イホスファミド
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イホスファミド
|
IUPAC命名法による物質名 |
3-(2-クロロエチル)-2-[(2-クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ-2H-1,3,2-オキサザホスホリン 2-オキシド |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
? |
法的規制 |
劇薬、処方せん医薬品 |
投与方法 |
点滴静注 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
100% |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
72時間で60-80% |
排泄 |
腎臓 |
識別 |
CAS登録番号 |
3778-73-2 |
ATCコード |
L01AA06 |
PubChem |
CID 3690 |
DrugBank |
APRD00007 |
KEGG |
D00343 |
化学的データ |
化学式 |
C7H15Cl2N2O2P |
分子量 |
261.1 |
イホスファミド (ifosfamide) は抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)の一種。アルキル化剤。商品名はイホマイド (Ifomide)。IFMという略号で表されることもある。
効能・効果
- 肺小細胞癌、前立腺癌、子宮頸癌、骨肉腫、再発又は難治性の胚細胞腫瘍(精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍)、悪性リンパ腫
- 以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法 - 悪性骨・軟部腫瘍、小児悪性固形腫瘍(ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、横紋筋肉腫、神経芽腫、網膜芽腫、肝芽腫、腎芽腫等)
副作用
骨髄抑制、出血性膀胱炎、排尿障害、悪心・嘔吐、食欲不振、脱毛、倦怠感など。
作用機序
本剤は体内で活性化される。腫瘍細胞DNAにおいて、グアニンをアルキル化し、DNA二重鎖間の架橋や異常塩基対(C-Gに代わってT-G)を形成する。異常DNAとなることで、DNAの複製や、RNAへの転写を阻害する。
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- P1-213 イホマイド脳症に対してメチレンブルーが著効した一症例(がん薬物療法(他の副作用対策),ポスター,一般演題,岐路に立つ医療〜千年紀の目覚め〜よみがえれ!ニッポン!薬の改革は我らが手で!)
- 松田 美樹子,大熊 良和,湯田 淳一郎,本間 りこ,大本 英次郎
- 日本医療薬学会年会講演要旨集 22, 302, 2012-10-10
- NAID 110009618286
- 術後イホマイドを使用し経過が良好な子宮体部癌肉腫IVa期の1例
- 超高齢者非小細胞肺癌に対する化学療法 : ifosfamideとvindesine併用療法を中心に
- 瀧川 奈義夫,畝川 芳彦,岸野 大蔵,藤原 慶一,井田 樹子,江口 研二
- 日本呼吸器学会雑誌 = The journal of the Japanese Respiratory Society 38(4), 273-277, 2000-04-10
- NAID 10008383377
Related Links
- イホスファミド(イホマイド)は、シクロホスファミドと似た構造を持つアルキル化剤です。シクロホスファミドが効かなくなった人にも効果が認められますが、効力が弱いため、4倍の投与量が必要とされています。主な副作用としては ...
- イママイドは、一般的にイホスファミドといい、小細胞ガンや前立腺ガン等に保健が適用... ... イママイドは、一般的にイホスファミドといい、小細胞ガンや前立腺ガン等に保健が適用されており、そんほか骨髄移植にも用いられることが ...
