- 英
- montelukast
- 化
- モンテルカストナトリウム montelukast sodium
- 商
- キプレス、シングレア Singulair
- 関
- ロイコトリエン。ロイコトリエン受容体拮抗薬
- ロイコトリエンの産生を抑制
- 適応は気管支喘息(特に運動誘発性喘息・アスピリン喘息)、アレルギー性鼻炎(アレルギー性鼻炎合併喘息)である。
- 用量:(シングレア)気管支喘息の場合、1回10mg, 1日1回眠前、アレルギー性鼻炎の場合、1回5-10mgを1日1回就寝前。
- システイニルロイコトリエンタイプ1受容体(CysLT1受容体)に選択的に結合し(拮抗阻害)、炎症惹起メディエーターであるLTD4やLTE4による病態生理学的作用(気管支収縮、血管透過性の亢進、及び粘液分泌促進)を抑制する。
- 代謝:CYP3A4、CYP2C9
- 本剤使用中に、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症様の血管炎を生じたとの報告がある。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/11/13 04:02:44」(JST)
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モンテルカスト
|
|
IUPAC命名法による物質名 |
(R,E)-2-(1-((1-(3-(2-(7-chloroquinolin-2-yl)vinyl)phenyl)-3-(2-(2-hydroxypropan-2-yl)phenyl)propylthio)methyl)cyclopropyl)acetic acid
|
臨床データ |
商品名 |
Singulair、シングレア、キプレス |
AHFS/Drugs.com |
monograph |
MedlinePlus |
a600014 |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
- AU: Prescription Only (S4)
- CA: ℞-only
- UK: 処方箋のみ (POM)
- US: ℞-only
|
投与方法 |
経口 |
薬物動態データ |
生物学的利用能 |
63% ~ 73% |
血漿タンパク結合 |
99% |
代謝 |
肝代謝(CYP3A4 及び CYP2C9による) |
半減期 |
2.7-5.5 時間 |
排泄 |
胆汁排泄 |
識別 |
CAS番号 |
158966-92-8 |
ATCコード |
R03DC03 |
PubChem |
CID: 5281040 |
DrugBank |
DB00471 |
ChemSpider |
4444507 |
UNII |
MHM278SD3E |
KEGG |
D08229 |
ChEBI |
CHEBI:50730 |
ChEMBL |
CHEMBL787 |
化学的データ |
化学式 |
C35H36ClNO3S |
分子量 |
586.184 g/mol |
SMILES
-
O=C(O)CC1(CC1)CS[C@@H](c2cccc(c2)\C=C\c3nc4cc(Cl)ccc4cc3)CCc5ccccc5C(O)(C)C
|
InChI
-
InChI=1S/C35H36ClNO3S/c1-34(2,40)30-9-4-3-7-25(30)13-17-32(41-23-35(18-19-35)22-33(38)39)27-8-5-6-24(20-27)10-15-29-16-12-26-11-14-28(36)21-31(26)37-29/h3-12,14-16,20-21,32,40H,13,17-19,22-23H2,1-2H3,(H,38,39)/b15-10+/t32-/m1/s1
-
Key:UCHDWCPVSPXUMX-TZIWLTJVSA-N
|
モンテルカスト(Montelukast)は、ロイコトリエン阻害薬(LTRA)であり、主に気管支喘息、季節性アレルギー疾患の諸症状の治療に用いられる[1][2]。錠剤、チュアブル錠(噛み砕いて良い錠剤)、細粒の3製剤が有り、1日1回の経口投与で用いられる[3]。日本では商品名シングレア(MSD)、キプレス(杏林製薬)の2ブランドで販売。
目次
- 1 作用機序
- 2 効能・効果
- 3 副作用
- 4 ロラタジンとの併用
- 5 用法・用量
- 6 参考資料
- 7 外部リンク
作用機序
モンテルカストは肺及び気管支に発現しているシステイニルロイコトリエン受容体1(CysLT1)を阻害し、ロイコトリエンD4(及びC4、E4)の働きを妨げ、気管支収縮を抑制するとともに抗炎症作用を示す。この機序の為、急性の喘息発作には無効である。又、テオフィリン等の他の喘息治療薬とは相互作用しない。
類薬にザフィルルカスト(Zafirlukast)、プランルカスト(Pranlukast)がある。ジレウトン(Zileuton)はエイコサノイド合成経路中の5-リポキシゲナーゼを阻害してロイコトリエン生合成を阻止する。
効能・効果
日本での適応は、錠剤5mg/10mgが「気管支喘息、アレルギー性鼻炎」、チュアブル錠5mg及び細粒4mgが「気管支喘息」となっている[4][5][6]。モンテルカストは、気管支喘息、運動誘発性気管支痙攣、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹に有効である[7]。成人に於いては、吸入ステロイドが充分奏効しない際に追加療法として用いられる事が多い。
副作用
重大な副作用は、アナフィラキシー、血管浮腫、劇症肝炎、肝炎、肝機能障害、黄疸、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑、血小板減少などである。異常が認められた時には直ちに投与を中止し適切な処置を行う必要が有る。その他胃腸障害、頭痛、睡眠障害、出血傾向、チャーグ・ストラウス症候群(好酸球性のアレルギー疾患で、副作用か如何か判らない)が有る。
