出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/07/12 22:45:20」(JST)
この項目では、動物のリスについて記述しています。中華人民共和国の少数民族については「リス族」をご覧ください。 |
リス科 | ||||||||||||||||||
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ニホンリス(2006年11月撮影)
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リス(栗鼠)は、ネズミ目リス科に属する動物の総称である。リス科には、シマリス、プレーリードッグ、マーモットなど、49属254種が含まれる。滑空能力のあるモモンガ、ムササビもリスの仲間である。世界最小13cm、体重10gのアフリカコビトリス (Myosciurus pumilio) から体重9kgにもなるシラガマーモット (Marmota caligata) 、世界最大の1mのインドオオリスまで、大きさは多彩である。モモンガなど滑空する種は夜行性だが、その他の種は昼行性である。
目次
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リスには、樹上性リス(滑空する種も含む)と地上に住むジリスの、異なる2タイプがある。
樹上性リスにはハイイロリス (Sciurus carolinensis) などが含まれる。フサフサとした大きな尾を持つことが特徴である。主に樹上で生活する。食性は草食性の強い雑食で、種子、果実、キノコ及び小動物を食べ、種子を巣穴に保存する性質がある。基本的に単独行動をし、明確な縄張りを持つ種は少ない。また、寒冷地に生息する種でも冬眠はしない。
ジリスにはプレーリードッグ、マーモットなどが含まれる。尾が短く、草食性である。草原や砂地などに巣穴を掘り生活している。森林限界を越えた高山に住む種もいる。家族を中心とした集団を形成し、縄張りを持つ種が多い。多くのジリスは冬眠をする。カリフォルニアジリスは40~50cm、寿命6~8年であり晩年期にガラガラヘビの毒へ免疫を持つ。
東南アジアに生息するフィンレイソンリスはいくつもの毛色の違うものが野生化で存在している。花の蜜を食べるために長く伸びる舌をしている。
シマリス類は、樹上生リスとジリスの中間的な存在であり、主に地上で暮らすが、木登りも巧みである。また、愛玩動物として飼育されている種も、環境適応力が高い事などを理由にシマリス属が多い。それゆえ近年、飼育環境から逃げ出した外国産シマリスによる日本国内の生態系の乱れが懸念されている。亜種には、ホワイトシマリス (Nivea tamias sibiricus) と呼ばれる体毛が白いシマリスがおり、たびたびアルビノと混同される。アルビノシマリス (albino tamias sibiricus) は先天的な色素欠乏のため体毛が白く見え、赤目(ただし、アルビノでも個体によっては赤みがかった黒目(ブドウ色)の場合もある)かつ他のシマリスと比較して体が脆弱であるといった特徴を持つ。一方、ホワイトシマリスは白毛かつ黒目の色素(因子)を持つ。両者には、目の色以外に見た目の違いが認めにくいため混同されがちだが、両者の体色はその性質上全く異質のものであり、学術上それぞれ区別されている。ペットショップなどでホワイトシマリスとして販売されている多くの白色固体は、アルビノである場合が多い。
リスはオーストラリアと南極大陸を除く世界各地に分布しており、樹上性リスは南アジアを中心に、ジリスは北アメリカを中心に分布している。
シマリス属やジリス属には、頬の内側に「頬袋」と呼ばれる袋状の構造がある。頬袋には柔軟性があり、たくさんの食物をしまっておくことができる。
日本に棲むリス類としては、リス亜科の3属4種5亜種(内、2亜種は移入種)、モモンガ亜科(ムササビ亜科とも)の2属3種5亜種(全て在来種)の計5属7種10亜種が挙げられ、移入種を除けば4属6種8亜種となる。
リス亜科では、北海道にエゾリス (Scriurus vulgaris orientis) とエゾシマリス (Tamias sibiricus lineatus) が、本州、九州、四国にはニホンリス(ホンドリスとも、Sciurus lis)が生息している。ただし、ニホンリスの九州での生息は、最近は確認されていない。
