急性尿細管壊死

出典: meddic

acute tubular necrosis ATN
急性腎尿細管壊死 acute kidney tubular necrosis
真性無尿
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see also BPT.565

概念

  • 臨床病理的な病態概念であり、臨床的には腎機能低下、病理的には尿細管上皮細胞の障害により形態学的に特徴づけられる。(BPT.564)
  • 急性尿細管壊死は急性腎不全の最も一般的な原因である。(BPT.564)
  • ちなみに急性腎不全をきたす他の疾患には以下のような者がある。
1. 高度の糸球体病変(RPGNなど)
2. びまん性の腎血管疾患(顕微鏡的多発血管炎、血栓性微小血管症)
3. 急性腎盂腎炎に関連した急性乳頭壊死
4. 急性薬物誘発性間質性腎炎
5. びまん性皮質壊死

病因

大きく虚血(ischemic ATN)と毒物(nephrotoxic ATN)に分けられる。

症候

  • 急性腎不全の症状:乏尿、尿毒症、


UpToDate Contents

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和文文献

  • 急性腎不全(ARF)と急性腎障害(AKI)--病理学的側面 (急性賢不全(ARF)と急性賢障害(AKI))
  • 代田 欣二
  • 日本獣医腎泌尿器学会誌 3(1), 10-15, 2010-11
  • NAID 40017399004
  • 急性腎不全の疫学と病態生理 (特集 腎不全を診る)
  • 藤倉 知行,菱田 明
  • 綜合臨床 59(6), 1338-1343, 2010-06
  • NAID 40017156266
  • AKIの病態生理--急性尿細管壊死と腎前性腎不全という言葉の意義 (特集 AKI) -- (病態生理)

関連リンク

急性尿細管壊死は,腎機能障害または腎不全を生じる急性の尿細管細胞障害と機能 障害によって特徴づけられる。一般的な原因は,低血圧に起因する腎低灌流と腎毒性 薬物である。病態は,腎不全を発症しなければ無症候性である。診断は,低血圧イベント ...
腎前性腎不全が最も多く,次いで狭義の急性腎不全(尿細管壊死)が多い(図)。狭義の 急. 性腎不全は手術, ... 急性腎不全. 腎前性. 外来:70%. 入院:40%. 腎後性. 腎実質 性. 尿細管壊死. 虚血性. (50%). 糸球体性疾患. (5%). 間質性腎炎. (10%). 腎毒性 ...

関連画像

 尿細管傷害,急性尿細管壊死急性尿細管壊死: 壊死に 急性尿細管壊死: 腎皮質急性尿細管壊死(ATN)尿細管内に好酸性物質(上皮 図 11 間質 は 尿 細管 の 間  ・泌尿器 (12)急性尿細管壊死


★リンクテーブル★
先読みacute kidney tubular necrosis」「ATN
国試過去問089B057
リンク元尿沈渣」「低マグネシウム血症」「横紋筋融解症」「造影剤」「腎前性腎不全
関連記事壊死」「細管」「急性

acute kidney tubular necrosis」

  [★]

急性腎尿細管壊死

acute tubular necrosis


ATN」

  [★] 急性腎尿細管壊死


089B057」

  [★]

  • 薬物と副作用の組み合わせで正しい物
  • a. (1)(2)(3)
  • b. (1)(2)(5)
  • c. (1)(4)(5)
  • d. (2)(3)(4)
  • e. (3)(4)(5)

尿沈渣」

  [★]

urinary sediment
尿沈渣検査 urinary sediment examination尿沈液


概念

  • 尿中に含まれる各種の細胞、円柱、結晶、微生物などの有形成分。
  • 尿沈渣の検査は腎・尿路系疾患の診断、進行度、予後の推定を目的に行う。

検体

  • 検体は早朝起床時尿(早朝第一尿)の中間尿約10mL。早朝第一尿では円柱がみられやすい
  • 検体は採尿後1時間以内になるべく早く観察 → 室温2時間以上放置すると細菌が増殖し、アルカリ化が進む。尿路感染が分からなくなるうえ、円柱や細胞が崩壊して観察できない。
  • 古い尿やアルカリ性尿では血球、円柱、上皮細胞の崩壊が強く正しい判定ができないことがある。
  • 女性の場合、月経時における血液の混入、腟分泌物の混入(中間尿を採るようにしてもらう)

