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MeSH | D010243 |
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麻痺(まひ、元の用字は痲痹)とは、一般的には、四肢などが完全に機能を喪失していることや、感覚が鈍って、もしくは完全に失われた状態を指す。比喩的に使われることも多く、「金銭感覚が麻痺する」「交通麻痺(=極度の交通渋滞や災害等により、道路機能が失われること)」などの用例がある。
医学用語としての麻痺は、中枢神経あるいは末梢神経の障害により、身体機能の一部が損なわれる状態をさす。例えば運動しようとしても、四肢などに十分な力の入らない・四肢の感覚が鈍く感じる状態(不全麻痺)、またはまったく動かすことができない・感覚がまったく感じられない状態(完全麻痺)を指し、一般用語の不随に近い意味を持つ。麻痺には、運動神経が障害される運動麻痺と、感覚神経が障害される感覚麻痺(知覚麻痺)がある。また中枢が障害される中枢性麻痺と末梢神経が障害される末梢性麻痺に分類される。
診断学においては麻痺(paralysis)とは運動障害であり、感覚障害を示す言葉ではないと考えられている。しかし、書物により定義が一定しておらず、混乱を避けるため、運動麻痺あるいは運動障害といった言葉を用いることが多い。ここでは診断学におけるparalysis、即ち運動麻痺に関して述べる。なお、運動機能には随意運動、不随意運動、協調運動が知られているが運動麻痺といった場合は随意運動の機能障害と考えられている。
運動麻痺には程度と分布による分類が知られている。完全麻痺(paralysis)は骨格筋の随意運動が完全に喪失した状態を示す。不全麻痺(paresis)は運動麻痺分布が部分的であったり、運動麻痺の程度が不完全な状態を示す。分布では単麻痺(monoplegia)は四肢のうち一肢のみの運動麻痺である。片麻痺(hemiplegia)は身体の一側に限局する運動麻痺であり、運動麻痺の頻度としては最も多い。神経診断学として重要な片麻痺に交代性麻痺と交叉性麻痺というものがある。交代性麻痺(alternating hemiplegia)とは対側の脳神経麻痺を伴う片側の上下肢麻痺である。これは脳幹病変の存在を示唆する。皮質、皮質下の障害である場合は脳神経の麻痺側と四肢の麻痺側が同側となるため重要な所見である。交叉性麻痺(crossed hemiplegia)は一側の上肢麻痺と対側の下肢麻痺のことでありこれは延髄下部の錐体交叉部病変の所見と考えられている。頻度としては非常に少ない。対麻痺(paraplegia)は両下肢の運動麻痺であり、脊髄や大脳中心前回正中の占拠性病変などで起こる。四肢麻痺(quadriplegiaまたはtetraplegia)は両側上下肢の運動麻痺である。また両麻痺(diplegia)という言葉もあり、四肢麻痺のうち下肢の麻痺が強いものとされているがあまり使わない。
運動麻痺を随意運動障害と考えると、随意運動の経路である皮質脊髄路、即ち錐体路を理解するとメカニズムの説明ができる。大脳中心前回(一次運動野)に存在する神経細胞が興奮することで随意運動ははじまると考えられている。1次ニューロンの軸索は放線冠、内包後脚、中脳の大脳脚を通過する。延髄下部に存在する錐体交叉にて左右の線維が交叉し、脊髄にて2次ニューロンにシナプスチャンジし、前角細胞を興奮させる。1次ニューロンを上位運動ニューロンといい、2次ニューロンを下位運動ニューロン(α線維)という。下位運動ニューロンは末梢神経として感覚線維と併走し神経筋接合部に至り、筋線維を興奮させる。この経路のどこかが障害されれば運動麻痺は起こりえる。神経診断学では問診と身体所見によって障害部位を決定できると考えている。感覚障害などの随伴症状や身体所見にて障害部位を絞り込み、画像検査にて確認を行う。障害部位の予測なしに画像検査を行うと非特異的な変化との区別が困難な疾患が多い。
上位運動ニューロン | 下位運動ニューロン | 神経筋接合部 | 筋肉 | |
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筋萎縮 | 認めない | 遠位筋優位 | 認めない | 近位筋優位 |
筋トーヌス | 亢進(痙性麻痺) | 低下(弛緩性麻痺) | 正常から低下 | 正常から低下 |
深部腱反射 | 亢進 | 低下から消失 | 低下から消失 | 低下 |
