気管切開術

出典: meddic

tracheostomy, tracheotomy
(国試)気管切開気管切開法
輪状軟骨甲状軟骨輪状甲状靭帯気管開口術輪状甲状切開術 喉頭切開術気管カニューレ抜去困難症 気管套管抜去困難症 difficulty in decanulation after tracheostomy


  • tracheotomy :一時的な開口
  • tracheostomy:永続的な開口

概念

  • 前頚部で気管軟骨を切開し気管を開口すること。

適応

(1)

  • (1)気管挿管が不可能な場合や(2)2週間以上の長期挿管が必要となる場合
  • 例:上気道閉塞(口腔咽頭領域の腫脹や腫瘍など)、頭頚部手術症例(術後出血の可能性を有する症例、呼吸管理が必要となる症例)、人工呼吸管理が必要な症例(重症肺炎、筋神経疾患など)などがあげられる。絶対禁忌となる症例はないが、出血傾向や凝固異常がある症例ではできる限りその改善を待って行うべき。

 

  • 1. 遷延性意識障害患者の気道確保
  • 2. 長期人工呼吸
  • 3. 頻回の気道の吸引・洗浄が必要な場合
  • 4. 上気道狭窄・閉塞(外傷、炎症、腫瘍、異物など)
  • 5. 誤飲、誤嚥の予防、
  • 6. 心肺蘇生時
  • 7. 頭頚部悪性腫瘍などの手術時

SOTO.593

1. 気道閉塞

  • 目的:気道閉塞の防止
  • 適応:喉頭狭窄、口腔・喉頭の炎症性主張、顔面・頭頚部外傷あるいは新生物による閉塞、両側舌下神経麻痺、両側反回神経麻痺(声帯正中位固定症)、甲状腺・気管周囲リンパ節腫脹による気管の圧迫性閉塞、上気道領域の手術後一時的処置、咽頭・喉頭手術の前処置

2. 下部気道における分泌物貯留の処置と予防

  • 目的:頻回の気道吸引、誤嚥防止
  • 適応:延髄球麻痺、重症筋無力症、各種の原因による意識障害、頭頚部外傷など。特に経口的気管挿管による管理がが1週間以上の長期に及ぶ場合(声門の保護)。

3. 呼吸不全

  • 目的:死腔の減少(50%減少)、気流抵抗(声門による)の減少、人工呼吸器による加圧呼吸
  • 適応:中枢性・末梢性神経機能不全による呼吸不全、慢性呼吸器疾患、重症胸部外傷

4. その他

  • 気道異物の摘出(下気管支鏡)
  • 経口挿管不能例
  • 閉塞型睡眠時無呼吸症候群の永続的な治療

術式(1)

時期による分類(1)

  • 緊急気管切開術/救急気道切開
  • 気管挿管が困難な例、気管挿管が不可能な例
  • 待機的気管切開術

部位による分類(1)

  • 上気管切開術
  • 甲状腺の峡部を下方に圧排し、甲状腺の上方で気管切開を行う。
  • 成人の気管切開では原則上気管切開である。
  • 欠点:気道狭窄の原因となることがある。
  • 中気管切開術
  • 甲状腺の峡部を切断した上で気管切開する。
  • 利点:安全で確実な方法
  • 欠点:甲状腺切断部の止血が必須
  • 下気管切開術
  • 甲状腺を上に圧排し、甲状腺の下方で気管切開
  • 欠点:肥満で短頚の患者では難しいことがある

気管切開による合併症

SOTO.598
  • 呼吸困難
  • 出血
  • 呼吸障害
  • 皮下気腫、縦隔気腫、気胸
  • 術後肺合併症
  • 軟骨膜炎・咽頭狭窄  ← 晩期合併症
  • 気管カニューレ抜去困難症

手順

  • 1. 可能なら気管挿管し、局所麻酔 or 全身麻酔する。(緊急時には無麻酔もありうる)
  • 2. 皮膚横切開。(横切開でも縦切開でもokだが、前者の方が術後の瘢痕が残りにくい)
  • 輪状軟骨の下縁約2-3cmで5cmの皮膚を横切開する(SOTO.595)。
  • 輪状軟骨の下縁から約2-5cmの皮膚を縦切開する(SOTO.595)。
  • 3. 軟部組織を鈍的剥離(剥離は縦方向に行う)
  • 4. 舌骨下筋群を左右に分ける。
  • 5. 必要があれば、甲状腺峡部を結紮し切離。
  • 6.十分な止血
  • 7. 気管切開
  • 通常、2-3気管軟骨部で行う。2-4気管輪の高さ(SOTO.596)とする資料もある。
  • 切開法:縦切開、十字切開、逆U字切開など
  • 8. 気道内チューブの挿入
  • 低圧カフ付きのプラスチックカニューレ、金属カニューレ
  • 9. カニューレ口に当てたガーゼ片が呼気時に翻転することによりカニューレの適切な挿入を確認(SOTO.596)。
  • 10. 皮膚縫合
  • 皮下気腫防止のために皮膚縫合は密に行わないようにする(SOTO.596)
  • 11. 創部に約24時間軟膏ガーゼを詰める。
  • 止血と気腫防止のため(SOTO.596)

