- 英
- peracetic acid
- 商
- アセサイド、エスサイド
医療用器具・飲料用ペットボトルの殺菌消毒剤
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/10/19 20:12:52」(JST)
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過酢酸 |
|
IUPAC名 |
過酢酸(許容慣用名)
エタンペルオキソ酸(系統名) |
分子式 |
C2H4O3 |
分子量 |
76.05 |
CAS登録番号 |
[79-21-0] |
形状 |
無色液体 |
融点 |
0.1 °C |
沸点 |
105 °C |
SMILES |
C(=O)(C)OO |
出典 |
ICSC |
過酢酸(かさくさん、peracetic acid)は、示性式 CH3C(=O)OOH で表される過酸、過カルボン酸のひとつ。PAA と略される。鼻を突く酢酸臭がある液体で、水に易溶。
消毒薬としての利用
過酢酸は殺菌消毒薬として使用され、6% 溶液がアセサイドという商品名で販売されている。主に医療器具の滅菌、殺菌、消毒に 0.2%–0.3% の濃度で用いられる。ほとんど全ての細菌、真菌、芽胞、ウイルスに対しグルタルアルデヒドと同等かそれ以上の効果を示すが、グルタルアルデヒドと違い、人体に対する感作性やアレルギー性、変異原性が低い。分解生成物は酢酸、過酸化水素で、過酸化水素は最終的に水と酸素に分解されるため、実質的にほぼ無害である。
過酢酸は、炭疽菌に代表される芽胞にも有効であり、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素とともに世界保健機関 (WHO) が炭疽菌の消毒薬として推奨するもののひとつとなっている。
有機合成分野での応用
有機合成の分野では、酸化剤として汎用される。多くの場合は過酸化水素と無水酢酸から系中で発生させて用いるが、純度の高いものは潜在的に爆発性があるとされ、危険である。通常の目的には危険性の低いメタクロロ過安息香酸 (mCPBA) を用いるべきである。
法規制
日本の消防法において、第5類危険物(自己反応性物質)である有機過酸化物に属する。
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Japanese Journal
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- 作業ならびに生活環境中の滅菌方法について : 規制, 将来性ならびに現在・将来の課題
- 新谷 英晴
- 防菌防黴 = Journal of antibacterial and antifungal agents 40(3), 143-159, 2012-03-10
- NAID 10030448331
- 過酢酸製剤の歯科用金属製器材に対する腐食性とその低減化に関する研究
- 尾立 達治,遠藤 一彦,井田 有亮,斎藤 隆史,川上 智史
- 日本歯科保存学雑誌 54(3), 208-221, 2011-06-30
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
- 化学的滅菌・殺菌消毒剤(医療器具・機器・装置専用)
販売名
アセサイドMA6%消毒液
組成
組成・性状
- アセサイド6%消毒液は、第一剤(主剤)と添付の第二剤(緩衝化剤)を混和して使用する組み合わせ医薬品である。
(なお、精製水で希釈し0.3w/v%実用液として使用する。)
1.組成
第一剤
- 過酢酸を6%含有し、過酸化水素、酢酸、その他1成分(安定化剤)及び水を含む平衡混合物である。
第二剤
- 9成分(緩衝用塩、安定剤及び金属イオン封鎖剤)を含有する。実用液のpH調整及び安定化に用いる。
効能または効果
作用時間:5分
作用時間:10分
- 一般細菌:○
ウイルス:○
抗酸菌:○
芽胞:○
- 注1)高度に汚染されている場合、生残することがある。
適用できる器具注2)
- (a)レンズ装着の装置類、内視鏡類、メス・カテーテルなどの外科手術用器具、産科・泌尿器科用器具。
- (b)麻酔装置類、人工呼吸装置類、人工透析装置類、歯科用器具又はその補助的器具、注射筒、体温計、プラスチック器具等。
- 注2)(a)データのあるもの、(b)類推できるもの
劣化のおそれがあるため使用を避ける材質
- 天然ゴム・生ゴム。
(用法・用量に関連する使用上の注意(6)参照)
腐食のため使用できない材質
調製法
- 本品の実用液の調製は、次の方法による。
第一剤75mL、第二剤75mL及び精製水1350mLの割合で混和し、0.3w/v%実用液を製する。
使用方法
- あらかじめ洗浄、水洗を行った医療器具を液に完全に浸漬する。細孔のある器具類や構造の複雑な器具類は、実用液を加圧注入又は吸引することにより、実用液と十分に接触させる。
- 5分以上浸漬する。
芽胞の殺滅を要する場合は10分以上浸漬する。
