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古物(こぶつ)とは、既に一度消費者によって利用されたものが何等かの理由により手放され、再び売りに出されている工業製品などのこと。「中古(品)」(ちゅうこ(ひん))やセコハン(Secondhand)、ユーズド(Used)ともいう。
販売はされたが、一度も利用されずに再び売りに出されたものは俗に「新古(品)」(しんこ(ひん))という。反対語は工場から出荷されたままの状態であり、メーカーによる品質保証のついた状態で販売される新品である。
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
日本において法律上の古物は、古物営業法第2条で次のように定義される
古物については、施行規則第2条で次のような分類がある
ここでは、一般に中古品市場が形成されている、主に上記の古物(金券類は除外)に加え、中古住宅などの建築物についても触れる。
これらの工業製品は、過去に一度、誰かしら手によって利用されていた事が在るため、新品に比べて汚れや傷・磨耗等が見られ、製品の品質にやや難があるものの、一定の機能が問題無く動作する物とされる。主に新品の製品がある程度高価な耐久消費財などでは、中古品の製品を扱う市場が存在している。これらを専門に扱う業者は一般に古物商と呼ばれる。
ある程度の機能的な欠陥(磨耗や汚損・風化によるもの)が見られる場合もあるが、特に高価な耐久消費財ともなると、新品では手が出なくとも、機能的な問題が在るために値引きされて販売されているこれら中古品なら、何とか買える場合もあるため、これを好んで利用する消費者まで見られる。実用分野の中古品は、多少の問題があろうとも安価な入手手段を求める需要で市場が形成されるが、趣味の分野における中古品は異なる性質を持つ(後述)。
近年では特に資源の枯渇や環境保全といった理由から、循環型社会の形成が求められ、再使用やリサイクルが重要視されているが、それ以前にも高価な消費財を安価に購入できるとして、家電製品や自動車(中古車)、または住宅(中古住宅、ただし古物営業法の古物ではない)といった物を扱う市場が存在している。大きなものでは、ほとんど法人が対象であるが、中古トラックや中古バスのほか、法律上の古物ではないが、中古航空機、中古船舶などの市場も存在する。
なおコンピュータ等の精密機械製品では、一定時間の動作(エイジング)をさせないと発現しない初期不良の問題もあるため、概ね一ヶ月前後の使用では問題を起こさなかった中古品の場合は、新品よりも不良率が低いケース(勿論、使用環境にもよる)も見られ、特に摩滅が起き難い精密機械に関しては、短期間使用された中古品に限り、新品と然程区別されない・むしろ一部では評価される場合も見られる。
新古品は、まだ一度も使用されていない工業製品では在るが、一度販売されているというやや複雑な事情が絡む。一部では事故品と呼ばれる、運送中の問題によってキズ・へこみ等の問題が発生した物も、これら新古品の範疇で扱われたり、店頭で消費者にデモンストレーションに展示されていた物も新古品として扱われる場合もあるが、厳密に云えばこれらは新古品の範疇としては扱われない。前者は事故品(メーカーで修復を行ったものは再生品とも)、後者は展示品と呼ばれ、予め断った上で未開封の新品よりも安い価格で販売される。この場合、新品同様のメーカー保証が付けられることが多い。
厳密な意味での新古品は、一度は納入・開封されたものの、何等かの理由(契約破棄など)ですぐに梱包されなおされたり、購入して梱包状態のまま保管していたが、使われることも無く不要品として売却されたりした物などである。とりわけ、自動車で販売店(カーディーラー)が販売ノルマ達成のために、試乗車などの名目で自社登録を行った車両が、走行距離数十キロの新古車として中古車市場に流れることが多い。個別の部品の場合にはNOS (en:New Old Stock) と呼ばれる場合もある。
これら新古品では、動作されないまま専用の倉庫ではない場所に保管されている場合が多く、また潤滑油やゴム・プラスチック部品、使用期限が設定されている部品などの劣化が見られる場合もあるため、稼働開始後に何等かの問題が発生する可能性がある。場合によっては付属品に不足がある場合もあるため、購入には注意が必要である。
一種のファッションとして、古い工業製品の持つ意匠や、ある程度使い古された風合いが好まれる様式があり、製造中止となった自動車をスクラップから再生するレストア産業や、着古された衣服を売買する古着商もある。
こういった既に生産の終了した製品の価値は、現在新品で手に入る製品で代替できないケースが多く存在する。アンティーク家具や古着、あるいは絶版となった書籍や映像等に代表される、ある時点において中古品としてしか手に入らないものは、希少価値が付いて新品の同等製品よりも遥かに高い値段で取引されることがある。