FDA査察
2008年3月、米国FDAは、ロイコトリエン阻害薬と気分変調及び自殺企図との関係を調査すると発表し[8]、2009年6月には、ロイコトリエン阻害薬は精神神経学的副作用を発現すると結論した。治験時に明らかであった副作用は不眠のみであったが、製造販売後調査で自殺企図、興奮、攻撃行動、不安、悪夢、幻覚、抑鬱、易興奮性、不穏、振戦が認められた[9]。
ロラタジンとの併用
米国でロラタジンとモンテルカストの合剤を開発する動きがあったが、FDAは季節性アレルギーに対して使用しても利益が無いと判断し[10]、2008年4月、不認可とした[11]。
用法・用量
成人には、気管支喘息に対して1日1回10mgを、アレルギー性鼻炎には1日1回5〜10mgを用いる。小児への用量はチュアブル錠及び細粒にのみ記載されており、6歳以上の小児には1日1回5mg相当のチュアブル錠を、1歳以上(米国では6ヶ月以上)6歳未満の小児には1日1回4mg相当の細粒を投与する、とされている。
参考資料
- ^ Lipkowitz, Myron A. and Navarra, Tova (2001) The Encyclopedia of Allergies (2nd ed.) Facts on File, New York, p. 178, ISBN 0-8160-4404-X
- ^ "Asthma / Allergy ". Mascothealth.com. Retrieved 9 April 2011.
- ^ Montelukast article on Medline Plus http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/druginfo/meds/a600014.html "Montelukast comes as a tablet, a chewable tablet, and granules to take by mouth. Montelukast is usually taken once a day with or without food."
- ^ “シングレア錠5mg/シングレア錠10mg 添付文書” (2015年2月). 2015年2月26日閲覧。
- ^ “シングレアチュアブル錠5mg 添付文書” (2015年2月). 2015年2月26日閲覧。
- ^ “シングレア細粒4mg 添付文書” (2015年2月). 2015年2月26日閲覧。
- ^ “Montelukast Sodium”. The American Society of Health-System Pharmacists. 2011年4月3日閲覧。
- ^ FDA Investigates Merck Drug-Suicide Link
- ^ Updated Information on Leukotriene Inhibitors: Montelukast (marketed as Singulair), Zafirlukast (marketed as Accolate), and Zileuton (marketed as Zyflo and Zyflo CR). Food and Drug Administration. Published June 12, 2009. Accessed June 13, 2009.
- ^ Rubenstein, Sarah (2008年4月28日). “FDA Sneezes at Claritin-Singulair Combo Pill”. The Wall Street Journal. http://blogs.wsj.com/health/2008/04/28/fda-sneezes-at-claritin-singulair-combo-pill/?mod=WSJBlog
- ^ Schering-Plough press release - Schering-Plough/MERCK Pharmaceuticals Receives Not-Approvable Letter from FDA for Loratadine/Montelukast
外部リンク
- U.S. National Library of Medicine: Drug Information Portal - Montelukast
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 日経ドラッグインフォメーション 2012年1月号~12月号 年間記事インデックス
- 日経ドラッグインフォメーションpremium (182), 78-83, 2012-12
- … 妄想や幻覚などの認知症の周辺症状を抑肝散が改善2月号PE13ベル麻痺による顔面の神経麻痺症状をバラシクロビルが改善4月号PE13糖尿病網膜症の発症や進展をARBで抑制6月号PE13子宮内膜症による頑固な痛みをモンテルカストが改善8月号PE13大腸憩室炎による腹痛などの症状がメサラジンで改善10月号PE13薬の副作用による口腔内乾燥症をニザチジンが改善12月号PE13副作用症… …
- NAID 40019513402
- O81-6 吸入ステロイド(ICS)治療下喘息例におけるシクレソニドとモンテルカストの追加効果の検討(喘息治療薬,口演,第62回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- 中治 仁志,Guergana Petrova,松本 久子,岩田 敏之,新実 彰男,伊藤 功朗,小熊 毅,井上 英樹,田尻 智子,長崎 忠雄,金光 禎寛,三嶋 理晃
- アレルギー 61(9・10), 1576, 2012-10-25
- NAID 110009621209
- モンテルカストナトリウム追加投与による通年性アレルギー性鼻炎患者のQOL改善効果
Related Links