病的反射 | 認める | 認めない | 認めない | 認めない |
筋線維束性収縮 | 認めない | 認める | 認めない | 認める |
針筋電図 | 正常 | 神経伝導速度 | 正常 | 筋原性 |
神経伝導速度 | 正常 | 低下 | 正常 | 正常 |
反復刺激誘発筋電図 | 正常 | 正常 | 異常 | 正常 |
テンシロンテスト | 陰性 | 陰性 | 陽性 | 陰性 |
通常は障害部位は1か所と考え、診断を進めていく。上位ニューロン障害として脳血管障害、下位運動ニューロン障害としては頸椎症が頻度としては多い。上位運動ニューロン障害では脳神経外科、神経内科、下位運動ニューロン障害、筋疾患では整形外科、神経内科と専門とする診療科も異なる。なお、特殊な例としては上位運動ニューロン障害、下位運動ニューロン障害の混在する疾患としては筋萎縮性側索硬化症などがあげられる。神経診断学をすべて行うと非常に専門的となるため、病歴から脳血管障害が疑われた場合は痙性運動麻痺、腱反射の亢進、表在反射の消失、病的反射(バビンスキー反射、チャドック反射)の出現、膝クローヌス(間代)、足クローヌスといった錐体路徴候のみ診察し、頭部CTにて出血評価、出血がみられなければ頭部MRI(とくに拡散強調画像)といった手順で救急室では行う。というのは脳出血ならば緊急手術の適応の評価、脳梗塞ならば血栓溶解療法の適応など緊急を要する選択をしなければならないからである。
脳神経も運動線維を含み、麻痺は起こしえる。脳神経は分類学上は末梢神経であり視神経、嗅神経以外はグリア細胞はシュワン細胞である。顔面神経麻痺がマネジメントとして非常に重要である。脳血管障害によるもの以外では顔面神経麻痺の原因としてはベル麻痺が多い。ベル麻痺は29%に後遺症が残り、致死的ではないものの機能予後はよいとは言えない。口角が下がり、水を飲むとこぼしてしまい、寝る時も眼瞼を閉じることができないなど非常に機能予後が悪い。ストレスが発生に関与しており、春先に非常に多い。原因としてはヘルペスウイルスの関与が考えられており、抗ウイルス薬とステロイドの使用によって後遺症を残すリスクを軽減できることが知られている、そのため救急室でもこれらの薬の処方ができることが望ましく、不慣れならば翌日の耳鼻科受診を促すような配慮が望ましいと考えられている。
詳細は「徒手筋力検査」を参照
詳細は「深部腱反射」を参照
詳細は「病的反射」を参照
障害の部位を決定するには中枢および末梢の神経解剖が重要となる。脊髄、末梢神経レベルでの支配筋をまとめる。また深部腱反射や病的反射も合わせて内部リンクを参考のこと。
筋肉 | 末梢神経 | 脊髄 |
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僧帽筋上部 | 副神経、頚部脊髄神経 | C2~C4 |
三角筋中部 | 腋窩神経 | C5~C6 |
上腕二頭筋 | 筋皮神経 | C5~C6 |
上腕三頭筋 | 橈骨神経 | C6~C8 |
手首伸筋群 | 橈骨神経 | C6~C8 |
橈側手根屈筋 | 正中神経 | C6~C7 |
尺側手根屈筋 | 尺骨神経 | C7~Th1 |
母指対立筋 | 正中神経 | C6~Th1 |
第一背側骨間筋 | 尺骨神経 | C8~Th1 |
長母指外転筋(APL) | 橈骨神経 | C7 |
短母指内転筋(AP) | 尺骨神経 | C8 |
短母指外転筋(APB) | 正中神経 | C8 |
小指外転筋 | 尺骨神経 | C8~Th1 |
筋肉 | 末梢神経 | 脊髄 |
---|---|---|
頚部屈筋群 | 副神経、頚部脊髄神経 | C1~C4 |
頚部伸筋群 | 副神経、頚部脊髄神経 | C1~C8 |
横隔膜 | 横隔神経 | C3~C5 |
前鋸筋 | 長胸神経 | C5~C7 |
背部伸筋群 | 脊髄神経 | Th1~S3 |
腹筋群 | 肋間神経 | Th6~Th12 |
筋肉 | 末梢神経 | 脊髄 |
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腸腰筋 | 大腿神経、腰部脊髄神経 | L1~L4 |
大殿筋 | 下殿神経 | L5~S2 |
股関節外転筋 | 上殿神経 | L4~S1 |
股関節内転筋 | 閉鎖神経、坐骨神経 | L2~L4 |
大腿四頭筋 | 大腿神経 | L2~L4 |
膝屈筋群 | 坐骨神経 | L4~S3 |
長腓骨筋 | 浅腓骨神経 | L4~S1 |
