喉頭角化症
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- コウトウハクハンショウ 【英】leukoplakia of larynx 《同義語》喉頭角化症hyperkeratosis of larynx, Larynxkeratose, hyperkeratosis laryngis 主として声帯に認められる.一側あるいは両側の声帯に境界明瞭な白斑として認められ,平坦な ...
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- 英
- laryngeal leukoplakia, leukoplakia of larynx
- ラ
- leucoplakia laryngis
- 同
- 喉頭白板症、喉頭角化症 laryngeal hyperkeratosis, hyperkeratosis of larynx, Larynxkeratose, hyperkeratosis laryngis
- 関
- 喉頭の上皮性肥厚、喉頭癌
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概念
- 一側または両側声帯に認められる境界明瞭な白斑。
- 組織学的には扁平上皮の過形成であり、異型細胞を伴うことがあるが、表皮内にとどまり基底膜は冒さない。
病因
- タバコ・飲酒がSILsの主要なリスク(1)
- 胃食道逆流、HPV感染、および有害物質の暴露(多環芳香族炭化水素、セメント粉塵、varnish lacquer)(1)
- 誘発する可能性あり:栄養不良(ビタミンA,C,E欠乏)、声の国試、上気道閉鎖、慢性感染症、ホルモンの攪乱 (1)
疫学
分類
- 異型細胞なし:単純過形成
- 異型細胞あり:上皮異形成
- 異形性高度 :上皮内癌
遺伝形式
病理
肉眼所見
顕微鏡所見
- 上皮の過形成。異型細胞がありうる。基底膜は冒されていない。
症状
- 嗄声、咽頭異物感、咳嗽など
- 変動性の嗄声、咽頭刺激感(throat irritation)、咽頭痛(sore throat)、and/or 慢性咳(1)
診断
検査
- 間接喉頭鏡、喉頭ファイバー(通常光とNBI)
- 組織生検:確定診断に必須。
治療
- 組織生検 + 切除
- 手技は外科手術 or 喉頭顕微鏡微細手術
- 切除法法はレーザー焼灼術、電気凝固、外科的切除がある
- 異型度が強く、上皮内癌と診断された場合は、声帯癌として処置を進める(SOTO.542)
予後
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- (概念)喉頭白斑症 laryngeal leukoplakiaは一側または両側声帯に認められる境界明瞭な白斑である。組織学的には扁平上皮の過形成であり、表皮内にとどまり基底膜は侵されない。喉頭白斑症は喉頭の扁平上皮内病変 squamous interepithelial lesion SILという概念に含まれる。扁平上皮内病変とは正常な上皮から扁平上皮癌 squamous cell carcinomaまでの組織的な変化のスペクトラムを指しており、病理学的には扁平上皮過形成 squamous hyperplasiaから上皮内癌 circinoma in situ CISまでを指す。
- (疫学)
- 50-60歳代の男性に多い。Nina Gale et al.によれば、発症は成人にほぼ限定されており、54歳以上の男性で多く、特に高齢者でこの傾向が顕著である。
- (病因)
- タバコ・飲酒がSILsの主要なリスクである。他には、胃食道逆流、HPV感染、および有害物質の暴露(多環芳香族炭化水素、セメント粉塵、varnish lacquer)が関係する。
- (組織学的な分類)
- (1)扁平上皮過形成、(2)基底-傍基底過形成、(3)異型過形成、(4)上皮内癌があり、前2者は良性病変であり、後2者は潜在的悪性病変である。
- 扁平上皮過形成は、有棘細胞層が肥厚しでいるが、基底-傍基底層に変化は見られない。正常なmaturationをしめし、細胞異型は見られない。基底層の有糸分裂は正常であり、頻度はまれである。
- 基底-傍基底過形成は、基底層、傍基底層の肥厚をしめすが、細胞の配列に異常はみられない。傍基底細胞は 基底細胞に比べてわずかに細胞質が拡大しており、細胞間橋は認められない。 わずかに核が拡大しており、クロマチンの分布は不均一である。・基底層と傍基底層で、有糸分裂像は正常であり、頻度はまれである。異常角化細胞は5%以下しかみられない。
- 異型過形成は組織の層化(stratification)は性状であるが、異常な上皮細胞が増加している。核は軽度から中程度の異型(拡大、不整な輪郭、免疫染色での過染性を伴う染色強度の多様化、核小体の増加と巨大化)が見られ、N/C比の増大が認められる。異型細胞は上皮の深層1/2から上皮全層にみとめられることがある。有糸分裂像は増加しており、上皮の下層2/3で主にみられる。異常角化細胞やアポトーシス細胞が上皮全体に見られる。
- 上皮内癌では、層化が失われ、そして上皮の成熟性が失われている。異型をともなう有糸分裂像が上皮全層で見られ、高倍率視野(HPF)で5つ以上見られる。異常角化細胞やアポトーシス細胞が上皮全層にみられる。
- (症状)変動性の嗄声、咽頭刺激感、咽頭痛、慢性咳
- (検査)間接喉頭鏡、喉頭ファイバー(通常光とNBI)により病変を観察し、組織生検により確定診断する。
- (治療)確立した治療方法は定まっていない。組織生検にmicroflap excision、声帯切除術 cordectomy、あるいはレーザー焼灼術、電気凝固を加えて行う。組織生検の結果、異型度が強く、上皮内癌として診断された場合には声帯癌として処置を進める。
- (予後) Ljubljana大学でのSILsの研究は1268名の患者について25年間フォローされている。扁平上皮過形成と基底/傍基底細胞過形成をもった患者の1.1%で悪性転化が起こり、それが起こった期間は1.4-21年、平均7.9年であった。異型過形成を持った患者では悪性転化は著しく増加し9.5%の確率であり、悪性転化までの期間は2-24年、平均で6.2年であった。
- 【参考文献】
- (1) Gale N. et al., Current review on squamous intraepithelial lesions of the larynx., Histopathology., 2009; 54(6);
- 639-56.