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ヤシ目・ヤシ科 |
ココヤシ Cocos nucifera
|
分類 |
界 |
: |
植物界 Plantae |
門 |
: |
被子植物門 Magnoliophyta |
綱 |
: |
単子葉植物綱 Liliopsida |
目 |
: |
ヤシ目 Arecales |
科 |
: |
ヤシ科 Arecaceae |
|
学名 |
Arecales Bromhead
Arecaceae Schultz-Schultzenstein |
シノニム |
Palmaceae
|
和名 |
ヤシ(椰子) |
英名 |
palm, palm tree |
亜科 |
- アレカヤシ亜科 Arecoideae
- トウ亜科 Calamoideae
- ケロクシロン亜科 Ceroxyloideae
- タリポットヤシ亜 Coryphoideae
- ニッパヤシ亜科 Nypoideae
|
|
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フトモモ目
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ムクロジ目
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アオイ目
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ビワモドキ科
ベルベリドプシス目
ビャクダン目
ナデシコ目
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ツツジ目
ガリア目
リンドウ目
シソ目
ナス目
モチノキ目
セリ目
キク目
マツムシソウ目
|
APG III
ヤシ(椰子)は、単子葉植物ヤシ目 ヤシ科に属する植物の総称である。熱帯地方に多く、独特の樹型で知られている。実用価値の高いものが多く含まれる。
目次
- 1 特徴
- 2 利用
- 2.1 食用など
- 2.2 園芸
- 2.3 薬用など
- 2.4 建材、工芸材料など
- 2.5 木炭
- 2.6 その他
- 3 分類・系統的位置づけ
- 4 分類
- 5 脚注
- 6 関連項目
- 7 外部リンク
特徴
ヤシは、単子葉植物ヤシ科に属する植物を広く指して言う呼称である。単子葉植物としては珍しく木本であり、幹は木化して太くなる。大きいものでは30mにも達するが、茎が立ち上がらないものや、草本並みの大きさのものもある。
葉は羽状複葉か掌状に裂け、基部は茎を抱き、鞘が茎を包んだり、繊維を茎にまといつかせる。茎に沿って多数の葉を並べるものもあるが、茎の先端部に輪生状に葉が集まるものが多く、ソテツ類に似た独特の樹型を見せる。
花は小型で、穂になって生じる。花序の基部には包がある。花びらは小型。
熱帯地方を中心に253属、約3333種がある。日本には7種ほどが自生、または自生状態で見られる。しかし、観葉植物として栽培される種が多く、見かける種数ははるかに多い。
利用
古来より、多くの種が、さまざまな方法で利用されている。
食用など
- ココヤシの果実内部に溜まった水(液状胚乳)は飲用になる他、ナタ・デ・ココの原料となる。固形胚乳の層はココナッツとして食用にする。水分とともに砕いて乳液状にしたものはココナッツミルクと呼ばれる。
- ナツメヤシの果実は生食される他、ドライフルーツやジュース、蒸留酒の原料としてさまざまに利用される。
- アサイーの果実はジュースやスムージーとして利用される。
- サラクの果実は生食される他、砂糖煮などに加工される。
- チョンタドゥーロの果実は砂糖煮にする他、実野菜として茹でたり、スープ、キャセロール料理に用いられる。
- サゴヤシは幹の内部にでんぷんを貯蔵しており、これが食料として利用される。パプアニューギニアのサクサクはその一例である。
- アブラヤシは、果実から取れる油を工業原料、食用のパーム油として用いる。
- ロウヤシからは食品添加物のカルナウバワックスが採取される。
- ココヤシやアサイーなどの成長点はハート・オブ・パーム(ヤシの芽、パルミート)と呼ばれ、野菜としてサラダなどに利用される。
- ナツメヤシ、ココヤシ、サゴヤシなどの樹液を煮詰めるとパームシュガーができる。また、樹液を醗酵させて酒を作ることもできる。
- パルミラヤシ(ウチワヤシ、オウギヤシ)は「砂糖ヤシ」とも呼ばれ、果実の内側のゼリー状部分を生食やシロップ漬け、砂糖煮や缶詰などにする。また、花穂を切り落とした後に竹筒を挿し込み集めた花序液はそのままヤシジュースとして飲用する他、煮詰めて砂糖(パームシュガー)を生成する、花序液を醗酵させて作る椰子酒(パルミラヤシワイン)やビールや蒸留酒、酢などの原料に利用する。
園芸
- ヤシの独特の樹型はいかにも熱帯的な印象があり、温暖な地方では街路樹として用いられる。本州南岸以南では、カナリーヤシ(フェニックス)・シンノウヤシ・ワシントンヤシ(ワシントニアパーム)がよく街路樹として用いられ、特に観光地では南国ムードを高めるために頻繁に使用される。