短腓骨筋 | 浅腓骨神経 | L4~S1 |
前脛骨筋 | 深腓骨神経 | L4~S1 |
後脛骨筋 | 脛骨神経 | L4~S1 |
下腿三頭筋 | 脛骨神経 | S1~S2 |
長母趾伸筋 | 深腓骨神経 | L4~S1 |
短母趾伸筋 | 深腓骨神経 | L4~S1 |
長趾伸筋 | 深腓骨神経 | L4~S1 |
短趾伸筋 | 深腓骨神経 | L4~S1 |
片麻痺を起こす疾患の頻度ととしては脳血管障害が圧倒的に多く、急性期治療によって予後が全く異なる可能性もあることから前述のように救急室では神経診断学とは異なるアプローチを行う場合が多い。まずはバイタルサインの確認をし、蘇生法にて対応する。脳幹病変の有無を評価し疑わしければ気管内挿管を施行する。麻痺側にて静脈路確保を行うと、脳血管障害では感覚障害の合併があるため、静脈炎の発生や点滴漏れに気がつかない場合があるため健側で静脈路確保を行う。健側で静脈路確保しなければならない状況としては片麻痺など感覚障害を伴う場合と乳癌にて腋窩リンパ節郭清を行った場合などがあげられる。腋窩リンパ節郭清を行った場合は静脈炎からSIRSなどに進展するリスクがあると考えられている。血栓溶解療法の適応からはずれないようにするためにNGチューブやフォーレ―カテーテルの挿入は控え、動脈血採血も行わない。できるだけ速やかに頭部CTを行い、脳出血の有無を確認する。心電図などのルーチン検査はCTを優先し、空き時間を利用して行うべきである。また錐体路徴候の確認なども空き時間を利用して行う。なお、厳密には低血糖やその他の原因にて片麻痺が起こることもあり得るが、低血糖の場合は意識障害がある場合がほとんどであるし、その他の疾患に関しても脳血管障害が否定できてからでも遅くはない場合が多い。
救急室で行うべきこととしては、出血部位の同定を含めた診断とヘルニアや水頭症といった合併症の評価である。緊急手術の適応となる脳出血には被殼出血、小脳出血、皮質下出血、視床出血があげられる。被殼出血、小脳出血、皮質下出血では血腫除去術、視床出血では脳室ドレナージが標準的な術式である。手術適応は施設によっても異なるが、被殼出血の場合は血腫量が31ml以上の時や意識障害があるとき、脳の圧迫所見が強い時は緊急手術となる。小脳出血では血腫径が3cm以上のとき、意識障害(特にJCSⅢ-100以上)があるとき緊急手術となる。皮質下出血の場合は血腫量が30ml以上の時、意識障害が昏迷以上であるとき、正中偏位が1cm以上あるとき、中脳周囲槽の変形があるとき緊急手術となる。視床出血では脳室穿破や水頭症が認められるとき緊急手術となる。
脳血管障害でCTにて出血が認められなければ脳梗塞の可能性が高い。発症から3時間以内であれば血栓溶解療法で症状が改善しえるので適応の評価を行わなければならない。病歴からアテローム血栓性などの病型診断も行い、MRIまたはMRAにて発症時期も特定していく。血栓溶解療法は適応基準、慎重投与などが定められているため、かならず専門家にコンサルトしてから血栓溶解療法は行うべきである。この際、適応から外れる行為として観血的な処置があるためにNGチューブやフォーレ―カテーテルの挿入は控えておいた方がよい。
診断学においては痺れが感覚麻痺に相当する言葉と考えられているものの、一般用語では運動麻痺もしびれると表現するために感覚麻痺といった言葉で示されることが多い。感覚の異常には異常感覚、錯感覚、知覚過敏、知覚鈍麻、無感覚の5つが知られている。異常感覚(Dysesthesia)とは外的刺激によらない感覚の異常であり、誘因なく熱さや痛みなどを感じるということである。一般用語の痺れなどがこれに相当する。錯感覚(Paresthesia)とは外的刺激による感覚の異常であり、触られただけで冷たく感じたりなどすることである。知覚過敏(Hyperesthesia)とは感覚を強く感じてしまうことで、感覚鈍麻(Hypesthesia)とは感覚を弱く感じることである。接尾語のesthesiaが感じるという意味であり無感覚(anesthesia)は麻酔という意味で用いられることが多いが、症候学的には感覚を全く感じないことである。