例えば、レトロフューチャー的な物品は1960~1970年代に盛んに製造されたが、こういった製品群は2000年代に於けるデザインセンスとは全く異なった方向性に邁進していたため、2000年代においてこれらの「未来的なデザインの製品」は「来なかった(またはまだ来ていない)未来的デザイン」で極めて個性的である。そのため当時の中古家具や家電製品を蒐集する愛好家や、それら愛好家に対してレストアした製品を販売する業態も存在する。こういった市場では、状態のよい製品が限られるため、人気デザイナー(→インダストリアルデザイナー)の既に絶版となった作品(製品)ともなると、椅子やテーブルと言った同じ用途の現存製品群から頭一つ飛び出た価格であることも珍しくない。
また使い古された生活民具などはアンティークの範疇で人気があるが、これは幾人もの消費者の手を経ている事もあり、単に中古とは言われない場合がある。
中古品は上に挙げたとおり、ある程度高価な工業製品であれば、一定の市場が存在するが、中には様々な理由により、中古市場が上手く機能せず、全般的に低調な市場も存在する。
例えば冷蔵庫・洗濯機などの白物家電であるが、これらは食品を収めたり、洗濯によって肌着などの直接肌に触れる衣服を洗う事もあるため、(気分的・感覚的な問題ではあるが)中古を嫌う人もあり、またその一方で、機能的に不備があった場合に食中毒が発生したり、洗濯物がきちんと衛生的な状態に洗い上がらないといった問題も出るため、中古白物家電は人気が無く、このため白物家電を取り扱う業者も少ない。
一方で、家電リサイクル法の施行以来、これら白物家電を含む大型の・または廃棄に際して環境負荷の大きい家電製品の処分には消費者負担(リサイクル料金+収集運搬料金)が必要となったため、例え少額でも中古品として買い取り価格が付くのであれば売却したい、とする傾向も見受けられ、このため全般的に大型家電や白物家電では、商品(中古品)が市場にだぶつく傾向が見られる。
以下のような理由から売買市場が成立している。
しかしながら、現行機種は秒進分歩で性能が向上するため、旧機種の性能は相対的に急低下しており、特にセキュリティサポートの終了したOS(2011年時点ではWindows 9x系以前およびWindows 2000以前のWindows NT系)しか搭載できない機種の利用価値は、上記の理由のうち、互換性の無い旧来機種を必要とする場合や、現行製品では必要な機能の互換性が無い場合、また現行製品では過剰性能となってしまう場合を除き、ほとんど見出されない。
それでも、こういった機種を購入し、そのまま使い続けるケースもある。ただ既にサポートが終了した製品群では、サポート終了後に発見されたセキュリティホールが放置される事から、ユーザーの気付かない間にマルウェアの餌食になるなど悪用される危険性もあり、「ゾンビパソコン」とも呼ばれコンピュータセキュリティ上の問題にもなっている(→DDoS攻撃)。また、後述のようにインストール済みソフトウェアの使用ライセンス上の問題が出る場合がある。
中古パソコン市場については、日本国内外を含め、年間約200万台が輸出・販売されている。 世界的には、中古パソコン市場は年々拡大をしており、当面その需要は増加するものと見込まれている。日本市場からアジア方面への輸出も堅調な模様だ。米Gartnerの2005年のレポートでは、米国から他国に売られた中古パソコンは、2004年度で約1億5250万セットに上り、世界中のパソコンの1割が中古品だという(CNET記事)。
ただ、発展途上国などでは最新のパソコンは高価で入手し難い事もあり、先進国で廃棄されたような旧式なパソコンを、輸入して販売したり、あるいは教育方面で使ってもらおうと無償配布する活動をしているNGO慈善団体もみられる。またLinuxやFreeBSDのような、無償で利用でき、旧式パソコン上でも問題なく動作するOSを利用するといった動きもある。
逆に古くから、自動車と住宅は、簡単に買う事が出来ない価格であるため、現在でも極めて活発に売り買いされている。ただ住宅に際しては、日本に於いては地価の下落が起きた事から価格の低下が見られ、特に地価の高騰期(バブル景気)に住宅を購入した場合では、購入価格よりかなり安い値段でしか売れない事もあって、現在それらを所有している人が手放したがらないなどの問題も見られる。
兵庫県では2000年以前の樹脂製信号機の転用や、歩行者用信号機の中古利用が行われている場合もある。兵庫県では灰色に塗装してから中古利用される場合も多いために錆びにくいうえ、再利用が出来るために、仮設の信号機には最適な設備である。
近年ではリース会社などが、リースが終了し所有権を移転させ、メンテナスしたものが、オフィス家具屋などで販売されているケースが増えている。中古ビジネスフォン、中古複合機、中古輪転機といった高額の品が、割安で購入可能のため金銭的に厳しい零細・中小企業より非常に重宝をされている。
中古品の売買に際しては、機能面や法が絡んで問題が発生するケースがある。
事故歴の隠匿、整備手帳の処分、走行距離計の巻き戻しなどさまざまな問題がある。
