われなくなった術型も存在する。
目次
- 1 概要
- 2 5つの型
- 2.1 I型
- 2.2 II型
- 2.3 III型
- 2.4 IV型
- 2.5 V型
- 3 注釈
- 4 参考文献
- 5 関連項目
概要
中耳には、外耳道から入ってきた音を、鼓膜と耳小骨によって、内耳へと効率良く伝えるという働きがある。もし、鼓膜や耳小骨に何らかの問題が生じていると、仮に内耳や神経や脳が正常であっても外からの音が聞こえにくい状態、すなわち、伝音難聴となる [注釈 1] 。 この問題を解決するために鼓室形成術が行われる。また、初期の真珠腫には難聴などを伴わない場合もあるが、真珠腫の除去を行うために鼓室形成術が行われることもある。なお、術型は大きく分けて5つが存在するが、中耳の状態に応じて、I型〜IV型の4つの術型の中から選択される。
5つの型
以下、鼓室形成術の5つの型について、それぞれ解説する。
I型
鼓膜の再建を行う術型が、鼓室形成術Ⅰ型。鼓膜には再生能力があるものの、鼓膜に開いた穴がいつまでも修復されないことがある。鼓膜は、外耳道からの音を受け止めて槌骨へ音を伝えるという役割の他に、異物の侵入を防ぐという役割もあるのだが、これらの機能を復活させるために、鼓室形成術Ⅰ型を行う。ただし、鼓室形成術I型が行われるのは、あくまで耳小骨に異常が無い(耳小骨の機能が保たれている)時に行われる術型である。問題があるのは鼓膜の穴が閉鎖しないことだけであって、耳小骨の機能が保たれているかどうかは、鼓膜に穴が開いたままの状態と、鼓膜の穴を湿らせた綿で覆った状態とで、それぞれ聴力検査を行うことで確認する。もしも、鼓膜の穴を湿らせた綿で覆った状態にした時に気導聴力が改善するようであれば、耳小骨の機能は保たれていると判断され、この鼓室形成術Ⅰ型が行われる。逆に、鼓膜の穴を湿らせた綿で覆った状態にしても気導聴力が改善しない場合は、耳小骨の機能にも問題が起きていると判断され、状況によって、鼓室形成術II型、III型、IV型の中から術型が選択される。
II型
本来は槌骨にくっついている鼓膜を、砧骨に直接接続する術型が、鼓室形成術II型。耳小骨の内、槌骨と砧骨との間で音の伝達が上手くいっておらず、対して、砧骨と鐙骨との間では音が正常に伝達されている時に行われることがある。ただし、鼓室(中耳の空洞)の大きさが変わってしまうなどの理由で、近年は行われなくなってきた方法である。
III型
当初、槌骨を除去した上で、本来は槌骨にくっついている鼓膜を、鐙骨に直接接続する術型だった。しかし、この方法だと鼓室(中耳の空洞)の大きさが変わってしまうなどの理由で、鐙骨に軟骨などで作った支柱を追加し、その上に鼓膜を接続することで、鼓室の大きさ保つように方法が変更された。これらを区別するために、前者が鼓室形成術III型、後者が鼓室形成術III型変法などと呼ばれる。耳小骨の内、鐙骨だけは機能が保たれている時に行われる。
IV型
当初、本来は槌骨にくっついている鼓膜を、鐙骨の底板に直接接続する術型だった。しかし、この方法だと鼓室(中耳の空洞)の大きさが変わってしまうなどの理由で、鐙骨の底板に軟骨などで作った支柱を追加し、その上に鼓膜を接続することで、鼓室の大きさ保つように方法が変更された。これらを区別するために、前者が鼓室形成術IV型、後者が鼓室形成術IV型変法などと呼ばれる。鐙骨の大部分が破損していても、鐙骨の底板は十分に振動できる状態にある時に行われる。
V型
三半規管の一部に穴を開け、そこに鼓膜を接続する術型が、鼓室形成術V型。鐙骨の底板が固着して振動しない場合に行われていた方法で、三半規管に人工的に開けた穴から音を内耳に入れるという考えに基づいて行われた。しかし、この方法は内耳にダメージを与えてしまうなどの問題が発生しやすく、完全に廃れ、行われなくなった方法である。
注釈
- ^ 伝音難聴とは、内耳へと音を伝える仕組みに問題があることが原因の難聴。内耳や神経や脳の側の問題で起こる感音難聴とは明確に区別されている。ただし、伝音難聴と感音難聴が同時に発生している症例も存在しており、そのような場合は、混合難聴と呼ばれる(なお、さらに細かい難聴の分類もあるが、ここでは、伝音難聴と感音難聴の区別さえつけば問題ないので、より細かい分類については割愛)。
参考文献
- 馬場 俊吉 『耳鼻咽喉科(改訂第2版)』 医学評論社 1999年12月3日発行 ISBN 4-87211-413-2
関連項目
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Japanese Journal
- 小児での鼓室形成術I型における cartilage graft と術後聴力