感覚の伝導路は表在感覚(原始触覚、温度覚、痛覚)と深部感覚(位置覚、振動覚、識別覚)で異なる。どちらも末梢神経のレベルでは運動神経と併走する。神経根のレベルでは感覚は後根神経節が存在すること、運動神経が前根を通るのに対して感覚神経は後根を通るという点で異なる。表在覚は脊髄後角で二次ニューロンとなり、中心管周辺を通過し反対側側索へいく。側索に沿って外側脊髄視床路を形成し上行し、視床で三次ニューロンとなり放線冠を通過し頭頂葉の中心後回(1次感覚野)で4次ニューロンとなる。深部感覚は同側の後索を上行する。延髄の後索核で二次ニューロンとなり反対側へ軸索を伸ばし、内側毛帯を形成し、視床で三次ニューロンとなり放線冠を通過し頭頂葉の中心後回(1次感覚野)で4次ニューロンとなる。このように脊髄での走行が全く異なるため、脊髄障害では解離性感覚障害となることがある。触覚は深部感覚と表在覚両方の経路があると考えられており、表在覚の方を原始触覚として区別することがある。上記の感覚伝導路のうちどこかが障害されれば感覚麻痺は起こりえる。
感覚麻痺(感覚障害)は障害部位によって分類されることが多い。脳疾患であるのか、ミエロパチーか根症かニューロパチーかentrap syndromeであるのかによって分類することでコンサルトすべき診療科が決定されてくる。分類の仕方は神経診断学に基づくが、緊急の場合はその限りではないのは運動麻痺と同様である。感覚障害の部位、特にデルマトームに沿うのかということ、合併する運動障害の評価、特にUMD(上位運動ニューロン障害)かLMD(下位運動ニューロン障害)かといった点、その他の神経学的異常所見によって評価される。ミエロパチー、ニューロパチー、根症の鑑別はSEP(深部感覚の検査)、神経伝導速度といった電気生理学、髄液検査などを駆使することが多い。
頻度としては殆どが脳血管障害によるものである。運動麻痺と一致した部分に感覚麻痺も生じている。脳幹より上位の障害であると脳神経の障害部位と片麻痺が同側となっている。
脊髄障害のことである。解離性感覚障害などがおこることもある。デルマトームの多分節にわたり感覚麻痺が生じる。典型的には障害部位よりも下はすべて障害される。殿部はS領域となるため感覚麻痺の評価に適している。また、脊髄障害では膀胱直腸障害など他の症状が出現しやすい。後頭部C2、拇指C6、中指C7、乳頭Th4、臍Th10、母趾L5、肛門S5のデルマトームが有名である。
神経根障害である。感覚麻痺の部位はデルマトームの1分節となる。後根神経節障害というものもある。
ニューロパチーは、末梢神経の正常な伝導が障害される病態である。典型的には手足の先端から感覚麻痺が生じて、中枢側に向かって進行してくる。足から生じてくるのが一般的でglove&stocking型の感覚障害で有名である。神経解剖学的に説明がつかず、ADLの低下もみられない場合は放置しても致死的な疾患でない場合が多い。こういった場合を心因性疾患とする。例外としては、時間的、空間的に多発する脱髄性疾患である。障害される神経の種類は運動神経、感覚神経、自律神経に及び、ミクロ的な障害部位は軸索であったり髄鞘(シュワン細胞)であったりする。マクロ的にどこが障害されるかによって、単神経炎・多発性単神経炎・多発神経炎に区別される。
主な疾患は、ギラン・バレー症候群、フィッシャー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーが炎症性・感染性のものとして有名であり、その他の原因によるものに糖尿病性ニューロパチー、腫瘍随伴性ニューロパチー、Crow-Fukase症候群、或いはSLE、PN等の膠原病性血管炎に伴うニューロパチー、シャルコー・マリー・トゥース病、家族性アミロイド多発ニューロパチー等がある。外因性としてはアルコール、ヒ素、水銀、タリウム、スチレン、nヘキサン、またビタミン欠乏によりベリベリなども有名である。薬剤性としてはイソニアジトやビンクスリチンによるものが多い。
ニューロパチーは大雑把に脱髄性のものと軸索変性性のものに分けられる。軸索変性性の場合は急性のものではmyelin ovoidが、慢性のものではaxonal sproutingが認められる。軸索変性性ニューロパチーの場合は障害する神経線維の選択性が認められることがある。大径線維優位型はAβ線維の障害のため深部感覚の障害が目立つ。特に後根神経節に病変の主座がある場合は感覚失調を伴う。こういった病気はPNSやシェーグレン症候群が知られている。小径線維優位型AδおよびC線維の表在感覚や自律神経障害が目立ち、痛みを伴うことが多い。これはアミロイドーシスや一部の糖尿病で見られている。痛みのメカニズムは内部リンク疼痛に詳しい。 後根神経節に病変があると考えられる場合はシェーグレン症候群や傍腫瘍症候群(PNS)を考える。後根神経節の障害では経過が長くともaxonal aproutingが認められないのが特徴である。