参考文献

  • 1. イラスト手術手技のコツ : 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 飯沼壽孝 東京医学社

UpToDate Contents

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和文文献

  • 症例 緊急気管切開を要した血管浮腫の1例
  • 駒林 優樹,片山 昭公,岸部 幹 [他]
  • 日本気管食道科学会会報 62(1), 36-42, 2011
  • NAID 40018720429
  • 披裂軟骨内転術および甲状軟骨形成術の合併症の検討
  • 中村 一博,塚原 清彰,吉田 知之 [他]
  • 日本気管食道科学会会報 62(1), 1-10, 2011
  • NAID 40018720424
  • 局所麻酔下に施行した気管切開術の検討
  • 成尾 一彦,細井 裕司,家根 旦有,宮原 裕
  • 頭頸部外科 20(3), 247-253, 2011
  • … 局所麻酔下に施行した気管切開術症例41例につき検討した。 … 気管切開術を施行した理由は,気道狭窄が32例,予防的施行例が4例,口腔咽頭出血が4例,その他1例であった。 …
  • NAID 130000658926
  • 喉頭顕微鏡下喉頭形成術を行った左披裂軟骨脱臼をともなう喉頭軟化症の1例
  • 福本 弘二,漆原 直人,鈴木 孝明,松岡 尚則,福澤 宏明,川島 章子,渡辺 健太郎,長谷川 史郎
  • 日本小児外科学会雑誌 46(4), 734-737, 2010-06-20
  • … 121日間挿管されており,抜管後より常に陥没呼吸気味であった.その後徐々に上気道閉塞症状が強くなり,4歳時の喉頭ファイバースコピーにて左披裂部の著明な軟化を認め,左披裂軟骨壊死による消失が疑われ気管切開術を施行した.6歳時に喉頭顕微鏡下に喉頭精査を行い,左披裂軟骨脱臼と左披裂部の余剰粘膜による喉頭軟化症と診断,喉頭顕微鏡下に左披裂部余剰粘膜部分切除術を行った.術後喉頭ファイバースコピーにて …
  • NAID 110007657522

関連リンク

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一般社団法人 日本医療安全調査機構. 気管切開術後1週間以内(手術翌日)に気管 カニューレが逸脱し、抜けかけた気管. カニューレをそのまま押し入れて、人工呼吸を 実施しましたが、気管カニューレが気. 管内に挿入されておらず患者が死亡した事例が 発生 ...

関連画像

気管切開術とカニューレ されました 喉 の 下 の 気管 ブジーを使用した気管切開術


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輪状軟骨」

  [★]

cricoid cartilage (Z), annular cartilage
cartilago cricoidea
軟骨輪状甲状靭帯気管喉頭軟骨


筋の付着

臨床関連



Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.



輪状甲状靭帯」

  [★]

cricothyroid ligament (N)
輪状甲状膜?、輪状甲状間膜?
輪状軟骨甲状軟骨

臨床関連



Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.


甲状軟骨」

  [★]

thyroid cartilage (Z)
cartilago thyroidea
喉頭喉頭軟骨




気管カニューレ抜去困難症」

  [★]

difficult tracheal decannulation
カニューレ抜去困難症気管套管抜去困難症
気管カニューレ


喉頭切開術」

  [★] 輪状甲状膜切開術


106G067」

  [★]

  • 次の文を読み、 65-67の問いに答えよ。
  • 75歳の男性。重症肺炎で入院中である。
  • 現病歴: 2週前に肺炎低酸素血症のため搬入された。救急室で気管挿管を施行され、集中治療室に入院となった。
  • 既往歴: 53歳から糖尿病で内服加療中。 60歳から高血圧症で内服加療中。
  • 生活歴:長男夫婦と同居。妻が5年前に脳梗塞のため死亡。
  • 家族歴 :父親が糖尿病
  • 入院後、人工呼吸器管理が長期にわたったため、本日気管切開術を行い、引き続き人工呼吸器管理を行った。 1時間後にアラームが鳴ったため駆けつけると、人工呼吸器のモニターで気道内圧が上昇しており、患者の頸静脈は怒張していた。
  • 直ちに気管内を吸引したところ、少量の白色痰が認められた。 10分後、血圧が78/42 mmHgに低下した。左前胸部で呼吸音を聴取しない。
  • 心電図モニター波形上、心拍数42/分。頸動脈の拍動を触知しない。直ちに行うべき治療として適切なのはどれか。 2つ選べ。