方法

  • 1. 新鮮尿10mLを尿沈渣用試験管にとり500Gで5分間遠心する
  • 2. 上清を捨て残液約0.2mLとする
  • 3. そのまま、あるいは尿沈渣用染色液を加えて混和する
  • 4. 1滴(15μl)をスライドガラスに載せカバーガラスをかけ鏡検する

観察方法

  • 光学顕微鏡
  • LPF(low power field 、弱拡大、100倍):3.14 mm2、7.27ul
  • HPF(high power field、強拡大、400倍):0.196 mm2、0.45ul

病的所見

  • 赤血球と白血球はそれぞれ5/HPF以上、硝子円柱は1/HPF以上、上皮細胞性円柱、顆粒円柱、蝋様円柱、脂肪円柱、赤血球円柱、白血球円柱の各種円柱類、異常結晶(ビリルビン、チロジン、ロイシン、コレステロール、シスチン、2,8-ジヒドロキシアデニンなど)、細菌、真菌、原虫、虫卵、腫瘍細胞の出現

判断基準

赤血球 ≧5個/HPF
白血球 ≧5個/HPF
上皮細胞(正常) 扁平上皮細胞をのぞく全て(移行上皮、尿細管上皮、円柱上皮)
上皮細胞(異常) すべて(卵円系脂肪体、多核巨細胞、封入体細胞)
異型細胞 癌細胞
大食細胞 ≧1個/HPF
円柱 <1個/HPFの硝子円柱をのぞく全て
粘液系 ≧1+
結晶 病的結晶(シスチン、チロシン、ロイシン、ビリルビン、コレステロール、DHA結晶)。正常結晶(尿酸結晶)で≧2+の時
細菌 ≧1+(>/HPFの桿菌)
真菌 すべて
原虫 すべて
寄生虫 すべて

OLM.53

尿沈渣成分の基準値
  強拡大視野あたり(/HPF)
赤血球数 1/4-7≧
白血球数 1-2/4-7≧
上皮細胞数 1/10≧
円柱 1/20≧

結晶 (LAB.217)

液性 成分 形態
酸性 尿酸 菱形 黄褐色
 
アルカリ性~酸性 シュウ酸カルシウム 正八面体  
リン酸カルシウム 板状、針状 灰白色
 
アルカリ性 炭酸カルシウム 顆粒状ダンベル型 無色~灰白色
リン酸アンモニウムマグネシウム 長方形 無色
尿酸アンモニウム 棘のある小円状 黄褐色~茶褐色
  • アルカリ性尿で見られる血症はウレアーゼ産生菌のプロテウスやクレブシエラなどによる尿路感染症でみられるが、正常尿でも見られうる。

病的意義のある結晶

液性 病的結晶成分 形態 疾患
  シスチン 正六角形板状構造 無色 シスチン尿症
ロイシン 円形放射状   重症肝障害
チロシン 針状  
ビリルビン 針状  
コレステロール 長方形板状 無色 ネフローゼ症候群

急性腎不全を背景とする場合

液性 病的結晶成分 形態 疾患
  尿酸     腫瘍崩壊症候群
シュウ酸カルシウム     エチレングリコール中毒

円柱 (LAB.214)

  • 硝子円柱は正常でも見られるので病的意義はない。尿量の少ないとき、運動後や利尿薬の使用時にみられる。
  上皮円柱 剥離した尿細管上皮細胞 尿細管の病変と尿細管腔の閉塞 ネフローゼ症候群急性尿細管壊死アミロイドーシス子癇移植腎急性拒絶反応
顆粒円柱 崩壊した上皮円柱中の尿細管上皮細胞   急性腎盂腎炎尿細管間質性腎炎糸球体腎炎
ろう様円柱 微細顆粒円柱が変性・脱水し均一無構造化 長期間の尿細管腔の局所的閉塞と無尿 慢性腎不全
血球円柱 赤血球円柱 赤血球が尿細管腔内で集結 糸球体の出血 糸球体腎炎(IgA腎症膜性増殖性腎炎巣状糸球体硬化症溶連菌感染後急性糸球体腎炎ループス腎炎など)、血管炎腎梗塞
白血球円柱 尿細管腔ないへの白血球の浸潤   急性腎盂腎炎尿細管間質性腎炎糸球体腎炎(溶連菌感染後急性糸球体腎炎膜性増殖性腎炎ループス腎炎ANCA関連腎炎など)
脂肪円柱 脂肪顆粒   重症ネフローゼ症候群、ループス腎炎糖尿病腎症