手根管症候群や胸郭出口症候群である。末梢神経が骨や靭帯によって圧迫され、それ以下の末梢神経が障害される。
動脈閉塞、急性動脈解離、脳出血、脳梗塞といった、血管障害、脊髄硬膜外膿瘍や急性脊髄硬膜下血腫などミエロパチーを起こす疾患、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、皮膚筋炎、多発性筋炎、多発性硬化症といった呼吸麻痺をおこす神経筋疾患は注意が必要である。特にギラン・バレー症候群は進行が早いため注意が必要である。これらの疾患は予め診断がついている場合も多く、また感覚障害単独で来院されることはまず考えにくい。
基本的には手のしびれでは頸椎症を始めとする頸椎疾患と手根管症候群、足のしびれならば脊髄病変(頚椎、胸椎、腰椎どれでもよい)か多発神経炎の計4つを診断できれば、日常診療では十分である。
しびれを主訴にする患者の多く、脳血管障害の可能性を考えて来院する。近年はTIAという概念が確立し脳血管障害の前兆であるのではないかと受診する場合が多い。基本的には痺れは脳血管障害と関係ない。但し以下の場合は脳血管障害の可能性がある。
こういった場合を除き、脳血管障害の心配はないことを告げることが大切である。安易に抗血栓薬(アスピリンなど)を処方するべきではない。高齢者はしびれを主訴に来院する場合が多いが、どんなに検索しても重要な疾患が見つからず特発性良性慢性しびれという診断になってしまうことが多い。
痺れで重要な疾患としては顔面の痺れというものがある。これは脳血管障害や悪性腫瘍の可能性が高く、精査が必要である。また亜急性、即ち数週間で経過する四肢の痺れも悪性腫瘍や血管炎の可能性が高い。
神経診断は神経診断学に基づき、病因診断、解剖学的診断、臨床診断と3stepで行うのが通常である。解剖学的診断を行うための診察項目は非常に多い。救急室ではこのような対応は不可能なことが多く、頻度としても救急室に来院する神経病が疑われる患者の多くは脳血管障害であるため、より簡便なスクリーニング法が発達してきた。スクリーニング診察はあくまでも神経病の存在診断のために行うものであり、体系だった神経診断学に基づく診断に比べ、局所診断、病因診断の情報は少ないものの、短時間で行えることから救急室では好まれる。スクリーニング診察の項目としては、意識、脳神経、運動神経、感覚神経、歩行、姿勢、髄膜刺激症状、自律神経、協調運動、深部腱反射(特に病的反射)などを一通り行う場合が多い。
スクリーニングの項目だけでも脳血管障害のかなりの情報を得ることができる。殆どの脳血管障害が片麻痺を主訴とするため、これを想定する。まず顔面に麻痺が存在しない頸部以下の片麻痺であれば脊髄レベルの血管障害と考えることができる。片麻痺と対側に顔面麻痺がある場合、すなわち交代性麻痺であれば脳幹障害である。脳幹障害は気管内挿管の必要が高くなる。咽頭反射の消失など球麻痺症状、交代性麻痺はいずれも気管内挿管を積極的に考える状態である。 頭部CTを緊急で行う必要がある(救急室のマネジメントとしては脳出血と診断がついた時点で局在診断は行っても治療方針としては影響は出ない。)。あいまに行う神経診断としては脳神経の検査である。脳神経Ⅰ~Ⅳ麻痺ならば中脳、脳神経Ⅴ~Ⅷ麻痺ならば橋、脳神経Ⅸ~ⅩⅡ麻痺ならば延髄が責任病巣である可能性が高い。片麻痺と同側に顔面麻痺が認められる場合は皮質下レベルか皮質レベルの障害である。この場合テント上病変であるので瞳孔偏位が存在すればそれだけで偏位方向の皮質レベルの障害である(瞳孔偏位はテント上病変では病側を向き、テント下病変では健側を向く)。瞳孔偏位が認められなければ、皮質症状が認められるか、認められないかで鑑別する。皮質症状が存在すれば皮質レベルの障害であり、皮質症状が存在しない、あるいは感覚障害が存在しなければ皮質下レベル、即ちラクナ梗塞である。皮質症状は優位半球の皮質症状としては失語が有名であり、劣位半球皮質症状としてはそれ以外の高次機能障害、失認、失行、半側空間無視があげられる。また両側大脳皮質の機能として、複合感覚もあるため、これも皮質症状とする。広範な皮質症状としては意識障害もあげられる。 障害血管に関しては皮質レベルの障害の場合は前部大脳循環系の障害が疑わしい。下肢の障害が強ければ前大脳動脈領域、顔面や上肢の障害が強ければ中大脳動脈領域、同名半盲や幻視が認められれば後大脳動脈領域が疑わしい。皮質下、特に内包、視床、大脳基底核は穿通枝によって主に灌流されているため、皮質症状が存在しなかったり、感覚麻痺を伴わない運動麻痺や運動麻痺を伴わない感覚麻痺はラクナ梗塞を疑う。
