出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/12/25 00:18:23」(JST)
免疫学的検定(めんえきがくてきけんてい)は、抗原と抗体の反応を利用して血清や尿のような生物学的液体の中に含まれる物質のレベルを測定する生化学的試験である。
単クローン抗体は特定の分子の単一の抗原決定基にのみ結合する性質をもつので、この性質により、その他の物質の存在で結果を混乱させられることが極めて少なく、特異性の高い正確な試験を実施することができる。選ばれた抗体は抗原に対する高い親和性を持っており、もし抗原が存在するなら、極めて高い割合の抗原が抗体と結合する。
免疫学的検定では、抗原または抗体のいずれの存在も測定することができる。たとえば、感染症を検出する場合にはその病原体に対する抗体の存在が測定される。インスリンのようなホルモンの測定のためには、インスリンは抗原としてふるまう。
数値的な結果のために、液体の反応は既知の濃度の標準と比較されることで測定される。これは通常、グラフ上に標準曲線を描いて行われ、未知の物質が標準曲線上のどの位置で反応を示すのかを調べることにより、その物質の定量を行うことができる。
抗原または抗体の定量は様々な方法でなされる。その中でももっとも一般的な方法は、抗原または抗体のいずれかを標識することである。標識物には酵素(酵素標識免疫学的検定法 (Enzyme Immunoassay, EIA) 、ヨウ素125(125I)放射免疫測定 (Radioimmunoassay, RIA) で用いるような放射性同位元素あるいは蛍光化合物が用いられる。その他には凝集法、比濁法、混濁度測定法、ウエスタンブロット法がある。
免疫学的検定法は競合的にも、非競合的にも行うことができ、均質な対象にも不均質な対象についても行うことができる。
競合的免疫検定法では、未知の試料中の抗原が抗体と結合する時に、標識された抗原と競合する。抗体と結合する標識抗原の量が測定される。この方法では未知の試料中の抗原濃度とは逆転した比率で反応する。すなわち、未知の試料中の抗原量が少なければ標識抗原とはあまり競合しないので、検出される標識抗原量が多く、強く反応を示すことになる。
非競合的免疫検定法はサンドイッチ法とも呼ばれているように、未知の試料中の抗原が抗体と結合し、さらに標識された抗体が抗原に結合する方法である。抗原に結合した標識抗体量が測定される。競合的免疫検定法とは異なり、非競合的免疫検定法は抗原の量と反応が直に比例する。これはすなわち未知の試料中に抗原が存在しなければ標識抗体も結合せず検出されないからである。
免疫学的検定は、ヒト免疫不全ウイルス感染症やその他の様々な感染症の診断において特に重要な役割を担っている。
en:Immunoassay
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