低マグネシウム血症」

  [★]

hypomagnesemia
マグネシウム高マグネシウム血症電解質異常

定義

  • 血清中のマグネシウム値低下による症状。
  • 正常範囲以下(1.5mg/dl以下)となった病態  正常範囲は 1.5-2.3 mg/dl

病因

  • 食事摂取量不足
  • 消化管(腸管)からの吸収障害:飢餓状態嘔吐、長期の胃腸液吸引、吸収不良症候群*、急性膵炎*、肝硬変
  • 腎からの排泄増加
  • 体内分布異常


病態生理

症状

  • 神経筋機能の異常:テタニー振戦てんかん発作筋脱力、運動失行、眼振めまい感情鈍麻、うつ、易刺激性、譫妄(delirium)、精神症状 (HIM.2373)
  • 心血管系:不整脈(洞性頻脈、上室性頻拍、心室性不整脈)、PR/QT延長、T波平坦化/陰性T波、ST straightening (HIM.2373)
  • 電解質:低カルシウム血症低カリウム血症 ← 個別に治療しても無駄。マグネシウムを補正する必要がある。1,25(OH)2Dの産生を阻害、細胞にPTHへの耐性をもたせ、さらに<1mg/dLではPTHの分泌を阻害する。 (HIM.2373) また、低マグネシウム血症では尿細管でのカリウム再吸収が低下するらしい。
  • その他:ジギタリス毒性上昇(MgはATPaseの補酵素だからね)

低マグネシウム血症と高マグネシウム血症の比較

低Mg血症、Mg欠乏症 高Mg血症
神経・筋肉 クボステック徴候トルソー徴候テタニー痙攣、筋肉振戦、筋力低下易疲労性アテトーゼ様運動舞踏病様運動眼振めまい運動失調 深部反射低下・消失、瞳孔拡大、平滑筋麻痺、呼吸筋抑制
精神 抑うつ、無欲、著明な不安、興奮 錯乱昏迷
心血管 頻脈、不整脈 PR/QT時間延長、T波平低化、T波拡大、ジギタリス作用増強 徐脈起立性低血圧、心室内伝導障害、PR/QRS/QT時間延長、心停止
消化器 食欲不振嚥下困難 嘔気嘔吐
その他 貧血 皮膚潮紅、末梢温暖


検査

心電図

HIM.2373
  • PR延長
  • QT延長
  • T波:平坦/陰転
  • ST:平坦

合併症



横紋筋融解症」

  [★]

rhabdomyolysis
横紋筋

原因

also see 研修医直御法度第5版 157
  • 過激な運動
  • 外傷
  • 薬剤
  • 疾患

病態

  • 筋から逸脱したミオグロビンが糸球体で濾過され尿細管へ → 原尿が酸性の条件下でミオグロビンは尿細管上皮を障害 → 急性尿細管壊死 → 腎性腎不全 (ICU.608)

症状

検査所見

筋逸脱酵素の上昇(ミオグロビン、クレアチニンキナーゼ、AST、LDH)
  • 正常の5倍以上あるいは1,000U/LのCKは臨床研究では横紋筋融解を示唆するとされてきた。CK 15,000 U/Lを上回る場合胃、重要の横紋筋融解症とミオグロビン尿性腎不全のリスク上昇を示唆する。(ICU.608)

