ブロチゾラム
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ブロチゾラム
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IUPAC命名法による物質名 |
2-Bromo-4-(2-chlorphenyl)-9-methyl-6H-
thieno(3,2-f)(1,2,4)triazolo(4,3-a)(1,4)benzodiazepine
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臨床データ |
胎児危険度分類 |
? |
法的規制 |
第3種向精神薬 |
投与方法 |
経口投与 |
識別 |
CAS登録番号 |
57801-81-7 |
ATCコード |
N05CD09 |
PubChem |
CID 2451 |
KEGG |
D01744 |
化学的データ |
化学式 |
C15H10BrClN4S |
分子量 |
393.69 |
ブロチゾラム (brotizolam) は、チエノジアゼピン系の睡眠導入剤、麻酔前投与薬の一種。短時間作用型。分子式は C15H10BrClN4•S 。酢酸、ジクロロメタンに溶けやすく、ジエチルエーテル、水に溶けにくい。
1976年に武田薬品工業のT.Nishiyamaが率いるチームによって開発された。[1]
目次
- 1 用量・用法
- 2 種類
- 3 副作用
- 4 禁忌
- 5 原則禁忌
- 6 その他
- 7 乱用
- 8 関連項目
- 9 参考文献
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用量・用法
本剤の用量は、年齢、症状、疾患などを考慮して適宜増減するが、一般人に成人には次のように投与する
・不眠症 1回ブロチゾラムとして0.25mgを就寝前に経口投与する
・麻酔前投与薬 手術前夜:1回ブロチゾラムとして0.25mgを就寝前に経口投与する 麻酔前:1回ブロチゾラムとして0.5mgを経口投与する。
種類
ベーリンガーインゲルハイムがレンドルミン(一般名:ブロチゾラム)を1985年にドイツで発売して以来、現在まで日本を含む世界約20カ国で販売されている。また、英国、米国、カナダの3国については、ベーリンガーインゲルハイムから過去を含めてレンドルミンが発売されたことはなく、3国での発売をしない理由に、安全性面の懸念があったとの情報は無い。
日本ベーリンガーインゲルハイムは日本でレンドルミン錠を1988年に発売を開始し、レンドルミンD錠については、2002年より販売している。
ジェネリック医薬品として、田辺三菱製薬や東和薬品等からグッドミン錠やゼストロミン錠等の製品名で販売されている。日本ジェネリックやニプロファーマ、長生堂製薬、テバ製薬では、成分名のままの名称で発売されており、それぞれ、ブロチゾラム錠「JG」、ブロチゾラム錠「NP」、ブロチゾラム錠「CH」、ブロチゾラム錠「タイヨー」の名称となっている。
- 錠剤:0.25mg
- 口腔内崩壊錠(-D錠):0.25mg
副作用
主な副作用は、残眠感・眠気、ふらつき、頭重感、だるさ、めまい、頭痛、倦怠感等。
禁忌
原則禁忌
次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与する
- 肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期で呼吸機能が高度に低下している場合
その他
なお、高齢者の投与については、少量から投与を開始するなど慎重に投与する
乱用
「ベンゾジアゼピン乱用」も参照
ブロチゾラムは乱用のポテンシャルがある。薬物乱用とは高揚感を得るために薬物を摂取したり、医師の指示に反して長期間摂取を続けることである。[2]
広くは広がらなかったが、ブロチゾラムの乱用は香港で1980-1990年に問題になった。 香港でのベンゾジアゼピン乱用を防ぐため、政府の薬物毒物委員会はベンゾジアゼピンを危険な薬物として1990年10月に指定した。通常の処方箋とは別に、供給と分配について詳細な記録をつけることが求められる。 これらの規制は、初めは主に乱用されていたベンゾジアゼピンのブロチゾラム・トリアゾラム・フルニトラゼパムのみに適用された。 このベンゾジアゼピン使用に関する規制変更による影響は、1990年から1993年までのベンゾジアゼピンの販売パターンを分析することによって研究されている。 1991年にはトリアゾラムとフルニトラゼパムの売り上げは落下したが、規制外の5つのベンゾジアゼピンについては増加した。[3] とりわけnimetazepamを用いた人身売買や乱用、テマゼパムの乱用が同じ年の1991年に問題になっていた。 当初はブロチゾラム・トリアゾラム・フルニトラゼパムのみに適用された規制について、1992年1月現在は全てのベンゾジアゼピンを対象として拡張された。 ベンゾジアゼピンの適切な処方と供給調剤の詳細記録を必要とする規制は、香港では少なくとも部分的に乱用を改善しているように見える。テマゼパム・nimetazepam・トリアゾラム・ブロチゾラムにはまだ問題があるが、主要なものではない。
関連項目
- ベンゾジアゼピン
- ベンゾジアゼピン依存症
- ベンゾジアゼピン離脱症候群
- ベンゾジアゼピンの長期的影響
参考文献
- ^ US patent 4017620, Yutaka Kuwada et al, "Thienodiazepine derivatives", published 1975-08-05, issued 1977-12-04
- ^ Griffiths, RR; Johnson, MW (2005). “Relative abuse liability of hypnotic drugs: a conceptual framework and algorithm for differentiating among compounds”. The Journal of clinical psychiatry 66 (Suppl 9): 31?41. PMID 16336040.