- 小型種ではチャメドレア属などが観葉植物として室内で栽培されるものが多い。カンノンチク、シュロチクは古典園芸植物として、江戸時代から様々な品種が栽培された。大正・昭和期には投機の対象となり、何度かブームを起こしている。
薬用など
- ビンロウは果実を染料として利用するほか、キンマの葉とともに噛んで嗜好品とする。中華人民共和国湖南省では、煮て甘草などで味付けし、虫下しの効果がある嗜好品としている。
- ノコギリヤシ(ソー・パルメット)の果実はインディアンが強壮作用のある食料として用いていたが、エキスには前立腺肥大の抑制作用があることが知られている。
- キリンケツヤシ(Daemonorops draco)の実を加工したものを麒麟竭(きりんけつ)といい、漢方薬に用いるほか、民間薬としては外用にも用いるという。
建材、工芸材料など
- 大きくなるものは、幹が建材等に利用される。また、ココヤシ、ニッパヤシなどの大型種の葉は、屋根を葺くのにも使われる。そのほか、傘や帽子、団扇などに直接加工することも広く行われる。
- 葉の丈夫な種では、引き裂いてひもや繊維とすることも行われる。シュロなどでは、葉の基部から生じる繊維状の毛を縄、ほうきなどの材料とする。
- ココヤシなどの果実の殻は調理器具などに加工される。
- つる性のトウ(籐)は籐細工として家具などにされる。
- オウギヤシ、タリポットヤシの葉は東南アジアや南アジアにおいては、仏教の写経をする際の紙代わりとして使われてきた歴史がある。また、仏教やヒンドゥー教、時にはイスラム王朝をテーマとした細密画が描かれることもあり、お土産品としても流通している。貝多羅葉、略して貝葉と呼ばれる。
木炭
- ココヤシなどの果実の殻を、水蒸気で賦活し、椰子殻(やしがら)活性炭が作られ、脱臭、タバコのタール等の除去、浄水、金の吸着分離などに用いられる。また、椰子殻を原料とした木炭であるヤシガラ炭は東南アジア全般で広く製造されている。ヤシ殻の丸まった形では燃料として扱いにくいため、木炭化したものを粉砕し、タピオカ澱粉などで固めてオガ炭のような薪状に成形されて販売されている。
その他
- ヤシの実を穿孔して土笛のようにし、楽器として使用されている。一例として兵庫県神戸市玉津田中遺跡から弥生時代のものが出土している。
- 天然ココナッツ繊維:この繊維をロープ状にして、ほぐして強度をつけ、ラテックスを塗布し固める。通気性が良く適度な硬さがあり、腰痛に良いとされる。
- キリンケツヤシから採った麒麟竭(上述)は赤い色をしており、各種塗料や紙の着色などに用いる。
分類・系統的位置づけ
ヤシ科はほとんどの分類体系で、単独でヤシ目を構成する。
新エングラー体系は、ヤシ科が単子葉植物の中で最初に分岐したという説から、ヤシ科が(単独で)属する目を Principes (直訳すると「第一」)と名づけた。
しかしAPGでは、ヤシ目より先にショウブ目、オモダカ目、クサスギカズラ目、ヤマノイモ目、ユリ目、タコノキ目が分岐しており、ヤシ目は進化した単子葉類であるツユクサ類に含まれる。
分類
亜科・連[1]
ヤシ科は5亜科に分かれ、それぞれがいくつかの連に分かれる。連によっては数十の属が属する。
- アレカヤシ亜科 Arecoideae
- アレカ連 Areceae - ユスラヤシ Archontophoenix alexandrae、ノヤシ Clinostigma savoryanum、アレカヤシ Dypsis lutescens、ヤエヤマヤシ Satakentia liukiuensis など
- ココヤシ連 Cocoeae - ココヤシ Cocos nucifera、アブラヤシ Elaeis、チョンタドゥーロ Bactris gasipaes など
- Euterpeae - アサイー Euterpe oleracea など
- Geonomeae
- Hyophorbeae - チャメドレア属 Chamaedorea など
- Iriarteeae - Socratea exorrhiza など
- Leopoldinieae - Leopoldinia pulchra のみ
- Manicarieae - Manicaria saccifera のみ
- Oranieae - Orania のみ
- Pelagodoxeae
- Podococceae - Podococcus barteri のみ
- Reinhardtieae - Reinhardtia のみ
- Roystoneeae - Roystonea のみ
- Sclerospermea - Sclerosperma mannii のみ
- トウ亜科 Calamoideae
- トウ連 Calameae - サゴヤシ Metroxylon sagu、サラク Salacca zalacca など
- Eugeissoneae - Eugeissona のみ
