ジドブジン
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
レトロビルカプセル100mg
組成
- 本剤は、1カプセル中にジドブジン100mgを含有する。
- 添加物としてトウモロコシデンプン、結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、酸化チタンを含有する。
禁忌
- 好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少した患者(ただし原疾患であるHIV感染症に起因し、本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無いものを除く)(「重要な基本的注意 3.」の項参照)[好中球数、ヘモグロビン値が更に減少することがある。]
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- イブプロフェン投与中の患者[出血傾向が増強したとの報告がある(「相互作用」の項参照)。]
効能または効果
HIV感染症
- 無症候性HIV感染症に関する治療開始については、CD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量が指標とされている。よって、本剤の使用にあたっては、患者のCD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量を確認するとともに、最新のガイドライン1)〜3)を確認すること。
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は感染初期から多種多様な変異株を生じ、薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので、本剤は他の抗HIV薬と併用すること。
- 通常、成人には他の抗HIV薬と併用して、ジドブジンとして1日量500〜600mgを2〜6回に分けて経口投与する。なお、症状により適宜減量する。
- 本剤投与中特に著しい好中球減少(750/mm3未満又は投与前値からの50%以上の減少)又は著しい貧血(ヘモグロビン値が7.5g/dL未満又は投与前値からの25%以上の減少)が認められた場合は、骨髄機能が回復するまで休薬する。これより軽度の貧血(ヘモグロビン値が7.5〜9.5g/dL)及び好中球減少(750〜1000/mm3)の場合は、減量する。著しい貧血がみられた場合、休薬及び減量を行っても輸血の必要な場合がある。休薬又は減量後、骨髄機能が回復した場合には、血液学的所見及び患者の耐容性に応じて徐々に通常の投与量に増量する。
- 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において、因果関係が特定されない重篤な副作用が発現し、治療の継続が困難であると判断された場合には、本剤若しくは併用している他の抗HIV薬の一部を減量又は休薬するのではなく、原則として本剤及び併用している他の抗HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
- ジドブジンとして1日量が400mg(1回100mg、1日4回投与)による有効性及び安全性が認められたとの報告はあるが4)、1日量が400mg未満の用量による有効性は確認されていない。
慎重投与
- 好中球数1000/mm3未満又はヘモグロビン値が9.5g/dL未満の患者[好中球数、ヘモグロビン値が更に減少することがある。]
- 腎又は肝機能障害のある患者[高い血中濃度が持続するおそれがある(「薬物動態」の項参照)。]
- ビタミンB12欠乏患者[貧血が発現するおそれがある。]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
重大な副作用
- 次のような症状があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重篤な血液障害
- 再生不良性貧血(頻度不明注))、赤芽球癆(頻度不明注))、汎血球減少(頻度不明注))、貧血(24.84%)、白血球減少(17.83%)、好中球減少(8.28%)、血小板減少(5.10%)
うっ血性心不全(頻度不明注))
乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)(いずれも頻度不明注))
てんかん様発作(頻度不明注))
膵炎(頻度不明注))
薬効薬理
作用機序28)
- ジドブジン(AZT)はHIV感染細胞内でリン酸化され、活性型の三リン酸化体(AZTTP)となる。AZTTPはHIV逆転写酵素を競合的に阻害し、またデオキシチミジン三リン酸の代りにウイルスDNA中に取り込まれて、DNA鎖伸長を停止することによりウイルスの増殖を阻害する。AZTTPのHIV逆転写酵素に対する親和性は、正常細胞のDNAポリメラーゼに比べて約100倍強いので、選択性の高い抗ウイルス作用を示す(ヒトリンパ球系H9細胞増殖に対するin vitroでのID50値は267μg/mL(1000μM))。
抗ウイルス作用
- ジドブジンのHIVに対するin vitroにおけるID50値は、CD4リンパ球系細胞を用いた系では0.13μg/mL(0.49μM)以下であった29)。
- マウスにマウスレトロウイルス(Rauscherマウス白血病ウイルス)を接種し、接種4時間目より、ジドブジンを1.0mg/mLの割合で飲用水に混入して投与した実験では、平均脾臓重量、脾臓細胞感染率、及び血中ウイルス力価が対照群に比し著しく低下した。また感染後生存日数も延長した30)。
- ジドブジンを、ラミブジン、ジダノシン等の抗HIV薬あるいはインターフェロンαと併用することで、in vitroの抗ウイルス作用は、相加的あるいは相乗的に増大した31),32)。
薬剤耐性
- ジドブジンを含むチミジンアナログに対する耐性は、HIV逆転写酵素の41、67、70、210、215及び219番目のアミノ酸の変異によって生じ、これらのうち41番目と215番目の変異あるいは4個以上の変異によってウイルスは表現型として耐性を示す33),34)。
なお、これらチミジンアナログの変異を有するウイルスは高度の交差耐性を示さない35)。
また、62、75、77、116及び151番目のアミノ酸の変異、並びに69番目のアミノ酸のスレオニンからセリンへの変異とそれに加えて同じ個所への6塩基対の挿入により、ウイルスはジドブジンを含むヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬に対し多剤耐性を示す36)〜38)。
なお、in vitroで、ジドブジン耐性ウイルスはジドブジン及びラミブジンの投与によりラミブジンに対して耐性を獲得すると、ジドブジンに対して感受性は回復する。また、抗HIV薬の治療経験のない患者にジドブジンとラミブジンを併用することによりジドブジン耐性ウイルスの出現が遅延する39)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
分子式
分子量
性状
- 白色〜微黄白色の粉末で、においはない。
エタノール(95)にやや溶けやすく、水にやや溶けにくい。
光によって分解する。
融点
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- zidovudine, ZDV
- 商
- レトロビル Retrovir。コンビビル(ジドブジン、ラミブジン)
- 関
- 抗HIV薬、アジドチミジン, azidothymidine, AZT
[★]
- 英
- azidothymidine, AZT
- 同
- ジドブジン zidovudine
- 商
- レトロビル
- 関
- 抗ウイルス薬
[★]
- 英
- building
- 関
- 建物