- ^ Lee, KK; Chan, TY; Chan, AW; Lau, GS; Critchley, JA (1995). “Use and abuse of benzodiazepines in Hong Kong 1990-1993--the impact of regulatory changes”. Journal of toxicology. Clinical toxicology 33 (6): 597?602. doi:10.3109/15563659509010615. PMID 8523479.
睡眠導入剤と鎮静剤 (N05C) |
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GABAA受容体 |
バルビツール酸系
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超短時間作用型
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Methohexital Thiamylal チオペンタール
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短時間作用型
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Allobarbital アモバルビタール Aprobarbital Butobarbital ペントバルビタール Secobarbital Talbutal
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長時間作用型
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バルビタール Mephobarbital フェノバルビタール
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その他
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Cyclobarbital Ethallobarbital Heptabarbital Hexobarbital Proxibarbal Reposal Vinylbital Vinbarbital
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ベンゾジアゼピン
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超短時間作用型
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トリアゾラム マイスリー アモバン
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短時間作用型
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ブロチゾラム Cinolazepam Doxefazepam Loprazolam ミダゾラム
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中時間作用型
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エスタゾラム フルニトラゼパム ロルメタゼパム ニメタゼパム Temazepam
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長時間作用型
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フルラゼパム フルトプラゼパム ニトラゼパム クアゼパム
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Dialkylphenols
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Fospropofol プロポフォール チモール
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非ベンゾジアゼピン系
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CL-218,872 Indiplon Necopidem Pazinaclone ROD-188 Saripidem Suproclone Suriclone SX-3228 U-89843A U-90042 Zaleplon ゾルピデム ゾピクロン エスゾピクロン
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Piperidinediones
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Glutethimide Methyprylon Pyrithyldione Piperidione
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Quinazolinones
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Afloqualone Cloroqualone Diproqualone Etaqualone Mebroqualone Mecloqualone Methaqualone Methylmethaqualone
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Neuroactive
steroids
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Acebrochol Allopregnanolone Alphadolone Alphaxolone Eltanolone Ganaxolone Hydroxydione Minaxolone Org 20599 Org 21465 Tetrahydrodeoxycorticosterone
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Alpha-2アドレナリン受容体 |
Alpha-adrenergic agonists
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4-NEMD クロニジン Dexmedetomidine Lofexidine メデトミジン Romifidine Tizanidine キシラジン
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メラトニン受容体 |
メラトニン
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Agomelatine メラトニン ラメルテオン Tasimelteon
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ヒスタミン受容体 &
アセチルコリン受容体 |
抗ヒスタミン薬 &
抗コリン薬
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アミトリプチリン Dimenhydrinate ドキシラミン Hydroxyzine ジフェンヒドラミン Bromodiphenhydramine Carbinoxamine Doxepin Orphenadrine ミアンセリン ミルタザピン Nefazodone Niaprazine Phenyltoloxamine Propiomazine Pyrilamine スコポラミン トラゾドン
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GABAB受容体 /
GHB 受容体 |
GHB Type
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1,4-ブタンジオール Aceburic acid GABOB γ-ヒドロキシ酪酸 GBL gamma-Valerolactone
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オレキシン受容体 |
Orexin antagonists
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Almorexant SB-334,867 SB-408,124 SB-649,868 TCS-OX2-29