脊髄レベルでは以下のようにまとめると簡便である。
脊髄 | 支配筋 | 対応する検査 | デルマトーム |
---|---|---|---|
C2 | 後頭部 | ||
C3 | 耳介 | ||
C4 | 横隔膜 | 呼吸不全の有無 | 頸部、肩上部 |
C5 | 三角筋、棘上筋、棘下筋、上腕二頭筋 | 肩関節の外転、肘関節の屈曲 | 肩下部、上腕外側 |
C6 | 腕撓骨筋、橈側手根伸筋 | 手関節の背屈 | 前腕外側、母指、示指 |
C7 | 上腕三頭筋、手指伸筋、手指屈筋 | 手関節の掌屈、手指の伸展 | 中指 |
C8 | 手指屈筋 | 手指の屈曲 | 薬指、小指 |
T1 | 手指外転筋群 | 小指の外転 | 前腕内側 |
T2~12 | 肋間筋、腹筋 | T2上腕内側、上胸部、T4乳首、T10臍部 | |
L1 | 腸腰筋 | 鼠径部 | |
L2 | 腸腰筋、大腿四頭筋、股関節内転筋群 | 股関節の屈曲(L1~3) | 大腿内側 |
L3 | 腸腰筋、大腿四頭筋、股関節内転筋群 | 股関節の内転、膝関節の伸展(L2~4) | 大腿前部、膝 |
L4 | 大腿四頭筋、股関節内転筋群、前脛骨筋 | 足関節の背屈 | 大腿外側、下腿内側 |
L5 | 長母指伸筋、長趾伸筋 | 母趾の背屈 | 下腿外側、足背と母趾 |
S1 | 長母指屈筋、腓腹筋、ヒラメ筋 | 母趾の底屈、足関節の底屈 | 大腿後部、下腿外側、小趾 |
S2 | 大腿後部、下腿内側、踵内側 | ||
S3 | 大腿内側 | ||
S4 | 臀部、外陰部 | ||
S5 | 肛門周囲 |
上肢脊椎症では肘の屈曲のC5、手首背屈C6、肘伸展C7が有名である。下肢では足関節の背屈でL4~5、母趾の背屈L5~S1、母趾の底屈L5~S2がよく確認される。踵立ちはL5、つま先立ちはS1、膝崩れはL1~3と考えられる。末梢神経障害に関しては長母指外転筋(APL、母指を外転)が撓骨神経支配、短母指外転筋(APB 母指を垂直にたてる)が正中神経支配、母指内転筋(AP 母指を内転)が尺骨神経支配であり、母指の動きである程度の診断を行うことができる。
転換性障害あるいはヒステリーによる神経症状の鑑別がしばしば重要となる。
ヒステリーによる運動麻痺の場合は顔、舌、広頚筋、胸鎖乳突筋は麻痺していない場合が多い。胸鎖乳突筋の場合は右の筋肉が収縮すると左をむくため、右の麻痺でも顔を右に向けないが左に向ける場合はヒステリーの可能性が高い。
麻痺側の上肢を顔面に落とす時、ヒステリーでは顔に落ちないが真の麻痺では顔に落ちる。
フーバーテストではヒステリーの場合は仰臥位下肢伸展で健側挙上で患側踵に強い圧力を感じる。真の麻痺では健側挙上で患側の踵に感じる圧力が弱い。
両側の大腿筋を触りながら、健側の大腿を内転してもらう。ヒステリーの場合は麻痺側の内転筋にも力がはいる。
SCIテストはヒステリー性の下肢麻痺に対する試験である。自ら膝立ちが出来ない患者に他動的に膝立ちさせ、支えた手を離して膝立が出来る場合は陽性でありヒステリー性下肢麻痺を疑う。
ヒステリーによる感覚麻痺では正常部位と感覚障害部位の境界がしわであったり解剖学的支配領域に一致しない。触覚、痛覚、温覚、固有覚がすべて一律に障害されるという。陰部など両側支配の部位で片側の感覚鈍麻を訴える。
音叉を骨にあてて固有覚を調べる。骨盤や頭では骨伝導で左右両方共わかるはずだがヒステリーでは患側をわからないという。
両腕を前に伸ばし、内旋して小指が上になるようにする。腕を交差させ、手掌をあわせ指をからませる。腕をしたにおろし、手を内側から上に向かって動かし、からませた指が胸の前に来るようにする。この結果母指以外の指は腕と同側、母指は対側に位置する。この状態で指先の感覚を左右交互に検査する。ヒステリーでは間違えたり、返答に時間がかかる。
皮膚をつまむだけで著明に痛がる。立位の患者の頭を押さえて、軸性の圧力で腰背痛が誘発される。立位、気をつけで両肩を回旋して腰背痛誘発。フリップテスト陽性。不必要に過剰な反応。これら5つのうち2つ以上の該当があれば心因性腰背痛の可能性が高い。
被験者を診察台に座らせて下腿以下を下垂させる。検者は膝のやや中枢側をおさえ他方の手で膝を伸展させる。腰椎前弯が消失し、後方に倒れそうになれば陽性であり、さらにSLRが陽性ならば詐病の可能性が高くなる。
詳細は「ニューロパチー」を参照
