スクロース
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/12/22 23:12:00」(JST)
[Wiki ja表示]
スクロース |
|
|
|
別称
β-D-フルクトフラノシル=α-D-グルコピラノシド
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
57-50-1 |
RTECS番号 |
WN6500000 |
- OC1C(OC(CO)C(O)C1O)
OC2(CO)OC(CO)C(O)C2O
|
特性 |
化学式 |
C12H22O11 |
モル質量 |
342.29648 g/mol |
外観 |
white solid |
密度 |
1.587 g/cm3, 固体 |
融点 |
186 °C
|
水への溶解度 |
211.5 g/100 ml (20 °C) |
危険性 |
主な危険性 |
可燃性 |
NFPA 704 |
|
引火点 |
N/A |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
スクロース (sucrose)、またはショ糖(蔗糖、しょとう)は、糖の一種であり、砂糖の主成分である。
目次
- 1 性質
- 2 人体における消化
- 3 健康への影響
- 4 化学的性質
- 5 脚注
- 6 参考文献
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
性質
スクロースは、グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が結合した糖であり、二糖類の一種である。無色結晶、甘味を有する、水に溶けるという二糖類共通の性質を持つ。加水分解するとグルコースとフルクトースを生ずる。
水溶性が高く、25°Cにおいて、1gの水に2.1g溶ける[1]。
先進国における主要な甘味料であり、砂糖の主成分である。一般にはサトウキビや、サトウダイコン(テンサイ)から抽出し、純度を高め結晶化したものである。原料としては他にソルガム(モロコシ)とサトウカエデがある。ちなみにショ糖の結晶を大きく成長させると氷砂糖になる。
約170°Cに加熱すると、カラメル(キャラメル)と呼ばれる褐色の物質に変化する。カラメルは食用となり、独特の香りを持つ。カラメルはカスタードプディングなどに使用される。
人体における消化
スクロースは、小腸壁に存在する消化酵素「サッカラーゼ(インベルターゼ)」によりグルコースとフルクトースに加水分解され(「転化糖」参照)、小腸で吸収されて血流に入る。 この反応は短時間で起こるため、血糖値を急激に上昇させる。
健康への影響
スクロースは、健康に悪影響を及ぼすことがある。その代表的なものはう蝕(むし歯)である。口腔内の細菌がスクロースを材料としてエナメル質や象牙質といった歯質を破壊する酸を産生するためである。特に甘味を求め、スクロースの摂取量が増加し、なおかつ口腔内の清掃が比較的行き届いていない子供において問題となる。
また、一般にスクロースはカロリーが高く、肥満の原因になり、糖尿病患者はスクロースの摂取を制限しなければならないという説があるが、食物中の炭水化物の総量のうちスクロースの占める割合はごく一部に過ぎないのでスクロースのみを制限しても意味は無い[要出典]。スクロースで180g程度以上を一度に摂取すると健常人であっても一過性の糖尿を生ずる[要出典]。この量は、食品成分表のコーラ・缶コーヒー等に示される量を基にすると2.5リットル前後の量(約1100kcal)に相当する。
代用甘味料
上記のような健康への影響からスクロースを避けたいというニーズに応えるため、代用甘味料がいくつも開発されてきた。しかし、例えばアスパルテームは加熱することで甘みが低下するなど、調理用に砂糖の代替として利用するのが難しいものがある。また、他の健康上の問題をも引き起こすものもあり、その安全性が疑問視されている。
スクロースを塩素化した甘味料にスクラロースがある。これは有機塩素化合物であり、スクロースの約600倍の甘さがある食品添加物である。
化学的性質
化学式はC12H22O11であり、グルコースとフルクトースがグリコシド結合した二糖類である。組織名はβ-D-フルクトフラノシル-(2↔1)-α-D-グルコピラノシド (β-D-fructofuranosyl-(2↔1)-α-D-glucopyranoside) である。語尾が「- オシド ( -oside)」になっているのは還元糖ではないためである。グルコースのアルデヒド基とフルクトースのケトン基が共にグリコシド結合のため酸化されず、二糖類としては例外的に還元性を持たない。なお多糖類には共通の性質として還元性がない。