- 商品名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分 注射用イホマイド1g Ifomide 塩野義製薬 4211402D1020 3512円/瓶 劇薬 , 処方 ... 本剤とペントスタチンを併用しないこと。[外国において類縁薬であるシクロホスファミドとペントスタチン ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
注射用イホマイド1g
組成
成分・含量(1瓶中):
禁忌
ペントスタチンを投与中の患者 1)[「相互作用」の項参照]
本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
腎又は膀胱に重篤な障害のある患者[腎障害又は出血性膀胱炎を増悪する。]
効能または効果
- 下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の寛解
肺小細胞癌,前立腺癌,子宮頸癌,骨肉腫,再発又は難治性の胚細胞腫瘍(精巣腫瘍,卵巣腫瘍,性腺外腫瘍),悪性リンパ腫
以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
悪性骨・軟部腫瘍,小児悪性固形腫瘍(ユーイング肉腫ファミリー腫瘍,横紋筋肉腫,神経芽腫,網膜芽腫,肝芽腫,腎芽腫等)
*本剤を再発又は難治性の胚細胞腫瘍に投与する場合には,他の抗悪性腫瘍剤と併用することが必要である。[本剤単独投与での有効性は確立していない。精巣腫瘍に対し本剤を単独投与した場合,奏効率が低く効果持続期間が短いとの報告がある 2)。]
肺小細胞癌,前立腺癌,子宮頸癌,骨肉腫の場合
- 通常,成人にはイホスファミドとして1日1.5〜3g(30〜60mg/kg)を3〜5日間連日点滴静注又は静脈内に注射する。これを1コースとし,末梢白血球の回復を待って3〜4週間ごとに反復投与する。
なお,年齢,症状により適宜増減する。
再発又は難治性の胚細胞腫瘍の場合
- 確立された標準的な他の抗悪性腫瘍剤との併用療法を行い,通常,成人にはイホスファミドとして1日1.2g/m2(体表面積)を5日間連日点滴静注する。これを1コースとし,末梢白血球の回復を待って3〜4週間ごとに反復投与する。
なお,患者の状態により適宜減量する。
悪性リンパ腫の場合
他の抗悪性腫瘍剤との併用において,通常,イホスファミドとして1日0.8〜3g/m2(体表面積)を3〜5日間連日点滴静注する。これを1コースとし,末梢白血球の回復を待って3〜4週間ごとに反復投与する。
なお,年齢,併用薬,患者の状態により適宜減量する。
総投与量はイホスファミドとして1コース10g/m2以下,小児では全治療コース80g/m2以下とする。
悪性骨・軟部腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法及び本剤単独投与の場合
ドキソルビシン塩酸塩との併用において,成人には,通常1コースは,イホスファミドとして1日1.5〜3g/m2(体表面積)を3〜5日間連日点滴静注又は静脈内に注射する。末梢白血球の回復を待って3〜4週間ごとに反復投与する。
総投与量は,イホスファミドとして1コース10g/m2以下とする。
なお,年齢,患者の状態により適宜減量する。
本剤の単独投与において,成人には,1コースは,イホスファミドとして総投与量14g/m2までを点滴静注又は静脈内に注射する。末梢白血球の回復を待って反復投与する。
小児悪性固形腫瘍(ユーイング肉腫ファミリー腫瘍,横紋筋肉腫,神経芽腫,網膜芽腫,肝芽腫,腎芽腫等)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法の場合
他の抗悪性腫瘍剤との併用において,通常,イホスファミドとして1日1.5〜3g/m2(体表面積)を3〜5日間連日点滴静注する。これを1コースとし,末梢白血球の回復を待って3〜4週間ごとに反復投与する。
なお,年齢,併用薬,患者の状態により適宜減量する。
総投与量はイホスファミドとして1コース10g/m2以下,全治療コース80g/m2以下とする。
本剤の投与時には十分な尿量を確保し,出血性膀胱炎等の泌尿器系障害の防止のために下記の処置を行うこと。
成人の場合
本剤投与時の1時間前から,できるだけ頻回に,かつ大量の経口水分摂取を行い,投与終了の翌日まで1日尿量3000mL以上を確保すること。
本剤投与第1日目は,投与終了直後から2000〜3000mLの適当な輸液を投与するとともにメスナを併用すること。
本剤投与中,経口水分摂取困難な場合は,第2日目以降,投与終了の翌日まで,上記2)に準じて輸液を投与すること。
本剤投与中は必要に応じて輸液1000mLあたり40mLの7%炭酸水素ナトリウム注射液を混和し,尿のアルカリ化を図ること。また必要に応じてD-マンニトール等の利尿剤を投与すること。
小児の場合
- 本剤投与時には,1日2000〜3000mL/m2(体表面積)の適当な輸液を投与するとともにメスナを併用すること。また,(1)4)に準じ尿のアルカリ化を図り,利尿剤を投与すること。
再発又は難治性の胚細胞腫瘍に対して確立された標準的な他の抗悪性腫瘍剤との併用療法〔VeIP療法(ビンブラスチン硫酸塩,イホスファミド,シスプラチン併用療法)〕においては,原則として3週間を1クールとし,各クールの1〜5日に本剤を投与する。なお,併用薬剤の添付文書も参照すること。
悪性骨・軟部腫瘍に対する本剤単独投与での用法・用量については,文献 3)〜8)を参照すること。
肥満患者には,投与量が過多にならないように,標準体重から換算した投与量を考慮すること。