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その他受容体/
グループ外 |
アルデヒド
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Acetylglycinamide chloral hydrate 抱水クロラール Chloralodol Dichloralphenazone Paraldehyde Petrichloral
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アルキン
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ウレタン Ethchlorvynol Ethinamate Hexapropymate Methylpentynol
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Carbamates
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Meprobamate Carisoprodol Tybamate メトカルバモール Procymate
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その他
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2-Methyl-2-butanol Acecarbromal アセトフェノン Apronal 臭化物 ブロムワレリル尿素 Carbromal Chloralose Clomethiazole Embutramide エトミデート Evoxine Fenadiazole Gaboxadol Loreclezole Mephenoxalone Sulfonmethane Trichloroethanol Triclofos セイヨウカノコソウ バルノクタミド
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Japanese Journal
- 症例報告 ブロチゾラム(レンドルミン)による多発型固定薬疹の1例
Related Links
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- レンドルミン 成分(一般名) : ブロチゾラム. レンドルミンの効能. 不眠症、麻酔前投薬。 レンドルミンの用量・用法. 本剤の用量は、年齢、症状、疾患などを考慮して適宜増減 するが、一般に成人は次のように服用する。 * 不眠症..1回ブロチゾラムとして0.25mg を ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
レンドルミン錠0.25mg
組成
成分・含量
添加物
- 乳糖水和物、トウモロコシデンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、結晶セルロース、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム
禁忌
- 急性狭隅角緑内障のある患者
[眼内圧を上昇させるおそれがある。]
- 重症筋無力症の患者
[重症筋無力症を悪化させるおそれがある。]
効能または効果
- 不眠症、麻酔前投薬
- 本剤の用量は、年齢、症状、疾患などを考慮して適宜増減するが、一般に成人には次のように投与する。
・不眠症
- 1回ブロチゾラムとして0.25mgを就寝前に経口投与する。
・麻酔前投薬
手術前夜
- 1回ブロチゾラムとして0.25mgを就寝前に経口投与する。
麻酔前
- 不眠症には、就寝の直前に服用させること。また、服用して就寝した後、睡眠途中において一時的に起床して仕事等をする可能性があるときは服用させないこと。
慎重投与
衰弱患者
高齢者
心障害、肝障害、腎障害のある患者
- [心障害では症状が悪化、肝・腎障害では代謝・排泄が遅延するおそれがある。]
脳に器質的障害のある患者
重大な副作用
肝機能障害、黄疸(頻度不明)
- AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP上昇等の肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
一過性前向性健忘、もうろう状態(頻度不明)
- 一過性前向性健忘、また、もうろう状態があらわれることがあるので、本剤を投与する場合には少量から開始するなど、慎重に行うこと。なお、十分に覚醒しないまま、車の運転、食事等を行い、その出来事を記憶していないとの報告がある。異常が認められた場合には投与を中止すること。
薬効薬理
- *ジアゼパム、ニトラゼパム等既存のベンゾジアゼピン系薬剤と共通した薬理活性スペクトラムを示すが、催眠、抗不安、抗痙攣作用は強く、筋弛緩作用は比較的弱い(マウス、ラット、ネコ11〜13))。
催眠作用
- 低用量から催眠作用を示し、睡眠延長作用が認められる(ネコ11)、マウス12))。また、レム睡眠には影響を与えない(ネコ11))。
動物脳波に対する作用
- 脳波は傾眠パターンとなり、また中脳網様体あるいは視床下部後部刺激による脳波覚醒反応も抑制される(ウサギ12))。
作用機序
- 中枢神経系の代表的抑制性伝達物質であるGABAを介して情動をつかさどる視床下部や大脳辺縁系を抑制する(ラット14))。その結果、自律神経系その他の部位からの余剰刺激は遮断され、催眠、鎮静、抗不安等の中枢神経作用を示す。
臨床薬理
効果発現・持続時間
- 健康成人に経口投与した場合、催眠作用は15〜30分より発現し、7〜8時間で消失する。15)
終夜睡眠脳波に対する作用
- ア.健康成人に経口投与した場合、脳波上入眠時間の短縮と中途覚醒時間の減少が認められている。
睡眠の各段階において徐波睡眠及びレム睡眠にほとんど影響を与えない。16,17)
- イ.神経症及び精神生理学的不眠症の患者に経口投与した場合、入眠を改善し、中途覚醒を減少させ、徐波睡眠を増加させることが認められている。18)
有効成分に関する理化学的知見
分子式
分子量
性状
- ・白色〜微黄色の結晶性の粉末で、においはない。
・酢酸(100)又はジクロロメタンに溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(95)、アセトン又は2-ブタノンに溶けにくく、無水ジエチルエーテルに極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
融点
分配係数
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- brotizolam
- 商
- アムネゾン、グッドミン、ゼストロミン、ソレントミン、ネストローム、ノクスタール、ブロゾーム、ブロチゾラム、ブロチゾラムM、ブロチゾラムOD、ブロチゾラン、ブロメトン、レドルパー、レンデム、レンデムD、レンドルミン、レンドルミンD、ロンフルマン
特徴
- 自然な眠りに近いスムーズな入眠。
- 高齢者への副作用が比較的少ない。
構造
作用機序
- 中枢神経系の代表的抑制性伝達物質であるGABAを介して情動をつかさどる視床下部や大脳辺縁系を抑制する(ラット)。
- その結果、自律神経系その他の部位からの余剰刺激は遮断され、催眠、鎮静、抗不安等の中枢神経作用を現す。
薬理作用
動態
適応
注意
禁忌
- 重症筋無力症:[重症筋無力症を悪化させるおそれがある。]
- 急性狭隅角緑内障:[眼内圧を上昇させるおそれがある。]
原則禁忌
- (次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)
- 肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期等で呼吸機能が高度に低下している場合[炭酸ガスナルコーシスを起こすおそれがある。]
副作用
- 臨床試験及び再審査終了時の調査症例6,548例中、副作用が報告されたのは256例(3.91%)であった。主な副作用は、残眠感・眠気144件(2.20%)、ふらつき66件(1.01%)、頭重感50件(0.76%)、だるさ48件(0.73%)、めまい25件(0.38%)、頭痛8件(0.12%)、けん怠感7件(0.11%)等であった。また、臨床検査値においては特に一定の傾向を示す変動は認められていない。(レンドルミン錠)
添付文書
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1124009F1223_1_05/