濃硫酸によって脱水反応が触媒され、単体の炭素が得られる。
また、角砂糖に火を近づけても溶けたり焦げたりするだけで燃焼は起きないが、灰をかけて火を近づけると触媒反応によって燃焼が起こる。
脚注
- ^ Question No. 1835 Singapore Science Centre: ScienceNet|Physical Sciences|General Chemistry (ウェブアーカイブ)
参考文献
- 伊藤汎 監修 『砂糖の文化誌 ―日本人と砂糖』 八坂書房、2008年。ISBN 4896949226
関連項目
外部リンク
- ALIC-農畜産業振興機構|砂糖類情報
- 国際化学物質安全性カード スクロース - 国立医薬品食品衛生研究所
炭水化物 |
|
一般構造 |
アルドース · ケトース · ピラノース · フラノース
|
|
立体構造 |
エピマー · アノマー · 変旋光
|
|
単糖類 |
トリオース
|
ケトトリオース(ジヒドロキシアセトン) · アルドトリオース(グリセルアルデヒド)
|
|
テトロース
|
ケトテトロース(エリトルロース) · アルドテトロース(エリトロース、トレオース)
|
|
ペントース
|
ケトペントース(リブロース、キシルロース)
アルドペントース(リボース、アラビノース、キシロース、リキソース)
デオキシ糖(デオキシリボース)
|
|
ヘキソース
|
ケトヘキソース(プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース)
アルドヘキソース(アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース)
デオキシ糖(フコース、フクロース、ラムノース)
|
|
ヘプトース
|
セドヘプツロース
|
|
|
マルチプル |
二糖類
|
スクロース · ラクトース · マルトース · トレハロース · ツラノース · セロビオース
|
|
三糖類
|
ラフィノース · メレジトース · マルトトリオース
|
|
四糖類
|
アカルボース · スタキオース
|
|
その他のオリゴ糖
|
フラクトオリゴ糖(FOS) · ガラクトオリゴ糖(GOS) · マンナンオリゴ糖(MOS)
|
|
多糖類
|
グルコース:グリコーゲン · デンプン(アミロース、アミロペクチン) · セルロース · デキストリン · グルカン(β1,3-グルカン)
フルクトース:フルクタン(イヌリン、レバンβ2→6)
N-アセチルグルコサミン:キチン質
|
|
|
主要な生体物質:炭水化物(アルコール、糖タンパク質、配糖体) · 脂質(エイコサノイド · 脂肪酸/脂肪酸の代謝中間体 · リン脂質 · スフィンゴ脂質 · ステロイド) · 核酸(核酸塩基 · ヌクレオチド代謝中間体) · タンパク質(タンパク質を構成するアミノ酸/アミノ酸の代謝中間体) · テトラピロール · ヘムの代謝中間体 |
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 健康な中高齢者への蔗糖負荷による血中脂質の変化について
- 中嶋 克行,髙尾 哲也,小川 睦美 [他]
- 砂糖類・でん粉情報 = Sugar & starch information (19), 48-53, 2014-04
- NAID 40020064110
- 甘蔗糖度が高く品質の良い早期収穫向けサトウキビ新品種「KN00-114」の育成
- 海外情報 バイオエタノールだけではないブラジルのサトウキビ先進技術 : 国際甘蔗糖技術者会議(ISSCT)第28回サンパウロ大会報告
- 琉球大学農学部上野正実およびチーム琉大
- 砂糖類・でん粉情報 = Sugar & starch information (16), 61-71, 2014-01
- NAID 40019938477
Related Links
- ショ糖(蔗糖)とは、糖類の一種で、別名スクロースともいう。スクロースは、ぶどう糖と果糖が結合した糖であり、二糖類の一種であり、水溶性がたかく、水に溶けやすく、原料は、さとうきび等から抽出した糖を結晶化させたものです。
- デジタル大辞泉 - 蔗糖の用語解説 - サトウキビ・サトウダイコンなどから抽出される糖。ぶどう糖と果糖とが結合した二糖類。化学式C12H22O11 サッカロース。スクロース。 ... 出典|小学館 この辞書の凡例を見る 監修:松村明 編集委員 ...