これらの在来種のほか、近年タイワンリス (Callosciurus caniceps thaiwanensis) やチョウセンシマリス (Tamias sibiricus uthensis) が移入し、ニホンリスやヤマネのような在来種に対する圧迫が心配されている。伊豆大島ではタイワンリスによる食害が深刻化している。
エゾリスはユーラシア北部に広く分布するキタリスの亜種、タイワンリスはアジア南東部から東部に分布するクリハラリスの亜種、エゾシマリスとチョウセンシマリスはアジア東部から東北部にかけて分布するシマリス(シベリアシマリス、アジアシマリスとも)の亜種である。
モモンガ亜科では、本州、四国、九州にムササビ(ホオジロムササビとも、Petaurista leucogenys)とホンドモモンガ(ニホンモモンガとも、Pteromys momonga)、北海道にエゾモモンガ (Pteromys volans orii) が生息する。エゾモモンガは、ヨーロッパ北部からシベリア、中国北部まで広く分布するタイリクモモンガの亜種である。ムササビはキュウシュウムササビ、ワカヤマムササビ、ニッコウムササビの3亜種に細分することもある。
これらのうち、ニホンリス、ムササビ、ニホンモモンガの3種は日本固有種である。
日本語の「リス」という名前は、漢字の「栗鼠」の音読み「リッソ」が転じたものである。
アメリカ合衆国のいくつかの地域では、近年までリスの肉は食肉として捉えられ、好まれていた。非常に多くのレシピにリスの肉の調理について記されていることがその証拠となる。アメリカ合衆国の主婦イルマ・ロンバウアー(en:Irma S. Rombauerを参照)が1930年代に著した有名な料理本料理の喜び(en:The Joy of Cookingを参照)の最初の版においてもリスの肉の調理法が記されていた。レシピによるとリスの肉はウサギの肉や鶏肉よりも柔らかいものの、それらの代わりとして利用できる。リスの肉には野生動物の肉らしい臭みはわずかしかない。
アメリカ合衆国の多くの地域、特にアメリカ合衆国南部では現在でもリスは食用として狩猟の対象となる。
また、近年ではまだ一般的とは言えないが、イギリスでリス料理の人気が高まりつつある。特に、北米のハイイロリスはイギリス在来種のアカリスを圧迫しており、その駆除のためにという大義名分もあってリス料理が好まれるようになってきている[1]。
古代ローマの博物学者プリニウスによると、リスは嵐がくるのを予知する能力があり、嵐の風上側に巣穴の入り口がある場合は前もってふさぎ、新たに風下側に入り口を作るという。なお、プリニウスは、ハリネズミについても「この動物は自分たちのねぐらに引っ込むことによって、北風が南風に変わることを予言する」と記している。
日本では昭和40年頃からシマリスに人気が出始め[2]、現在もペットショップで販売されている。ニホンリスやキタリスなど日本に生息しているリスは、自然保護法により捕獲が禁止されているため、外国から輸入されたリスが販売されている。2005年からは、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第56条の2として「動物の輸入届出制度」が規定された[3]ことで、プレーリードッグが輸入禁止になるなど、齧歯類の輸入規制が始まった。現在業者が輸入販売できるのは、シマリスと地面で活動するジリス(リチャードソンジリス、ジュウサンセンジリス等)のみとされている。2010年の輸入元国別の輸入届出頭数は、中国12,908、アメリカ1,602、オランダ930となっている[4]。また鎌倉近辺に生息しているタイワンリスは特定外来生物として駆除の対象になっており、ペットとして飼うことも禁止となった。飼育下での寿命は、シマリス6~7年[5]、ジリス10~12年、プレーリードッグ8~10年[6]。
日本においては多数の展示施設で飼育され、中には町田リス園のように、リスの名前を冠したリスに特化した展示施設もある。
シマリス(北海道以外)、キタリス(北海道以外)、クリハラリス(タイワンリス)は国立環境研究所によって侵入生物に分類されている[7]。
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