治療

  • 原発疾患の治療
  • 輸液:積極的な輸液がミオグロビン尿性腎不全の予防や進展抑制に繋がる(ICU.609)
  • 重炭酸:尿のアルカリ化による尿細管障害の軽減効果は臨床的に証明されていない。
  • ループ利尿薬・マニトール:有用性は証明されていない。
  • 血液浄化療法:重症例で。腎障害の進展を防ぐために透析によりヘモグロビン、ミオグロビン、尿酸を透析に除去する目的での透析の使用は証明されていない。(参考2)
研修医直御法度症例帳 145
研修医直御法度第5版 157
  • ミオグロビン尿による腎前性急性腎不全の予防的治療
1. 生理食塩水 200ml/hr 点滴静注  ←  尿量は4ml/kg/hr目指す
2. 炭酸水素ナトリウム 100mEq 点滴静注  ←  まぜるの禁止 (メイロン)
3. ラシックス 40mg 静注  ← 十分に輸液した後
4. マンニトール 25g 点滴静注  ← 十分に輸液した後

参考

  • 1. [charged] Clinical manifestations, diagnosis, and causes of rhabdomyolysis - uptodate [1]
  • 2. [charged] Prevention and treatment of heme pigment-induced acute kidney injury (acute renal failure) - uptodate [2]




造影剤」

  [★]

contrast media, contrast medium, contrast agent
ヨード造影剤

種類

禁忌

ヨード造影剤の禁忌 参考(1)

  • 絶対禁忌
  • ヨード造影剤に対する過敏症の既往
  • 重症の甲状腺疾患
  • 相対禁忌

バリウムの禁忌 RNT.33

  • 腸管穿孔、縫合不全(疑い)

副作用 RNT.33

ヨード製剤

  • アナフィラキシーショック、喉頭浮腫
  • 嘔気・嘔吐、皮疹(蕁麻疹、発赤)、腎機能低下

バリウム製剤

  • 便秘

要注意 RNT.33

ヨード製剤

  • 高度の人気脳障害、高度の肝機能障害、多発骨髄腫(腎不全誘発)、褐色細胞腫(発作性高血圧誘発)

バリウム製剤

  • 誤嚥の可能性
  • 誤嚥により、呼吸困難、肺炎、肺肉芽腫の形成等を引き起こすおそれがあるので、誤嚥を起こすおそれのある患者(高齢者、嚥下困難、喘息患者等)に経口投与する際には注意すること。誤嚥した場合には、観察を十分に行い、急速に進行する呼吸困難、低酸素血症、胸部X線による両側性びまん性肺浸潤陰影が認められた場合には、呼吸管理、循環管理等の適切な処置を行うこと。(参考3)
  • 老人など誤嚥の可能性がある患者は、肺に入った場合除去できないので使用しない。(参考4)
食道気管支瘻の場合は使えないことになる

参考

  • 1.
[display]http://www.rgmc.izumisano.osaka.jp/03_chiiki/hp/download/09_zoei_sideEffect_CT.pdf
  • 2.
[display]http://www.onh.go.jp/radiolog/pdf/zoukei1E8719.pdf
  • 3. バリウム造影剤 - ウムブラMD
[display]http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/7212035B1021_1_01/7212035B1021_1_01?view=body
  • 4. 一般造影検査 v1.0
[display]http://web.mac.com/eyesonly.jr/Radiology/pdf/Ippan.pdf


臨床関連


腎前性腎不全」

  [★]

prerenal failure
肝腎症候群腎不全急性腎不全

病因

体液量減少

  • 消化管からの体液喪失
  • 腎性喪失:利尿薬、尿細管障害、アジソン病など
  • 出血
  • third spaceへの喪失
  • 有効循環血液量の減少

低血圧

腎の血行動態変化

診断

利尿薬を使用していない患者の腎前性腎不全の診断

考える技術第2版 p.529
  腎前性腎不全 腎性腎不全
(急性尿細管壊死)
利尿薬を使用していない腎前性腎不全の
診断に関する検査特性
感度(%) 特異度(%) 陽性尤度比 陰性尤度比
尿Na (mEq/L) <20 >20 90 82 5 0.12
FENa (%) <1 >2 96 95 19 0.04
FEurea (%) <35 >50 90 96 22.5 0.1


壊死」

  [★]

necrosis
ネクローシス
アポトーシス細胞死



細管」

  [★]

canaliculuscanaliculitubule
小管尿細管


急性」

  [★]

acute
急性的鋭い鋭形急性型




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