- 英
- femor、femoris
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この項目では、身体の一部の脚について記述しています。漢字の構成要素については「脚 (漢字)」をご覧ください。 |
左からウマ、オオカミ、ヒトの脚。
ヒトにおける各部の名称は;
- 赤矢印:爪先、*黄色:足底、*緑:踵、*青:膝、*紫:尻
脚(あし)は、人や動物の体を支える部分である。脚という言葉は言語用途によって意味が異なり、一般に生物学に限らず体部下位に付属し支えるものを指して脚と呼び、それを機軸として慣用句として様々な意味合いを持つ言葉に発展してきた。
- この項では人の下肢踝以下接地部を指す足(アシ)と、生物無生物と用途を限らず広く使われている脚を区別して説明をしている。
目次
- 1 形態学的観察
- 2 脚と健康
- 3 脚具
- 4 通念
- 5 関連項目
形態学的観察[編集]
脚はそれを所有する生物によって構成要素や構造が様々であり、彼らはその機能に見合った生活をしている。また、脚そのものにも様々な適応的な形態が見て取れる。人という地上に生息する脊椎動物に限らず、脊椎動物以外の高等動物も含めて脚は対で備わっており、ムカデなどを除き、発生学的に偶数になっている場合がほとんどである。
形態学的に脚は体部に付属し、移動に際し使われる股関節辺りから末梢端接地部までの肢全体を指して呼んでおり(leg)、脚と指す時は足(foot)を含めた意味であることが一般的になっている。脊椎動物の脚には指に相当するものが末端部に付属しており、体を支えるという機能以外に様々な行動を補助するものとなっている。偶蹄目や奇蹄目などの陸上動物の脚は歩行に特化しており、付属器官である指と爪が蹄等になっており、その形は人のそれとは大きく異なっている。
一般的な生物の脚には、様々な付属器官がある。指や爪、あるいは様々な毛の束があり、それなりの機能を果たしている。中には生殖器、外分泌器等を備えるものもあり、外敵に対抗し身を守る手段としても脚を利用している動物が多い。その一方、ヘビのように脚を痕跡程度にまで退化させた動物群や、完全に脚を失い、新たに吸盤を形成したヒル類のような動物群もある。
人の脚[編集]
脚の各部位の名称としては脚末梢端には足が付属し、接地部足底から上に向かい、足、足首、脛(スネ)、膝(ヒザ)、腿(タイ)までを含み脚と呼んでいる。便宜上、日本語で同じ音を持つ「足」という漢字を当て、踝以下接地部を指して区別のために使い分けて呼ぶ。脚と同じ部位を指して腿(タイ)という表記を用いることもあり、腿と言う字自身は太ももや脹脛(フクラハギ)を指すが、上腿(ジョウタイ)と書いて下肢の膝から上を指し、下腿(カタイ)と書いて下肢の膝から先を指す。また、大腿(ダイタイ)と書いてモモを指し、小腿(ショウタイ)と書いて脹脛を指す。
一般的に脚は身体全体の重さを直接的に引き受ける部位であり、全身中最も太い骨と、瞬発力と持久力を兼ね備えた筋力を備える。脚の筋肉は骨格筋によって構成され、大きく大腿筋、下腿筋、足筋に分けられ、それらと骨を繋ぐ腱とで脚の動きを調節している(人間の筋肉の一覧下肢の筋を参照)。
なお、人の前脚は腕や手と呼ばれ区別される。通常は歩行には用いられず、地面に着かない。日常生活において腕で体重を支えることはないため、腕の筋力は脚のそれには及ばない。イヌの「お手」など、他の生物の類似箇所を指して概念的に同様の呼び方をする場合があるが、生物によってその構成は大きく変化しており、前脚を腕と一概に呼ぶ事はできない。
脚と健康[編集]
脚は時として第二の心臓とも呼ばれ、立位時重力に従って下方向へ体液が流動することに因って引き起こされる体液停滞むくみを、脚の血管周辺の筋肉の運動によって上部へ押し返し再び循環系に戻す事を行っている。押し返す行いは脚を使った運動、歩行や走行などにより促進されるため、運動は全身の血の巡りを良くする効果が望める。 脚は体全体を支え日常的に頻繁に使われる部位であるため、体の中でもっとも頑丈にできている反面、筋力の消費するエネルギーが大きく、使用しない時の退化が激しい。そのため最も太く丈夫とされる大腿骨を折ってしまうと修復に時間がかかり、老人の場合そのまま寝たきり生活になってしまい、補助器具を使わずに立ち上がることができなくなってしまうことが多い。そのため日頃から昇降運動などで膝周辺の筋力を鍛えておく事は老後の健康にも有益である。 加えて言うなら腿部の消費エネルギーが大きいために運動効率もよく、糖尿病罹患者、高脂血症や高血圧の運動治療を行う人のみならずダイエットを志す人にも、脚を動かし鍛えることは広く推薦できる。