コンピュータゲームのソフトウェア等といった著作物では、それらの中古販売によって発生する著作利用権に絡む金銭授受が行われない。この取引により新品の売り上げが落ちると言う主張がコンピュータソフトウェア著作権協会などによって行われていた。1998年1月にコンピュータソフトウェア著作権協会・コンピュータエンターテインメントソフトウェア協会(当時)・日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会は共同で「違法中古ゲームソフト撲滅キャンペーン」を開始し、コンピュータエンターテインメントソフトウェア協会会員各社のソフトには「NO RESALE」マークが添付されるようになった(2002年5月に廃止)。
なおこの問題に際して、有志の弁護士・法学者らが「中古ソフト問題研究会」を結成、同研究会は疑問を提示した。また中古ゲームソフトを扱う販売店の多くは新品のゲームソフトも販売しているが、この中古ゲームソフト販売に不満を持ったソニー・コンピュータエンタテインメントが商品の卸売りで圧力を掛けた際に、公正取引委員会が同社に「販売店に中古品取り扱いをさせないことをやめること」を含めた排除勧告を行っている。
また、これと並行してカプコンなどメーカー7社が東京地裁と大阪地裁で中古ゲームソフト販売店に対する訴訟(中古ゲーム裁判)を起こしていたが、この裁判は2002年4月に最高裁判所で「中古ゲームソフトの販売は著作権法上の頒布権(第26条)の侵害に当たらない」とするメーカー側全面敗訴の判決が下され、決着した(2003年7月に閣議決定された知的財産推進計画ではこの最高裁判決を立法により破棄することを目指す項目が盛り込まれたが、一般国民や学識経験者の反対意見が多かったことを受けて2005年6月の第3次改訂時に当該項目は削除されている)。
諸外国の著作権法では一旦、適法に販売された物に対して引き続き頒布権を行使することが出来ない「権利の消尽」原則が明文で定められており、日本でも前述の裁判が係争中であった1999年6月の著作権法改正で新設された譲渡権(第26条の2)では同様の規定が置かれている(同条第2項以下)。頒布権は前述の裁判が係争中であったことから「権利の消尽」原則の明文化が見送られたが、最高裁判決は頒布権も明文の規定が存在するか否かに関わらず「権利の消尽」原則が適用されることを宣言したものである。
電気用品安全法の施行される2006年4月以降、「PSEマーク」の付いていない中古電気製品や電気楽器などの販売が不可能になる。このため、中古品業界の壊滅的な打撃が懸念され、いわゆる「PSE問題」が発生した。この際、経済産業省は対策として、
などの方策を打ち出したが、商標権や不正競争防止法上の問題が指摘されたことや市場の混乱が続いたことから、2007年に旧・電気用品取締法に基づく検査で安全性が確認された製品に関しては再検査を不要とする内容を明文化した電気用品安全法改正案が国会に提出され、第168臨時国会で成立した。
中古電気製品同様の、上記電気用品安全法の施行に伴う問題のほか、パソコン特有の次のような問題点がある。
なおメーカーによっては修理扱いでプリインストール状態(工場出荷状態とも)にハードディスク内のデータを書き換えるサービスを行っているところ(大抵は有償)もある。メーカー製パソコンでは、そのような初期化サービスの有無も、中古パソコンの購入前に確認したほうが良いだろう。
その一方で、これら中古として売却されたパソコンの補助記憶装置内にいわゆる「消し忘れ」のデータがあった場合に、これがトラブルの元になるケースも見られる。特に単純なフォーマットを施しただけのハードディスクなどはディスクユーティリティソフトウェアで復旧できる傾向にあるが、これが外部に出ては拙い情報を残したままでは具合が悪い。個人情報漏洩はなおのこと、社外秘情報の漏洩、個人にあってもクレジットカード番号や各種ウェブ上のサービスを利用するためのパスワードが第三者の手に渡る危険性を含んでいる[1]。
携帯電話端末はSIMカードの採用で、他の同一携帯電話キャリア(電気通信事業者)の携帯電話端末に乗り換えてもSIMカードを交換すれば以前の電話機と同じ電話番号やメールアドレスで通信可能となっている。このため携帯電話端末の中古品も流通しているが、中古品に関しては、次のような問題がある。
携帯電話キャリアは、その端末利用者が料金を滞納していたり、端末が盗難にあったと届出があった場合に、利用を制限する。これらの事情を知らずに問題のある中古端末を購入した客が、この利用制限から使用できないケースが多発しており、サービスを利用できなくなった利用者の中には携帯電話キャリアを相手取って訴訟を起こしたケースもある[2]。
また携帯電話にも記憶装置が内蔵されているため、上記のパソコンの例と同様、データの消し忘れによる個人情報漏えいの可能性もある。
構造物としての住宅自体の劣化のほか、不動産取引特有の問題点がある。
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