[正答]


※国試ナビ4※ 106G066]←[国試_106]→[106G068

106G066」

  [★]

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  • 75歳の男性。重症肺炎で入院中である。
  • 現病歴: 2週前に肺炎低酸素血症のため搬入された。救急室で気管挿管を施行され、集中治療室に入院となった。
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  • 直ちに気管内を吸引したところ、少量の白色痰が認められた。 10分後、血圧が78/42 mmHgに低下した。左前胸部で呼吸音を聴取しない。
  • 現時点で認められる可能性が高い所見はどれか。


[正答]


※国試ナビ4※ 106G065]←[国試_106]→[106G067

106G065」

  [★]

  • 次の文を読み、 65-67の問いに答えよ。
  • 75歳の男性。重症肺炎で入院中である。
  • 現病歴: 2週前に肺炎低酸素血症のため搬入された。救急室で気管挿管を施行され、集中治療室に入院となった。
  • 既往歴: 53歳から糖尿病で内服加療中。 60歳から高血圧症で内服加療中。
  • 生活歴:長男夫婦と同居。妻が5年前に脳梗塞のため死亡。
  • 家族歴 :父親が糖尿病
  • 入院後、人工呼吸器管理が長期にわたったため、本日気管切開術を行い、引き続き人工呼吸器管理を行った。 1時間後にアラームが鳴ったため駆けつけると、人工呼吸器のモニターで気道内圧が上昇しており、患者の頸静脈は怒張していた。
  • この時点で考えるべき病態はどれか。 2つ選べ。


[正答]


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100F007」

  [★]

  • 生後1日の新生児。出生直後から右頸部に半球状の柔らかい膨隆を認める。呼吸障害は認めない。同部位の超音波検査では、多房性の嚢胞性病変を認める。局所の写真を以下に示す。現時点での対応として適切なのはどれか。


[正答]
※国試ナビ4※ 100F006]←[国試_100]→[100F008

100D019」

  [★]

  • 2歳の男児。ボタン型電池を誤飲し来院した。頸胸部エックス線単純写真で食道入口部に電池が停留しているのを確認した。適切な処置はどれか。
[正答]


※国試ナビ4※ 100D018]←[国試_100]→[100D020

tracheostomy」

  [★] 気管切開術

WordNet   license wordnet

「a surgical operation that creates an opening into the trachea with a tube inserted to provide a passage for air; performed when the pharynx is obstructed by edema or cancer or other causes」
tracheotomy


tracheotomy」

  [★] 気管切開術

PrepTutorEJDIC   license prepejdic

「気管切開術」


気管開口術」

  [★]

tracheal fenestration
気管開窓術
気管切開術


気管内挿管」

  [★]

intratracheal intubation
気管切開術気道確保


下気管切開術」

  [★]

inferior tracheotomy, inferior tracheostomy
気管切開術中気管切開術上気管切開術


上気管切開術」

  [★]

superior tracheostomy
気管切開術中気管切開術下気管切開術



中気管切開術」

  [★]

medial tracheostomy
気管切開術上気管切開術下気管切開術


気管」

  [★]

trachea (Z), tracheal tube
trachea
気管支気管支の分岐

解剖

  • 長さ12cm、直径2cm (HIS.298)。
  • C6椎体-T5椎体 / C6椎体の下部より始まりT4-T5椎体で左右の気管支に分かれる。)
  • 喉頭の輪状軟骨の直下から始まり主気管支が分岐するところに終わる。 (HIS.298)

粘膜

  • 1呼吸上皮(粘膜上皮):多列線毛上皮
  • 2. 粘膜固有層 疎性結合組織 膠原線維、弾性線維、気管腺(混合腺)
  • 3. 粘膜下組織 密生結合組織 
  • 4. 外膜 気管軟骨 馬蹄形(C字軟骨)後方に開いている。10-12個


Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.



切開」

  [★]

incisiondissectionincise
解体解剖解離精査切開術切り込みを入れる切り込み郭清ダイセクション



術」

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surgery
外科外科学手術外科術外科手術


切開術」

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incision
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