人の脚の形状として内反膝(英語版)、外反膝(英語版)などがあり、それぞれ一般的にはO脚(おーきゃく)、X脚(えっくすきゃく)と呼ばれている。病的なものや遺伝の要素は少なく癖とも言える個人差の範囲だが、矯正し修正することもできる。内反膝や外反膝は脚のアンバランスな使用であるため将来変形性膝関節症等の膝の病気を引き起こす原因にもなり、気になるようなら専門家に相談することを勧める。
また乳幼児期に見られるそれらの多くは一過性のものであり、継続するようならビタミンDの摂取不足や日照時間が短い事から起こるくる病に罹っている場合がある。また同様の症状が大人になって突如起こることがあり、その場合は体位バランスの崩れもあるが、なんらかの原因で骨軟化症を引き起こしていることが多い。矯正中や骨軟化症罹患時に胡坐や正座などは悪化させることがあるため、椅子中心の生活に変えた方が良いときがある。日本人には内反膝が、特に女性に多いとされる。
また脚には手と同様に利きがあり、反対側よりも筋力、長さ等が発達していることが多く、左右の不均等が全身の歪みを引き起こすとも言われている。この脚の利きの違いが山中での遭難の原因リングワンダリングを引き起こすと言われている。また下半身骨格の歪みが利き足同様の症状を引き起こす事があるが、その場合は脚のみの利きよりも症状がハッキリと出る。
脚に何らか症状を引き起こす病気としては運動に伴う疾病が多い。
- 骨折、足の指の突き指は時として骨折や腱断裂を引き起こしていることがある。また普段使われている場所なため使われない時の衰退は早く、運動不足が骨折(疲労骨折)を招く事もある。
- 足首や膝に起こりやすい捻挫や脱臼は運動障害を伴った傷害であり、靭帯断裂等を伴い起き易く習慣化し易い症状であるため観察には注意が必要である。
- 筋肉痛、肉離れ、筋断裂などは、激しい動きに伴う筋肉の症状として一般的に起こり得る病気として挙げられる。
- 脚は細かい動きや大胆な動きを体重を支えながら行うために腱を傷めることも多く、腱に沿った痛みを伴う腱鞘炎、力を入れても全く動かなくなる腱断裂、運動時に起こりやすい捻挫など。
- 関節の炎症の総称である関節炎には、老化と共に現れやすくなる変形性関節症、女性に多いリウマチ、痛風罹患に伴う炎症などは膝関節や足の指にできやすい。また膝の靭帯は損傷報告が多く、運動不足の状態で十分なストレッチを行う事なく膝に負担がかかる運動をすることで靭帯断裂等を引き起こしやすくなる。
- 日常的に立ち行動が多い人間には脚部にむくみが生じ易い。脚の筋肉を動かす事で血液循環を促進しむくみの解消に一役かう事が出来る。
- むくみの放置、反復により下肢静脈瘤に進展する事があり、予防を目的としたストッキングやソックス、靴を用いる事で進行を遅らせたり症状を緩和させる事が出来る。
- 他には脚気(かっけ)、痛風、ケーラー病、レイノー病、オスグッド・シュラッター病、ビュルガー病、フィラリア等が引き起こす象皮症等が脚になんらかの症状を引き起こす病気として多く挙げられる。
脚具[編集]
人は脚の保護を基幹として衛生、外見の装飾等の目的として人は外衣を備える。 日本古来では袴、着物のような上下一貫の一枚布等を着衣していた。 今日ではズボン、スラックス、パンツ、ショーツ(パンティー)、スパッツ、スカート、アンダーパンツ、股引(モモヒキ)、猿股、脚半、タイツ、ストッキング等をそれ自身の締め付けや、ベルト・腰紐のような補助道具を用い着衣する。 ※ 足(接地部)にのみ備えるものは除外している。
通念[編集]
- 動物や昆虫、机等無生物の同じものを指す時は「脚」という漢字を主に使い、ヒトのそれを指す時はあまり区別なく「足」と「脚」を使う。
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- タコやイカの脚は「腕」とも呼び、科学用語として触腕や触手を用いる。
- 日本語で「脚」は足の部分を含んで使い、表記に限らずその区分は明確に分けられていないこともある。
- 「肢」と言う漢字は「体から分かれる枝」と言う意味で器質的、生物的に使われることが多い。例として「四肢」と書き二対の手と脚を指す。「上肢」、「下肢」と書いて手足を指す等。
- 日本語で「脚」は、キャクと読んで脚を持つ家具などを数えるのに用いる場合がある。例として椅子やテーブルなど脚を持つ物を「一脚、二脚」と数える。
- 日本語で「脚」を使う単語としては「三脚」「脚本」「脚立」「脚注」「脚色」「脚気」「脚光」「脚半」「脚力」など下部指示、或いは比喩を省いた直接的な形容詞である言葉が多い。