主要な圧迫性ニューロパチーをまとめる。絞扼性ニューロパチーでは障害された末梢神経に限局した症状が出現する。しびれ感や痛みに先行し、病変の進行とともに支配筋の萎縮や筋力低下が明らかになってくる。絞扼部は被刺激性が更新し叩打で支配領域に放散するしびれ感や痛みが出現する。これをチネル徴候という。NCSやEMGで検査可能である。原因は外傷、圧迫(微小外傷)、反復性ストレスの結果生じている。
疾患名 | 障害神経と部位 | 症状 | 原因その他 |
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手根管症候群 Carpal tunnel syndrome | 正中神経、手根管入口部 | 疼痛、しびれ感、知覚異常、母指対立筋力低下、夜間痛 | 橈骨骨折、腫瘍、ガングリオン、妊娠、糖尿病など。中年女性に多い。 |
肘部管症候群 Cubital tunnel syndrome | 尺骨神経、尺骨神経溝、肘部管 | Ⅳ、Ⅴ指放散痛と感覚異常、手の脱力と筋萎縮、巧緻運動障害 | 原因不明のものが多いが頻度は高い。外反肘による遅発性尺骨神経麻痺 |
Guyon管症候群 Ulnar tunnel syndrome | 尺骨神経、Guyon管 | Ⅳ、Ⅴ指放散痛と感覚異常、手の脱力と筋萎縮、巧緻運動障害 | ガングリオンが多い。骨折、脱臼、手首を酷使する職業。 |
撓骨神経麻痺 Radial nerve palsy | 橈骨神経、上腕骨外側部 | 手関節背屈障害、感覚障害は軽い(腋窩部での圧迫では上腕三頭筋麻痺) | 泥酔後(Saturday night palsy)など比較的回復しやすい。 |
異常感覚性大腿神経痛 Meralgia paresthetica | 大腿外側皮神経、鼠径部 | 疼痛、灼熱感、知覚異常、立位歩行で増悪 | 肥満、妊娠、コルセット着用の圧迫 |
総腓骨神経麻痺 Common peroneal nerve palsy | 総腓骨神経、総腓骨頭 | 感覚障害、足関節背屈障害、垂れ足、鶏歩 | 手術や病気での長期臥床、泥酔、ギプスや下肢装具による圧迫 |
足根管症候群 Taral tunnel syndrome | 後脛骨神経、足根管 | 足底の疼痛、しびれ感、灼熱感、筋力低下の訴えは少ない | 足関節の外傷、ガングリオン、妊娠 |
骨および筋膜によって構成された閉鎖空間をコンパートメントという。コンパートメントの圧上昇によって阻血性神経麻痺、さらに横紋筋融解や壊死が進行する。その後クラッシュ症候群となる。この一連の症候群をコンパートメント症候群という。
母指対立運動や短母指外転筋(APB 母指を垂直にたてる)の筋力低下や母指球筋の萎縮の結果の猿手が有名である。
手根管は底部を手根骨、上部を屈筋支帯で形成される狭い空間である。この中を正中神経と9本の健が通過する。何らかの原因で手根管内の圧力が高まると正中神経の絞扼性障害が出現する。橈骨骨折、腫瘍、ガングリオン、手根骨の骨折、妊娠、糖尿病、甲状腺機能低下症、長期の血液透析などが原因として知られているが原因不明なことも多い。通常は利き手側に発症し症状も強いが、中年女性の半数以上は両側性である。橈側の3指の異常感覚で発症し夜間に増悪する。重症例では短母指外転筋の筋力低下で母指球萎縮にいたる。手関節掌側、正中神経直上でチネル徴候がよく認められる。ファーレン徴候も認められる。軽症例は夜間の副木で手首の可動性を制限させたり、副腎皮質ステロイド局注が有効である。進行れに対しては手根管開放術を行う。筋萎縮が明らかになる前に行うのがよいとされる。母指球筋が萎縮した場合を猿手という。
正中神経は肘部で円回内筋の双頭間を通過する。この双頭間で絞扼がおこるのが円回内筋症候群である。正中神経の障害なのでCTSとも類似するが前腕の回内、肘屈曲、示指の浅指屈筋収縮によて症状が悪化する。絞扼部位のチネル徴候は陽性だが、ファーレン徴候や症状の夜間増悪は稀である。
母指内転筋(AP 母指を内転)の筋力低下のほか、母指球以外の手内筋の萎縮の結果、鷲手となる。
尺骨神経は肘部管の高さで上腕骨内側上顆の背後から尺骨神経溝を通過し、続いて内側側副靭帯と尺側手根屈筋上腕頭、尺骨頭の間に張る弓状靭帯で囲まれた場所、すなわち肘部管を通る。絞扼は尺骨神経溝でも肘部管でも起こりえる。肘部管症候群は絞扼性ニューロパチーで最も多いが多くの症例では原因を明らかにできない。尺骨神経麻痺の症状は特徴的である。まずは尺骨神経領域の感覚障害、第Ⅴ、第Ⅳ指の鷲手変形(PIP関節の屈曲を伴う)、小指球の萎縮も生じる。背側骨間筋も萎縮する、最初に侵されるのが第一背側骨間筋で侵され方も最も強い。母指内転障害も出現する。母指内転筋麻痺を長母指屈筋で機能を代償するため、母指内転時に指節間関節が屈曲し、これをフローマン徴候という。