- 浸漬後、取り出した医療器具を、原則として滅菌水を用い、流水で15秒以上すすぐ。使用目的により水を使用することもできる。細孔のある器具類や構造の複雑な器具類は、内孔等に薬液が残りやすいので、水の加圧注入やすすぎ時間を延長するなどして十分にすすぐ。
- 過酢酸濃度が0.2%を下回る場合は十分な殺菌効果が得られないので、使用前に化学的インジケーター(例えば、アセサイドチェッカー)等を用い実用下限濃度(過酢酸濃度0.2%)以上であることを確認すること。
- 器具に付着している血液、体液等の有機物が本剤の効力や安定性に影響を及ぼすおそれがあり、又、生体物質中の塩化物が原因で器具に錆の発生や劣化が起こり得るので、消毒前に十分に洗浄し、目に見える汚れを除去すること。内視鏡等の構造の複雑な器具の洗浄方法については、メーカーの推奨する方法や学会等のガイドライン等に従うこと。
- 器具に残存した水分による実用液の希釈が効力や安定性に影響を与えるおそれがあるので、洗浄後の器具の水気を十分に切ってから、実用液へ浸漬すること。
- 過酢酸の残留は、市販のヨウ化カリウムでんぷん紙により検査できる。器具のすすぎに十分な条件をあらかじめ確認しておくこと。薬液の残留が検出される器具は、すすぎ時間の延長などにより適切なすすぎ方法を設定し、残留がないことを確認しておくこと。
浸漬時間
- 5分間の浸漬では、器具が大量の芽胞に汚染されている場合に生残することがあるので、芽胞の殺滅を要する場合は、10分以上浸漬すること。
器具によっては変色したりするおそれがあるので、連続1時間を越えて浸漬しないこと。
- 浸漬処理の繰り返しにより、天然ゴム・生ゴム製品で、ひび等の劣化を生ずることがあり、殺菌効率も低下する。ゴムを使用した器具については、天然ゴムや生ゴムが使われているかどうかを確認すること。
- 器具のひびや錆は、消毒効果を不十分にし、錆は実用液の安定性にも影響するので、ひびや錆のある器具には適用しないこと。
安全対策
- 洗浄・消毒時は、感染性物質及び消毒液の付着や吸入を避けるために、ゴム手袋、ガウン、マスク、眼鏡等の保護具を着用すること。
薬効薬理
一般細菌に対する殺菌効果4)
- アセサイド希釈液は、実用下限以下の過酢酸濃度液(0.18%)で、グラム陽性菌(抗酸菌を除く)及びグラム陰性菌を含む各種一般細菌を1分以内に、枯草菌芽胞を2.5分以内に殺滅した。
各種抗酸菌に対する殺菌効果4)
- アセサイド希釈液は、実用下限以下の過酢酸濃度液(0.18%)で、各種抗酸菌(Mycobacterium tuberculosis H37Rv,M.avium ATCC 25291,M.intracellulare ATCC13950,M.kansasii ATCC12478)を1分以内に殺滅した。
各種真菌に対する殺菌効果4)
- アセサイド希釈液は、実用下限以下の過酢酸濃度液(0.18%)で、Candida albicans IFO1594,Cryptococcus neoformans TIMM0354,Trichophyton mentagrophytes TIMM1189を1分以内に、Aspergillus niger IFO6341を2.5分以内に殺滅した。
各種ウイルスに対する不活化効果4)
- アセサイド希釈液は、実用下限以下の過酢酸濃度液(0.18%)で、単純ヘルペスウイルス1型及びアデノウイルス5型を2.5分以内に不活化した。0.18%液でポリオウイルス3型を検出限界以下(<5.6×102TCID50/25μL)まで不活化するのに10分を要したが、0.24%以上の濃度液では5分以内に検出限界以下まで不活化した。
各種医療器具に対する実用効果5)6)
- アセサイド実用液(0.3%)は、Bacillus subtilis芽胞、ウマ血清及びNaClを含む菌液で汚染した各種医療用器具を、作用時間5分でほとんどの試験(147/161)で殺滅した。ウマ血清及びNaClを含むB.subtilis芽胞菌液で汚染した軟性内視鏡を実用液に5分間浸漬した結果、ほとんどの試験(10/13)で検出限界以下となり、10分ではすべての試験(10/10)で検出限界以下となった。
作用機序7)
- 過酢酸の作用機序は、ヒドロキシルラジカルの生成による細胞の蛋白変性と、それに基づく輸送の阻害、代謝の必須酵素の不活化、細胞膜とその透過性の破壊、核酸の変性・破壊などが示されている。
有効成分に関する理化学的知見
化学名
- エタンペルオキソ酸(ethaneperoxoic acid)
分子式
分子量
性状
- 無色澄明の液で、刺激性の特異なにおいがある。水と混和する。
★リンクテーブル★
[★]
過酢酸、過酸化水素、酢酸
- 関
- 防疫用殺菌消毒剤
[★]
エタンペルオキソ酸
過酢酸
- 関
- 防疫用殺菌消毒剤
[★]
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- acetic acid acetate
- ラ
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