注射液の調製法:イホスファミド1g(1瓶)に生理食塩液又は注射用水25mLを加えて溶解する。
慎重投与
肝障害のある患者[肝障害が増悪するおそれがある。]
腎又は膀胱に障害のある患者[腎障害又は出血性膀胱炎が増悪するおそれがある。]
骨髄抑制のある患者[骨髄抑制が増強するおそれがある。]
感染症を合併している患者[骨髄抑制作用により,感染症が増悪するおそれがある。]
水痘患者[致命的な全身障害があらわれることがある。]
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
小児[「重要な基本的注意」及び「小児等への投与」の項参照]
重大な副作用
骨髄抑制(5%以上):汎血球減少,貧血,白血球減少,血小板減少,また,出血等があらわれる場合があるので,本剤投与期間中には末梢血液の観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与間隔の延長,減量,休薬等の適切な処置を行うこと。
出血性膀胱炎,排尿障害(5%以上):出血性膀胱炎,排尿障害等があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,減量,休薬等の適切な処置を行うこと。
ファンコニー症候群(頻度不明※),急性腎不全(0.1%未満):ファンコニー症候群,また,急性腎不全があらわれることがあるので,腎機能検査値を確認するなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与中止等の適切な処置を行うこと。併用薬又は前治療薬として白金製剤の投与を受けた患者,腎機能低下又は片腎の患者,小児には特に注意すること。
意識障害(0.1%未満),幻覚,錯乱,錐体外路症状(0.1〜5%未満):意識障害,幻覚,錯乱,錐体外路症状があらわれることがあるので,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
脳症(0.1%未満):意識障害を伴う痙攣発作,譫妄(意識障害,幻覚及び錯乱)があらわれることがあるので,このような場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(0.1〜5%未満),肺水腫(頻度不明※):間質性肺炎,肺水腫があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
心筋障害,不整脈(頻度不明※):心不全,心室性期外収縮,心房細動,上室性期外収縮等があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明※):低ナトリウム血症,低浸透圧血症,尿中ナトリウム排泄量の増加,高張尿,痙攣,意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので,このような症状があらわれた場合には,投与を中止し,水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
急性膵炎(頻度不明※):急性膵炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,腹痛,血清アミラーゼ値の上昇等の異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
薬理作用
- 動物移植性腫瘍に対する抗腫瘍効果(in vivo)
腹水型腫瘍のうち,マウスL1210白血病,ラット吉田肉腫に対して,シクロホスファミドよりすぐれ,かつ,カルボコンより明らかにすぐれた延命効果を示した 19),20)。
ラット腹水肝癌に対して,静脈内投与では他の抗悪性腫瘍剤(カルボコン等)より広いスペクトラムを示した 20)。
固形型腫瘍においても,マウスメラノーマB16及びラット吉田肉腫に対して,シクロホスファミド及びカルボコンよりすぐれた腫瘍増殖抑制効果を示した 19)。
化学療法剤耐性のラット腫瘍(DS癌肉腫及びTA腎芽細胞腫)に対して,シクロホスファミドよりも著明にすぐれた抗腫瘍効果を示した 21)。しかし,マウスのシクロホスファミド獲得耐性腫瘍〔L1210(100mg/kg耐性株)〕に対しては,400mg/kg投与群において対照群に比し25%の生存日数の延長を認めたにすぎず,シクロホスファミドと不完全交差耐性を示すものと考えられた 22)。
作用機序
- イホスファミドは生体内で活性化された後,腫瘍細胞のDNA合成を阻害し,抗腫瘍作用をあらわすことが認められている 23)。
有効成分に関する理化学的知見
一般的名称:
- イホスファミド(JAN)[局外規]
Ifosfamide
化学名:
- (±)-3-(2-Chloroethyl)-2-[(2-chloroethyl)amino]tetrahydro-2H-1,3,2-oxazaphosphorine 2-oxide
分子式:
分子量:
化学構造式:
性状:
- 白色の結晶性の粉末又は塊で,においはない。
メタノール又はエタノール(95)に極めて溶けやすく,水に溶けやすく,ジエチルエーテルにやや溶けにくい。
吸湿性である。
融点:
分配係数:
★リンクテーブル★
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- 英
- alkylating agent, alkylating agents
商品
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- 英
- ifosfamide, IFO, IFM
- 商
- イホマイド、Ifex