- Lepidocaryeae
- ケロクシロン亜科 Ceroxyloideae
- Cyclospatheae - Pseudophoenix のみ
- Ceroxyleae
- Phytelepheae - 独立亜科 Phytelephantoideae とする説もある[2]。
- コウリバヤシ亜科 Coryphoideae
- Borasseae
- Caryoteae - クロツグ Arenga engleri など
- Chuniophoeniceae
- コウリバヤシ連 Corypheae - Corypha のみ、コウリバヤシ Corypha umbraculifera など
- Cryosophileae
- Livistoneae - ビロウ Livistona chinensis、カンノンチク Rhapis excelsa、シュロ Trachycarpus fortunei、ワシントンヤシ Washingtonia filifera など
- ナツメヤシ連 Phoeniceae - ナツメヤシ属 Phoenix のみ、ナツメヤシ Phoenix dactylifera など
- サバル連 Sabaleae - サバル属 Sabal のみ
- ニッパヤシ亜科 Nypoideae - ニッパヤシ Nypa fruticans のみ
主な種
日本産
日本国内には以下のような種を産する。
- クロツグ属 Arenga
- クロツグ A. engleri(南西諸島・茎は高く伸びず、葉は5mまで)
- コミノクロツグ (八重山諸島)
- マガクチヤシ属 Clinostigma
- ビロウ属 Livistona
- ビロウ・オガサワラビロウ L. chinensis
- ニッパヤシ属 Nypha(一属一種)
- ニッパヤシ N. fruticans(八重山以南・マングローブに)
- カンノンチク属 Rhapis
- カンノンチク R. excelsa(まれに逸出・古典園芸植物)
- シュロチク R. humilis(まれに逸出・古典園芸植物)
- ヤエヤマヤシ属 Satakentia
- ヤエヤマヤシ S. liukiuensis(八重山特産)
- シュロ属 Trachycarpus
- シュロ T. fortunei(逸出・縄などの材料)
外国産
- ユスラヤシ属 Archontophoenix
- クロツグ属 Arenga
- バクトリス属 Bactris
- パルミラヤシ属 Borassus
- トウ属 Calamus
- チャメドレア属 Chamaedorea
- ココヤシ属 Cocos(一属一種)
- ロウヤシ属 Copernicia
- コウリバヤシ属 Corypha
- タケヤシ属 Dypsis
- アブラヤシ属 Elaeis(一属二種)
- ギニアアブラヤシ E. guineensis
- アメリカアブラヤシ E. oleifera
- エウテルペ属 Euterpe
- メトロキシロン属 Metroxylon
- ナツメヤシ属 Phoenix
- カナリーヤシ P. canariensis
- ナツメヤシ P. dactylifera
- シンノウヤシ P. roebelenii
- カンノンチク属 Rhapis
- サバル属 Sabal
- サラカヤシ属 Salacca
- ノコギリパルメット属 Serenoa(一属一種)
- シュロ属 Trachycarpus
- チャメドレア属Chamaedorea
- ワシントンヤシ属 Washingtonia
他にも、有名なものが多々ある。
脚注
- ^ DDBJ TXSearch、NCBI taxonomy database、UniProt Taxonomy による。
- ^ wikispecies
関連項目
|
ウィキスピーシーズにヤシ科に関する情報があります。 |
|
ウィキメディア・コモンズには、ヤシ科に関連するカテゴリがあります。 |
外部リンク
Japanese Journal
- 鹿児島県指宿市で自然繁殖しているカダヤシ科スリコギモーリー(新称)
- アレンガ属ヤシの栽培と利用 : インドネシア国南東スラウェシ州ムナ島および北スラウェシ州サンギヘ島における事例(日本作物学会四国支部第45回講演会講演要旨)
- 柳舘 勇,山本 由徳,吉田 徹志,Pasolon Y.B.,Rembon F.S.,Tenda E.,Kay R.B.M.,松尾 英典,宮崎 彰
- 日本作物学会四国支部会報 (45), 30-31, 2008-12
- … 東南アジアに生育するヤシ科植物のうち,少なくとも6属がその樹幹の髄部にデンプンを蓄積するヤシとして知られている.本調査ではインドネシア国南東スラウェシ州および北スラウェシ州においてそれぞれArenga pinnata(Fig.1)およびA.microcarpa(Fig.2)の栽培およびその利用についての概要を報告する. …
- NAID 110007226098
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