- 日本語で「脚」は、本数に限らず接地する部分を指して使うことがある。建造物の脚、家具の脚、椅子の脚。比喩的な足と違い、実際に脚として予め付属する場合に用いる場合が多い。
- 日本語に多く見られる無生物の擬人化の表現には、人に使われる足の表記を多用する。
関連項目[編集]
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ウィキメディア・コモンズには、脚に関連するカテゴリがあります。 |
- 人間/身体/人間の筋肉の一覧/足
- 捻挫/脱臼/骨折/突き指/爪/リウマチ/痛風/脚気/身体完全同一性障害
- 脚 (漢字)
- 靴下
- パンティーストッキング
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 症例報告 外傷後播種性血管内凝固による大腿部筋肉内血腫の1例
- 症例 左大腿部皮膚原発Ewing肉腫/Primitive Neuroectodermal Tumorの1例
- 症例報告 若年者に発症し,鼠径リンパ節転移を認めた大腿部脈管肉腫の1例
- 臨床皮膚科 = Japanese journal of clinical dermatology 71(7), 523-527, 2017-06
- NAID 40021226570
Related Links
- だいたいぶ【大腿部】とは。意味や解説、類語。「大腿」に同じ。 - goo国語辞書は27万語以上を収録。政治・経済・医学・ITなど、最新用語の追加も定期的に行っています。
- 大腿部(太もも)の筋肉名称 大腿四頭筋(だいたいしとうきん) 大腿四頭筋の部位・解説はこちら 大腿直筋(だいたいちょっきん) 大腿直筋の部位・解説はこちら 中間広筋(ちゅうかんこうきん) 中間広筋の部位・解説はこちら
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- 73歳の女性。右殿部から膝の痛みを主訴に来院した。現病歴:60歳ごろから立ち上がる動作や長時間の立位や歩行をした際に右殿部から膝の痛みを自覚していた。2年前には右膝に右手を置いて歩行するようになったために自宅近くの整形外科診療所を受診し、エックス線写真で右股関節の変形を指摘されたが通院はしていなかった。3か月前から痛みが増悪して歩行がさらに困難になり、屋内の伝い歩きは可能なものの外出ができなくなったため受診した。
- 既往歴:18年前から高血圧症のため自宅近くの内科診療所で内服治療中。同診療所で、慢性の便秘症に対し整腸薬と睡眠障害に対する睡眠薬とを処方されている。また眼科診療所で、軽度の白内障に対して点眼薬の処方を受けている。2か月前からは、右殿部から膝の痛みに対して市販の湿布薬貼付と鎮痛薬の内服とを続けている。
- 生活歴:夫、長男夫婦および孫2人との6人暮らし。兼業農家で長男夫婦は共働き。孫は短大生と高校生。3か月前まで患者が家事の多くを担当していた。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現症:意識は清明。身長 156cm、体重 53kg。体温 36.3℃。脈拍 64/分、整。血圧 130/72mmHg。呼吸数 14/分。SpO2 98%(room air)。頸部リンパ節を触知しない。胸腹部に異常を認めない。右殿部から膝の痛みのために立ち上がる際に介助が必要で、独歩は不能である。
- 検査所見(外来受診時):尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球 390万、Hb 12.0g/dL、Ht 38%、白血球 5,800、血小板 24万。血液生化学所見:総蛋白 6.8g/dL、アルブミン 3.8g/dL、総ビリルビン 0.7mg/dL、AST 15U/L、ALT 17U/L、LD 220U/L(基準 176~353)、ALP 153U/L(基準 115~359)、γ-GTP 28U/L(基準 8~50)、アミラーゼ 76U/L(基準 37~160)、CK 40U/L(基準 30~140)、尿素窒素 16mg/dL、クレアチニン 0.8mg/dL、血糖 84mg/dL、Na 139mEq/L、K 4.1mEq/L、Cl 109mEq/L。CRP 0.2mg/dL。
- 右殿部から膝の痛みの原因の鑑別に有用でない身体診察はどれか。
[正答]
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[★]
- 英
- patellofemoral pain syndrome
[★]
- 英
- femur
- ラ
- os femoris
- 関
- 下肢、下腿