尺骨神経は肘だけでなく手関節でも絞扼される。尺骨神経は手関節では豆状骨と有鉤骨鉤との間のGuyon管を通過する。
長母指外転筋(APL、母指を外転)の筋力の他、手関節や手指の伸展障害の結果起こる下垂手、腕橈骨筋の筋力低下が認められる。
橈骨神経病変は上腕骨神経溝(ラセン溝)で最も頻度が高い。意識障害や睡眠中に圧迫損傷されるためSaturday night palsyとも言われる。下垂手と腕橈骨筋の筋力低下が認められる。腋窩など高位で絞扼されない限り上腕三頭筋は通常おかされない。感覚障害は手背の母指と示指の指間部に限局するか、さらに中指の近位部までおよぶこともある。
外傷や橈骨頭骨折によっておこる。
坐骨神経近位部の病変はほとんどは外傷性である。股関節骨折による骨頭の後方脱臼や大腿後方コンパートメントへの出血でおこる。梨状筋では坐骨神経、総腓骨神経、上殿神経あるいは後大腿皮神経が絞扼されることも報告されており梨状筋切開で治療される。
腓骨神経麻痺は腓骨頭で外からの外傷で損傷されることが最も多い。通常下肢を組むことで圧迫が加わる。体重が減少した患者では神経が侵されやすい。垂れ足となる。
深腓骨神経が足関節背側の伸筋支帯下を通過するときに生じる。
脛骨神経は坐骨神経の1分枝であり、坐骨神経病変と同様の機序で損傷される。
足関節の内果後方で脛骨神経が絞扼される。後足根管症候群は足底感覚障害と足内在筋の筋力低下からなる。踵の感覚はしばしば正常である。腓腹部あるいは大腿にまでおよぶ近位部への放散痛があり、この痛みは歩行や長時間の立位によって増悪し、夜間増悪もある。感覚障害は圧迫やあるいは足部内がえし強制でも悪化する。
運動麻痺も感覚麻痺も徴候であり、治療は原因疾患の治療を行うのが一般的である。しかし痺れを主訴とした来院も多いため、対症療法を一部示す。
軽症であればアリナミンF®(ビタミンB1)50mg 1×やメチコバール(メコバラミン、ビタミンB12)1500μg 3×、ユベラN®(トコフェノール、ビタミンE)100mg 2×、ビタメジンカプセル®50mg 1×(複合ビタミン剤)などを使用する。また心因性の場合も多いため、抗不安薬も併用することもある。
糖尿病性ニューロパチーの場合は軽症の場合はキネダック®150mg 3×(エパレスタット)がよく用いられる。キネダックはアルドース還元酵素の阻害薬でありアルドース還元酵素を特異的に阻害し神経内のソルビトール蓄積を抑制する。神経が不可逆的阻害を受けていなければ有効とされている。糖尿病性神経症の疼痛やしびれに使用されることが多い。尿が赤くなるが、それは特に問題とならない。痛みが強くなってきた場合はキネダック®150mg 3×に加えてメキシチール®(メキシレチン)300mg 3×を併用する場合が多い。メキシチールはⅠb群の抗不整脈薬であり、不整脈を誘発することがあるので投与まえに心電図を検査することが望ましい。1か月をめどに使用し効果がなければ2週間で退薬する。また痛みが難治性となった場合はテグレトール®400mg 2×(カルバマゼピン)を使用することも多い。この痛みによってうつ状態となることも多く、抗うつ薬、抗不安薬が効果的な場合もある。トフラニール®30mg 3×(イミプラミン)は三環系抗うつ薬であり、セルシン6mg 3×(ジアゼパム)は抗不安薬である。セルシン®とテグレトール®の併用はしばしば行われる。だが、日常生活に支障がでるほどの糖尿病性神経症では神経が不可逆的な変化を起こしておりこれらの薬物が効果的でない場合も多い。その場合、痛み、しびれは訴えないこともある。
アルコールや栄養障害のニューロパチーを疑った場合はビタメジンカプセル(50)3C3×とメチコバール 1500μg 3×を併用することもある。
この場合は原疾患の治療とNSAIDsによる疼痛を行う場合が多い。浮腫に対してラシックス®(フロセミド);40mg1×も使用される。
テグレトール®(カルバマゼピン)が頻用される。帯状疱疹後などではフランドルテープ®が効果的なこともある。
脊髄の構造
運動野と感覚野
脊髄の伝導路
感覚伝導路(脊髄視床路)。
脊髄および髄膜の横断面模式図。
脊髄の一部の右側面像。硬膜を切開して神経根が見えるようにしたところ。
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