- どうして?がすぐわかる!! 器械出し・外回りの超注意POINT(第14回)鼓室形成術
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- OPE nursing : The Japanese journal of operating room nursing 27(5), 464-469, 2012-05-00
- NAID 40019236824
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- 鼓室や乳突蜂巣に病変がある場合や耳小骨に異常がある場合に適応される手術で、 鼓膜に穿孔がある場合には鼓膜も再建します。 鼓室形成術は耳小骨の連鎖形態 によって分類されます(日本耳科学会)。ここでは、一般的に多く用いられる型を呈示し ます。
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- 48歳の女性。難聴と耳鳴りとを主訴に来院した。3年前から徐々に増悪する両側の難聴と耳鳴りとを自覚していた。1か月前から会話が困難となり受診した。めまいの自覚はない。身長 158cm、体重 62kg。両側鼓膜に異常を認めない。尿検査と血液検査とに異常を認めない。オージオグラム(別冊No. 10A)と右側頭骨CTの水平断像(別冊No. 10B)とを別に示す。
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- 62歳の女性。左難聴とめまいとを主訴に来院した。10年前から左難聴を自覚していた。3か月前から耳漏とめまいとが出現したため自宅近くの診療所で保存的治療を受けていたが、改善しないため紹介されて受診した。耳内に触れたり吸引処置をしたりするとめまいが出現する。左鼓膜の写真(別冊No. 8A)と側頭骨単純CTの冠状断像(別冊No. 8B)とを別に示す。
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- 51歳の女性。難聴と耳漏とを主訴に来院した。25年前から時々耳漏があったが放置していた。5、6年前から徐々に難聴が増強し、耳漏を繰り返すようになった。側頭骨エックス線単純写真で乳突洞の発育は抑制されているが、骨の破壊は認めない。右耳の鼓膜写真と聴力像とを以下に示す。
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- 51歳の女性。難聴と耳漏とを主訴に来院した。 25年前から時々耳漏があった。
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- 51歳の女性。難聴と耳漏とを主訴に来院した。25年前から時々耳漏があったが放置していた。5、6年前から徐々に難聴が増悪し、耳漏を繰り返すようになった。側頭骨CTで乳突洞の発育は抑制されているが、骨破壊は認めない。右耳の鼓膜写真とオージオグラムとを以下に示す。
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- 4歳の男児。先天性感音難聴で、生後8か月から補聴器装着下の言語訓練を行っていた。発声・発語の発達が不十分なため、聴覚改善の手術をした。手術後の頭部エックス線写真を以下に示す。
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- 関
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- 中耳炎の進行例において、中耳、乳突蜂巣の炎症病変を一括にして取り除く。鼓膜、耳小骨などを除去するため聴力が低下する。
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- closed method tympanoplasty, canal wall up tympanoplasty
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- 英
- surgery
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- 外科、外科学、手術、外科術、外科手術
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- 英
- plastic operation、(suf)plasty
- 関
- 形成手術、形成法