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
インフルエンザHAワクチン「生研」
組成
製法の概要
- 本剤は、インフルエンザウイルスのA型及びB型株をそれぞれ個別に発育鶏卵で培養し、増殖したウイルスを含む尿膜腔液をゾーナル遠心機による蔗糖密度勾配遠心法により濃縮精製後、ウイルス粒子をエーテル等により処理してHA画分浮遊液とし、ホルマリンで不活化した後、リン酸塩緩衝塩化ナトリウム液を用いて規定濃度に混合調製した液剤である。
組成
,*有効成分(製造株)
A型株
A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)pdm09
A/スイス/9715293/2013(H3N2)
B型株
B/プーケット/3073/2013(山形系統)
B/テキサス/2/2013(ビクトリア系統)
各株のHA含量(相当値)は、1株当たり30μg以上
添加物
- ホルマリン(ホルムアルデヒド換算) 0.0026w/v%以下
チメロサール 0.004mg
塩化ナトリウム 8.5mg
リン酸水素ナトリウム水和物 1.725mg
リン酸二水素カリウム 0.25mg
禁忌
(予防接種を受けることが適当でない者)
- 被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合には、接種を行ってはならない。
==
==
==
==
==
==
- 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者
==
==
- 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者
効能または効果
==
==
==
==
- 6ヶ月以上3歳未満のものには0.25mLを皮下に、3歳以上13歳未満のものには0.5mLを皮下におよそ2〜4週間の間隔をおいて2回注射する。13歳以上のものについては、0.5mLを皮下に、1回又はおよそ1〜4週間の間隔をおいて2回注射する。
接種間隔
- 2回接種を行う場合の接種間隔は、免疫効果を考慮すると4週間おくことが望ましい。
他のワクチン製剤との接種間隔
- 生ワクチンの接種を受けた者は、通常、27日以上、また他の不活化ワクチンの接種を受けた者は、通常、6日以上間隔を置いて本剤を接種すること。ただし、医師が必要と認めた場合には、同時に接種することができる(なお、本剤を他のワクチンと混合して接種してはならない)。
慎重投与
(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)
- 被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。
==
==
- 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者
==
==
- 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者
==
==
==
==
- 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者
==
==
==
==
- 本剤の成分又は鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対して、アレルギーを呈するおそれのある者
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー(0.1%未満)
- ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸困難、血管浮腫等)があらわれることがあるので、接種後は観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(0.1%未満)
- 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)があらわれることがある。通常、接種後数日から2週間以内に発熱、頭痛、けいれん、運動障害、意識障害等があらわれる。本症が疑われる場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
脳炎・脳症、脊髄炎、視神経炎(頻度不明)
- 脳炎・脳症、脊髄炎、視神経炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
ギラン・バレー症候群(頻度不明)
- ギラン・バレー症候群があらわれることがあるので、四肢遠位から始まる弛緩性麻痺、腱反射の減弱ないし消失等の症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
けいれん(頻度不明)
- けいれん(熱性けいれんを含む)があらわれることがあるので、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸(頻度不明)
- AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
喘息発作(頻度不明)
- 喘息発作を誘発することがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
血小板減少性紫斑病、血小板減少(頻度不明)
- 血小板減少性紫斑病、血小板減少があらわれることがあるので、紫斑、鼻出血、口腔粘膜出血等の異常が認められた場合には、血液検査等を実施し、適切な処置を行うこと。
血管炎(アレルギー性紫斑病、アレルギー性肉芽腫性血管炎、白血球破砕性血管炎等)(頻度不明)
- 血管炎(アレルギー性紫斑病、アレルギー性肉芽腫性血管炎、白血球破砕性血管炎等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(頻度不明)
- 間質性肺炎があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難等の臨床症状に注意し、異常が認められた場合には、胸部X線等の検査を実施し、適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
- 皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
ネフローゼ症候群(頻度不明)
- ネフローゼ症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
薬効薬理
==
==
- インフルエンザHAワクチンを3週間隔で2回接種した場合、接種1ヶ月後に被接種者の77%が有効予防水準に達する。接種後3ヶ月で有効予防水準が78.8%であるが、5ヶ月では50.8%と減少する。効果の持続は、流行ウイルスとワクチンに含まれているウイルスの抗原型が一致した時において3ヶ月続くことが明らかになっている。基礎免疫を持っている場合は、ワクチン接種群における有効予防水準は、3ヶ月を過ぎても維持されているが、基礎免疫のない場合には、効果の持続期間がさらに1ヶ月近く短縮される8)。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- sucrose
- 同
- 蔗糖、ショ糖、スクロース、サッカロース saccharose、白糖
- 関
- 二糖
[★]
- 英
- saccharose
- 関
- 蔗糖
[★]
- 英
- sucrose intolerance
- 関
- 糖不耐性、ショ糖不耐症
[★]
ショ糖密度勾配遠心法
[★]
- 英
- saccharide
- →糖質