- シングレア,キプレスとは?モンテルカストの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も 調べられる(おくすり110番:薬事典版)
- 2009年7月9日 ... Newsletterによれば、Health Canadaには、モンテルカストが発売された1997年から 2009年1月までの間に、モンテルカスト使用との関連が疑われる42の精神神経系の 有害事象の報告があり、うち自殺企図(Suicide attempt)2例、自殺・自 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
キプレスチュアブル錠5mg
組成
成分・含量(1錠中)
添加物
- D-マンニトール、結晶セルロース、三二酸化鉄、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)、香料
禁忌
効能または効果
- 通常、6歳以上の小児にはモンテルカストとして5 mgを1日1回就寝前に経口投与する。
- 本剤は、口中で溶かすか、噛み砕いて服用すること。
- モンテルカストチュアブル錠はモンテルカストフィルムコーティング錠と生物学的に同等でなく、モンテルカストチュアブル錠はモンテルカストフィルムコーティング錠と比較してバイオアベイラビリティが高いため1)、モンテルカストチュアブル錠5 mgとモンテルカストフィルムコーティング錠5 mgをそれぞれ相互に代用しないこと。
重大な副作用
アナフィラキシー様症状(頻度不明)
- アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し適切な処置を行うこと。
血管浮腫(頻度不明)
- 血管浮腫があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し適切な処置を行うこと。
劇症肝炎、肝炎、肝機能障害、黄疸(頻度不明)
- 劇症肝炎、肝炎、肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(頻度不明)中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。
薬効薬理
作用機序
- モンテルカストは、システイニルロイコトリエン タイプ1受容体(Cys LT1受容体)に選択的に結合し、炎症惹起メディエーターであるLTD4やLTE4による病態生理学的作用(気管支収縮、血管透過性の亢進、及び粘液分泌促進)を抑制する。この作用機序に基づき、モンテルカストは抗喘息作用として、喘息性炎症の種々の因子を改善する。
LT受容体拮抗作用(受容体結合試験)
- 受容体結合試験(モルモット肺細胞膜、U937細胞膜及びTHP-1細胞膜)で、LTD4の受容体結合を強力に阻害し、その作用は血液成分による影響を受けなかった。LTC4及びLTB4に対する受容体拮抗作用は弱かった27)。
気管支収縮抑制作用(摘出臓器及び動物試験)
- モルモット摘出気管におけるLTD4の収縮を競合的に阻害した。また、モルモット及びリスザルにおいてLTD4誘発気管支収縮反応に対して強力かつ持続的な阻害作用を示した。一方、モンテルカストは、LTC4(LTC4の代謝を阻害した条件下)による摘出組織の収縮を阻害しなかった。また、モルモットを用いたヒスタミン、アラキドン酸、セロトニン及びアセチルコリン誘発の気管支収縮をほとんど阻害しなかった27)。
抗原誘発による気管支収縮抑制作用
- 感作した近交系喘息ラット、モルモット及びリスザルの抗原誘発による気管支収縮反応を静脈内投与及び経口投与で抑制した27)。海外の臨床試験において、抗原投与による即時型及び遅発型気管支収縮をそれぞれ75%、57%抑制した28)。
即時型及び遅発型気管支収縮反応に対する抑制作用
- 感作リスザルの抗原誘発による即時型及び遅発型気管支収縮反応を経口投与で抑制した27)。
アナフィラキシーショックに対する抑制作用
- 感作モルモットの卵アルブミンによるアナフィラキシ−ショックを部分的に抑制した29)。
肺機能の改善作用
- 軽症から中等症の慢性気管支喘息患者において、1秒量及び最大呼気流量を改善した30)。
好酸球に対する効果
- 軽症から中等症の慢性気管支喘息患者において、喀痰中の好酸球比率をプラセボに比べて有意に低下させた31)。同様に成人30)、小児患者32),33)における末梢血好酸球比率も有意に低下させた。
有効成分に関する理化学的知見
- 一般名:モンテルカストナトリウム(Montelukast Sodium)[JAN]
- 化学名:(+)-1-[[[(R)-3-[(E)-2-(7-Chloro-2-quinolyl)vinyl]-α-[2-(1-hydroxy-1-methylethyl)phenethyl]benzyl]thio]methyl] cyclopropaneacetic acid monosodium salt
- 分子式:C35H35ClNNaO3S
- 分子量:608.18
- 性状 :本品は白色の粉末で、N,N-ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール(95)又はピリジンに極めて溶けやすく、水又はエチレングリコールに溶けやすく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
- 分配係数:1-オクタノール/リン酸塩緩衝液(pH7)での分配係数は、logKD=2.3±0.2である。
- 化学構造式:
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- 英
- leukotriene receptor antagonist, LTRA
- 関
- ロイコトリエン拮抗薬、ロイコトリエン受容体遮断薬、抗SRS-A剤
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